1 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/19(月) 10:04:30.00 ID:MJN3VfVP
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。



(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part300
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1314947983/



まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/




     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!




     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。





.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2 :萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE 2011/09/19(月) 14:24:53.25 ID:+M5Ad6Kk
スレ立て乙です。

Call of Differentの代理投稿がFIFOに残ったまま(謎)のようですので、
これから代理投下行きます。
3 :Call of Different ACT2 (代理)2011/09/19(月) 14:25:22.57 ID:+M5Ad6Kk
「…ローチ何かした?」
「してないさ、走りたい気分だったんだろ」
「そう」
イマイチ納得しきれないルイズがどうせ無駄だと理解して話を切り上げる
ルイズが無言で歩く後ろをローチが堂々とした態度で一歩一歩廊下を踏みしめて歩く
ただ単に軍人として受けた行進訓練の癖なだけだが
急にローチがルイズに質問する
「微熱って?」
「二つ名よ、メイジには二つ名があるの、キュルケは微熱」
「ルイズはゼロか、どんな意味だ?」
「………」
「…悪い、言いたくないならいい」
「いいわよ、べつに」
どうやら食堂に着いたらしく内部からがやがやと声が聞こえる
「凄いな…」
「でしょう? トリステイン魔法学院で教えるのは魔法だけじゃないのよ」
まるでどこかの王室の食堂のようだ
「メイジはほぼ全員が貴族なの、『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を存分に受けるのよ。
だから食堂も、貴族の食卓にふさわしい物でなければならないのよ」
自慢げにルイズが食堂の自慢をする、別にルイズが建てたわけでもないのにNE
しかし自分の出身の自慢はしたいものである
「ところ俺はどこで食えばいい?」
「着いてきなさい、平民はこのアルヴィーズの食堂には入れないんだけど私の使い魔だから特別に許可するのよ」
言われた通りルイズに着いていく

「ここよ」
一つのテーブル前に辿り着きルイズが椅子に腰を下ろす
ローチもその隣に腰を下ろす
「そこは貴族の席よ、ローチは床」
「おいおいマジかよ 奴隷扱いか?」
しぶしぶと立ち上がりローチはぶつぶつと文句を言う
(あぁ、どんな不味い飯が出てくんのかな MRE(世界一不味いといわれるレーション)よりもマシだといいな)
ルイズが指差した床にあったのは申し訳程度に何かが浮いたスープと凄まじく硬そうなパンだ
「カロリー無さそうだ……」
ボソッとローチが感想を呟く
彼は兵士である、数日は食べなくても大丈夫なように訓練されているが食える時には食っておきたい
彼だって人間なのだ
ローチはしぶしぶスープを口に含む
「ん、美味いな 凄く美味い、MREと比べるなんてコックに失礼な事をしちまったな」
30秒とたたず極々少量の食事を胃に収めるとおもむろに立ち上がり
「うっし、ルイズ 俺は外で待っとくから用があったら呼びにきてくれ」
ルイズはそれを聞くと えっ、早… と呟いて歩いていくローチの後姿を見つめていた

廊下で腕を組んで足りない睡眠を壁にもたれながら仮眠で補っていると食事を終えたルイズがローチに声を掛ける
「ローチ!」
「ん、飯は食い終わったか?」
「えぇ、これから教室に行くからついて来て」
「俺が行く必要はあるのか?」
「まぁ…ね」
歯切れの悪いルイズの頭をおもむろにローチが撫でる
「な、何するのよ!」
「いい位置にあったからつい」
「ッー!行くわよ!!」
ルイズがプンスカと怒り足を踏み鳴らしながら歩いていく
ローチは妹を見るように暖かい目でルイズの後姿を見つめながらついて行く
4 :Call of Different ACT2 (代理)2011/09/19(月) 14:26:18.93 ID:+M5Ad6Kk
そしてゴースト
「んぐっ、あぁーぁ…」
盛大なあくびと背伸び
「あ゛ーよく寝た!」
今ひとつ緊張感の足りないゴーストである
周りを見渡しスクッと立ち上がり一言
「うっし、ローチのケツを蹴飛ばしに行くか」
忘 れ て い な い

ローチサイド
「?!」
ローチが言い知れぬ不安に身震いする
そんなローチを知ってか知らずかルイズがローチに話しかける
「教室、着いたわよ」
その言葉にローチが反応し視線を上げる
ルイズがドアをくぐるとザワザワしていた教室が一瞬静かになりクスクスと笑い声が聞こえてくる
ローチがそれを見て多少の不快感を感じルイズの方を見るがルイズは何のそのといった風に無視し席に着く
ローチが凛とした軍人のようにルイズの隣に立ち胸を張りルイズにボソッと話しかける
「ルイズは強いんだな」
最初何を言っているのだと思っていたがルイズは周りの状況を理解し返事する
「別にいつもの事よ、ある程度は慣れたわ」
それっきりローチは黙り切り周りを観察する
(慣れるほどこの空気に晒されていたのか、クソッタレめ…ルイズの何が不満なんだガキ共)
見ればルイズやローチを指差すものやちらちらと見て来るもの
ローチに熱視線を向けてくるキュルケやら我関せずと本をずっと読んでいる青髪の少女など
色々な人間がいる、人間だけでなく珍妙奇天烈摩訶不思議な生物も沢山いる
ローチが目玉の変な物体に目をやっていると扉が開きややお年を召した女性が入ってくる
すると教室が静かになり笑い声も収まる
入ったとたん静かになった教室にご満悦した女性は微笑みながら
「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、
こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
と、教室を一瞥しながら話す
ルイズと隣に立つローチを見ると「あらあら」と呟いて話を始める
「変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
貶すつもりなど1%も含まれない純粋な驚きの声を上げるシュヴルーズ
ルイズが少し俯く
そこに声質で言うなら少々下品と言うべきか可哀想と言うべきかという声が響く
「ゼロのルイズ!召喚が出来なかったからって変な格好の平民なんか連れてくるなよ!」
見るとやや太った少年がルイズに野次を飛ばす
それを聞いたルイズが流石に怒ったのか声を荒げる
「違うわ!きちんと召喚したもの!ローチが来ちゃっただけよ!」
「おいおい、嘘つくなよな!ゼロのルイズ!」
ローチは理解する、ゼロという二つ名は誇りに出来るものではない、バカにされているのだ
この太ったクソガキ、投げナイフの的にしてやろうか と思案しているとルイズが声を上げる
「ミセス・シュヴルーズ!侮辱されました!風邪っぴきのマリコルヌがわたしを侮辱したわ!」
それを聞いたマリコルヌ(マルコリヌの方が個人的には言い易いからよく間違える)も声を荒げ
「かぜっぴきだと! 風上だ! 風邪なんか引いてないぞ!!」
「あんたのガラガラ声は、まるで風邪でも引いているみたいなのよ!」
口喧嘩が始まった、殴り合いにはならないがどちらにしろ喧嘩だ
そこにシュヴルーズが割って入る
「ミス・ヴァリエール。ミスタ・マリコルヌ。みっともない口論はやめなさい。
お友達をゼロだのかぜっぴきだの呼んではいけません、わかりましたか?」
「ミセス・シュヴルーズ、僕の風邪っぴきはただの中傷ですが、ゼロのルイズは事実です」
マリコルヌがニヤニヤとしながらルイズを指差す
すると周りも何人かクスクスと笑い始める
瞬間シュヴルーズが杖を軽く振りマリコルヌと笑った生徒の口に粘土を詰め込む
「しばらくその姿で授業を受けて反省しなさい」
5 :Call of Different ACT2 (代理)2011/09/19(月) 14:27:01.12 ID:+M5Ad6Kk
以後普通に授業が進みローチはそれを見ながら思う
(言語体系も違うな、文字が何書いてるのか皆目検討つかない)
先生が錬金という魔法で石ころを金色の物体に変える
どうやら真鍮らしい
(物質の原子を変化させるのか?!バカな!それに必要なエネルギーは天文学的数値に…云々)
「では実際に今やった錬金を誰かにやってもらいましょう!」
シュヴルーズが振り向きうーんと言いながら誰にしようかと見回し始める
「そうだわ、ミス・ヴァリエールにやってもらいましょう!」
いきなり静かだった教室がざわめき始める
「先生、ルイズにやらせるのは危険です」
キュルケがいきなり声を上げる
それに賛同するようにマリコルヌや生徒たちが頷く
「あら、どうしてですか?」
「ルイズを教えるのは初めてですよね?」
「ええ。あまり実技の成績が良くない事は存じていますが、非常に努力家である事も存じております。
 さあ、ミス・ヴァリエール、気にせずにやってごらんなさい。失敗は成功の母ですよ」
ルイズが決心したように立ち上がり教壇に歩き始める
「あぁ、あぁ、」
キュルケが変な声を上げる
「さぁ、ミス・ヴァリエール、この石ころを望む金属に変えてください、しっかりと変えたい金属を強くイメージするのですよ」
次の瞬間ルイズが杖を振り下ろす

閃光、轟音、衝撃、凄まじい爆発が起きた まるで手榴弾が爆発したようだ
「う、おぉ…」
咄嗟に机の後ろに隠れ対ブラスト姿勢になっていたローチが周りを見渡し驚く
阿鼻叫喚 使い魔達は教室を走り回り飛び回りガラスを突き破り他の使い魔に危害を加える
生徒は衝撃で吹き飛ばされたり自分と同じように机の後ろに隠れたり事前に教室から出ていたりした
「だから言ったのよ!危険だって!」
キュルケがルイズを指差す
「もうあいつを退学にしてくれ!」
生徒が叫ぶ
「俺のラッキーが! 蛇に食われた!」
使い魔を助けようとするものもいる

煤だらけになり服もボロボロのルイズがコホンと一つ咳をして
「ちょっと失敗したみたいね」
それを聞いた生徒たちが叫ぶ
「何がちょっとだ!いっつも失敗じゃねぇか!ゼロのルイズ!!」
「成功確立いつだってゼロじゃないか!」
ローチはゼロの意味を理解する
「俺のラッキーが! 蛇に食われた!」
さっき聞いた
ローチは一言呟いた
「なるほど…だからゼロか…」
6 :Call of Different ACT2 (代理)2011/09/19(月) 14:28:59.45 ID:+M5Ad6Kk
以上で投下終了です。本スレへの代理投下をお願いしたい所存であります!
---- ここまで ----

以上、代理投下でした。投下された皆様乙です。

自分の方は……というと、リアルの方で心身共に消耗してあんまり
進んでいなかったり……orz
できれば今晩、無理なら来週にはお目見えしたいな、と思ってます。
7 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/19(月) 19:40:13.04 ID:mq4kq+tC
乙です。
乙だけど、場面が変わるときにside??とか書くのはやめたほうがいいと思うよ。
なんだかすげぇバカっぽく感じるから。
8 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/19(月) 20:01:03.84 ID:YSZxBOWa
>>7
お前のレスの方がバカっぽく感じるから。
11 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/19(月) 21:29:10.98 ID:4epPb1sN
>>7
そんな人によるような感想を押し付けられても、そのなんだ・・・困る。
12 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/19(月) 21:40:27.05 ID:GaQ554H8
>>7
なろうずやこのスレなどで場面変更はたくさん見てきた。 これより多い所もあれば凝ってる所もあった。
バカっぽく、とかそんな感想ですらない謗りを投げかけれたら迷惑すぎる。
14 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/19(月) 23:34:41.21 ID:X5KhPo2G
>>7
毒吐きに行け
9 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/19(月) 20:35:12.43 ID:NdHIfHfG
批評家様になりたいんならなろうか理想郷に行ったらどうだい?
15 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/19(月) 23:42:03.30 ID:zmDE6Rbl

破壊の杖がゼウスキャノンだったり、シエスタ曾祖父がゾンビモードのタケオさんだったりしたら俺徳!
16 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 12:28:01.85 ID:qHxkTFY4
バカテスから船越女史を召喚、もう異世界でもいいやでマリコルヌと
17 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 13:21:24.33 ID:xlHmdaYF
ぬらりひょんの孫から玉章を召喚、奴良組との抗争終結後だとそれなりに性格がまともになってるはず
京妖怪と比べると四国妖怪って玉章と夜雀、それにムチ以外はほぼ全員雑魚だったな
18 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 15:57:53.25 ID:P4T6/S02
原作で元気にやってた頃と性格が変わっちゃってたら別キャラみたいなもんでそいつである必要が無いとかになりそう
原作の事件、戦いなんかで感化されて成長したはずだから、その「成長後の姿」で書きたい、見たいってのもあるとは思うけど

個人的には聖帝さまの「ぬくもりを思い出したけど性格は帝王」ってくらいのがバランス的には好き
19 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 17:17:48.94 ID:mJkiPDdV
ぬーべーから人魚の速魚を召喚
不老不死になれる人魚の血肉をとってこいと命令されるタバサ、親友の使い魔に手をかけることを躊躇するが速魚はあっさりオーケー
とりあえずお試しとして血を渡されたイザベラだったが、タバサへの指令の内容も忘れ、イルククゥ以下のバカとなってしまったとさ
めでたしめでたし?
20 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 18:39:34.53 ID:fH45wL2C
高橋留美子の方の人魚召喚すると阿鼻叫喚の地獄絵図になりそうだ
ジョゼフや教皇辺りなら喜んで食いそうだが
23 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 19:41:38.68 ID:GN9OtBfT
>>20
高確率でなり損ないの化け物になるんだっけ
サイレンのアレみたいなもんだな
25 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 20:06:31.71 ID:fH45wL2C
>>23
なったらなったで永遠に孤独で生きなきゃならないわ、
食わなくても関わった人間は大抵酷い目に遭うわとまさに呪いのアイテム
21 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 18:44:07.15 ID:t01AJE8f
今プレイ中のストレンジジャーニーの主人公とか

あの特徴的なデモニカスーツを見て何を思うのだろう?
24 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 20:06:23.26 ID:5zgzPVvo
>>21
アトラス系主人公は性格がこれってのがないんだよな
ビル60階から飛び降りるとかスケ番女装とかバナナの皮で滑る程度

ストレンジジャーニーはなんかある?
22 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 18:58:20.86 ID:0NY5rdV/
ホライゾンより点蔵をティファニアが召喚というのは考えた事があるが、
話をどう進めたものかと考えているうちに没になった。
27 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 20:57:13.89 ID:Uj5YDe2J
不幸にならない不老不死の方が圧倒的に珍しいけどな
軽く思い出してみた限りで、不老不死になって幸福に過ごせてるキャラとか作品がまったく出てこない
せいぜい折り合いを付けて普通に生活してるのがいる程度
28 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:06:41.69 ID:W2OcXZu+
21:10頃に投下させてもらいますが、よろしいですか?

それと、ここに投下する時にはサブタイトルをつけてないのですが、
付けたほうが良いですかね?
29 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:10:49.44 ID:W2OcXZu+
学院へと戻ってきたスパーダはまず、シエスタを厨房に残っていたマルトーらの元へと送り届け、
再び学院で働くことが許されたことを話してやった。
他のメイドや若いコック達はシエスタが戻ってきたことを大いに喜び、彼女を連れ戻してくれたスパーダには感謝の言葉が尽きない。
スパーダはつっけんどんに「気にするな」と、それだけ答えて厨房を後にしようとする。
「待ってくれよ」
そこを呼び止めてきたのは、マルトーだった。スパーダは足を止め、肩越しに振り向く。
「何故、元とはいえ貴族のアンタが平民にここまでしてくれるんだい?」
そんなつまらないことを聞いてきたが、スパーダは静かに答える。
「私が彼女を助けてはいけないのか。……それとも、貴族は決して平民を善意で助けようとはしない。
 たとえそれが貴族の地位や権利を失い、捨てたものであろうと。
 ……お前はそう考えているのか」
「いや……そ、それは……」
うろたえるマルトーに、スパーダは続ける。
「お前が貴族が嫌いだというのは私も大いに理解している。……だが、そこまで頑固でいるのも良いとは言えんな。
 もう少し、見方を変えてみろ。……お前は少し考えが硬直的だ」
それからはもう振り返らずに厨房を後にし、本を読みながら待っていたタバサと合流し、食堂の外へ出る。

「あの時――」
食堂を出た先の回廊で突然、タバサがスパーダに話しかけてくる。
「あなたが呼び出していたあの剣は何?」
それは恐らく、幻影剣のことを言っているのだろう。
「あなたは杖を持っていないのに、あの剣を自在に操っていた。
 あれは、先住魔法?」
「いや、違う。あれは私の魔力を剣の形にして放出しているだけに過ぎない。平凡な技術だ」
幻影剣は悪魔であるスパーダに備わった技の一部であり、幻影剣と自らの剣技を交えた戦術は十八番だ。
基本的にフォースエッジの形にしていることが多いが、曲刀や鎌にして回転させて放ったり、
魔力の密度を高くして耐久性を強め、直接手にして振るうことさえある。
30 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:15:03.40 ID:W2OcXZu+
……しかし、今回は仕方がなかったとはいえあれを人前で滅多に使えば自分が悪魔だと知られかねない。
今後、遠距離攻撃の手段を変えなければならないだろう。
「……あなたのやっているという仕事。それは、あの悪魔を倒すこと?」
「正式には、?デビル・ハンター?という。一種の賞金稼ぎのようなものだ」
千年以上も前に人間界で起きた魔界の侵攻。魔界を封じ、戦いが終わった後も、下級の悪魔達は度々人間界を訪れては
人々に不幸と恐怖をもたらしている。
そんな奴らを専門に退治するために設けられた職業が、?デビル・ハンター?なのだ。
……しかし、実に皮肉かもしれない。純粋な悪魔であるスパーダが、裏切ったとはいえかつての同胞を狩っていくなんて。
だが、既に戻ることはできない。魔界を裏切り、人間界を守ると決めた以上は。
そして、この世界にも奴らが現れる以上、ここも守らなければならない。
「今度また」
「ん?」
「悪魔を狩るなら、連れて行って欲しい」
「……君の腕ならば問題はないだろうが。簡単ではないぞ」

「構わない」
この男に付いていけば、きっとまた悪魔と戦う機会があるはず。
自分が更なる力を身につけるのに、あの悪魔達との戦いは格好の手段だ。
今日は初めてということもあって不覚は取ったが、今度からはそうはいかない。
そもそも、悪魔である以上はあのような不意打ちをしてくるのは当たり前というものだ。
タバサは既に、覚悟を決めていた。
そもそも自分は、悪魔のような心を持った人間達を殺そうとしているのだから。


その後、タバサとも分かれてルイズの部屋へと戻ると既に彼女は眠りに就いていたため、
コートを脱いでリベリオンと閻魔刀を椅子に立て掛けると、窓から庭へ飛び降りて水場へ向かう。
水で濡らした布で首などを拭い、汗を落としていた。
だが、その表情はいつにも増して険しい。
この世界へやってきて初めての悪魔の掃討。
下級悪魔の雑魚が相手だったとはいえ、これからも奴らと戦う機会は多くなるだろう。
だが、上級の悪魔がこの世界へ現れられるのだけは避けたいことだ。
下級の悪魔達と違って力が強い上級悪魔は自由に人間界を行き来できないが、
特別な手段さえ取ればいつでも人間界へ現れることができる。
フォルトゥナにもあった魔界と人間界を繋ぐ地獄門のようなものがこの世界にありでもしたら……。
32 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:24:36.09 ID:W2OcXZu+
「何をしていますの?」
険しい顔のまま考えに耽っていると突然、誰かに声をかけられた。我に返ったスパーダはそちらを振り向く。
そこにはいつの間に立っていたのか、学院長オスマンの秘書・ロングビルがいたのだ。
「別に。少し涼みに来ただけだ。君こそ、何をしている」
「私も同じですわ。眠る前に、少しばかり夜の散歩でも……と思いまして」
歩き出すスパーダの隣につくと優雅に振り返り、共に歩き出すロングビル。
「聞きましたわよ。モット伯の屋敷から、平民のメイドを連れ出してきたとか」
「彼女の仕事はあそこでは合わん。だから連れ戻しただけに過ぎん」
それにあの時は確信がなかったものの、悪魔の力を宿しているかもしれないシエスタが学院を離れてもらっては、
色々と面倒なことになりそうな気がしたのだ。
「でも、モット伯にとって召抱えたメイドは宝物みたいなものだったでしょうね。
 雇うといっても、結局は体が目的なんでしょうから」
妙に刺々しい物言いのロングビル。シエスタと同じ女だからだろうか、好色なモット伯のことは気に入らなかったようだ。
「きっと、せっかく手に入れた宝物を味わうことができなくて悔しがったことでしょうね」
「……だろうな」
彼の目論見は、己の欲望に引き寄せられた悪魔達によって全て台無しにされたのだ。
それにしてもロングビルはやけに機嫌が良さそうである。
「モット伯がどんな顔で悔しがっていたのか、私も見てみたかったですわ」
「……聞かん方がいいぞ」
もうあれは悔しがるとかの問題ではないのだ。
ロングビルはモット伯が無残に死んだことまでは知らないからそんなことが言えるのだろう。
「……それにしたって、仮にも王宮の勅使であるモット伯の屋敷に乗り込むなんて、
 ずいぶんと大胆なことをなさいますのね?」
「別に大したことはしていない」
さっさとルイズの部屋で眠りに就こうかと思い、スパーダは歩調を早くした。
「ミスタ・スパーダ」
ロングビルがスパーダの背に向かって声をかけてくる。スパーダは一度立ち止まるが、振り向かない。
「異国の元貴族とはいえ、どうして平民のメイドを助けようなんて考えたのです?」
「君もあの時、食堂にいたのだろう? なら、話は聞いていたはずだ。
 ……誰かを助けるのに、理由がいるか?」
それだけ答え、スパーダはルイズの部屋を目指して歩いていった。
33 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 2011/09/20(火) 21:25:05.97 ID:qQkW+KjR
サブタイはつけてる人もつけてない人もいる
つけたかったらつければいいんじゃないかな

sien
34 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:30:06.78 ID:W2OcXZu+
翌日は虚無の曜日。人間界で言う日曜日に相当するものであり、その日の魔法学院は休講だった。
生徒達は己の使い魔とスキンシップをとったり、仲の良い者同士で話合ったりして楽しんでいる。
「何!? 今日は訓練ができないだって!?」
本塔の入り口でギーシュは大声で無念の叫びを上げていた。
「違う。戻ってくるまではできないというだけだ」
スパーダはこれからトリステインの王都、トリスタニアの町へ買い物に向かうルイズに付いて行かねばならない。
そしてスパーダも、せっかくだからもしその町に武器関係の店でもあれば寄ってみようかと考えていた。
ギーシュとしては休日だから、思い切りスパーダに剣を教えてもらおうかと思っていたのだが
当てが外れて残念そうにしている。
「……私が戻るまで、自主的に行っていればいい。お前には基本は教えてやった。
 次は自分なりにその基本を応用してみろ」
軽く口添えをしてやり、フォースエッジと閻魔刀を持ち出して
スパーダはルイズが待つ門へと向かおうとする。
「ダーリン! どこへ行くの?」
突然、呼び止めてきたのはキュルケだった。
彼女はスパーダを部屋に誘ってきた日の翌日から、?ダーリン?などとふざけた名で呼んでくる。
キュルケは本当に、ネヴァンにそっくりな女だ。
誘惑が効かないから、自分の虜にしてやろうと必死なようである。
もちろん、スパーダは毎度適当に相槌を打って無視するが。
「ルイズが買い物へ行くのでな。それに付いていくだけだ」
「もうっ! だったら、あたしも誘ってくれれば良いのにぃ」
一体、付いてきてどうしようというのだ。
ルイズと不毛な言い争いをするだけなら、むしろ目障りである。
さすがのスパーダも、ネヴァンに似ているとはいえ彼女よりもしつこいキュルケと相手をするのも面倒になってきた。
「……戻ってきたら、少しだけ話し相手はしてやる」
それだけ言い、さっさとその場を後にする。
「待ってるわよー!」と、キュルケは手を振っているがスパーダは無視した。
35 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:34:39.93 ID:W2OcXZu+
ルイズは門の前で二頭の馬の手綱を手にしたまま、スパーダの到着を待っていてくれた。
「あなた、それ持っていく気?」
「盗まれたら堪ったものではないからな」
スパーダが愛用する三つの魔具。六千年以上もの長い付き合いをしている自らの分身の仮の姿であるフォースエッジや
魔界を裏切る時から持っている閻魔刀、魔界を封じた後に手にしたリベリオンは大切な宝物だ。
リベリオンは並の人間が持つには重過ぎるので盗まれる心配はないだろうが、他の二振りは普通に持つことができる。
「……町の中で振り回したりしないでよ?」
「案ずるな。大したことでもなければ使わん」
馬に跨りつつ、スパーダはそう答えた。
ルイズとしては、スパーダがやたらめったらあの馬鹿でかい剣を振るうなんてことはないだろうと考えていたが、
それでもやはり心配だった。


スパーダは人間界にいた頃でも馬を乗りこなしたことが何度もあったため、トリスタニアまで三時間の道中は問題なく進むことができた。
到着したトリスタニアはさすがに王都というだけあってい石造りの建物が目立つ綺麗な町並みであり、大通りにはだいぶ人が多い。
下町の先には貴族達が住まう屋敷や王城が存在し、町として大きく発展している……とルイズはスパーダに語った。
「本当にフォルトゥナにそっくりだな」
「へぇ。それじゃあ、少しは懐かしく感じるんじゃない?」
「まあな……」
もっとも、フォルトゥナは海に面した場所であったため、印象は異なるが。
「でも、そんなに良い所ならどうしてずっとそこにいなかったのよ」
「私もいい加減に飽きたからな。一つの場所に留まるのは」
そして、フォルトゥナの人々は自分のことを?神?のようにして崇め出したため、嫌気が差したのだ。
仮にも悪魔である自分を?神?扱いとは……笑い話にもならない。
ルイズが用事があるのはどうやら魔法の秘薬や道具などを売っている店のようであり、そこで必要なものを購入していく。
魔界や人間界でも見たことのないものばかり並べられており、スパーダも思わず唸る。
……時空神像さえあれば、今持っているレッドオーブで様々なものを作れるというのに。
36 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:40:26.50 ID:W2OcXZu+
「ルイズ。ここに武器を扱っている店は無いのか」
店を出た後、スパーダはそうルイズに尋ねる。
「何よ。自分のがあるじゃない。それに三本も」
「別に剣はどうでもいい。こちらにも銃のような代物くらいはあるだろう?」
「あなた、銃なんて使うの。あんなもの、鉛の弾を飛ばせるから何だって言うのよ」
ルイズは少々、馬鹿にしたような態度で答える。
「できれば一丁でも良いから持っておきたいのだがな」
「まあいいわ。使い魔……パートナーへのプレゼントとして、一つくらいなら買ってあげても良くってよ」
胸を張って自信満々に言うルイズ。
今まで主導権をスパーダにばかり握られていたため、少しはこちらでも握らなければ。
元々この買い物も、彼が気に入ったものでも見つければ買える範囲で買ってやり、
ご主人様としての株を上げようかと思っていたのだ。ちょうど良い。
スパーダはルイズの後を付いていき、掃き溜めのように汚い路地裏を通っていき、一件の武器屋を見つけて入っていった。
「旦那。貴族の旦那。うちは真っ当な商売をしてまさあ。
お上に目をつけられることなんか、これっぽっちもありませんぜ」
薄暗い店内の壁には所狭しと剣や槍などの武器が並べられる中、奥のカウンターでパイプをくわえていた五十過ぎの店主が
貴族らしき出で立ちのスパーダやルイズの姿を見ると慌てて猫撫で声で対応してきた。
「客よ」
「へ……こりゃ、おったまげた! 貴族が剣を!」
「誰が剣を買うなんて言ったの? この店でも、銃の一つや二つは扱ってるでしょう?」
何だ剣じゃないのか、と言いたげな表情の店主は「へい、もちろんありやすよ」と答える。
そして、店内を見渡しているスパーダへと視線を向けた。
「使うのは、こちらの旦那様で……?」
と、店主は目を丸くしてスパーダを見つめ、突然にして爛々と目を輝かせてカウンターに身を乗り出していた。
「――だ、旦那! あ、あんたの持っているその剣――」
「断る」
主人が言い終える前に遮り、強い口調でバッサリと切り捨てるように返すスパーダ。
ルイズは何事かと、一瞬当惑していた。
37 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:45:02.39 ID:W2OcXZu+
「これは私の愛用しているものだ。売る気などない」
店主はスパーダの愛剣を言い値で売って欲しい、などと言う気だったのだろうが冗談ではない。
国を買収できるほどの金を積まれようが、手放す気はない。
大体、魔具をホイホイ平気で質屋に入れるなんて馬鹿のやることだ。
「……へい、わかりやした。それじゃあ、ちょっとお待ちを」
店主はがっかりした様子でカウンターの中を探り出す。
(気配を感じるな……)
店内に微弱であるが、奇妙な魔力と気配を感じ取ってスパーダは顔を僅かに顰める。
「ほら! 何ボケッとしてるの!」
ルイズがスパーダの腕を掴んでカウンターまで引きずっていく。
「こちら、ゲルマニアの最新式でございます」
店主が持ってきたのは、人間界のヨーロッパなどでよく使われるような一般的な拳銃――いわゆる火打ち式の
ものを持ってきていた。
こういった拳銃には何故、こうも無駄に装飾が施されるのか分からない。重くなるだけだというのに。
まあ別に、魔力を放つための依り代とするのであれば大きさや形などどうでも良いのだが。
もっとも、スパーダの魔力に耐えられなければそれでスクラップ行きだ。
「それ一丁で200エキューになりますぜ」
「……他には何がある。とりあえず、全て見せてもらう」
「へいへい、少々お待ちを……」
店主はカウンターの奥へと消えていき、しばらくして箱一杯に詰められた様々な銃器が持ってこられた。
それを床に置き、スパーダは銃器を次々と手にする。
火打ち式の拳銃がほとんどであったが、中には火縄式の長銃の他にもラッパ型の広い銃口が特徴的ないわゆる鳥撃ち用の散弾銃まである。
「どうですかね? そいつなんか、ちょっと古いですが耐久性はバツグンですぜ? 弾もセットで100にオマケします」
あまり大き過ぎるものは不便だ。できれば、拳銃のサイズで二つは欲しい。
「へぇ〜、貴族のくせして銃が好みたあ、変わった奴だなぁ」
突然、店内の何処からか男の声が聞こえてきた。
38 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 21:45:32.30 ID:f4lAiGm/
俺なんかいちいち一話ごとにサブタイ考えるの面倒だから付けてないぜ支援。
39 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:49:17.34 ID:W2OcXZu+
ルイズは辺りをきょろきょろと見回し出す。
(やはり……何かいるな)
「どこみてんだ、娘っ子! こっちだこっち!」
ふと、樽の中に立てられた一振りの剣から声は聞こえてくる。
ルイズは恐る恐る、その剣を樽の中から抜き出した。
造りはしっかりしてよく鍛えられてはいるようだが全体的に錆付いており、下手をすると少し振った程度で壊れてしまいそうに見える片刃の長剣だった。
「こ、これってインテリジェンスソード?」
「へ、へぇ……。デルフリンガーという名前のインテリジェンス・ソードでございまさ。
 口が悪くて客と口げんかばかりして参ってるんです」
(アグニとルドラみたいだな)
?炎刃?アグニ――。
?風刃?ルドラ――。
風と炎の力を宿した双子の上級悪魔にして、存在そのものが魔具である双刃の刀を思い出す。

……と、いうよりこいつも魔具なのだろうか?
スパーダは銃を一度置き、ルイズの手からそのデルフリンガーとかいう魔具らしきやつを手に取る。
(魔具に似てはいるが……少し違うな)
まじまじと真剣に観察するスパーダ。
そしてデルフリンガーとやらもスパーダを観察するように黙りこくっている。
互いに黙ってしまって、ルイズと店主はどう対応すれば良いか困惑していた。
「……てめ、何もんだ? 人間じゃねえな……?」
ぼそりとデルフリンガーは蚊の鳴くような小さな声でそんなことを呟きだす。
(こいつ……私のことが分かるのか?)
スパーダは僅かに顔をしかめ、デルフリンガーを睨む。
「だが?使い手?たあ、こりゃおでれーたぜ。おい、オッサン。俺を買いな」
「断る」
スパーダはバッサリと自分を売り込んでくるデルフリンガーの言葉を切り捨て、元あった場所に放り戻していた。
そして、再び銃の品定めに移りだす。
「ちょっ! おい! 何でだよ!?」
「お前は別に必要ない」
「そ、そんなこと言わねぇでよ! 買ってくれよ! マジで!」
必死に懇願してくるデルフリンガーだが、スパーダは品定めをしつつ腰の閻魔刀を見せ付ける。
さらに親指で背負っているフォースエッジを差してやった。
40 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:54:04.97 ID:W2OcXZu+
「へっへぇ〜、残念だったなぁデル公。このお方は既に自分が使いこなしている得物を持っていなさるんだぜ」
「うっ……うっせえ! なあ、頼むよ! 俺を買ってくれぇ!」
「いらん。これ以上は必要ない」
必死に懇願してくるデルフリンガーだが、スパーダは冷たく返してくるのみ。
「そ、そんなこと言わずによお……せっかく二つも剣を持ってるんだから、もう一本くらい得物を持ってても罰は当たらねえだろぉ!?」
「必要ない、と言ったはずだ」
学院に戻ればリベリオンもある。これ以上、剣があっても邪魔なだけだ。
「言っておくけど、銃を買うんならあの剣は買わないわよ。……それに自分のがこんなにあるんだし」
ルイズもデルフリンガーを買う必要性はないと判断している。
大体、あんなボロ剣を彼にプレゼントしたとなればパートナーとして恥だ。

どうすればいい。どうすれば奴は買ってくれる?
六千年もの間、巡り合えなかった使い手がせっかく現れたというのに、ここで見捨てられたら次はいつ会えるか分からない。
ところで、?使い手?とは何だったっけ?
いや、そんなことよりデルフリンガーは必死になって自分の利点を思い出そうとする。
「……そ、そうだ! 聞いてくれ! 俺、すごい役に立つんだよ!」
「何だ?」
アグニとルドラ以上にやかましいデルフリンガーに、いい加減スパーダもうんざりしてきた。
「……えと、俺はな……魔法の力を吸い取ることができるんだぜ!?」
デルフリンガーが単なるボロ剣ではないことはスパーダも分かってはいたが、魔力を吸収できるからどうだと言うのだ。
中々面白い能力ではあるが吸収してそれからどうなる? その魔力を相手に返すとでも言うのだろうか?
42 :The Legendry Dark Zero 62011/09/20(火) 21:59:00.77 ID:W2OcXZu+
スパーダは銃を箱に戻し、デルフリンガーの元へ歩み寄ると樽の中から引き抜く。
「……その言葉、偽りではないだろうな?」
「おうよ! だったら、今すぐここで試してみてもいいんだぜ!?」
説得できたと思ったのか、デルフリンガーは揚々と叫んでいた。
「……良いだろう」
「ちょっと! そんなボロ剣なんて買う気!?」
ルイズが猛抗議してスパーダに突っかかる。
スパーダは軽く首を振ると、店主の方を向いてこう問うた。
「こいつの値段はいくらだ?」
「え? は、はぁ……そいつでしたら厄介払いにもなりますんで100になりやすが……」
「……ミス・ヴァリエール。金はあとどれくらいある」
小さな声でルイズに尋ねると、サイフの中身を確かめて「200よ」と同じく小声で答えていた。
「……まず、前金として50を払う。それで二日だけこいつをレンタルさせてもらいたい。
 もしも実用性があればそのまま残りの50を払い、こいつを引き取らせてもらう。
 そうでなければこいつは返却し、残りの50で先ほどの銃を買わせてもらいたい。どうだ?」
スパーダはそう提案すると、店主は低く唸って考え込む。
それから、渋々ではあるがスパーダの提案に乗ってくれた。
パン、と軽くスパーダと手を叩き合い、ひとまずレンタルという形でデルフリンガーを引き取ることになった。
本来は鞘もあるらしいが、まだレンタルなので買う時になったら渡すという。
スパーダは抜き身のままのデルフリンガーをフォースエッジと交差させるようにして背負い、ルイズと共に武器屋を出た。
「へへっ! 俺のことはデルフって呼んでくれ。よろしくな、相棒!」
「誰が相棒だ。まだお前を買ったわけではない」
「まあまあ! あっと驚かせてやるぜ!」
上機嫌に喋りまくるデルフに、スパーダは頭を痛めた。
ルイズも同様に、「もう……こんな剣見つけなきゃ良かった……」とボヤいていた。


※今回はこれでお終いです。
 そうですか。タイトルは自由ですか。では、とりあえず次回からここでも付けることにします。
 ちなみに今回のタイトルは普通に、<魔剣との出会い>で。
43 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 22:00:48.47 ID:f4lAiGm/
乙。
やっぱデルフってある程度以上の実力者だと要らないよな。
44 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 22:02:26.88 ID:bjro58O/
乙です。
ああ、やはり居場所がなさそうなデルフが哀れ…
45 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 22:12:43.11 ID:y9MgNgWk
乙っす
パパーダさんなら魔法は吸収して防御するよか
真っ二つに切り裂いて避けるイメージがあるw
46 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 22:15:58.87 ID:Uj5YDe2J

一見ただの安定的ガンダ発現要員にしか見えないわりに、ラストで重要な役割果たしそうで放っておけないのがなんともはや
原作中盤あたりで〆る前提なら手に入れなくてもいいかもしれんがなぁ……
47 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 22:21:23.00 ID:f4lAiGm/
デルフリンガーの使い道パターン

・素手で戦うから要らないよ
・武器を持って直接戦うタイプじゃないから要らないよ
・もともと愛用の武器を持ってるから要らないよ
・そもそも召喚されたのが人間(人型)じゃないよ
・取りあえず買ったけど、やっぱり使いにくいから新しい武器を作ったよ


……つーか、マトモにデルフを使ったキャラっていたっけ?
49 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 22:31:27.23 ID:8O4zfpLV
>>47
・(人語喋れない使い魔との)通訳
50 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 23:17:35.10 ID:uAFEtHXR
>>47
萌えゼロでふがくが強敵の必殺技を受けるのに使ってた。
普段も故障しかけの電探の代わりに使われてるみたいだし。
というか、得物の大日本帝国製機関銃が強力すぎてルイズの財布がピンチに
なったから持たされたんだっけアレ
51 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/20(火) 23:19:57.34 ID:6xSV9tJ6
>>47
柊蓮司はちゃんと契約してデルフ使ってるな
…今は「しかたなしに」つかってるっぽいけど
70 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 12:51:03.64 ID:SYjN4nRJ
外見的には亜人的なのは居ても、考えてみれば、その実態は神様とかそんなんばっかりだな

>>47
おい、さっそく折れて死ぬ が抜けてるぞ
72 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 13:32:45.85 ID:i3ZXhwu2
>>27
 3×3eyesのウーたちは不老不死だけど、なんだかんだでそれぞれ自分の立場に納得してた
気がするな。どいつも自分の命を握られてるからというだけではないような忠義を見せてる。
不老不死キャラとしては、結構幸せな生き方の部類でしょう。
 主の死や寿命でも死ぬから、厳密には不死身じゃないけど。

>>47
 カービィではソードカービィ変身要員にされてた。食われるときの悲鳴は、かなりえぐい。
あと、アルガス騎士団召喚ではガンダールヴでないものの剣士ゼータの相棒として結構活躍
してる。
75 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 15:37:38.96 ID:gUx4NEDS
>>47
ゼロHiMEの静留はワルド戦で使ってたな
トドメはエレメントでホームランだったがw
138 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 14:25:51.70 ID:u6LHpatz
>>47
ディセプティコン・ゼロだと魔改造されたデルフ大活躍。
52 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 00:20:39.90 ID:dFIFbxmB
黒魔でもちゃんと使って無かったっけ?
魔法剣としてだが
54 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 01:57:13.66 ID:Sb7Jvi9O
前スレで名前上がってたゴーストステップゼロを読んだ

元ネタ知らなかったけど、面白かった
紹介してくれた人ありがと
55 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 04:05:13.51 ID:bdzm1A0U
ルイズにとっての当たりの使い魔ってどんなだろう?
58 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 05:08:24.52 ID:brNOHm97
>>55
サイト
57 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 05:03:14.23 ID:fTID8JoY
人間以外でグロくなくて賢いとか?
59 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 05:46:23.17 ID:hSHiatDg
>>57
そういえば ライデンとかワンセブンとか雪風とか、メカ系は大抵 最初から喜んでるな。
60 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 06:01:59.51 ID:pHe53RRV
無機物系だとルイズは大抵うまくいく。
生き物だと感情をぶつける所だが、ルイズはやっぱり自立心を出す方針の方が成長する。
61 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 07:13:22.32 ID:3ZaaJNm7
自分より立場が上の人間を呼ぶと精神が安定する
同じくらいか、立場が下っぽい人間を呼ぶと荒れる
動物を呼ぶと喜ぶ
怪物を呼んでも喜ぶ(ただしご立派様は除く)

このスレではこんなイメージがある
62 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 08:01:49.12 ID:afl7oO97
人間を召喚するとそこら辺の平民を連れてきたと囃し立てるが動物を召喚したらみんな素直にルイズが召喚したと認識するよね
そこら辺にいた犬、猫を連れてきたんだろというパターンがない
63 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 09:01:18.72 ID:YrFNBEWI
『どこにでもいそうな動物』を呼び出したパターンがないからじゃないかな
64 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 09:01:47.79 ID:0JdW9sf5
普通に動物連れてたらシュヴルーズの「珍しい使い魔」の振りが入らないからだろ
65 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 09:38:23.99 ID:0KPQuh+r
でも動物召喚系で完結した作品ってないような気がする。
やっぱ人間もしくは人型系じゃないと話の展開が難しいのかな
67 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 10:09:59.60 ID:wOqxa2Id
動物の使い魔を呼び出し嬉々として可愛がるルイズ。
しかしその使い魔は実は変身ロボットだった――

というのをビーストウォーズ?のスクーバで書けるかと考えたけど
あいつらデカいし、流石にイカだとルイズ喜ぶかビミョいよね
172 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 04:16:46.90 ID:PpCDQQ3e
>>67
デカイといっても、あいつら身長2mくらいだから
普通に魔法学院の中を歩き回れるんだよな
173 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 06:06:03.36 ID:kCF4ad3H
>>170
それじゃ 「南方 仁」召喚で。
原作のタイムスリップを召喚に置き換えれば 導入部はすんなりと行けそうだし、
医者 それもかなり有能とわかれば、カトレアの件もあるのでルイズも期待するはず。

ハルケにも 普通にワイン等があるので、微生物の種類もさほど違わないだろうから
ペニシリン製造のエピソードも出来るんじゃないかな。
加えて『固定化』の魔法で 液体ペニシリンの長期保存も可能になったりとか。

仁先生の専門は脳外科だったから、カトレアの病因も脳腫瘍かなんかになるんだろうか?
ストーリー展開は、その手術を可能にする為の器具やインフラ整備が主体かな。

>>172
かといって 人間よりデカイ蠅だの蟻だの蠍や蜘蛛なんかを連れまわすのは
女の子としては ちょっとイヤなんじゃ。
180 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 12:22:55.53 ID:bdsbVHhk
>>173
小ネタで喚ばれてなかったっけ? 記憶違いならスマン。
長編でやるとして、コルベールによる医療道具の作成とか、現代医学の知見と水メイジの技の融合とか話の膨らませ方がいろいろあって面白そうだな。
183 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 13:30:48.90 ID:sXe0G1FS
>>173
 虫系は大体デストロンやインセクトロンだから、サイバトロン側ならなんとかなるかも。
でもスクーバもサイバトロンか。
 まあ、騎士姫でもジャイアントスコーピオンとか出てきてたし、許容範囲な気はする。
68 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 11:24:20.79 ID:5zYQmnBf
イカ娘だとイカよりも人間(亜人)かな。
ティラノの辰やヨーダも亜人扱いか。そして昏々と説教される。
69 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 12:12:25.12 ID:O6dy2dt3
動物系っていうか亜人系っていうか、ホロのやつ好きだったな。復活してくれないものか。
71 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 13:24:05.78 ID:vRIUYxFf
ロボットといえばラインバレルのマキナは量産型のもあるから本編以外から持ってこれるなw
83 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 19:29:51.77 ID:Sd5SzKMe
>>71
人間になれず、加藤のマキナ狩りからも逃れたペインキラーがルイズに召喚されました

ただしアニメ版仕様!!
だって脱いだらピンクじゃなくなってまう
ジョゼフにヴァーダント
タバサにプリテンダーとかもいいな

そしてギーシュにバクライガ
87 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 21:06:28.52 ID:uJINI1qg
>>83
ジョゼフ「本当の虚無を教えてやろう」
となるわけか
74 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 15:03:36.16 ID:E4cDEDVD
ナイトガンダムのアルガス騎士団に対してはぞんざいな扱いだった
76 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 16:42:55.11 ID:wOqxa2Id
大型ロボは敵のサイズが基本合わないというか話の展開を独自にしないと不自然になるから大変よね
77 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 16:47:57.45 ID:3ZaaJNm7
人間サイズ相手にはスパイダーマシンGP-7
レキシントン相手にレオパルドン
数万人の軍隊相手はマーベラー

どんなサイズ(規模)でも相手にできるオススメの作品があるのだが・・・
84 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 20:42:40.71 ID:TiWKe6T5
>>77
ダメだお前は!!
85 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 20:52:23.76 ID:U3TyecFT
>>77
ちゃげ
88 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 01:38:19.77 ID:ixL+ILSI
>>77
ジョゼフ王が宇宙ショーを見損ねるのですね。
78 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 17:07:10.24 ID:hSHiatDg
>人間サイズ相手にはスパイダーマシンGP-7

その時点で 既に卑怯な位のオーバーキルだと思うが?
生身で戦えよ!
80 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 17:19:14.92 ID:WMNDMhoE
例の手紙やアンドバリの指輪も「すりかえておいたのさ!」ですませそうな人だしなw
一体何時すりかえたのかは聞いてはいけない
81 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/21(水) 17:30:46.17 ID:pb9xYaVA
スパイダー星人ガリア召喚して、ルイズがスパイダーマンになれば?
89 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 01:57:47.29 ID:XCGd1OyA
当たりの使い魔を召喚する際の不足コストはブレイドラから確保
91 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 02:24:33.48 ID:XbhQJoPF
ルイズにとって当たりの使い魔は強くて性格よければだいたいオッケーだろうけど、デルフにとって当たりのクロスキャラとなると誰がいるかな
そりゃサイトが持つのが一番といえば一番だけど、相性いいキャラはいないわけじゃないと思う

たとえばサクラ大戦のジェミニ・サンライズとか性格的にもピッタリと思う。
92 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 04:01:42.67 ID:r9G6gzZH
条件を提示してそれに合ったキャラを挙げてるんじゃなくて
自分の好きなキャラを挙げたくてそれに合わせた条件出すやつ多いよね
93 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 05:36:31.10 ID:rIQ+Ha/D
・剣のうでがそこそこたつ
・固有武器を持っていない
・魔法への対抗手段がない(もしくは弱い)

ってとこかね
116 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 22:58:44.96 ID:Q64pgQI8
>>93
剣と兵器の申し子・香坂しぐれはどうないだ?
ガンダ補正が誤差レベルの腕前だがw
94 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 06:02:12.35 ID:gZKjVrRB
その条件ならH男さんが思い当たった
ガンダ抜きでもあらゆる武器を使いこなし、それでいて魔法への対処法が一切無い
ただ、本領の暗殺の際にはアサブレにとって変わられるけど、それは仕方ないw
95 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 06:34:05.70 ID:XCGd1OyA
TOEのリッドはどうかしら
ラストフェンサーのイメージが強いけどクレスやスタンみたいにストーリーに絡む固有武器はないし
あ、エクスカリバーは抜きでね

そういや極光術はどんな扱いだっけ?
97 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 07:32:05.02 ID:+lAnig9H
その辺のデルフの条件に当てはまらない上にルイズ的にも微妙な条件でもデルフが剣として大活躍なドモンみたいな例もある訳で
書き手がデルフまで気が回るかどうかでしかないだろ
98 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 08:38:57.18 ID:gxv1i+0z
東方projectから命蓮寺の人々を寺ごと召喚とかしたら、アルビオンまでの道程が丸々カットされそうだな。

聖「アルビオンは浮遊大陸ですか?それなら聖輦船を使いましょう」
村紗「あいあいさー」

ラ・ローシェルにて
ワルド(偏在)「すまん…襲撃中止」
おマチさん「はぁ?」
99 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 10:30:58.66 ID:Y4HSLeGM
つーか剣の腕なんか全くなくてもガンダ印でなんとかなるわけで、むしろ体力とメンタルの振れ幅が大きいヤツがいいんじゃね
100 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 10:44:52.21 ID:gjJw+F7I
>>99
心の揺れが激しいヤツか……

標識とかガードレールは武器扱いになるんだろうか
101 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 11:00:23.79 ID:MZtYiO7+
>>99
異能力の出てこないラブコメ物の主人公て、たいがいテンションの上がり下がりが激しいような気が……
102 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 12:40:50.73 ID:aKM/hHHg
>>100
地面から引っこ抜いて「武器の現地調達、完了」と叫べばOKじゃね?
やるのがヤク中の狼だと尚Good。
105 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 13:34:29.74 ID:ddLhaOR8
>>102
小ネタでいますた

ブラスレイターも中々
すまゆる後の隊長とか
103 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 13:18:04.87 ID:xj6z0mDb
ハンター×ハンターからの召喚って全く無いね
これまた何で?
そんなに難しいのかな?
107 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 17:06:59.80 ID:BX98Rtq+
>>103
プフとクロロ呼ばれてんじゃん
クロロの方はどっか行っちまったが
109 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 18:52:45.31 ID:/V4udv/c
>>103
ハンター勢の交渉力は異常だからな
まずルイズじゃまともにコントラクトサーヴァントまで漕ぎ着けられるキャラが少ないだろう
となるとどうしても独自路線に逝くしか無いからハードルが高い
妥協して阿呆のように契約させてしまったらキャラ崩壊
112 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 20:58:50.07 ID:Ao9AVntz
>>109
特に契約のキスは念能力を使えるキャラは操作系の能力か何かと判断してしまって
ほぼ確実に拒むだろうしな。
つーかハンターの方にモロにそう言う能力のキャラいたしね。
104 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 13:31:37.42 ID:+lAnig9H
原作終了してないキャラは大抵避けられるだけ
106 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 17:04:20.36 ID:SQzkGx7y
>>104
ゼロ魔自体まだ終わってないしなあ
108 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 18:27:46.06 ID:+lAnig9H
>>106
どっちか一方が終了してれば妥協点や落とし所が出てくるが
そうじゃないと、今後の原作の展開一つで何ともいえない状況に陥るからな
110 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 18:56:59.50 ID:6Gh6CNV5
テイルズ最新作のエクシリアはかなり良さげなクロスしそうだ
リーゼ・マクシアも月が二つの世界だし同惑星の別の地域とかできそうかも
111 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 19:52:55.29 ID:nE8OiZFM
テイルズはシリーズを追うごとに世界の名前がオサレになっていくな
初めはシルヴァラントとかインフェリアとかだったのに
テルカ・リュミレースだのリーゼ・マクシアだの語源がいい加減分からんなってきた
113 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 20:59:19.75 ID:OvQ1wcqT
ロリシカ共和国とかわかりやすい造語でやってほしいな
最近のゲームはひねりすぎて用語を覚えづらい
114 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 22:04:35.21 ID:x4kbOFTT
>113
原子熱線砲を召喚か。
136 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 12:05:43.67 ID:gm60A297
>>114
数年後にコルベールの手で国産化されてキメラドラゴン退治に出撃すると
117 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 23:00:57.03 ID:6QDr/dPP
デルフ的には自分をちゃんと使ってくれさえすればアタリの使い魔
たぶんチャンバラな世界の連中でもアタリ
118 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 23:09:20.01 ID:wQ8iQtLx
特殊な武器と魔法のない(少ない)戦記物から呼べば…とか思ったが
呼ぶには色々と問題のあるキャラが多いな
119 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 23:36:40.37 ID:xNThJ+LF
火の国風の国物語のアレスとかどうだろうか。
精霊加護補正に加えて、生来の性格でガンダ補正も高くなるから大当たりな使い魔になると思う。
120 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 23:39:13.99 ID:q5a3OuvB
 「ファイアーエムブレム覇者の剣」の主人公、アルはデルフと相性よさそう。
最終決戦で竜の力も覇者の剣も失くしてるし、性格の系統も才人と同じような
ものだし。剣の心得あって、固有の武器がないなら、デルフの出番もしっかり
とれるでしょう。
 アウダモーゼ倒した後2年間行方不明になってるので、その間ハルケギニアに
いたとかいう感じにすれば、クロスしても違和感なさそう。
121 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 23:40:28.33 ID:7rr0BZwP
なんでデルフって剣の癖に刀みたいになってんの?
ノボルの趣味?
123 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 00:51:07.68 ID:dFaZcqQB
>>121
日本人の才人が振り回すから刀のイメージに近い片刃、かつ西洋風世界だから西洋剣
で、ウイング・フッサーに行き着いたんじゃなかろうか

パラッシュは刺突用だけど
122 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/22(木) 23:45:11.46 ID:q9tjq9tp
GOSICKの久城一弥はどうかな?
貴族の三男三女同士で尚且つ両方とも上の兄や姉にコンプレックス持ち
と共通点多くて案外相性いいかも。
124 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 01:25:36.43 ID:mvESpipc
ただし刺突すると抜けなくなる

あと○○から××どうかな? とか言われても知らねーからわかんねーよ
作者次第でどっちにも転ぶんだから書いてから聞いてくれ
126 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 01:51:16.40 ID:KKiUlDv7
デルフが復活するところまで話が進む作品があってもいい
というか誰か頑張ってくれ
127 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 02:22:28.36 ID:nMI2uyfy
そもそもデルフが壊れないとな
16巻時点まで到達するにはテンプレでやるとすごい時間かかるぞ、アルビオン行きで長期作品あつかいなのに
128 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 02:31:04.52 ID:Ns9g9lSJ
デルフ復活には、
デルフ壊れる→別の武器に憑依するって流れにしないといけないんだけど、
その『別の武器』を何にするかがまた問題だし。

被召喚キャラが元から持ってる武器に下手に憑依なんかさせちゃったら、クロス元の雰囲気すらぶっ壊しかねん。
129 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 02:56:19.49 ID:Tra/rBJn
クロスキャラがデルフを持つとオーバーパワーで不必要になるから他のキャラが代わりに持てば活躍できないかな
才人と同時召喚ならそれでいいし(才人もろとも空気になる可能性はあるが)、アニエスならデルフを持っても不自然じゃない
デルフの存在価値は魔法吸収と、虚無の解説役だからなあ
134 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 06:34:16.51 ID:F698y/QU
>>129
「ゼロのガンパレード」で、タバサがデルフと地下水の『二本差し』をしてなかったっけ?
130 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 03:03:15.31 ID:KKiUlDv7
アインツェルカンプなシエスタとかあったな
まああれはシエスタがガンダって離れ業あってこそだったが
131 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 04:28:23.40 ID:1KFQhlDi
ハンターと聞いて、キルア召喚で考えたが
どう展開させてもルイズが死ぬな…
キルアはゴン以上に殺すのに躊躇ないし、意外と癇癪持ちですぐカッとなるから
召喚された→無理矢理契約 の段階で敵とみなして殺すという行動しか取らせられない

気絶している間に契約ってのも考えたが、そもそもキルアってそういう状態でも反撃出来たみたいなのを
ノベルかゲームで見たことあるしなあ
132 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 04:38:24.26 ID:ZtNWtNaf
シュールストレミングの缶詰を召喚して大惨事に
他の生徒とその使い魔たちが臭気でパタパタと倒れる

でもタバサが最後にシュールを食べました、とさ
135 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 07:03:08.60 ID:fTJRB/fF
上位互換の左手が有る上に感情の起伏が無いDだと悲惨だな
137 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 14:04:30.60 ID:ENAeqpmL
>>135
というかあの"辺境"世界で手に入る武器って、"貴族"が生み出した
凄まじいテクノロジーを応用した代物が大半だから、単純に切れ味や剛性で比較しても
デルフより数段上なんじゃね?
139 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 14:32:09.01 ID:5izkfg16
ハンター×ハンターがクロスに向かないのは、
主人公のゴンですら理由があれば人殺しを躊躇わないような世界観というか
簡単に人を殺せる連中が多いからと、念能力が強力過ぎてバランスが取れないからだと思う
そもそも念が無くても、単純な身体能力で化け物みたいな連中ばかりだし
あと、あの世界のキャラはゴンを含め、皆それぞれ目的があったりして
素直にルイズと契約してくれそうな奴がいない
140 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 14:54:46.25 ID:JerWjEyU
ピトーとか召喚したら、あっあっあっ、な未来が確定してるな
142 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 15:34:30.21 ID:JYbbMw1H
終了前の作品だと
そいつがその時点で抜けたら本筋はどうなるんだよって問題がでるからだな
原作を好きな人間ほど気にするから手を出さん

何十回、下手巣りゃ百回単位でこのスレで指摘されてることだろう
143 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 2011/09/23(金) 16:44:52.66 ID:F698y/QU
ご無沙汰しています。『ゼロの戦闘妖精』です。
夏も終わって台風シーズン到来と言うのに 話はまだ「夏休み編 その2」です。
進路クリアなら 五分後より投下開始します。
144 :Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」2011/09/23(金) 16:49:38.30 ID:F698y/QU
Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」

トリステイン魔法学院 職員宿舎。とある部屋の前に立つルイズ。
「すいません、ミス・ロングヒルは御在宅ですか?」
「あら、いらっしゃいヴァリエールさん。それで、御願いしてた件だけど…」
「ええ いつでも出発できますよ。」
「本当に。助かるわぁ!
 じゃ 立ち話もナンですから、中へどうぞ。お茶でもお出ししましょう。」
こうして 女生徒が一人、学院長秘書の部屋へ入っていったのだが、

「すまないねぇ、無理言っちまって。」
玄関先では人目をはばかっていたものの、扉を閉めた事で『地』を出す 元・「土くれのフーケ」
「気にする事なんて無いですよ。モット伯の件じゃ 随分と世話になったみたいだし。
 ロングヒルさんの実家 アルビオンでしたっけ? それでも『雪風』なら あっという間ですって!」
どうやら 「里帰りをするのに 雪風で送ってくれないか?」という依頼があったらしい。
「『マチルダ』でいいよ。この部屋は 間違っても音漏れなんぞしないように 仕掛けがしてあるからね。」
「それじゃ 『おマチ』さん。」
「フっ、それ ワルドの御頭から聞いたのかい?
 にしてもねぇ、不思議なモンだね 人の繋がりってモンは。
 あんたらの仲間になって 盗人稼業から足を洗ったとたん、あんたの許婚 それもあの『ワル平』のところで密偵になるなんて。
 どうやら 表も裏も、クサレ縁になりそうだネェ。」
「それって きっと大変ですよ?」「違いない!」 あはははと 重なり合う、笑い声。

テーブルには 涼しげな水出しハーブティー。質素な応接セットで向かい合う二人。
「送ってってもらう『ウェストウッド村』は、いわば『隠れ里』でね。
 アタシもそうだけど、その『血の繋がらない妹分』ってぇのが、どうあっても身を晒すわけにゃあいかない娘なのさ。」
マチルダは、何故ルイズにこんな依頼をしたのか、その触りの部分を説明していた。
「今の所は まぁ なんとかなってる。ただ これからは。
 レコンキスタとかいうバカ共の叛乱 そのまま成功しちまえば、むしろ村にはたいした影響は無かったかもしれない。
 でも トリステイン・ゲルマニア連合軍がアルビオン王家を守るために参戦するとなりゃ、戦いが激化するのは確実。
 場合によっては 村を捨てて逃げ出す事も考えなけりゃならない。
 そん時に アンタと雪風の力が借りたい。だから ティファに、『妹分』に会ってもらいたいのさ。」
軽い口調とは裏腹に 何時に無く真剣な表情のマチルダ。その思いは ルイズにも伝わっていた。
(この人は 現時点で話せるギリギリまで 明かそうとしている。)と。
「それに、『盗賊改』とも関係しちまった以上 あの御頭に何時までも隠し遂せる自信も無いからねぇ。
 予め アンタには知っておいてもらって、上手い事ワルドの御頭に伝えてもらいたいって思惑もあるんだよ。」
ルイズ自身 雪風の召喚以来 人には話せない秘密を いくつも抱え込むようになった。だからこそ 安請け合いは出来なかった。
「判りました。確約は出来ませんが、出来る限りの事は。
 でも 本当にいいんですか、私なんかに 大事な『秘密』を…」
「そうだねぇ。これが、めぐりあわせってヤツなんだろうねぇ
 いつまでもこのままじゃいられない。ずっと そう思ってたし、正直アタシ一人じゃ どうしようもなくなってきてたんだよ。
 それにね、こいつは唯の『勘』なんだけどさ、アンタなら大丈夫、きっとあの娘の事を判ってくれる。
 そんな気がするんだよ。」
(盗人稼業で鍛えまくった アタシの勘はよく当る!当っていれば…
 ルイズは この娘だけは、ティファを本当に理解してくれる。そのハズなんだ!)
145 :Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」2011/09/23(金) 16:54:43.66 ID:F698y/QU
現在のアルビオンの地図に 『ウェストウッド村』という場所の記載は無い。
かつては小規模な集落があったが、付近に棲み付いたオークの群に度々襲撃され やがて住む者はいなくなった。
無人となる事で 獲物である農作物や家畜も無くなって、オーク達も去っていった。そんな ありふれた廃村の一つ。
だが 今、誰に知られる事も無く 一つの世帯がそこに暮らしていた。

「ね〜ね〜ティファ姉ー、アニーがさぁ『見た事無い おっきな鳥が飛んでる』って!」
深い森の中に建つ 一軒の館。そこに暮す子供達。彼等は皆 平民の『孤児』だった。
疫病 事故 犯罪 そして戦争、さまざまな理由から親を亡くした子供がいた。だが 大人の姿は無かった。
ティファニアとマチルダ、人目を忍ぶ 二人だけの住いだったはずが、不幸な幼子に出会う度 見捨てる事も出来ず、『村』の人口は少しづつ増えていったのだ。
子供達は 幼いが故に、ティファの『真の姿』を知っても 彼女を慕ってくれていた。彼等がいてくれたから ティファはマチルダの『出稼ぎ』の間も 寂しくはなかった。
アニーも そんな子供の一人。
子供というのは時折 特定の分野について驚くほどの知識を持つ事があるが、アニーはこの辺りの鳥については、大人以上の知識を持つ少女だった。
そのアニーが「見たことが無い」と言う『大きな鳥』
(ひょっとして 何かの幻獣?!)
ティファは屋敷の外へ駆け出していった。野生種だとしたら、子供達が襲われるかもしれない。もっと悪い事、誰かの騎獣 どこかの騎士が乗っていたりしたら!
(もしそうなら、また『あの力』を使わなきゃならない。恐ろしい あの力を。)

森の外れの開けた場所に 鉄の鳥?は降り立った。そしてその中から現れたのは…
「ただいま、ティファ。みんな 元気だったかい?」
「マチルダ姉さん!?!」
(もう、姉さんたら。いつもいつも 私達を驚かせて…)
だが 今回のドッキリは、この程度では済まなかった!

ルイズは その少女と向かい合った瞬間、『ライトニング・クラウド』を食らったような衝撃を感じていた。
ロングストレートの金髪に大きな麦わら帽子をかぶった 白いワンピースの少女。マチルダの妹分 ティファニア。
年の頃は 自分と同じくらいだろうか。にも拘らず、『巨乳』! 何より眼を引く たわわな『乳』。あのキュルケよりも巨大な『胸』。
その圧倒的な存在感の前では、「貧乳はステータスだ、希少価値だ!」という強がりすらも 何の意味も持たなかった。
コンプレックスを直撃する『敗北感』。乗り越えられない『壁』。生まれながらに持たされるモノの違い。
………なんて事は ど〜でも良かった。
(何 この感覚! 解る、私の中の『血』が教えてくれる。 この娘は、私と同じ…)

それは ティファニアの側も同様だった。
マチルダが連れてきた少女。魔法学院の生徒。トリステインの公爵家令嬢。ピンクブロンドの髪が可愛い娘。
紹介された内容も 見た目の印象も、頭に入らなかった。ティファの意識のほとんどを占めていたのは、自らの内から湧き出してきた『情報』
彼女は知らず知らずに ルイズへと歩み寄っていた。その生い立ちゆえ 見ず知らずの者に対する警戒心の人一倍強い ティファが。
「貴女も 同じ… いえ、まだ『目覚め』ては いない?」
思わず発してしまった言葉に 自ら驚いていた。
「ええ 『プロテクト』の解除は済んでないけど、大体のところは判ってるつもりよ。
 出来れば 違ってて欲しかったんだけどね。」
苦笑。状況証拠から 推測は出来ていた。だが これで『ダメ押し』をされたようなものだ。
「そうすると 『アレ』については、貴女の方が先輩ってことになるのかな。
 私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。宜しく、『先輩』!」
力強く 真っ直ぐに差し伸べられた手は、
「…はい。私は ティファニアです。」
おずおずと けれどしっかりと握られた。
146 :Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」2011/09/23(金) 16:58:45.75 ID:F698y/QU
屋敷に戻った一行。(子供達は 雪風に興味シンシンで 外に残っていた。)
そこで マチルダから語られる ティファの身の上話。彼女は アルビオン貴族 故・モード大公の忘れ形見だという。
「ちょ ちょっと、モード大公って… あの エルフと情を通じた罪で、処刑された?!
 でも 子供が居たなんて話はっ?  つっ!」
言ってしまってから ルイズは気付く。残された者の前で 『処刑』等と言う言葉を使ってしまったことに。
「大丈夫…です。
『言葉』を変えたところで 『事実』は変わらない。そう 思えるように なりました。」
とても 『大丈夫』そうに聞こえない か細い答が返ってきた。
(強くなったね ティファ。)マチルダは思った。
(だけど アンタはもっと強くならなくちゃいけない。いつか アタシが何処かで死んじまっても、一人で生きていけるぐらいに。)
「大公の子供の事なら、とてもじゃないが おおっぴらに出来るモンじゃなかったんだよ。
 何せ、たった一人 生まれたのが、そのエルフとの間の娘だったんだからねぇ。」
マチルダに即されて、テファニアが 室内でも被り続けていた麦藁帽子を脱ぐ。すると、長い髪の中から エルフの特徴である『尖り耳』が露になった。

雪風の召喚で ハルケギニアの常識に縛られる事のなくなったルイズにとって、エルフは教会が言うような『怪物』ではなかった。
(エルフなんて、雪風本来の敵『JAM』に比べりゃ 只の近縁種じゃない。いえ、交配も出来るんだから 人種の違い程度よね。)
というのが正直なトコロ。とはいえ、普通の人々が エルフにどのような対応をするかは判る。
忌み嫌われ 恐れられる存在。それがエルフ。たとえハーフであっても それは同じ。
平民からは拒絶され、エルフからも『混ざり者』として迎え入れてはもらえない。国家関係者に発見されれば 無条件で抹殺。その上に 望みもしない『力』の 無理矢理な継承。
ルイズは あきれ返っていた。この世界で一番エラい筈の人物に。
(そりゃあね、私だって色々と妙なモノ押し付けられて、自分を『悲劇のヒロイン』とか 思ったこともあったわよ。
 甘かった。甘すぎたわ。
 ねぇ始祖ブリミル、いくらなんでも コレはやりすぎでしょ!
 アンタ、か弱い女の子に どんだけ背負わせれば気が済むのよ!)
初めて出会った 抱え込んだモノを話せる相手、同じ厄介事に巻き込まれた『同士』、これまで 同年代の『トモダチ』など居なかったであろう少女。
(ティファニアのことは 私が守る! 守ってみせる!!)ルイズの中で それは既に決定事項だった。
そんなルイズの様子を見つめながら マチルダは、自分の『勘』が正しかった事を確信していた。彼女は、『賭』に勝ったのだ。

「へぇ じゃティファもやっぱり!」
「はい。お父様の系統魔法も、お母様の精霊魔法も使えなくて…」
「だからさ、学院で知らぬ者の無かった『ゼロのルイズ』お嬢様が、ひょっとしたらティファと同じなんじゃないかって アタシが思い始めたのは。」
木漏れ日の差し込むダイニング。ティファニアお手製のクッキーが並ぶテーブル。
秘密を抱え込んでいた女性達の ささやかなお茶会は、隠すべき必要がなくなった喜びから 話が弾んでいた。
「私が『目覚め』たのは すごく小さい頃だったけど…」
大公家は アルビオン王家の秘宝の管理役に任じられていた。その家族であっても、秘宝に触れる事など そうそう出来るハズはないのだが。
まぁ 何処の家でも、『父親は娘に甘い』 そういうことだ。
「それ、判るわぁ〜。私のところも、母様はメチャクチャ厳しいけど、父様は 私だけじゃなく姉様達にもベタベタだし!」
「アッハッハッ、コワモテで知られたヴァリエール公爵様も、娘達にゃ 只の『親バカ』かい。」
「それで、父様に『風のルビー』を嵌めて貰い 『始祖のオルゴール』を手にした時、聞こえたんです。…始祖ブリミルの『声』が。」

鳴らない筈のオルゴール。それは『大いなる遺産』か、『災厄の箱』か?
望むと望まざるとに係らず 覚醒する力。伝説の魔法、始祖の系統、『虚無』。
最初に使えるようになったのは、精神操作系 その初歩の初歩たる『忘却』の術だった。
幼子は その後も涌き上がり続ける『呪文』の数々に恐怖した。そして 覚えたばかりの未熟な術を 自分自身に対して使ったのだった。

「それで 私は忘れる事が出来ました。でも それが良い事だったのか…」
147 :Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」2011/09/23(金) 17:02:50.03 ID:F698y/QU
やがて 破局は訪れる。
宮廷と世論の圧力に耐え切れなくなった国王は、大公を王宮に呼びだし、エルフ追放を迫ったが 大公はこれを拒否。
暴走した一部重臣等によって モード公は惨殺されるも、公式には「王による処刑」と発表された。
これにより 逆賊の一族は抹殺せねばならなくなり、大公屋敷へ派遣される兵士。モード家家臣団との激しい戦闘。
目の前で母を殺され、ティファニア自身にも凶刃が迫った時、死の恐怖と生への渇望が 不完全だった『忘却』を凌駕した!

「生き残ったのは 私と、お父様の重臣の子供だったマチルダ姉様だけ。
 襲撃者の『記憶』から 私達が逃げ延びた事を消して、『目的』の中にあった『殺害完了』の想像と直結させました。
 元々 あの人達が持っていたものですから 全く新しいもので書き換えるよりは 簡単だったから…」
必要に迫られ ティファニアは、未だ一部しか使えない『虚無』の技を使いこなしていた。
だが 力を把握すればするほど、その力が恐ろしくなっていった。

ルイズの力である『雪風』は、兵器であり 人殺しの道具である。そして 既に多くの命を奪っている。
ティファニアの力は、直接 人を殺すものではない。だが ヒトから記憶を奪い 思考を操作する事は、その人間の人格を抹殺する事と どれ程の違いがあるだろうか。
神経線維により構成された生体脳回路に走る 人格というプログラム。それは唯物論的視点から見た『魂』に他ならない。
精神操作の魔法は 誰に気付かれる事無く『魂』を刈り取る、『死神』の技。その使い手たるティファが それを理解しないはずも無かった。
出来る事なら 使いたくない。それでも使う、生きる為に。矛盾する思い。そして、

「でも、最初に力を手にした時 ただ怖がって消したりしなければ、ちゃんと覚えていれば。
 ひょっとしたら お母様を、屋敷の皆さんを守れたんじゃないかって思うと… 」
自責の念。取り返しの付かない事。IF もしもあの時。
理屈だろうと 冷静になろうと、この思いは止められない。止める術は無い。
止められないから 留め置くだけ。心の底の 奥深き淵に。

悲しいかな この手の問題はあくまで本人の心の在り様。他人の言葉で どうなるものでもない。それでもルイズは何か言わずにいられなかった。 
「あのね、これは 私が世の中で二番目に頼りにしてる人が言ってた事なんだけど、
 『生きてりゃぁ誰だって、失敗はあるだろうし後悔もする。
  やっちまった事に取り返しなんぞつけようも無いが、やり場の無い思いは溜まっていく。それも仕方ねぇ事。
  だから そういうモンは、次に君の前に現れる『不幸な悪党』に まとめてぶつけてスッキリすればいいのさ!
  …それを世間じゃ 『八つ当たり』って言うんだけどね。』って。」

ティファニアは ルイズの『頼りにするヒト』の あまりな発言に、つい呆けてしまったが、徐々に可笑しみが湧き出しクスクスと笑っていた。
マチルダは、ルイズが誰の口調を真似ているか それが判っていたので、げらげらと大笑いしていた。
「あ〜笑った笑った。
 でも その人が『二番目』てぇなら、『一番』は 一体誰なんだい?」そう問うと、
「『雪風』に決まってるでしょ! 人間じゃ無いけど。」躊躇無く返答があった。
(ワルドの御頭、『許婚』からの信頼度で 貴方 『使い魔』に負けてらっしゃいますよ。)
この事を報告する時の 盗賊改方長官の顔を想像して、マチルダはまた 笑いが止まらなくなった。
148 :Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」2011/09/23(金) 17:06:51.96 ID:F698y/QU
「ルイズさんの使い魔、あれは『ガンダールヴ』ですよね。」
「判るの!? 翼のルーン 見えたとは思えないんだけど?」
驚いたルイズは やや身を乗り出してティファニアに聞き返す。
「ええ、なんとなくですけど。
 『虚無』に目覚めると、他の継承者の方々の事が 薄っすらと判るようになるみたいなんです。
 どこの誰が なんて 具体的な事は判りませんが、後二人 目覚めた方がいらっしゃるみたいです。
 たぶん ガリアのほうとロマリアの辺りに。」
「あ〜 やっぱりそうなんだ〜!」 テーブルに突っ伏すルイズ。
「コッチでも色々と 情報収集は進めてるのよ。で、『候補者』として目をつけてんのが二人居るんだけど、その居所がガリアとロマリアなの。
 これも 当たって欲しくない予想だったんだけどね〜。」実に イヤそうな顔。
ティファニアは、「それ 誰なんですか?」とは 言い出せなかった。

気を取り直して ルイズが言う。
「で、『覚醒』すると 他にどんな『特典』が付くの?」
「ちょっ、『特典』って!『虚無』を そんな『タカタ屋の訪問販売』みたいに…」
マチルダは、激安商品に更に幾つもの『オマケ』を付ける 甲高い声の人気商人を連想した。
「フフ でもそんな感じですよね。
 あとは 他の『継承者』が使い魔を召喚した時 これも何となく判ります。『四』の使い魔のうちの どれを召喚したかも。」
「それって、始祖ブリミルが使役したとされる 四体の事?」
「ええ。」 そしてティファニアは 静かに歌い始める。古き言い伝えの歌を。

  『神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。


   神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。


   神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。


   そして最後にもう一人。記すことさえはばかれる……。


   四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた……。』

「そっか、それで『雪風』が『ガンダールヴ』だって判った訳ね。」ルイズの疑問が 一つ解けた。
「でも ルイズさんはまだ覚醒していないし、雪風…さんも 何かちょっと違うみたいだから、こうして会ってみるまでは 何とも。
 今は判ります。そして もう一つの『呼び名』が浮かんできたんです。 ……『終わりを告げる者』
 これ 一体どういう意味なんでしょう?」
それは ルイズも感じていた『違和感』の正体。ガンダールヴであってガンダールヴでない 雪風。
学院の機密書籍にも見当たらなかった 新たな呼び名と その『役割』とは? 解き明かされた『謎』が 次の『謎』を生んでいく。
(『覚醒』すれば その辺の事も判るのかしら? 私も『プロテクト解除』、本気で考えてみようかな。)
150 :Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」2011/09/23(金) 17:10:54.90 ID:F698y/QU
「そう言えば ティファニアの『使い魔』は?」
「…私は 召喚してないんです。」
「え〜、どうして?!」
使い魔同士も会わせてみようと思ったルイズだったが 返ってきたのは意外な答だった。
「以前に何回か 召喚してみようと思った事はあるんですけど、いざとなるとヤッパリ怖くて。
 マチルダ姉さんは 『仕事』で村を出ている事の方が多かったし、一人きりで召喚して 危険な使い魔を呼んじゃったら…」
「悪かったね、ゴメン ティファ。」
ティファニアは 一応、マチルダの『仕事』については知っている。本当のところも。
「いえ いいんです。私達がこうしていられるのは みんな姉さんのお陰なんですから。
 それに 召喚は しなくて良かったと思ってますし。これからも 召喚をする気はありません!」
「そりゃまた 何故?」
「だって…
 ルイズさんの召喚されたのが 『ガンダールヴ』
 ロマリアの方が召喚されたのが 『ヴィンダールヴ』
 ガリアの方が召喚されたのが 『ミョズニトニルン』
 すると 残っているのは。」
「了解。アレ どう考えても貧乏クジ以外の何者でもなさそうよね〜
 自爆装置か さもなきゃリセットボタンって感じだもの。」
(始祖ブリミル、あんた もうチョット表現方法ってモンを考慮しなさいよ!あれじゃ 不安を煽るだけじゃないの。)
ハルケギニアの歴史上 最高位の偉人に対し、本日何回目かのツッコミを入れるルイズだった。

「ところで、どうだい 最近の『迷い込み者』の数は?」
真顔に戻ってマチルダが言う。
「…増えてます。
 先月だけで、レコンキスタの兵隊が二十九人 そのほとんどは逃げてきた人達でしたけど。
 『見えず』の魔法も 『忌避の結界』も、三日に一度は掛け直さないと。」
ティファニアの表情が また暗くなる。
ウェストウッド村の外縁部分、路傍の大岩や森の木々には ティファニアによっていくつかの掛け捨て型の魔法がかけられている。
目の前に道があっても 無いものと思い込ませる認識阻害の魔法や、「そちらに行きたくない」と思わせる忌避の魔法だ。
(『幻影』による広域カモフラージュは、その度ごとに術者による発動が必要なので このような場合には不向き。)
それでも防ぎきれない場合は、ティファニアによって記憶操作が行われる。
「やっぱりねぇ。
 いいかい ティファ、これから毎日少しづつでいい 身の回りの物を整理するんだ。持って行くもの 処分するもの、何時でも此処を出て行けるように。」
「ねっ 姉さん、だって 此処を出ても、行く先なんて…!」
「それはアタシが何とかするさ。だからアンタは、準備だけでもしといておくれ。」
悲壮な覚悟と決意を秘めた言葉に ルイズは思わず言ってしまった。
「移転先なら 私に心当たりがあるんだけど…」 
「なんだってぇ! 何処だい、それは?」
「えっとね、 私の『ちい姉さま』のところ。」
151 :Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」2011/09/23(金) 17:18:11.74 ID:F698y/QU
ルイズには二人の姉がいる。
長女のエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールと、
次女の『ちい姉』ことカトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌだ。
二人とも ルイズとは大きく年齢が離れていて、何故か長女は(胸のサイズ以外)ルイズと余り似ておらず 次女は(胸のサイズ以外)ルイズとよく似ている。
カトレアはヴァリエール姓ではないが 他家に嫁いで行った訳では無い。健康状態に問題のある娘の為 領内で最も気候風土の良い土地を 公爵夫妻が生前分与したのだ。
通常はそこで病気療養に努め いざとなれば治療費の為 領地全てを売り払ってもよいと。
領地経営は有能な家臣に任せ 家臣団は主の館とは別の公役所でその職に励んでいる。領民が納税等でやって来るのは 公役所の方。
カトレアの屋敷は 訪れる者も少ない 『隠れ家』にはもってこいの場所であった。だが、
「フォンティーヌ領主の館だって! そりゃ あの『猛獣屋敷』の事かいっ!?」マチルダが 驚きの声を上げた。

「暫く前の話だけど、盗賊業界ん中で こんな噂が流れてたのさ。
 『フォンティーヌ領主の館にゃ めぼしい警備兵が居やがらねぇ。襲うにゃ もってこいだ』ってね。」
「うわぁ、なんて無謀な!」今度はルイズが驚く。
確かに カトレアの屋敷に警備兵はほとんど居ない。だが それ以上のものが存在していた。彼女のの『ペット達』である。
女性が寂しさを紛らわせる為に ペットを飼うのは珍しい事ではない。カトレアも最初は、普通の愛玩動物や家畜を飼うことから始めた。
彼女と動物達の相性は 非常に良かった。いや 良過ぎた。
動物の数は 見る見る増えてゆき、その種類も 通常はペットに適さない 気性の荒い大型獣にまで広がっていった。
『月の輪オオカミ』や『サーベルパンサー』等の 決して人には懐かないとされる猛獣も、カトレアの前では仔犬や子猫同然になる。
近年では、ヒトに害をなすとして退治される凶悪な獣すら、「私が言って聞かせますから!」と救い出す事もしているという。
(実際 彼女がOHANASIすると、皆 邪気が抜けたように大人しくなるから、誰も「ダメだ」とは言えないのだ。)
そんなペット達が『番犬』を務める屋敷、それがフォンティーヌ領主館。

「で、噂を信じて押し入った連中は、『夜叉ザル』やら『盾髪(シールド)ライガー』『カンフー白黒熊』なんて猛獣に襲われ、命からがら逃げ帰ったってこった。
 以来、フォンティーヌの『猛獣屋敷』にゃ手を出すな!って 盗人にとっちゃ不可侵の場所になっちまってるんだよ。」
「へぇ、その辺りしか出てこなかったんなら 運がイイわよ、ドロボーさん達。」
ルイズは、フォンティーヌ屋敷の警備体制について語り始めた。
屋外を担当するのが 大型獣のチーム。そのリーダー格は 巨大な『血塗れ羆』の「赤カブト」。
ドス紅い体毛は どれ程の血飛沫で染められたものか?豪腕前爪の一撃は 竜鱗すらも打ち砕く。
廊下や各部屋を担当するのが 中型種。多彩な戦力を指揮するのが『赤目 大白鼬』「ノロイ」。
攻撃力では大型種に劣るも 獣とは思えぬ程の知将。部隊運用で相手を追い詰める『白い悪魔』。
そして 床下や天井裏に潜み 索敵や撹乱等の情報戦を担当する小型種。統括するは『知恵ネズミ』「アルジャーノン」。
必要とあれば、BC兵器まがいの攻撃も実施する 侮れないチームでもある。
「まぁ 実際の所、庭木の『トリフィド』や『ビオランテ』を突破するだけでも大変でしょうけど。」
正に 難攻不落の『猛獣屋敷』いや『猛獣要塞』だった。
152 :Misson 17「インディアン・サマー・ヴァケーション(中編)」2011/09/23(金) 17:22:18.11 ID:F698y/QU
「ちょ、そんな物騒なトコに、ティファや子供達を住まわせようってのかい!」
「大丈夫。そりゃ かなり見た目が怖いコもいるけど、ちい姉様に敵意を向けたり害をなしたりする奴以外 誰も襲われた事無いから。
 姉様の客人って判れば、当然のように『警護対象』と認識されるだろうし。」
喉元を撫でて貰ってる時の「赤カブト」ちゃんなんて、顔の傷までヘニャッとするほど嬉しそうでカワイイんだから、と言うルイズ。
「カトレアさんって、まるで『ヴィンダールヴ』ですね。お会いしてみたいけど ハーフエルフの私でも受け入れてもらえるでしょうか?」
ティファニアは 割とその気になっているようだ。
「うん。似てるけど違うと思う。
 伝承では 『ヴィンダールヴ』は獣を操るっていうけど、ちい姉様の所のコ達は、自主的に守ってくれているんだもの。姉様の事が好きだから。
 それと ちい姉様は間違いなくティファの事を受け入れてくれる、そう思う。
 以前にも 意見の対立で群れを追われた獣人さんが逃げ込んできたことがあったんだけど、姉様は 獣人にも普通の人間と同じように対応してたわ。
 だから 大丈夫よ、きっと!」
 (あの モグラ獣人さんとクジラ獣人さん、今も元気でやってるかしら?)

結局 この件は、「カトレアの意向を確認してから」ということになった。
カトレアを知らないマチルダからは
「いいかい、話は慎重に進めておくれよ。くれぐれも、他に漏れる事が無いように!」と念押しされて。(まぁ 無理も無いか)
そしてルイズは ウェストウッド村を後にした。
マチルダからもティファニアからも「一晩泊まっていっては?」と引き止められたが、
「もう一人 送ってあげる約束をした娘が居るの。はら マチルダさんに助け出してもらった、」
「ああ、シエスタかい。そういうことなら仕方ないねぇ。」
と 子供達と共に見送ってくれた。

学院への帰路、コクピットでルイズは思った。
(なんか ゆっくり休むつもりで夏休みを取ったのに、出掛けるたびに『やっかい事』を拾ってきてるような気がするわ。)
次は大丈夫だろう。シエスタは貴族でもなんでもない只の平民だし、行くのは彼女の実家があるタルブ村 ワインの産地として有名な静かな農村だ。
(御先祖様のお宝を鑑定して欲しい」ってのが、ちょっと気になるけど。)
さて どうなりますやら。
              《続く》 
以上です。
毎度の事ながら、話が伸びてます。ウェストウッド村とタルブ村で、一話分のつもりだったんですがw
致命的なまでに 文章量の把握が出来ない自分… ハァ

この話には サイトという接点が居ないので、ティファとルイズの出会いは おマチさんに取り持ってもらいました。
今回は なんていうか「捏造設定の説明回」ですね。「虚無同士は ある程度通じ合う」とか…
あの辺は 主にルイズとティファニアをマブダチにするためのものです。
(原作のこの二人って それほど仲良く無いですよね)

カトレアさんとこがスゴイ事になってますが、ペットの大半は普通の動物のハズです。
何か 皆様に心当たりがあるヤツがいても、それは他人(他獣)の空似です。きっとそのハズです!

途中支援 ありがとうございました。
次回こそ「タルブ村」夏休み編のラストです。(あ〜 やっと書ける!)
154 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 17:57:24.26 ID:CLojz628
戦闘妖精の方、乙でした。

ちい姉さまなら仕方ない。
……猛獣屋敷の少ない警備兵の一人は記憶をなくした赤毛の青年だったりするのだろうか(笑
155 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 18:05:22.21 ID:ZjN6C/2R
ゼロ魔の知識は小説家になろうかwikiの作品でしか知らないんだが、そんな俺が投稿しても良いのかい?
156 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 18:07:32.23 ID:nFPyum+o
>>155
ダーメ(はあと)

まあ、ギャグ短編なら許されるんじゃない?
158 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 18:33:34.99 ID:H84JzcVF
>>155
原作読んで書くのが普通だが、コミック版読んでかアニメ見て書くのもギリギリ許容範囲だと思う
159 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 18:55:39.86 ID:F698y/QU
>>155
貴方は 「歴史を知らないのが 私の強み!」という脚本家が書いた 今年の大河ドラマが
どれだけ酷い話になっているか、ご存知ですか?

今考えているストーリーに関係する部分だけでも 原作を読んでおく事をお勧めします。
161 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 19:24:08.44 ID:RCYh/PVt
>>159
嫌な事件だったね・・・
162 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 19:43:33.31 ID:1BaJzNwD
>>155
それは「戦国無双をやっただけの知識しかないけど戦国時代を舞台にしたオリジナルの小説を書く」と言うようなものじゃね

とりあえず原作・漫画・アニメを見ている人と同じくらいの知識があると言う自信があるのならばここに投下しても構わないと思う
相当酷くない限り、自分から言わなければ読んでいるかどうかの指摘はしないと思うから
163 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 19:45:59.71 ID:3r8y1QKl
>>162
>戦国無双をやっただけの知識しかないけど
戦国BASARAじゃないだけマシだと思えば……
170 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 00:35:06.37 ID:QaDnY72V
>>159
今年の大河ドラマって6月に終わらなかったっけ?
幕末を舞台にしたあの医療モノのことでしょ。あれは面白かった。

>>155
図書館へゴー!
157 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 18:12:14.60 ID:tZmCmhEC
ゴッドハンドのジーンを召喚したらギーシュの股間が金的でピンチ?
ワルドはどんなゴッドリール技でぶっ飛ばされるだろう。
160 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 19:09:33.55 ID:8zY8T3HV
>155
せめてコミックかアニメは読んでおけ
その上でwikiの設定データで保管。

でも、そのくらいなら原作読んだほうが早いけどな
164 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 20:00:02.02 ID:S5lJFCVN
よーし、アメリカ南北戦争舞台にした小説書くぞ
大丈夫、ファミコンの「わくわく南北戦争」プレイしたから!
165 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 20:34:47.93 ID:ZjN6C/2R
原作嫁という意見しかないのでヤフオクで有るだけ全部落としてみたが…………金が跳んだ。
168 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 20:59:16.36 ID:dSLbbM3F
ブクオフだと15巻くらいまでは105円コーナーにあるところもある。おれは文庫250均の日を活用して20巻まで揃った。
169 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/23(金) 23:35:43.56 ID:DScvQ2+I
 俺もss書いてるけど、本編の13巻以前ほとんどとと外伝2巻、騎士姫1、2巻は図書館で借りた。後は買ってるけど。
177 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 09:24:15.61 ID:FNZFgrQE
>い
>ぺ
>イ

・・・イスペイル
実はハルケギニアもクルス人の末裔
虚無はみんな欠片持ち・・・とか
聖地にはアルケウス
ルイズに従うフリをして、ル=コボル打倒のためハルケギニアで雌伏するイスペイル

気が付けば何故かルイズの下僕に納まっていた

ついでにジョゼフがペルフェクティオを召喚して乗っ取られて完璧王
ティファニアがラルヴァを召喚して憑依されて帝負亜仁阿になってしまい
教皇は黒い卵の傀儡に
179 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 11:25:45.32 ID:LshqeGj4
>>177
それだったら俺はミストさんを呼び出したいな。
突然ハルケギニアに呼び出されて絶望するミスト
「アトリームではこんなことはなかった…それなのにハルケギニアときたら……!」
廊下で言うからルイズもキレない?
186 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 14:22:10.22 ID:jGa42M3i
>>179
それをそのまま再現したんじゃただのゼロ魔ヘイトで終わるけどな。
178 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 11:13:35.04 ID:wFEWdZfD
召喚されたキャラが元から持ってる能力でタバサママの治療をするシチュが何となく好き。

上条さんのそげぶとか熱気バサラの歌とか秋子さんのジャムとかトキの秘孔とか、他にも探せばいろいろありそうじゃね?
181 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 12:43:39.02 ID:Oq1PNU3S
召喚したミスト様にいきなりクワを握らされ、
そのまま、せんの……なんだかんだあって、最終的にカブ農家になってしまうルイズ
184 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 13:40:45.58 ID:bdpK0oUV
じゃあもうダイの大冒険のミスト呼ぼうぜ。
ヒュンケルの身体の中に鏡出して。
188 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 14:24:11.72 ID:MKst2NpN
BW?なら劇場版のテレーポートゲート宇宙船を墜落させようぜ!
あれなら操作を間違えればマジンザラックとかいろんな危険物を召喚出来るぞ
189 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 14:28:41.99 ID:cxxbf4kF
日が落ちた頃に学院へ戻ってくると、門の前で熊のように落ち着きがない様子で
ウロウロして待っていたギーシュはスパーダが戻ってくるなり、
幼い子供のように大喜びで彼の元へ駆け寄り、「稽古を始めてくれ!」とかなり意気込んでいた。
スパーダもそのやる気に感心して早速、稽古をつけてやろうと思っていたのだが、そこに現れたのがモンモランシーである。
彼女はどうやら、ギーシュが自分にあまり構わずスパーダと剣の稽古ばかりしているのがどうにも気に入らないらしく、
「せっかくの虚無の曜日なんだから、夜になってまで稽古するんじゃないの!」と叫んでギーシュを連れて行ってしまった。
やれやれと思った矢先に「ダーリン!」とスパーダを呼んで現れたのがキュルケ、そして一緒に付いてきたタバサであった。
「ツェルプストー! 何の用なのよ!」
馬を降りたルイズがかなり嫌そうな様子でキュルケに突っかかるが、「用があるのはあなたじゃなくて、ダーリンの方よ」と軽くあしらっていた。
スパーダもちょうどこの二人に用があるので、ここで会えたのは都合が良かった。
「お前達か。ちょうど良い」
「あら! やっとあたしの愛に応えてくれる気になったのね!」
「ミス・ヴァリエールにも手伝ってもらうぞ」
色ボケなキュルケを無視し、ルイズにも声をかけると「いいわよ! 任しといて!」
と、平らな胸を叩いてかなりやる気満々だった。
何のことなのかよく分からないキュルケとタバサであったが、すぐに事情を説明し、
レンタルしてきたデルフリンガーが魔法を吸収するという能力があるらしいことも話し、
こいつに対してこれから魔法をぶつけてやって欲しいと頼んでいた。
こいつの言っていたことが本当なのか確かめるのに、トライアングルのメイジだというこの二人はちょうど良い。
「このボロ剣がねぇ……。でも、ダーリンのためだったら、そんなことお安い御用よ!」
と、キュルケもかなり自信満々に了解してくれた。杖を構えるタバサもかなりやる気のようである。
190 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 14:32:53.40 ID:cxxbf4kF
しかし、キュルケは「ルイズにまでやらせる気? 魔法の実演、何度も見ているでしょ?」
と、ルイズが参加するのを嫌そうにする。ルイズも思わず噛み付きそうになるが、それをスパーダが押し留めた。
「君もミス・ヴァリエールと同じだな……」
溜め息交じりにそう答えてやると、キュルケはよく分からないといった表情でルイズを見つめていた。

先日、ギーシュと決闘を行ったヴェストリ広場へと移動した四人。
スパーダはデルフリンガーを地面に突き立て、学院の壁に寄ると腕を組んで見物することにする。
「お、おい! 何をする気だ!?」
デルフリンガーが戸惑ったように叫びだし、その様子にキュルケとタバサが驚いていた。
「あれ、インテリジェンスソードだったの?」
「みたいね……もう、帰る途中も煩かったから堪ったもんじゃないわ……」
ルイズは頭を抱えて盛大な溜め息を吐く。
「相棒! 俺をどうしようってんだ!?」
「何を言っている。これからお前の力とやらを試させてもらうまでだ」
「……い、いや……でも、そんないきなり――」
昼間にあれだけ大口を叩いておいて、今更なんだ?
やかましいが、恐れを知らぬ度胸と気迫を持ったアグニとルドラに比べると何とも軟弱だ。
「さて、誰でも構わん。やってみてくれ」
「はい! はーい! あたしからよ!」
一目散にキュルケが手を上げ、デルフからやや距離を置いた場所で杖を構えた。
キュルケがルーンを唱えると、杖の先に赤々と燃え盛る火球がみるみるうちに生成されていく。
「ファイヤー・ボール!」
本来、魔法の技名を口にするのはあまり意味がないはずであるが、若いメイジ達にとっては技名を叫ぶと
不思議と精神が昂るので叫んでいるそうだ。
放たれた火球の礫が一直線にデルフに向かって飛んでいき、着弾するかと思われたが、その寸前で火球は急速に萎んでいき、
そのままデルフの刃に吸い取られてしまった。
191 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 14:37:17.51 ID:cxxbf4kF
「うそ……」
キュルケは信じられない、といった様子で呆然とする。
するとそこに、タバサが歩み出てきてデルフに杖を向け、静かにルーンを唱える。
「――ジャベリン」
大きな杖の先から数本の氷の槍が放たれ、デルフに向かって飛んでいくがこれも同じように寸前で消滅し、吸収されていく。
タバサは無表情ながらも妙にがっかりした様子で杖を下ろし、デルフを睨んでいた。
スパーダは嘆息を漏らしながらデルフへと歩み寄り、屈んで間近から睨みつける。
「……なるほど。偽りではなかったようだな」
「……ふぅ。久々に力を出したから、どきっとしたぜ。
 だが、これで俺っちの力が分かっただろう?」
「ああ」
しかし、実を言うと初めからスパーダはこいつを剣として扱う気はさらさらなかった。
たとえこいつの力が本当であったとしても剣そのものは店の方へ戻すつもりである。
利用させてもらうのは、剣ではなくあくまで?デルフリンガー?のみなのだ。
正直、リベリオンと同じサイズの大剣はもういらない。

「ちょっと。あたしにもやらせてもらうわよ?」
と、キュルケとタバサの前に歩み出てきたルイズも杖を構える。
「あら、もうあの剣の力が分かったんだから、あなたまでやる必要はないのよ?」
馬鹿にしたような態度でルイズの肩をポン、と叩くキュルケ。ルイズは唇を噛み締めながら杖を握る手に力に入る。
スパーダは自分のことを信頼して「手伝って欲しい」と言った。
自分も手伝う、と言ったのに何もしないだなんて冗談ではない。
何が何でも、あの剣に自分の魔法をぶつけてやる。
ルイズの強固な意地に、キュルケも呆れたように息をつく。
「待て」
突如、スパーダが杖を振るおうとしたルイズの腕を掴んだ。
「離してよ! アンタまであたしを馬鹿にする気!? 手伝って、なんて言ったくせに!!」
「そうではない。話を聞け」
スパーダの手を剥がそうと乱暴に腕を振り回し、喚きだすルイズにスパーダは動じることもなく静かに告げる。
ルイズはキッと、スパーダを睨みつけながらもとりあえずは静まった。
キュルケは不思議そうにそのやり取りを傍観し、タバサは興味がなさそうに本を読み始めている。
192 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 14:41:23.44 ID:cxxbf4kF
「……まず、一つ聞きたい。君は魔法を使う時、使おうとする魔法をイメージするか?」
「当たり前じゃないの」
何を今更言うのだ。魔法を使うのであれば、ルーンの詠唱と共にその詠唱によって
発動する技をイメージするのは当然のことである。そうでなければ自分の思うようにその魔法を制御できないはずなのだから。
「……なら、今から私が言うことと同じことをイメージして魔法を使え」
「何よ」
次にスパーダの口から出される言葉は、怒りが頂点に達する寸前であったルイズに更なる刺激を与える結果となった。
スパーダは、ルイズにこう言ってきた。
「呪文は何でも良いから初めから、あいつのある場所を爆発させるようにイメージしろ」
当然のごとく、その言葉でルイズの怒りは爆発した。
「……やっぱり! あたしのこと、馬鹿にしてるのね! 何よ! パートナーだからって!」
先ほどと同じように暴れまわるルイズだが、スパーダはひらりとルイズの癇癪を手でいなす。
「落ち着け。ミス・ヴァリエール」
「うるさい! うるさい!! うるさい!! ――見てなさいよ!」
そして、デルフの方を睨みつけると杖を構え、低い声でルーンを詠唱した。
当然、スパーダの言う通りにではない。キュルケと同じ?ファイヤーボール?をイメージする。
今に見ているがいい。自分が?ゼロ?ではないと、スパーダにも見せ付けてやる。
「――ファイヤー・ボール!!」

怒りながら杖を振ったルイズであったが、スパーダが言った通りにしなかったために爆発はデルフの周りにではなく
学院本塔の壁面という明後日の場所で大きな爆発が起きていた。
スパーダは頭を抱えて溜め息をつき、肩を震わせている悔しそうに俯くルイズを見る。
「あ〜ら、どこを狙っているのかしらぁ? ゼロのルイズ! あっはっはっは!」
キュルケがまたも馬鹿にしたように爆笑する。
194 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 14:46:15.21 ID:cxxbf4kF
(まったく……コンプレックスの塊だな)
ルイズの身に宿る魔力はキュルケやタバサなどの一般のメイジ達とは仕組みや性質が根本的に異なっているのだ。
四系統の魔法とはどれも規格が合わないため、初めからそれらの魔法を発動することなど不可能なのである。
では、あの爆発は失敗なのか。それも違う。
ルイズの魔力は初めから、あの爆発を起こすような仕組みとなっており、ルイズ自身が爆発を起こすように制御しようとしないために
今のように変な場所で爆発を起こしたりしてしまうのだ。
だが、この爆発を制御できればどんなメイジの攻撃魔法よりも有用となることだろう。
……もっとも、この爆発自体がどうやら不完全な構成となっているらしいのだが。それ以上のことは何も分からない。
おまけにルイズは?爆発?という存在そのものに対してコンプレックスと抵抗、拒絶を感じているようなので
失敗ではないと理解させるのは中々、難しいだろう。

「ミス・ヴァリエール」
膝をつくルイズの傍に歩み寄り、肩に手を置くが何の反応もない。
これはしばらくそっとしておいた方が良いだろう。
スパーダはデルフリンガーを地面から引き抜くと、それをフォースエッジと交差させて背負う。
「へぇ……冗談じゃないね。あんな爆発、吸収できねえよ」
「黙れ」
デルフが安心したように呟きだすので、スパーダは拳でデルフの鍔元を叩いた、その時である。
(何だ?)
突如、今まで月光によって仄かに照らされていたのが何かによって遮られたのか、周囲が薄暗くなる。
それにこの異様な、何かが迫ってくるような気配。
195 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 14:50:40.96 ID:cxxbf4kF
「……な、何よ! これ!」
キュルケが狼狽しながら叫びだす中、スパーダもゆっくりと上を見上げると
そこには30メイルはあろうかという巨体のゴーレムが立っていたのだ。
確か、これほどの大きさのゴーレムを作るにはトライアングルクラスのメイジでなければ
不可能だと図書館の本やルイズ達の講義より知っているのだが。
しかもそのゴーレムは学院の外堀を越えて庭に侵入し、一直線にこちらへ迫ってくる。
慌てて逃げ出すキュルケと、その後を付いていくタバサであったがルイズは動かない。
「……馬鹿者! いつまで呆けている!」
こんな異常な状況だというのに、未だ放心状態のルイズの元へと駆け、その体を引き摺って急いでこの場から離れる。
「――なっ……何よ! 離しなさい! 離してよ!」
我に返ったルイズが目元を真っ赤に腫らしながらスパーダに向かって叫ぶが、
スパーダは構わずにルイズをゴーレムの進路から大きく外れた位置へと運ぶ。
「何なのよ! あのゴーレム!」
今頃、気づいたというのか。スパーダは呆れ果てて何も言えない。
そのゴーレムは本塔の前まで立つと、その巨体に見合った巨大な拳をいきなり塔の壁へと叩きつけた。
あの壁は、さきほどルイズの魔法が外れて爆発が起きた地点だ。
「あそこ、宝物庫がある場所じゃない!?」
「それじゃあ、あのゴーレムって……まさかフーケ!?」

――土くれのフーケ。確か、学院長室で少しだけ聞かされたメイジの怪盗のことだ。
貴族の宝やマジックアイテムを専門に狙うとされるが、奴の今度の狙いは貴族の屋敷どころか
その貴族の子女達の多くが学び、寝泊りをしている学院を標的とするとは大胆過ぎなのもいい所だ。
しかも、こんなゴーレムを使って派手に盗もうとするとは。
どんな怪盗なのか、ぜひとも顔を見てみたいものである。
196 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 14:55:17.88 ID:cxxbf4kF
スパーダは微かににやりと笑いながら、背中のフォースエッジとデルフリンガーを手にする。
あまり趣味ではないが、久々の二刀流でもしてみるとしようか。
「お! やっと俺っちを使ってくれるんだな! 相棒!」
左手に握ったデルフが嬉しそうに声を上げるが、スパーダは無視する。
「君達はすぐにここから離れろ。いいな」
スパーダはそれだけを告げると、二つの剣を手にしてゴーレムに向かって駆けてゆく。
宝物庫の壁に叩き込まれたゴーレムの拳は一撃で壁を崩壊させ、その腕を伝って何者かが内部へと侵入していくのが見えた。
確か、宝物庫はオスマン曰く?スクウェアクラスのメイジが幾重にも魔法をかけて防御を固めた特製?
と言っていたはずなのだが、やけにあっさりと壊されたものである。

ゴーレムがスパーダに気づいたのか、巨大な右手を薙ぎ払ってきた。
スパーダは跳躍して攻撃をかわすと、その腕の上を伝ってゴーレムの肩に向かって駆け上がっていく。
その途中、ゴーレムはもう片方の手でスパーダをはたき落とそうとするが、スパーダは両手に握った二つの剣を豪快に、
そして電光石火の早業で振り回し、ゴーレムの手を斬り刻み、跡形もなく粉砕した。
「うへえっ! すげえぜ! こいつぁたまげた! 相棒、やるじゃねえか!
 俺っちも気分がいいぜ!」
「黙れ。やかましい」
スパーダはそのまま高く跳躍すると、今度はゴーレムの肩へと飛び移る。
着地をするついででフォースエッジを斜に振り上げ、ゴーレムの肩に一本の斜線を刻み付けた。
次の瞬間、ゴーレムの右肩が斜線通りにぼろりと崩れ落ちていった。
右腕を完全に失ったためか、ゴーレムのバランスが崩れて倒れかけるが、左腕で己の巨体を支える。
「ひゅーっ、すげえじゃねえか。……しかし、もうちっと俺っちも使って欲しいなぁ」
「案ずるな。お前には後で存分に役立ってもらうぞ」
ただし、剣としてではないが。
197 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 14:59:44.12 ID:cxxbf4kF
突然、ゴーレムの体が揺れだすとスパーダが破壊した部位が見る見る内に再生していった。
そして、完全に再生している右腕を宝物庫の方へ伸ばすとぽっかりと崩れて穴が開けられた宝物庫に
フードを目深にかぶった人影の姿が見えた。
(ミス・ロングビル……?)
その人影は体型からして女性であるのだが、その身から感じられる魔力は紛れもなく学院長の秘書、
ロングビルのものであったのだ。
彼女の魔力はいわゆるトライアングルクラスの中でも上位といったレベルであったのだが、まさか
彼女が土くれのフーケだったのか?
秘書として学院に潜り込んで盗みの下見をする、というのはよくある話ではあるが……。
(……馬鹿な! あれは!)
そして、フーケ……ロングビルが抱えている代物にスパーダは目を見開いて驚愕した。
一見、スーツケースのような外見をしているが、その側面に刻まれた髑髏の紋章には覚えがある。

――何故、あんなものがこんな所に。

ロングビルが手にしているのは間違いなく……。
「相棒! 危ねえ!」
デルフが叫んだ途端、ゴーレムの左手がスパーダを払い落とそうと、薙ぎ払われてきた。
しかし、スパーダはそれを見ることもなく即座にフォースエッジを振るい、剣圧を炸裂させてゴーレムの手を一撃で粉砕した。
スパーダは右手をゆっくりと伝って、ロングビルの元へと歩み寄っていく。
ロングビルはスーツケースを抱えたまま、己の杖を抜いてスパーダに突きつけている。
ただ、それはスパーダに対する殺意などではなくあくまでも牽制、といった感じの構えであった。

「ファイヤー・ボール!」
下の方からルイズの叫びが聞こえてきたかと思うと、突然スパーダの目の前で爆発が起きていた。
威力としては先ほどのとほぼ同レベルではあったが、あまりに急なことであったため、スパーダは爆風に吹き飛ばされて
ゴーレムの腕から落ちてしまった。
198 :The Legendry Dark Zero 72011/09/24(土) 15:02:43.66 ID:cxxbf4kF
上を見ると、フーケがこれはチャンスとばかりに腕を伝ってゴーレムの肩へと移動し、そのまま学院から逃げようと歩かせている。
落下していったスパーダは空中で体勢を立て直すと、二つの剣を背中に背負い、そのまま地上に着地していた。
その頃にはもうゴーレムは堀の向こう側へと逃げてしまっている。
「だ……大丈夫!?」
スパーダに駆け寄ってくるルイズであるが、起き上がるスパーダの顔は険しい。
「何故、逃げなかった」
ルイズを睨むようにして、スパーダは冷たい声で問う。
「何って……使い魔……パートナーをだけを戦わせるわけないじゃない!
 パートナーを置いて逃げるだなんて、メイジとして失格だわ!」
「……それは結構だ。だが、私の邪魔をするのだけは頂けんな」
ルイズの行為に対し、スパーダは咎めるようにして言った。
珍しくはっきりと怒っている様子のスパーダに、ルイズはビクついた。
「邪魔って……あたしはただ――」
「君はまだ実戦のための力をつけられていない。
 それなのに無理して戦いを挑もうとするのは、あまりに無謀だ。
 その無謀な行動は他の人間の行動を邪魔することになる」

冷たい瞳でスパーダに睨まれ、ルイズは俯いてしまった。
自分では良かれと思った行動が、彼の言うとおり結果的に邪魔することになってしまった。
あのままルイズが何もしなければ、スパーダはフーケを捕まえられていたはずだろう。
スパーダはあの時、?逃げろ?と言った。
それはルイズのことを信用していなかったとかそういうことではない。
確かに、自分は実戦なんてしたことがない。訓練だって皆無だ。
戦いのことを何も知らない自分が戦いの場にいたって、却って彼の足手まといになるだけだろう。
スパーダはルイズにはまだその力がないことが分かっていたから、逃げろと言ったのだ。
……だが、パートナーが必死になって戦っているのに自分だけが何もしないだなんて、
そんなことはルイズのプライドが許せなかった。
しかし、そのプライドのせいで、逆に彼を邪魔した……。
「ご、ごめん……なさい……」
震えた声で、スパーダに謝罪する。
「……とにかく、過ぎたことは仕方がない。
 だが、これからは短格的な行動は控えろ」
そう言い、スパーダは身を翻して広場を後にしていく。
膝をついたルイズはしばらくの間、その場から動くことはできなかった。


※今回はこれでお終いです。
 うっかりして、タイトルを付け忘れましたが今回は<土塊の巨兵>です。
199 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 15:08:31.49 ID:olERlmCm
パパーダ乙。
やっぱり手厳しいが、的確ですごく正論です。
201 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 15:34:55.46 ID:dFr8cu+w
パパーダさん乙
Wikiのまとめと数字がずれてる気がするんだけど、なんでだ?
204 :オレンジ色の使い魔の人2011/09/24(土) 16:56:30.57 ID:+S02htw7
えー、うしろめたいくらいに間が開いてしまいましたが……もし問題なければ17時から投下させてください。
205 :オレンジ色の使い魔 第6話2011/09/24(土) 17:03:02.18 ID:+S02htw7
オレンジ色の使い魔 第6話

 学院長室を辞したハミイーは学内掲示板の前で足をいったん止めた。
 あれこれと張り紙されているが、どれも読めない。
 ここハルケギニアではノウンスペースで使われている人類共通語が不自由なく通じる一方で文字体系が全く異なることはすでに知っていたが、この事実から何かを読み取れはしないか。
「話し言葉のみが伝わり、文字体系が伝わらない」
 ノウンスペースとハルケギニアとの文化交流あるいは片道伝達は、そのような性質を持つことになる。

 地球へ赴任していたころに学んだ豆知識を思い出してみる。
 話し言葉の体系が全く異なる複数の国が、共通の祖を持つ文字体系を使っていた事例がいくつかあったはずだ。
 人類の間では話し言葉は文字よりも速く変化するのかもしれないし、あるいは違うのかもしれない。
 これについて判断する知識を持ち合わせていないことに気づき、ハミイーはこのアプローチを保留することにした。

 ルイズの部屋へ向かって歩みつつ、状況を整理する。
 すれ違う人間が奇異の目を向けてきたりもしたが、かつて地球で経験したものと違い敵意は感じなかった。
 我等クジン人とノウンスペースの人類とは互いの絶滅を賭しての大戦争を何度も繰り返した間柄だが、ここハルケギニアの人類にとってはクジン人は父祖の仇ではないということだろう。
 言葉は伝わっているが、歴史は伝わっていないということになる。

 歴史。
 状況を整理するために、ノウンスペースそのもの、銀河系そのものの歴史から考えてみるのが良いかと思い至った。
 およそ15億年前、銀河系全域を支配する大帝国が存在していたことが各種の出土品あるいは遺跡などによって明らかになっている。
 その種族は自らをスリント人と呼んでいたが、今日のノウンスペースの各知的種族が彼らについて語るときには『奴隷使い』(スレイヴァー)と呼ぶのが普通だ。
 スレイヴァー族は人類程度にも賢明でも幸運でもなければ、クジン人のように頑健でもなかった。
 しかし彼らはそのようなハンデを飛び越える能力を備えていた。
 他の知的種族の意識を操り、自らの奴隷として思うがままに操る能力を。
 その能力に頼りきりだったがゆえにスレイヴァー族は知的能力や肉体的能力を発展させなかったのだとも言われる。
 自らよりも賢く頑健な知的種族を奴隷として思うがままに操れる存在が、自らの知性や肉体を鍛える必要など無いというわけだ。
 しかし彼らの栄華も永遠ではなかった。
 奴隷種族の中でもっとも科学技術に優れていたトゥヌクティプ族が、いかなる手段によってか大反乱を起こしたのだ。
206 :オレンジ色の使い魔 第6話2011/09/24(土) 17:04:58.84 ID:+S02htw7

 この戦争そのものはごく短期間の間にスレイヴァー族の勝利に終わった。
 スレイヴァー族は反乱に加担した全ての奴隷種族に対して自殺命令を発したとされている。
 それは今日のノウンスペースに住まう各知的種族が出土品からの分析を積み重ねた推論だが、確度は高いと見て良い。
 勝利を収めたスレイヴァー族は自動的に滅亡することになった。
 ほぼ全ての奴隷種族を死滅させた彼らは、自力で文明を維持してゆく能力を持っていなかったためだ。ハミイーから見ればなんとも間の抜けた話ではある。
 我等クジン人も人類と接触する前はいくつもの知的種族を奴隷化していたが、人類との戦争に敗れて奴隷たちの独立を認めた今でも滅亡などしてはいない。
 ともあれスレイヴァー帝国の滅亡後、銀河系の各地には帝国を支えていた各種の食料生産惑星が無数に残された。
 かつてのクジン星も、地球もそれら食料生産惑星のひとつだった。
 食糧生産の原料とするために養殖されていた微生物は管理者を失い、突然変異を繰り返す。
 そして数億年前、突然変異を繰り返した生物たちはついに多細胞生物への進化あるいは変異を遂げ、人類やクジン人へとつながる生命の歴史を歩みだした。
 同じ変化は相前後していくつもの惑星上で生じ、多種多様な生物圏がそれぞれの惑星に形成された。
 今では同じ先祖を持つとは思えないほどに変異を重ねている。
 それにも関わらず、生命を支える基礎的な化学が同じであるのはこの歴史的経緯に拠っている。
 だからこそ、我等クジン人は地球産の動物の血肉を食して栄養に換えることが出来るのだ。
 その逆も成立する。クジン星の動植物を原料として人類向けの食事を作ることも出来る。
 ここハルケギニアでも同じ歴史を辿った……とは考えられない。
 同じ先祖からの進化を重ねた偶然と考えるには、あまりにも地球原産の動植物と似すぎているのだ。
 そして保留したものの、言葉と言う証拠もある。
 また先ほどオスマンが語ったことの一部でも事実であるのなら、他の惑星から高度技術製品や書籍がもたらされることもあると言う。
 それにも関わらずハルケギニアの文明は低い水準に留まっている。
 その一方、『魔法』と称する高度技術が存在している。
 個人用の重力制御、さらにロボットの生成とリモートコントロール、あるいはダミー人間の生成。
 ただひとつの事例を除き、それらはノウンスペースの技術でも再現できるものばかりだが、再現するにはあの杖や人体よりも大きなハードウェアを要するだろう。
 オスマンの言葉を信じるならば魔法とは杖ではなくハルケギニア人の体内に組み込まれたなんらかの器官によって発動し制御される技術ということになるが、ハミイーにとっては「杖か人体か」は重要ではない。
 重要な事実は、未だに人力や畜力に頼るような低水準の文明しか持たない(ように見える)ハルケギニア人がノウンスペースの高度技術文明と類似した、小型化と言う面では上回る技術を用いているということだ。
 人力や畜力に頼っている人々が重力制御の概念を持つことは不可解であり、不自然でもある。
 しかし類似例が無いではない。
 かつて我等クジン人は、人類に稀に現れるテレパス能力(他の人間やクジン人の心を読む能力)者の個体を捕獲し生体実験を重ねてその正体を突き止めた。
 人類の頭脳の、普通は使われていない機能野がテレパス能力に対応している。
 それと同じように、人類には未発現の特殊能力を持っている可能性がある。いや、少なくともひとつの特殊能力は明らかになっている。他ならぬハミイー自身、その能力を発現させた個体に遭遇したことがある。
 その結果として片道200光年の遥かな旅の末に、クジン星や地球の300万倍の可住面積を持つ壮大な人工天体へと到達しその天体上で冒険を行う羽目に陥った。
 ハミイーが領地を得て個人名を名乗るようになったのは、あの冒険の末に故郷へと持ち帰ったあるものが評価されてのことだ。
 ルイズによってこの惑星へと呼び寄せられたことが、人類の持つ潜在能力に翻弄されると言う経験の二度目なのかもしれない。
 今回、その結果によっては個人名を名乗るばかりか家名を与えられるかもしれない。
207 :オレンジ色の使い魔 第6話2011/09/24(土) 17:07:21.22 ID:+S02htw7


 ハミイーは廊下の窓際に立ち止まった。
 夕暮れの空を見上げ、ハルケギニアの太陽を見上げる。
 何か違和感を感じたが、とりあえず気にしないことにする。
 この惑星が巡っているその恒星はクジンの太陽よりも温度が高く、黄色っぽい。見た目にはほとんど地球の太陽(訳注:太陽系の太陽、LCC0000のこと)と見分けが付かない。
 このような黄色あるいはオレンジ色の恒星は銀河系にはありふれていて、平均すると20から30光年くらいの間隔を隔てて分布している。
 地球の太陽や、人類が猟犬座ベータと呼ぶ恒星、同様におおぐま座61番星と呼ぶ我等クジン星系の主恒星などがそれだ。
 しかし、それらを巡る惑星から見上げると色調の違いが見て取れるのが普通だ。
 肉眼で見分けが困難なほど地球の太陽と似ている恒星となると、既知なる知的種族の領地の総称である半径30光年のエリアすなわちノウンスペースの中にはひとつも存在していない。
 人類はそのような、見分けが付かないほど地球の太陽と似ている恒星を「ソーラーツイン」太陽の双子と呼ぶ。
 確か、ノウンスペースから最も近くにあるソーラーツインであっても200光年以上も離れているはずだ。その次に近いものは300光年以上離れており、そこまでの航続距離を持つ宇宙船はノウンスペースに1隻しか存在していない。
 いつの日か我等クジン人がそのような恒星系に人類よりも先んじて到達し、領地とすることがあるやもしれない。
 それほどまでに、現代の技術の限度を超えて遠いのだ。
 にも関わらず、ルイズは一瞬のうちに少なくとも200光年以上の距離を飛び越えてハミイーを呼び寄せた。
 ノウンスペースの技術で再現可能な他の魔法と、ルイズの魔法との根本的な違いがここにある。
 ハミイーがこれまでに目にした他の魔法はすでにノウンスペースの技術者が実現しているものばかりで、違いと言えば小型化あるいは生体組み込みの可否くらいのものだ。
もし人類の潜在能力に魔法と言うものがあるのなら確かに重大な発見ではあるが、ルイズの示した可能性の前には小さなものだ。
 今のところ、ただ1隻の例外を除き超光速宇宙船の速力は100C(光速の100倍)に留まっている。
 もし200光年の距離を渡ろうとするなら乗員は2年の船内時間を耐えねばならない。
 しかも、ある理由によってコンピュータによる自動制御では超光速航法は成立しない。必ず、適性を持つ知的生命の個体がモニターし適時制御しなくてはならない。
 それがために、人類やクジン人が超光速航法を実用化してから400年以上が過ぎた現代、人類の暦で言うところの29世紀半ばにおけるノウンスペースは未だに半径30光年に留まっているのだ。
 この制約を越えた船がただ1隻だけ存在してはいる。
 その船はおよそ42万Cでの航行が可能だが、最高度に熟練した船乗りによってしか扱えない。しかも同じ性能を持つ船を追加建造する試みはことごとく失敗に終わっている。
 この船は200年ほど前にある種族が別の目的で建造した実験船であった。
 なぜか42万Cを発揮し、その原因が未だに判明していないと言う代物である。
 ルイズの魔法はそれさえも超えている。
 もしルイズの魔法がいかに発現するのかを解明し、数百光年を一瞬で飛び越える船をクジン族長の下に並べることが出来るならばどれほどの功績となろうか。
 ただしルイズは異種族とは言え未成年であるから、決闘を申し込み服従させてクジン星へ連れ帰るというわけには行かない。ハミイーの決闘相手にふさわしくなるまで何年か待つか、同じ能力を持つハルケギニア人の成体を見つけ出す必要があろう。
 もちろん各種実験のためには複数の個体があったほうが良いし、魔法が人体ではなく杖によるものだとしてもやはり複数サンプルが欲しい。

208 :オレンジ色の使い魔 第6話2011/09/24(土) 17:08:35.31 ID:+S02htw7

 ここで、ハミイーはひとつの可能性に思い至った。
 果たして本当に一瞬での転移だったであろうか。
 たとえば、時間停滞フィールドに包まれて数千年を費やしてこの惑星へと転移させられたのであればハミイー本人には一瞬としか感じられない。
 たっぷりした毛に隠している携帯通信機そのものにとってさえもそれは同じことだ。
 が、検証方法はある。
 超光速航法の実用化と並行して超光速通信技術が実用化され、かつては惑星の反対側と会話するのにさえ付きまとっていた光速によるタイムラグが解消されて久しい。
 ハイパーウェーブ通信は距離の制約とタイムラグを事実上持たず、少なくとも200光年を隔てたこの惑星とクジン星との間で会話することさえ可能だ。
 もしそれが出来ないとするなら故障しているか、ハイパーウェーブ通信の限界を超えたとてつもない距離を隔てたところまで転移させられているか、主観的には一瞬だった転移の間にノウンスペースの文明が消え去ったことになる。
 ハミイーの巨大な頭の上で耳がうごめいた。
 通信機を試すにしても、今現在のところこの惑星がどこなのかさえ突き止めていない。
「方法は不明だが誘拐された。現在地も不明」そのような報告を、クジンの戦士にして貴族たるハミイーが行ってよい理由は無い。
 狩猟公園に置き去りにしてきた長男は無事に決まっているが、なにせまだ幼いのだ。
 ハミイーの不在を不安に思っているかもしれぬ。
 城館に住まう女たちの世話も誰かが行わねばならないし、領地の運営にともなうさまざまな事柄も処理せねばならない。
 幼い長男に任せてしまってよいのだろうか。
 窓際でハミイーはしばらく悩んだ。
 そして日が傾き、満ちかけた月が二つ昇ってきたことに気づいた。
 ハミイーが目にしたものを理解するまで少し時間が掛かった。
 戦慄に全身の毛穴が収縮し、毛が逆立つ。傍目には太った猫が全身の毛を逆立てて毛玉のように膨れ上がったように見えただろう。
 ややあってハミイーは落ち着きを取り戻し、逆立っていた毛が元に戻った。
 ここハルケギニアが人類の秘密領地と言う可能性は非常に低い。その根拠は距離だけではない。
 その一方で、より強大な種族の実験領地である可能性がある。
 もしそうならば、かつてあの人工天体で得た知見のひとつをクジン星の族長執政府に報告せず心に秘めたのと同じように、報告や増援要請の内容には選択を要しよう。
 通信機を試すのは先延ばしすることにして、ハミイーは再び歩き出した。
209 :オレンジ色の使い魔 第6話2011/09/24(土) 17:10:15.36 ID:+S02htw7

 ぼふ、ぼふ。
 独特なノックの音に、眠りかけていたルイズは起き上がった。
 ドアを開けるとオレンジ色の毛皮の壁があった。
「……おかえり。聞きたいことがいくつかあるんだけど」
「俺の質問に答えてからだ。この惑星ハルケギニアには2つの大きな月がある、これは間違いないな?」
「見れば判るでしょ?」
 ルイズは窓の外を指差した。
「あれらの月は夜毎にその位置を変えてゆく、これも間違いないな」
「もちろん。昨日とはちょっと角度が違うし、満ち方も違うでしょ?」
「月の位置によって海の水位が変わるか」
「潮の満ち干きだけでなく、風の流れも変わるわ。船乗りは毎月の暦を参照して運行スケジュールを決めるとか聞くけど」
「月が交差してから次の交差までの期間はどの程度変化する?」
「ほとんど一定だけど?あなたの言う『期間』を私たちは『1ヶ月』って呼んでる。クジンでは違うの?」
「……なるほど」
 ハミイーは何か感銘を受けた様子に見える。
 ルイズはそれを見て考え込む。なぜ、この大猫の仕草や表情はこうも人間的なのだろう?
「ハミイー、あなたは毛皮を被った人間なんかじゃあないわよね」
「当たり前だ。なぜそんな事を聞くのだ」
 ルイズが疑問を説明すると、ハミイーは頷いた。
「俺はかつて、お主らの概念で言うところの外交官として地球に赴任しておったのだ。人間と会話するために人間の表情や仕草を学び、それを用いる習慣を身につけた。
 その習慣がお主と会話するにあたって出てきたのだな」
 その答えにルイズはひとつばかりかもうひとつの疑問を解消したように思った。
 この大きな猫は貴族だと言う。
 ハルケギニアの各国と同じように、代々外交官に任ぜられる貴族の家系があってハミイーもその一員なのだろう。クジン人の社会もハルケギニアのそれと似た部分があるということかもしれない。
 念のために確認してみると、ハミイーの答えは違っていた。
「俺個人は外交官を務めておったが、一族は代々が宇宙船のパイロットだ。俺も外交官とパイロット兼務と言うべきある任務をこなして領地を拝領した」
「空間船の航路先案内人?」
 ルイズは想像してみた。この大きな猫が港で小船を操って大船を先導して入港させる。あるいは横付けして乗り込み大船の船長から舵輪を預かる。
もちろん船長も航海士もふわふわもこもこした大猫ばかり。
「そうだ。それゆえに、一族の教養として天体の軌道力学を叩き込まれておる」
「じゃあやっぱり、クジンでも船乗りにとって暦は大事なものなのね」
 相槌を打ちながら、ルイズはこの大きな猫の言葉に疑問点を見つけた。
 この大地のどこかに猫の国クジンがあるとして、月の動きを知らないなどと言うことがあるものだろうか?
 もしかしたら、本当に他所の星からやってきたと言うのだろうか?
「俺がここへやってきた当日、おぬしは俺を質問攻めにしたな。その時に地動説について話したことを覚えているか」
「地動説は仮説ではなく事実だって言うんでしょ。でもやっぱり無理があるわ、もし事実なら1年で何億リーグもこの大地が動くことになるじゃない。
 大地の上の何もかも吹き飛ばされてしまうことになるわよ、何千年も前に賢者アリスタルコスやピロラウスが地動説を唱えたけど受け入れるものがほとんど居なかったのはそのせいだし」
「しかしその一方、作業仮説としての地動説は定着しておるのだな?」
「千年ほど前からね。えーと、確か聖職者にして天文学者たるニコラウス・コペルニクスが地動説を整理しなおし、その何十年か後に賢者ティコ・ブラーエとヨハネス・ケプラーが正確な暦を作れる地動説理論を作り上げた。
現在使われているグレゴリオ暦は賢明にも地動説論争への言及を避けた上で、当時の教皇さまが制定されたものよ」
「ふむ、おぬしらは千年前から正確な暦を作れる文明水準にあるのだな。そしてお主らの暦の上で、月の満ち欠けと交差は安定したものであると。うむ、重大な事実がひとつわかったぞ。
 賢者ルイズよ、ひとまず感謝しておこう」
「私は見習いだけど、メイジよ!それと、私たちを未開の蛮族みたいに見下さないで!」
 窓際に脚を進めたハミイーをルイズは何度か叩いてみたが、まるで堪えた様子がない。
210 :オレンジ色の使い魔 第6話2011/09/24(土) 17:11:25.28 ID:+S02htw7


 ハミイーは再度、二つの月を見上げた。
 彼の経験から判断するに、ルイズは手の込んだ嘘をつける類の人間ではない。これは知性の優劣ではなくその性格によるものだ。
 さてここハルケギニアでは惑星上の海や大気に影響を与えるほどの質量を持った衛星が二つ存在し、安定した周期で互いに逆行公転している。
 塵とガスの雲から惑星系が形成されるとき、このような軌道に個々の天体が乗る可能性はほとんどゼロと言ってよい。
 そして、もしそのような偶然があったとしても個々の大衛星が安定軌道を保てる期間は極めて短い。
 逆行する大衛星は軌道交差の度ごとに互いの引力によってお互いの軌道を歪める。今見上げているような大衛星ともなれば、ほんの数十回の交差で軌道が不安定になる。
 にもかかわらず、少なくとも千年に渡りあの二つの衛星は安定した軌道を保っているという。
 二つの衛星が見た目より遥かに小さな質量しか持たないと言う可能性は、惑星に潮汐力を及ぼしハルケギニア人の生活に影響しているという証言から否定された。
 仮にルイズの思い込みだとしてもすぐに検証できよう。
 可能な解はひとつしかない。
 あの二つの衛星には、その軌道を修正する推力が常時働いている。
 その力の大きさはそれぞれの重力場に匹敵する値を持ち、一定方向に一定の強さで働く類のものではなく軌道上の位置関係に応じて能動的なベクトル制御がなされている。
 そうでなくては二つの衛星は安定軌道を保てない。
 そしてこの強大な推力は惑星上からは噴射を観測できない類のものでもある。
 無反動スラスター推進あるいはより高度な何らかの機関、それもノウンスペースのどこにも無いようなスケールの機関と航法制御システムが二つの月には備わっている。
 そのようなシステムを誰が何のためにあの月へ組み込んだのか、あるいは月に見える巨大宇宙船をどこかから何のために持ってきたのか、それはまだ判らない。
 それが何者であれ、クジン人や人類よりもある面では強大な種族であることはほぼ確実だ。
 今後の行動に際して考慮せねばなるまい。

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今回は以上です。
ほとんど一方向からの視点になってしまいました。
ハミイーのモノローグで人類の距離や時間の単位を用いるのは本来はおかしなことですが、日本語訳のついでということでご了承ください。
またハミイーは人間ではないため、ルイズが口にした重大な事実を聞き流してしまっています。
212 :オレンジ色の使い魔の人2011/09/24(土) 17:18:18.36 ID:+S02htw7
まとめwikiの該当ページはこちらです。
1年前に投稿した際に登録してくださった方にはお手数をおかけしました。
あらためて、ありがとうございました。

http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/7980.html
230 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 21:28:01.13 ID:bdsbVHhk
>>212
おかえり! 待ってたぜ。ハードにSFしてくれ!
214 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 17:41:30.47 ID:kCF4ad3H
オレンジの人 乙でした。
月が人工物っていう でかいギミックが、どこでどう生きてくるのか ワクワクです。

なんか 投下続きでイイ傾向ですね!
215 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 17:52:13.49 ID:dFr8cu+w
乙でした。
これ読んだことなかったや。
今から全部読んでくる。
217 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:00:00.48 ID:jwlEIpjc
ペラ……ペラ……
膨大な数の本が置かれている静かな図書館で当たり前だが本のページをめくる音が聞こえる
大量の本を机の上に積んだコルベールが真剣に文字を睨みメモと見比べをしている
積んである本にはあらゆる本、古文書や歴史書、果ては童話さえも置いてある
「……ククッ」
あんた何読んでんだ
「ゲルマアニアンジョーク集…これは違う」
だろうな
コルベールは読んでいた本を横に置き新しい本を手にとって広げる
「……!」
コルベールが目を見開きメモと書いてある文字を見比べる
「これは…!!早速報告しなければ!」
そう言うと急に立ち上がり積んでいた本も元の場所に戻さず図書館を出て行く
余談だが図書館を管理していた人間が恨めしそうな目で、出て行くコルベールの後姿を睨んでいた

場所は変わり学院長の部屋
立派な髭を蓄えた威厳のあるご老人が仰々しい椅子に座っている
彼こそトリステイン魔法学院の学園長オールド・オスマンである
しばらく机に広げてある紙を見てサインをし、判子を押していたが息抜きの為であろう
机の引き出しを開き嗅ぎ煙草を取り出す

それを見た緑髪でメガネを掛けた美しい女性が何かを行う
すると哀しきかなオスマンが使用しようとした煙草がふよふよと空を飛び女性の机に着陸した
この女性は優秀な秘書で名をロングビルと言う

「息抜きぐらいさせてもらっても罰は当たらんと思うがのう」
オスマンが少し悲しそうな顔をしてミス・ロングビルに講義する
「お体に悪いですわよ」
酒は百薬の長と言うが煙草は百害あって一利なしと言う
ミス・ロングビルが淡々と書類整理しながらオスマンを諭す
しばらく無言が続いたが急にロングビルが床に足を強く踏み込む

「!!」
それに酷く驚いたオスマンが椅子から飛び上がる
「使い魔を使ってこそこそと覗こうとするのは感心しませんわ」
ミス・ロングビルの足元にひっくり返って気絶しているネズミのモートソグニルを見ながらミス・ロングビルが笑顔で言う
オスマンがやれやれと首を横に振り、目を見開き尋ねる
「では堂々と頼む事にしようかの。ミス・ロングビル、パンツの色は何かな?」
その言葉を聞いた瞬間ミス・ロングビルの顔が笑顔から生ゴミを見るような顔と目に変わる

その非常に何とも言えない空間をぶち壊すように扉が開かれる
「大変です!オールド・オスマン!コレを見て下さい!!」
コルベールが叫びながら飛び込んでくる
「静かにせんか、コルベール君」
オスマンがキリとした表情で言い放つ
「も、申し訳ありません」
コルベールが冷静になり息を落ち着ける
「これを…」
一冊の本とメモをオスマンに渡す
「…ふむ
 ミス・ロングビル、少し席を外してくれんか?」
オスマンがミス・ロングビルへ向けた言葉を発する
「わかりました」
ミス・ロングビルが椅子から立ち上がりドアを開け、部屋から出て行く
流石は出来た女性である
二人しか部屋にいないか確認した所でオスマンが口を開く
「ではコルベール君、詳しく説明しなさい」
218 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:01:00.55 ID:jwlEIpjc
シュヴルーズが気絶し、医務室に護送されてから約半時間
「〜♪ 〜♪」
ローチが口笛(アメリカ国歌)を口ずさみ
口笛が終わると時々箒をギターに見せかけエアギターをしながらテキパキと掃除を進める
「どうした、ルイズ?ルイズにとって掃除はつまらないかも知れないが楽しもうと思えば楽しんで掃除できるぞ?」
ローチがほらほら、と足でリズムを取りながらロックなエアギターをルイズにご披露しているとルイズが顔を俯けたまま口を開く
「…どうして何も言わないのよ」
「……」
ローチが動きを止め押し黙る
「見たでしょ?私は魔法が使えないのよ?それなのにローチに対して……」
ルイズがこぶしを握り締め肩を震わせる
「知らないさ、俺はルイズが魔法の使えるメイジだと思っていたから従ってたんじゃないし
 そもそも従ってたつもりはないしな」
ローチはルイズに近づきしゃがんで目線の高さを合わせる
「じゃぁ何だってのよ…!」
ルイズは歯を食いしばり涙を流していた
「俺がそうしたいからルイズについてるんだよ、おっと 別にSMが好きとかじゃないぞ?」
ルイズの頭に手を置き優しく撫でる
「妹の面倒を見ているようなもんさ、いや居ないけどな?」
「でも、私は、魔法を…」
ルイズの言葉が途切れ途切れになる
「魔法なら成功してるじゃないか、ちゃんと俺達を呼んだし俺と契約できた、だろ?」
「…うん」
こくりと頷く
「それに俺達はルイズに命を助けて貰ったしな」
ローチはルイズの目元をグローブつけた左手で優しく拭った
ぐぅ〜 場にそぐわぬ間抜けな音が二人の耳に入る
「…腹も減ったしとっとと終わらせて食堂に行くか」
ローチがニカッと笑い(バラクラバで見えない)ルイズから離れて歌を歌って掃除を再開する
「Oh, the weather outside is frightful,♪
 But the fire is so delightful,♪
 And since we've no place to go,♪
 Let it snow, let it snow, let it snow.♪」
「ふふっ」
ルイズがローチのやや滑稽なその姿に吹き出して笑い小さく一言呟く
「ありがと、ローチ」
ローチはそれを知ってか知らずか軽快に歌を歌いながら掃除を続けている
「It doesn't show signs of stopping,♪
And I brought some corn……」

途中からルイズも手伝い一緒に歌を歌いながら掃除を進めた結果、約数分で掃除が片付いた
「さて、行こうかルイズ」
「えぇ」
泣いていた姿は何処へやら、笑顔で楽しそうに一緒に歌っていたLet it snowを口ずさみながら歩いていく
どうやら気に入ってくれたらしい、さて次は何を歌おうかと思案しながらスキップするルイズに付いていくローチ
219 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:02:00.49 ID:jwlEIpjc
「さぁて、俺の昼飯は…っと」
食堂に着いたローチは朝スープとパンが置いてあった場所の床を見る
「…ないな」
「えっと…その……」
ルイズがモジモジとしてローチの顔をちらちらと見る
「わ、私の料理を一緒に食べましょう? ひとりじゃ…おおいし…」
ルイズが目を逸らしながら恥ずかしそうに言う
ローチはフッと顔を綻ばせ(見えな ry)ルイズの頭を撫でる
「朝とは待遇が違うな?」
「う…うぅぅ…うるさいうるさい!」
顔を真っ赤にしてポカポカとローチを叩く
「おっと、ルイズ他の生徒が何か祈ってるぞ?」
「え?!あ!!」
ルイズは慌てて祈り始めた


二人は食事を終えると食堂の外へ出ようとする
そこに誰かが声を掛けてきた
「おい、ローチ!」
二人がその方向を見るとゴーストがこちらに近づいてきていた
「あぁせんぱ…ゴースト、どうしました?」
「ローチちょっとあっち向いてみろ」
急にゴーストが壁の方を指差す、何があるのかとローチが体ごとそちらを向くと
「ぜぁっ!!!」
ズパァァァァアアアン!!!
ゴーストがローチの尻を全力で蹴り飛ばす
「おぐぉあああああぁああヘブッ?!」
ローチが思いっきり飛び上がり前方へ飛んだため壁に自らの顔面を叩き付ける
「あぁ!スッキリした!!」
一方ゴーストは満面の笑み(見えn ry)で佇んでいる
「ローチ?!ローチ!ローチィ!!」
ルイズは涙目になりながらケツを押さえてうつ伏せに倒れているローチを揺する
「何故か…前が痛いっ…わけが…分からないよ…!」
うんうん唸りながら蹴られた感想を律儀に吐き出すローチ
「どうしてこんな事するのよ!友達でしょ?!」
「ローチ、ちょっと話がしたいから時間いいか?」
「聞きなさいよこのバカァ!!」
ルイズの叫びを盛大に無視してローチに話しかける
「うぐ…大丈夫だ…ルイズ……ゴースト…話って?」
ローチは大体じゅうううううびょおおおおおお!!程休んだのでそろそろ普通に話が出来る頃だ
よろよろとローチが立ち上がりルイズに引き攣った笑顔(ry)を向ける
「大丈夫だそうだ、嬢ちゃんローチ借りるぜ」
それだけ言うとゴーストがルイズに有無をも言わさずローチを連行して食堂へ入っていく
「え…あ…」
ルイズが急な状況に対応しきれず固まってしまう
220 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:03:00.53 ID:jwlEIpjc
「ゴースト、話って?」
まともに歩けるようになったローチがゴーストの後ろについて話しかける
「いや、まぁ飯食いに来ただけだし話とか後で良いんだけどな」
「はぁ?!」
「まぁ俺が飯食い終わるまでしばらく好きにしてろよローチ」

ローチがぶつぶつと言いながら周りを見渡すとシエスタがケーキを運んでいるのを発見する
「ゴースト、少し離れます」
「ん?おぉ晩飯までには帰ってこいよ」
「俺はガキですか」
ゴーストから離れシエスタの方へ歩いて行く
「ようシエスタ」
シエスタがこちらの方を向き嬉しそうにローチさん!と名前を呼ぶ
「朝はありがとうございました」
器用にケーキを運ぶ大きな皿を持ったままぺこりと頭を下げる
「いや、こちらこそ朝は助かったよ」
ローチが笑いながら返す
「さて朝の礼だ、手伝おう」
そう言ってシエスタが持っていた大きな皿を奪い取る
「ふふ、ありがとうございます」

「あ、マルトーさんにローチさんの事話したら凄く気に入ってましたよ!」
「マルトー?」
「ここのコック長さんです」
ローチがシエスタと談話しながら机を回ってケーキを配っていると近くを何人か固まった生徒が通りかかる
前を進む金の巻き毛で他の生徒とは違うやや装飾が多いシャツを着た薔薇の花をポケットにさした生徒が他の生徒に冷やかされていた

「ギーシュ、お前は今誰と付き合っているんだ?」
「誰が恋人なんだ?俺の願いはお前がこの質問に答えることだ さぁ叶えてよ、インキュ…ギーシュ!」
「なぁギーシュ、俺と付き合ってくれよ!」

ギーシュがフッと笑い
「付き合ってはいるが誰かは言わないよ、それと僕が君の質問に答えても別にエントロピーは凌駕しない
 そして最後の奴、僕にそっちの気は無いよ」
ギーシュがご丁寧に質問に答えながら歩いているとギーシュのポケットから小瓶が地面に落ちた
どうやらギーシュは気付いていないようだ

「シエスタ、ちょっとこいつを持ってくれ」
そう言って皿をシエスタに手渡すと小瓶を拾いギーシュの方へ歩いていく
「HEY、コレ落ちたぞ」
ギーシュはこちらを振り向きローチの手にある小瓶を見ると
「あぁ!悪いね!僕とした事がこんなに大事な物を落としてしまうなんて!助かったよ!」
笑顔になり小瓶を受け取りまるで宝物を見つけた子供のように大事そうにポケットに入れなおす
それを見ていた取り巻きが急にギーシュをはやし立てる
「おぉ?!それはモンモランシーの香水じゃないか?!」
「てことはギーシュはモンモランシーと付き合っているのか!」
「うおぉぉお!ギーシュ!俺だ!付き合ってくれ!!」
それを聞いてギーシュは苦笑いする
「はは、参ったなぁ隠した意味が無いや」
221 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:04:21.14 ID:jwlEIpjc
すると急に後ろの女の子が立ち上がりギーシュの元へ足を踏みしめて歩いてくる
女の子が怒ったかのような顔でギーシュの前に立ったかと思うと
「…ギーシュさまぁ……」
ぼろぼろと大粒の涙を流して泣き始める
「君は、ケティ?どうしたんだい、大丈夫かい?」
ギーシュがハンカチを取り出してケティの涙を拭う
「やはり、私とはお遊びだったんですね…!」
「えぇ?!君との接触点は君が急いでいるからって一緒に馬で街まd」
スパァーン!と大きな大きな音が響く
ギーシュがケティに思いっきり頬をすっ叩かれた音である
「もう知りません、さようなら!!」

ギーシュ含む皆がぽかーんとしていると遠くの席から素晴らしい巻き毛をした少女が歩いてくる
「やぁ、モンモランシー恥ずかしいところを見せてしまったね」
左頬が真っ赤になったままギーシュはばつが悪そうに頭をぽりぽりと掻く
「やっぱり一年生の子に手を出していたのね」
モンモランシーが恨めしそうにギーシュを睨む
「ちょっ…!完全に誤解だよ!香水のモンモランシー!信じてくれ、彼女とはただ一度だk」
モンモランシーは近くの机に置かれたワインの瓶を引っ掴みギーシュの言葉を全て聞き届ける前にギーシュの頭にワインをトッピングする
「ティロ・フィナーレ(ワイン)!」
珍妙な掛け声とともにワインをぶちまけたモンモランシーが怒りながら食堂を去る

「あー…なんかすまない」
ローチが全てを見届けた後一言呟いた
するとギーシュがハンカチで顔を拭いながらローチに近づきこそこそと耳打ちする
「君は見た所洗練された傭兵か何かだろう?非常に申し訳ないが僕の面目を保つために決闘をしてくれないだろうか
 嫌なら断ってくれても構わないが…」
「いや、なんか俺のせいっぽいし構わんが…」
「ありがとう、恩にきるよ 手加減はする」
そう言ってすぐにローチから離れたギーシュが胸ポケットの薔薇を手に持ち

「君のおかげで二人のレディの心が傷ついた!あと僕の心も!!」
薔薇をローチにむけ大声で怒鳴る
「レディたちとついでに僕の為に僕は君に決闘を申し込む!!異論は無いね?」
「あぁ、無いぜ」
これこそ予定調和である
皆が急な展開で再度ぽかーんとしていると遮る声がした
「ちょぉっと待ちな!」
全員がハッとして声の主の方を向く、すると
微妙にジョジョ立ちしてるゴーストがいた
「君は誰だい?」
「ゴースト…ローチの…あぁコイツな、親友だ」
ゴーストが親指でローチをさす
「…親友の君は決闘に不満かい?」
ギーシュがゴーストに問いかける
「うんにゃ?決闘は肯定だぜ、でもローチには武器を用意したり時間が要るだろう?」
「もちろんその為の時間は用意するつもりさ、申し込んだのは僕だからね
 せめて時間指定はそちらで好きにしてくれ」
「OK、なら問題無ぇ 場所は何処だ?」
「ヴェストリの広場だ、時間は?」
「そうだな大体30分後だ」
ローチの意見も聞かずに話がどんどんと進められる
222 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:05:00.76 ID:jwlEIpjc
ローチの方を見ているシエスタは目に涙を浮かべわなわなと震える
「どうした?シエスタ」
「殺される…!殺されちゃいます…!!ローチさん、貴族に…!」
会話として成立しない言葉がシエスタから吐き出される
「おい、シエスタ」
「あぁ!あぁぁ!」
シエスタが急に泣き出し走り去っていく
「お、おい!」
シエスタをひきとめようとしたがかなりの速度で走っていく
マラソン・ライトウェイト・コマンドーだ、おまけでタクティカルナイフでも持たせればファベーラで素晴らしい大量虐殺を成すだろう
32キル2デスは行ってくれるはずだ

「おい、ローチ行くぞ」
話を終えたのか急にローチの首根っこを引っ掴んで引っ張るゴースト
「え?あ、ちょっ…こけるっ!」
ずるずると、どなどなどーなーどーなー と連れられて行くローチ
「待ちなさい!ローチ!ゴースト!」
急に出てきたルイズが二人の前に立つ
「貴族と決闘なんて…!相手はメイジよ?!私とは違う、ちゃんとした魔法を使えるメイジなのよ?!
 ローチが殺されちゃうわ!!」
あぁ、なるほど だからシエスタは殺されるなんて言ってたのか
ローチがルイズを安心させるために口を開く
「あぁ、心配しなくていいぞ これにh」
「手加減はするなって俺がちゃぁんと言っておいたぞ、ローチ」
そしてゴーストの美しいサムズアップである
「おいィ?!」
「ほら、みなさい!でも今から謝って許してもらえばきっと大丈夫よ!」
ルイズが目尻に涙を溜めてローチの服にしがみ付く 兄に懇願する妹のように
「で、その事で嬢ちゃんにも聞きたい事がある」
目をぐしぐしと擦るルイズにゴーストは話しかける
「…何?ゴースト」
「あいつの使う魔法とかを教えてくれ」
「戦うつもりなの?!バカじゃない?!ローチも何とか言ってよ!」
ローチは諦めたように溜息を吐きルイズの頭を撫でる
「戦うさ、それが俺達TF141だからな」
「ローチも!馬鹿!もう知らない!!ギーシュにボコボコにされちゃえばいいんだわ!!」
それだけを言い残しルイズは泣き出して走って行く

「聞けなかったな、情報」
「その前に言う事があるでしょう、ゴースト」
引き止めることも出来ずルイズを見送った二人は呆気にとられてしまう
「それにゴースト、武器を用意なんて言っても俺達が持ってるのはM92Fとナイフだけでしょう
 あぁ後ACR ACOGスコープ付が一つありましたね」
「ローチ、話があるってさっき言ったよな」
「えぇ」
ゴーストはそれ以降何も言わずハンドサイン(軍で使われるジェスチャー ハンドシグナルとも言う)で付いて来いと命令する
223 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:06:00.47 ID:jwlEIpjc
しばらく歩くと一つの部屋に到着する
「ここは?」
ローチがゴーストに尋ねる
「俺の部屋だ」
性格にはゴーストに割り当てられた部屋だが
基本的にこの学院にある部屋は大きい物が多い、ゴーストもその例に漏れず大きいのだがある事情で非常に狭い
「入れ、ローチ」
「じゃぁ失礼しま…?!これは!!」
ローチが驚いたのを見て満足そうに頷いたゴーストがローチに質問する
「何か分かるか?」
「えぇ、これはマカロフの別荘にあった武器……ですね」
そう、マカロフの別荘に置いてあった武器の全てである、見れば銃だけでなくグレネードやクレイモア、C4、果てはセントリーガンまで
「どうしてこんな物が」
「どうやら俺達と一緒に来たらしいぞ」
「でもこれだけ武器があってもいずれは弾が無くなりますよ」
ゴーストはそれを聞くとチッチッと指を動かす
「マジックボックス(キャンペーンで無限に弾薬補充が出来る救援物資 勝手に私がそう呼んでいる)もあるぜ」
それを聞いたローチが目を丸くして言う
「戦争がおっ始められますね」

「さてローチ、適当な武器を持って行け」
「…はい」
ローチがまずMP5KSDを掴む、その瞬間体が軽くなり全ての能力が大幅に向上したように思えた
「?!」
驚いてMP5を落とす、手を離すと元に戻った
続いてM240を拾う やはり体が軽くなった
「…ゴースト」
「どうした?ローチ」
「LMG…何本まで運用できますか?」
「馬鹿なことを聞くな、運ぶだけなら2本 運用するなら1本だ 重くて大量に持てるわけ無いだろう」
ローチが手を握ったり開いたりする
「俺は…5本は余裕で持てそうです」
「なんだと?」


「で、選んだのはDE M82(バレットの事) M240 M1014 セムテックス フラッシュバン スモーク C4か…キチガイの所業だな
 おまけに弾薬もそれぞれ通常運用の3倍と来た」
「相手がどんな魔法を使うか分からない以上備えるに越したことはありませんよ
 それにどうやら何らかの武器を持っていないと駄目そうです」
「で、バトルナックルグローブか」
現在のローチのPERK+α
マラソンプロ+(ジャンプ距離上昇) 早業プロ+(エイム速度二分の一以下) スカベンジャープロ+(補充不可 所持数3倍)
ライトウェイトプロ+(約2倍 走りながらのエイム可)
コマンドープロ+(接近距離上昇) 照準安定プロ+(サイト使用時もAR程度ならばほぼ無反動化 腰だめほぼ無反動化) プロニンジャ 状況報告プロ
常時鎮痛剤 ファイナルスタンド オーバーキル+(メイン・サブ関係なく5つまで同時運用可)
「では行きましょうか、ゴースト」
DEをレッグホルスターに、M82を背中に背負い、M240を肩から掛け、M1014を腰に装着し、バックパックに物を詰め込んだローチが部屋を出る
「…殺すつもりで行ってる様にしかみえねぇ」
224 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:07:00.53 ID:jwlEIpjc
ヴェストリの広場

大量の人間が集まり熱気が溢れる広場に3人の男が歩いてくる
3人の男が歩く先をまるでモーゼのように人が道を作る
「…本当に手加減しなくて良いのかい?」
3人のうちの一人であるギーシュがローチと着いて来たゴーストに尋ねる
「決闘ってのは誇りを懸けて闘うんだろう?なら手加減は相手に失礼なんじゃないか?なぁローチ」
「何にせよ本気で掛かってきても大丈夫だ、これでも俺は兵士だからな、簡単に潰れるような柔な人間じゃないさ」
ゴーストとローチが返答する
「やはり兵士だったのかい、では手加減するなんて言って申し訳なかった、本気で行かせてもらうよ」
それだけ言葉を交わしてゴーストはギャラリーの最前へ、ギーシュとローチは離れて向かい合う

「まずは名乗りを上げさせて貰おう!僕はギーシュ・ド・グラモン!!
 青銅のギーシュだ!僕は青銅のゴーレム、ワルキューレを操って闘う!
 軍人の息子として、一人の男として正々堂々と手加減無しで最後まで行かせてもらうよ!」

「俺はローチ、TF141…いや、無所属だ
 生憎メイジじゃないもんでな、銃と爆発物で闘わせてもらう」

二人が名乗りを上げるとギャラリーがザワザワとし始める
「銃だってよ」
「あんな平民の苦し紛れの武器が役に立つのか?」
「流れ弾に気をつけろよ」
「この距離だったら当たってもたいした怪我にならねぇよ」
その声を聞きながらギャラリーに混ざったゴーストはニヤニヤとしていた

「では…行くよ!!」
ギーシュはその声と同時に薔薇を大きく上に振り上げる
すると地面から等身大の美しい装飾が成された鎧を纏った青銅の人形が何体も現れる
「行け!ワルキューレ!!」
ギーシュが指示を出すと素手のワルキューレがローチに向かってまっすぐ突撃して来た

「こりゃぁ凄ぇな…っと!」
ローチは眼前の奇跡(マホウ)に驚きながらサイドステップをしながらM240のコッキングレバーを引く
ローチから突っ込んできたワルキューレの射線上に人が居ない様になるまで横に移動を続けていると
ワルキューレは眼前10メイル内にまで接近していた
「悪いがお嬢さん、粉々になってもらうぜ?」
ローチはM240を腰だめで構えセーフティを外しトリガーを引く

ローチとゴーストにとって聞き慣れた、そしてハルケギニアの人間にとって怪物が吼えたかのような轟音が響く
瞬間、ローチに向かい走ってきたワルキューレの右脇腹から左肩にかけてより上が凄まじい勢いで削られて行き
砕かれ粉々になった青銅が粉塵のように舞い、ワルキューレを隠していく
ローチとゴーストにしてみれば青銅を撃ち砕き粉々にして行くように見え
かたや生徒達には見た事の無い魔法のような物で消し去られているように見える
ローチがトリガーを離すと上半身は左腕と胴体しか残っていない無残なワルキューレが現れる
「なんだありゃぁ!!」
「魔法か?!」
生徒達が目にした事のない状況に慌てふためく
しかしワルキューレはその状態でも歩き始め、加速し、ローチへ向かって進む
「マジかよオイ!!」
225 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:08:00.51 ID:jwlEIpjc
ワルキューレは残った左腕を振り上げローチを殴り飛ばそうとする
しかしローチは余裕を残し殴りかかって来た腕をM240を支えていた左手をM240から離して軌道を逸らす
「プレゼントだ!」
ローチはステップを踏みワルキューレの後ろに回り先程使った左手を自らの腰に回す
そして小型のバックパックからC4を取り出しワルキューレの背中に投げつけ貼り付ける
周りから見れば何をしたのかも分からない一瞬の事だ、ただ後ろに回っただけの様にも見えるだろう
ローチはバックステップを数回踏みワルキューレから離れ、すぐさまC4の起爆スイッチを左手に取る
右手で肩から下げたM240を背中に押しやり左手を下げる
ローチは仁王立ちし右手をゆっくり上げる

「あいつ…何してんだ?」
生徒達がざわざわと煩くなり始める
「ローチのやつ…何格好つけようとしてんだ…馬鹿が」
ゴーストはローチが何をしようとしているのか察知したのかあきれ果てる
皆がローチの仕草に注目し始めた、それを待っていたかのごとくローチは指をパチンと鳴らす
それと同時に左手の起爆スイッチを押す
瞬間、ワルキューレが爆発し砕け散った

「な、何が起こった?!」
「杖…使ってねぇよな…?」
「ま、まさか…せ、先住魔法?!」
生徒達の間で憶測が飛びかう

「ふふっ、凄いね…!行け!ワルキューレ達!!」
ギーシュは見た事の無い奇跡(カガク)に武者震いし、様々な武器を持ったワルキューレを突撃させる、変則的に、合理的に
素人目では避けようの無い波状攻撃にも見えただろう、しかしローチは洗練された兵士である、敵が近接武器である限り回避ルートが見える

ローチはM1014を腰から回しグリップを右手に収め、最近距離に居るハルバードを持ったワルキューレの踏み込む寸前の右足を12ゲージ弾で吹き飛ばす
今にも地面につけようとしていた足が無くなったワルキューレはバランスを崩し前に倒れる
チームワークに重点を置いた攻撃はただ一人が潰れただけでいとも容易く破れる
倒れたワルキューレを踏み越え振り向きチューブマガジン内に残っている3発を倒れ、もがいているワルキューレにぶち込む
胴体が粉々になったワルキューレは活動を停止して瞬く間に土へと戻っていく

M1014を後ろに回し両手を使える状態にする
先程までローチが居たところに密集しているワルキューレ達に向かい腰辺りにぶら下げてあるセムテックスを両手で掴みピンを引っこ抜く
すぐさまセムテックスを投げつけワルキューレにくっ付けた


学院長室

「ふむ、ガンダールヴ…始祖ブリミルの使い魔…のう」
オスマンはメモを見つめながら呟く
「はい、彼の左手に現れたルーンはかの始祖ブリミルの使い魔、ガンダールヴと同じものでした!」
冷静に努めていたがコルベールはつい興奮し声が大きくなる
「君はどう思うかね?」
「彼は間違いなくガンダールヴです!」
コルベールは拳を握りオスマンに力説する
「まぁ落ち着きなさい、ルーンだけで決め付けるのはややせっかちだと思うがのう」
226 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:09:00.45 ID:jwlEIpjc
その時誰かが部屋のドアをノックする
「誰じゃね?」
オスマンがドアの向こうの人物に聞こえるよう大きな声を出す
「ロングビルです、オールド・オスマン」
ドアの向こうの女性、ミス・ロングビルが答える
「なんじゃね?」
「ヴェストリの広場で決闘をしている生徒がいるそうで大騒ぎになってます
 止めようとした教師もいましたが生徒達に邪魔をされて止められないそうです
 教師達は決闘を止めるため眠りの鐘の使用許可を求めています」
「所詮子供の喧嘩じゃろうて、たかが喧嘩に秘宝を使ってどうするんじゃ、気の済むまでやらせておきなさい」
ここでオールド・オスマンは少し沈黙しミス・ロングビルに尋ねる
「ところで誰と誰が決闘をしておるのかね?」
「一人はギーシュ・ド・グラモン」
「ふぅむ、グラモン家の四男坊か……まぁ女絡みじゃろう
 で、もう一人は?」
「どうやら生徒ではないようです」
オールド・オスマンは首を傾げる
「…生徒ではない?」
「それが…ミス・ヴァリエールの使い魔だそうです」
それを聞いた途端にオールド・オスマンとコルベールが顔を合わせる
「…ミス・ロングビル、放っておきなさい」
「分かりました」
ミス・ロングビルがこの言葉を残して去っていったのだろう、コツコツと音が離れていく
「百聞は一見に如かずじゃ、本当にガンダールヴかどうか確かめるのに丁度良いとは思わんかな?」
オールド・オスマンが杖を一振りすると部屋にある大きな鏡に広場での決闘の様子が映し出される
「なっ…?!」
映し出されたのは集まった三対のワルキューレが無残に爆発し飛び散った瞬間だった

広場

「凄いね…あっという間に僕のワルキューレが残り2体になってしまったよ…!」
ギーシュが声を上げる、どうやら新鮮な光景に感動しているようだ
「だろ?俺のいた所でも結構なもんだぜ?」
ローチはギーシュに言葉を返しながらM240のボックスマガジンをチェックする
(M240に余裕はあまり無さそうだ、途中で弾切れしてテンパりたくは無いな)
M240を背中側に押しやりレッグホルスターに手をかける

「行けっ!」
ギーシュは薔薇をローチの方に向かい細身の長剣を持ったワルキューレを向かわせる
直線的にでは無く斜めに横にジグザグと予測不可能にローチへ向かって走る
しかしローチは動かない、しっかりと見極めれば攻撃を読めるからである
ローチは何もアメリカの技術だけを習得したわけではない
使えるものは使い、利用できる物は全て利用する
ワルキューレは長剣を右腰に構える
ローチは左手でナイフを抜く
ワルキューレが長剣を振る
227 :Call of Different ACT32011/09/24(土) 18:10:00.46 ID:jwlEIpjc
次の瞬間ワルキューレの長剣を持っていた右腕がありえない方向へ捻れ、折れていた
「何が?!」
ギーシュが驚きの声を上げる
ローチはにやりと笑い、DEを抜いてワルキューレの腕の折れた部分を3.4発撃つ
ワルキューレの右腕が吹き飛ぶ
「SHIT…流石にDEと言えどハンドガンじゃぁ青銅は簡単に壊れてくれないな…」
ローチはすぐさまDEをホルスターに収め肩に手をかける
「こいつはどうだ?」
M82を肩から一周させて腰だめに構えコッキングする

「さっきのは一体?!」
「今までのもおかしいがあのデカイ杖は…?!」
「平民か?メイジか?それとも…なんだ?」
ギャラリーが慌てふためいて隣や付近の仲間と確認を取る
(さっきのは…ナイフで後押しして回して弾いたな?システマ(ロシアで使用される軍部格闘術)に近い感じもするが…人間業じゃねぇ)

腰だめから右腕が千切れたワルキューレの胸を狙いトリガーを引く
凄まじい音、閃光と同時にワルキューレの胴の上に大穴が開き上半身が千切れ飛んだ
下半身のみ無残に残され、上半身を失った青銅の人形が地面に倒れる

ローチはすぐに振り向きギーシュの側にあるワルキューレの頭にサイトで素早く狙う
ギーシュが反応し、ワルキューレを動かそうとワルキューレの方を見る
しかし視界に映ったのはワルキューレの頭が轟音と共に消し飛ばされた瞬間だった
ギーシュは目を丸くし呆気にとられた、が
「まだ動かせる!!」
すぐに正気に戻りワルキューレを走らせる
ローチは自分の方へ走ってくるのを許さないと言わんが如く上から削っていく
右肩が消え右腕が吹き飛んだ 左胸が消え、肩より先が千切れ飛ぶ
胸、脇、鳩尾、脇腹、下腹部、次々と消し飛ぶ
全弾撃ち込んだローチの元に到着したのは脚の破片だった

「フフ…ハハハハハ!」
ギーシュは全てを見届けた後大笑いする
ローチはその光景を眺めながらM82の空になったマガジンを投げ捨て、新しいマガジンを取り出して装填する
「ふぅ、困ったなぁ…もう僕に新しいワルキューレを作る力は無いよ…でも!」
笑い終えたギーシュは心底楽しそうに喋りにやりとしながら拳を握り構える お世辞にも良いとは言えない隙だらけの構え方
ローチは意図を汲み取ったのかM1014を、M82を、M240を次々と地面に落とす
「僕は最後まで全力を出すと約束したからね!」
「あぁ、来いよギーシュ」
ローチが構えを取る、一切隙の無い洗練された構え
「行くよ!!」

酷い物だった、殴りかかっては投げ飛ばされ、掴みかかっては無様にこける
ついにギーシュがボロボロになって動けなくなるとただ少し
「はっ…はっ…はっ……ふふっ、参ったよ僕の負けだ、完敗だよ」
敗北宣言、しかしその顔は実に晴れ晴れとしていた
232 :Call of Different ACT3 代理2011/09/24(土) 21:35:38.92 ID:HR+oGu4K
波紋は広がり歓声に、もしくは貴族が負けたというのを信じられない絶叫に変わる
「格好良いぞー!ギーシュー!」
「そいつは平民なんかじゃない!きっとエルフだ!!だからメイジは平民なんかに負けてなんて無い!!」
「いい闘いだったぞー!!」

学院長室

「…勝ちましたね」
コルベールが呟く
「そうじゃな……」
オスマンが難しい顔をして返答する
「やはり彼はガンダールヴです!間違いありません!早く王宮に報告を…!」
「いかんよ、それはいかん」
コルベールの言葉をオスマンが遮る
「王宮の阿呆共にガンダールヴの存在がもしばれたら喜び勇んで戦に利用するじゃろうて
 そうなれば…トリステインは酷い事になるぞ」
「…そうですね、その通りです」
「この件はワシに預けておきなさい、他言無用じゃぞミスタ・コルベール」
「はい…しかしあの杖のような物は一体…」
コルベールが呟くとオスマンが顔をしかめる
「なんじゃ、お主聞いたんじゃなかったのか」
「いえ、聞いても『秘密だ』としか、後は話を逸らされるばかりで」

オスマンが髭を撫でつけ呟く
「…もしや…破壊の杖も……」
「どうしました?」
「うんにゃ、何でもないよ では行きたまえ」
「?…はい、では失礼します」
コルベールはやや疑問を浮かべ、しかし言われたとおりに学院長室を出る

「…面倒なことになりそうじゃの」
自分以外誰もいない部屋で一人呟いた
233 :Call of Different ACT3 代理2011/09/24(土) 21:38:00.12 ID:HR+oGu4K
以上です
今回から銃は型式表記にしています
銃とか興味ねぇよ、って人にとってはどんな銃か非常にわかり辛いかも知れません
あとギーシュさんが凄くいい人なのは…特に意味はありません
なお、このCoDではキャラクターの設定が多少変わっていたりもします。
今回のギーシュさんがその一人です


これで代理投下を終わります。
236 : 忍法帖【Lv=3,xxxP】 2011/09/24(土) 22:02:21.00 ID:rqb/oBCr
ところでいつの間にかリセット喰らってたんだけど投下ってレベル10くらいないとキツいよね?
237 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/24(土) 22:17:25.28 ID:EpDuTdHK
お二人とも投下乙

>>236
避難所に投下スレ・代理スレなんてものがありましてな
241 : 忍法帖【Lv=23,xxxPT】 2011/09/25(日) 00:32:33.37 ID:Abl+4gBW
>>236
まあ自力で投下するんならね。
239 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 00:17:47.44 ID:f19M/+Fp
ルイズが召喚したのは、見上げるような巨体を持つ毛むくじゃらの亜人だった。
全身は頑強そうな鉄の鎧をまとい、がっしりとした肉体の肩には鋭い角が生えている。
こいつは強い。数々の戦いを繰り返したコルベールだけでなく、生徒たちもひと目でその亜人の強さを見て取って戦慄した。
そして亜人は、大きく裂けて鋭い牙の生えた口をニヤリとさせ、ルイズに向かって言った。

「小娘、このオレサマを使い魔にしようとはいい度胸だ。
オレサマの強力な水中バレエを見て、思いっきり笑ったあとは、魚も泳ぐ戦国風呂を味わうがよい!
このオレサマが、お前たちのハナミズを飲みつくしてくれるわ!」
「はぁ?」
262 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 11:18:31.93 ID:rFvxSDq3
>>239
グルグルのカセギゴールドかよw
…そういえばあの世界なら、魔王ギリや幹部クラス以外は魔物でも使い魔やってくれそうだな
怖い顔のお爺ちゃんとかチクリ魔とかw
242 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 03:21:50.33 ID:a40ZuQNm
巨大な亜人…Fallout3のフォークスさんを召喚したら大当たりだよね?w
244 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 04:51:03.17 ID:GsEn3VXv
ちょっと質問だけど
ここに投下するSSを書く場合、
ゼロ魔側の視点で描くのと
クロス先側の視点で描くのと
どっちが好ましい?

自分が今書こうと思ってるのは後者なんだけど
ゼロ魔好きな人はクロス先側の視点で描かれるのは嫌なのか気になって
248 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 07:56:05.70 ID:LP+61OIq
>>244
気にする事は無いんじゃないの?
アンチ・ヘイト・蹂躙とかにならない限り
246 : 忍法帖【Lv=3,xxxP】 2011/09/25(日) 07:22:56.76 ID:eYWt+J45
乙ですー

しかし補給の見込みもないハルケギニアで、ずいぶん気前よく銃弾や爆発物を消費するなあ
たかが子供との決闘なんかで使うのはもったいない気がするけど
301 :Call of Different2011/09/25(日) 17:19:48.85 ID:X9Ceqr3H
>>246
弾薬及び爆弾等の無限補給が出来る魔法の救援物資がある為
学院から移動しない限り弾薬は尽きません。
チート気味ですがこうでもしないとありえない速度で弾薬が無くなるのです
249 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 07:56:34.35 ID:3LKT3XeX
>246
よくは知らないけどキャンペーンボックスとかいうのが>247のいう∞補給かな?
250 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 10:43:40.69 ID:KKRWjIV5
こんにちは、はじめましてー。

初めてなのですが、一本書いてみたいと思います。
よろしければ50分頃から開始したいと思います。
252 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 10:49:12.34 ID:KKRWjIV5
それでは、とりあえず書かせていただきたいと思います。
まずは、序章からお楽しみください。
253 :〜序章〜2011/09/25(日) 10:53:13.44 ID:KKRWjIV5
「ミス・ヴァリエール、前へ」
「はい・・・・・・」
眼鏡をかけた頭髪の少し寂しい壮年の男性 コルベールに名を呼ばれ
桃色がかったブロンドの少女 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは僅かに表情を強張らせた。

今日は春の使い魔召喚の儀式の日
トリステイン魔法学院に在籍する生徒たちにとって、最も重要な儀式のひとつである。

何をやらせても、どんな魔法を使わせても失敗に次ぐ失敗
コモンマジックすら爆発させてしまう学院きっての劣等生のルイズではあったが、今日だけは違っていた。
彼女には自信があった。
否、それは確信と言ってもいいほどのものであった。
“必ず成功する”などというあいまいな感覚ではない“どのような使い魔を召喚するか”まで、思い描けていたのである。
254 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 10:57:22.68 ID:KKRWjIV5
ルイズは目を閉じ、静かに杖を頭上に掲げた
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール・・・・・・」
緊張気味の表情とは裏腹に、心の奥は暖かな感情で満たされていった。
(・・・見える、見えるわ。私の使い魔となるものの姿が・・・・・・!)
「五つの力を司るペンタゴン・・・・・・」
心の奥底から湧きあがった熱は、少しずつ全身へ広がっていった。
(ドラゴン、グリフォン、マンティコアにバジリスク、バイコーンなんかも捨てがたいわね・・・・・・)
「我の運命に従いし・・・・・・」
熱は体の隅々まで駆け巡り、末端神経にまで到達していた
(でも・・・・・・)
「この世界・・・・・」
(だけど・・・・・・)
「・・・ではない、異世界に住まうもの・・・・・・」
そう、ルイズは確信していたのだ。
255 :〜序章〜2011/09/25(日) 11:00:14.69 ID:KKRWjIV5
自身が呼び出す使い魔が、この世界の動物や幻獣などではなく、異世界より来るものであるという事を・・・!!
サモン・サーヴァントはこの世界、彼女たちの住まうハルケギニアのどこかから動物なり幻獣を召喚する魔法である。
何が召喚されるかは、術者の実力と属性に応じて、ある程度の傾向が見られるが、具体的に「何が召喚されるか」は、召喚されるまでは分からない。
まして、ここではない「異世界」から召喚されるなどあり得ないし、そもそも異世界が存在するという事すら、彼女たちの常識ではありえないことなのである。
しかしルイズには見えていた。
異世界からやってくる、自分の使い魔の姿が。
256 :〜序章〜2011/09/25(日) 11:02:21.83 ID:KKRWjIV5
(・・・・・・「異世界の魔法学校」で校長を務めていた大魔法使い、白い装束に身を包んだ悪魔のような魔力を持った妙齢の女性魔導師
 もしくは謙虚な騎士や、最強の戦闘民族、空を飛ぶ程度の能力を持った巫女さんを召喚するってのも悪くないわね・・・・・・)
そう、ルイズは「異世界」から「人間」を召喚するつもりなのだ!
「異世界」という時点で荒唐無稽に過ぎるのだが、まして人間の召喚ともなれば前例がない。それ自体はルイズ自身も重々承知していた。
しかし、それでもなおルイズは自分が「異世界から人間を召喚する」ことを確信していたのである。
・・・召喚するであろう対象をえらく具体的に想像したのは、まあたぶんどこかでアカシックレコードでもひも解いてしまったからであろう。
異世界へのアクセスには付き物の珍事である(んなわけあるか)。
それはともかく、彼女は自分の中で召喚対象のイメージを固めていった。
257 :〜序章〜2011/09/25(日) 11:04:29.23 ID:KKRWjIV5
「我が導きに答えし・・・」
(・・・だけど、だけどね・・・・・・)
「身長は170サント前後、黒髪黒目で私と同年代、ちょっとスケベだけど、とても頼りになる・・・平民!!」
(そう、平民!平民の男の子!!平民を召喚するのよ!
 人間の、しかも平民を召喚なんかしたら、それこそ「ゼロのルイズがやりやがった」って馬鹿にされるでしょうね
 ・・・でもいいの!“彼”は絶対に頼りになるんだから。最後まで私の力になってくれるんだから!!
 “彼”はちょっとスケベで・・・もしかしたら、私以外の女の子に目移りしちゃうこともあるかもしれないけど
 それでも最後には私のところへきて、私を助けてくれるわ。
 だからそんなときでも、私は“彼”のことを叱っても、心から謝れば許してあげるわ。
 ・・・あっ、でも“彼”が私を巡ってワルド様と死闘を繰り広げるようなことになったらどうしよう。
 いやん、こまっちゃうわ)
などなど、取り留めもない妄想を働かせつつも、ルイズの詠唱は最終段階を迎えた。
「その者を、我に従いし使い魔として召喚せよ!」
そう叫びつつ杖を振るうと、その杖の先には果たして、銀色に光り輝く鏡が中空に浮かんでいた。
「・・・やった!成功した!!」
彼女の『サモンサーヴァント』は成功した。
あとは、この鏡を通り抜けてやってくる異世界からの使い魔を待つばかりである。
258 :〜序章〜2011/09/25(日) 11:06:46.25 ID:KKRWjIV5
待つこと数瞬、「その者」は光の中から現れた。
身の丈170サント程度で黒髪黒目、肌はやや黄色がかっている。年齢は・・・一見すると彼女より数歳年上、20代前半くらい。
ただ、黒髪黒目で肌が黄色がかっている人種は、実年齢よりやや幼く見える傾向があると聞いたことがある。
であるならば、20代後半かもしれない。
・・・頭に巻かれた紫色のターバンとマントという出で立ちを見たときは、まさか「伝説の魔物使いの王様」でも召喚したかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。
全体的に見て、「大体は」予想通りであったが、やや狙いと外れていた。
そんな青年の出で立ちを見ながら、ルイズはしばし逡巡していたが、やがて結論を出した。
259 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 11:09:40.99 ID:KKRWjIV5
(・・・・・・ちょっと予想とは外れていたけれども、概ね狙い通り。とりあえず良しとしよう!)
そう結論付け、ルイズは後ろに控えていたコルベールを一瞥した。
コルベールは彼女と視線を合わせ、何も言わず、こくりと頷いた。
異世界・・・かどうかは分からないが、平民が召喚されるという前代未聞の珍事を目の当たりにし、コルベール自身少なからず驚いてはいたものの
学院の教師であり、伝統あるサモンサーヴァントの監督者でもあるという立場上、動揺を生徒たちに見せるわけにはいかなかった。
また、それ以上に「あの」落ちこぼれルイズがかなり異例とはいえ、ほぼ彼女の口にした通りの人物を召喚したということに、とても感心していた。
だからルイズの意志を尊重し、召喚の儀式を続行させることに決めたのである。
それを見てとったルイズは僅かに笑み、もう一度正面に向き直り、“彼”のもとへと歩を進めた。
“彼”とおよそ一歩の距離まで歩み寄り、今度はじっくりと観察した。
“彼”の瞳は、まっすぐルイズを見据えていた。
そして、何よりも“彼”は落ち着いていた。
「異世界に召喚される」という世紀の珍事を、今まさに実体験しているにもかかわらず、である。
260 :〜序章〜2011/09/25(日) 11:12:08.53 ID:KKRWjIV5
(・・・・・・よっぽど肝が据わっているのね。もしくは、前にもそんな経験をしてるのかしら?)
そんな“彼”の様子に感心しつつ、これから自分が“彼”にたいしてすることを想像し、少し頬を赤らめた。
「か、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。」
自分で呼び出しといてそりゃないだろと言いたくなるが、彼女も年頃の少女である。やはり気恥ずかしさはあるのだ。
そんなルイズの様子を、“彼”は何も言わず、ただじっと見つめていた。
ルイズは“彼”の瞳に吸い込まれそうになる錯覚を感じながらも、気持ちを引き締めて儀式を続行した。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
そう言い終わるや否や、ルイズは眼を瞑り、精一杯背伸びをして“彼”と唇を重ねた。
かくして、コンクラクト・サーヴァントは成功し、晴れて“彼”はルイズの使い魔となったのである。
唇を離し、赤みがかっていた頬をさらに朱に染めつつ、ルイズは使い魔となった“彼”を見た。
“彼”は相変わらず真っ直ぐな瞳で彼女を見つめていた。
261 :〜序章〜2011/09/25(日) 11:14:26.83 ID:KKRWjIV5
いささかの動揺も見て取れない“彼”の様子に若干の悔しさを感じつつ、ルイズは自分の使い魔に対してまず何よりも初めに知るべき情報を得るために、彼に語りかけた。
「あなた・・・名前は?」
その質問を投げかけられ、“彼”は力強く、はっきりと答えた。


「私の名はヨシヒコ。勇者ヨシヒコです!」


(・・・ヨシヒコ・・・)
彼の名を心の中で反芻しつつ、ルイズはこれから彼との生活を思い描いていた。

・・・・・・しかし、ルイズが先ほど“彼”・・・ヨシヒコに対して感じた“違和感”が実際はとんでもなく大きな食い違いであったことに気付くのに
そう長い時間はかからないのであった・・・・・・




――――――――――予算の少ない異世界活劇――――――――――

                使い魔ヨシヒコと零王の城
263 :使い魔ヨシヒコと零王の城2011/09/25(日) 11:19:18.05 ID:KKRWjIV5
というわけで、序章終わりです。

以下このSSデータ

タイトル:      使い魔ヨシヒコと零王の城
クロス元       勇者ヨシヒコと魔王の城
召喚対象      ヨシヒコ
召喚された時期  ドラマ最終回後(魔王討伐後、カボイの村に帰還してからしばらくして。)


といった感じです。
CMの後、第一話に入りたいと思います。


しかし、Lv.1のワタクシには規制きびしす。
265 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 11:42:07.26 ID:+5ofd7AT
投下乙
題名の零王でどうしても青髭生やしたルイズを幻視してしまう
266 :使い魔ヨシヒコと零王の城2011/09/25(日) 12:03:13.14 ID:KKRWjIV5
ありがとうございます。

どうもバイバイさるさんのようでした。
避難所はホスト規制だし・・・。

なんとも八方ふさがりでございます。
267 :使い魔ヨシヒコと零王の城2011/09/25(日) 12:19:32.96 ID:KKRWjIV5
何とか書き込めそうなので、行けるところまで行こうと思います。

268 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 12:22:08.32 ID:KKRWjIV5
コントラクト・サーヴァントも無事終わり、ルイズとヨシヒコは半歩の距離で暫し瞳を交わしていた。
しかし、次の瞬間ルイズは違和感を感じた。下腹部に「何か」が当たっているのである。
ルイズはその「何か」の正体を確かめるため、視線を下に向けた。
そして、信じ難いものを目にしたのである。
彼女の下腹部にあたっていた「何か」は、ヨシヒコから伸びていた。
ヨシヒコの脚と脚の間から、それはそれは立派な『懐刀』が伸びていたのだ。
それが「何」なのか、ルイズは一瞬わからなかった。
しかし、すぐにそれが「ナニ」であることを理解し、朱に染まっていた顔を茹で蛸のように真っ赤にし
「んなっ・・・な、な、な、ななな」
さらにその次の瞬間には真っ青にしながら転げるように後ろに飛びのいた。
「なんなのよそれ――――――ッッッ!!!!」
怒りやら羞恥やらなにやらで頭の中をグチャグチャにしながら、ルイズはヨシヒコに向かって咆哮した。
270 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 12:24:12.71 ID:KKRWjIV5
二人の様子を見守っていた周囲の貴族子弟たちは、ルイズが叫んだ時は何が何やらさっぱりわからなかったが
やがてヨシヒコの『懐刀』の存在に気付き
ほとんどの女子生徒たちはキャーキャーわめきつつもヨシヒコの『懐刀』を凝視し
大半の男子生徒達は「なん・・・だと・・・」やら「負けた・・・・・」だの思い思いの言葉をつぶやいていた。
ただ、青髪の眼鏡の少女―――タバサは一瞥し
「巨根」
と一言だけ呟いて手元の本に向き直り
燃えるような赤髪の少女、キュルケは
「あら、なかなか立派じゃない。」
などと言いつつ、感心した様子で頷いた。
271 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 12:26:31.58 ID:KKRWjIV5
さて、当のルイズとヨシヒコであるが、ルイズは暫くたっても混乱から向けだせないようで
「なによなによなによなによ、いったいなんだってのよ・・・・・・ッ!!」
などと言葉を吐いていた。
そりゃまあ、そうである。メイジにとっては必須の儀式の一環であるとはいえ、先ほどまで思い描いていた(のにほぼ近い)青年と、
かなりいい雰囲気の中で唇を重ねた、その矢先でこれである。
そりゃまあ、文句の一つでも言いたくなる。
そんな混乱した様子のルイズとは対照的にヨシヒコは相変わらずの曇り無き眼で、ルイズを見つめ口を開いた。
「仕方がないじゃないですか!」
(・・・・・???)
272 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 12:29:15.32 ID:KKRWjIV5
ヨシヒコの一言に、ルイズはますます混乱を深めていった
いったい何が、どうしてどうなればこの状況が『仕方がない』という事になるのだろうか、さっぱり理解できないでいた。
そんなルイズの気持ちを知ってか知らずか、ヨシヒコは言葉をつづけた。
「あらかじめ知っていたとはいえ、美少女とチューしたんですよ!男なら誰しもそうなります!!」
そうヨシヒコは、ルイズをはじめ、その場にいる全員に向かって力説し始めた。
「確かに彼女は貧乳でナイチチでタイラムネです!もう『君って男の娘じゃね?』ってレベルでかわいそうなゼロムネです!!
 それでも、それでも!!こんな美少女に唇を奪われて、これからひとつ屋根の下で共に暮らしてゆくことを想像して!!!
 それで何の反応も示さないおとこがいるのならば、それはもう『機能不全』という他ない!!!!」
と、だれに恥じることもなく語りきったのである。
273 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 12:31:34.00 ID:KKRWjIV5
その、あんまりと言えばあんまりな言い分に、男性諸兄の大半は心の中でうんうんと頷き、女性陣のほとんどから顰蹙を買った。
言われた当の本人である、ルイズからしてみればたまったものではない。
それどころか、ここぞとばかりに罵詈雑言を並べて自分を罵った『平民』に、今までにないほどの怒りを感じていた。
「だっ、だだだだッ・・・だぁれがゼロムネのルイズよッッッッ!!!!!!!!
 平民のくせに、平民のくせにッ!!ふざけないでよ!!!!
 だいたいあんたね!『あらかじめ知ってた』ってッ・・・・・・え?」
そこまで言って、ルイズは気付いた。ヨシヒコが、実はさきほどとんでもない情報を口にしていたことを。
いまだ冷めやらぬ怒りを何とか抑え、ルイズはいやいやながらももう一度ヨシヒコへと歩み寄り、問いただした。
「あんた・・・ヨシヒコっていったっけ?さっき確かに言ってたわよね、『あらかじめ知ってた』って。
 それってつまり、あんたは『今のこの状況』を理解してるってこと?」
274 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 12:33:54.78 ID:KKRWjIV5
もっともな疑問である。
彼女は確信していた、ヨシヒコが異世界から来たということを。
ヨシヒコが異世界から呼び出されたのならば、現在のこの状況が理解できていなくて当然である。
・・・考えてみれば、最初からおかしかった。
サモン・サーヴァントで召喚された直後から、彼はまったくあわてていなかった。
それどころか、これから何が起こるかすべてを理解したような表情で成り行きを見守っていたのである。
よくよく考えれば、彼の態度は徹頭徹尾異常すぎた。
275 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 12:35:59.60 ID:KKRWjIV5
そんな彼女の考えを知ってか知らずか、ヨシヒコはにべもなく答えた。
「ええ、私は異世界から使い魔としてあなたに召喚された。あなたの目となり手足となり、あなたを守る守護者となる。そうですよね。」
「ええ・・・その通りよ。」
やはり、彼は状況を理解していた。
・・・ではなぜ?どうしてあらかじめ『知って』いたの・・・?
そこがルイズには分からなかった。だからその部分を問いただすことにした。
「じゃあ・・・」
その時だった。


           ――――――――――それには私が答えよう!!――――――――――
276 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 13:00:16.69 ID:KKRWjIV5
突然、天から声が聞こえた。比喩でもなんでもない、空の上から声が響いたのである。
この天の声を、その場にいる全員が聞いたのであろう。何が起きたのか理解できず、混乱した様子で空を見廻していた。ただ一人、ヨシヒコを除いては。
ヨシヒコは空の一点、雲と雲の間を見つめ大声で叫んだ。
「仏様!!」
・・・ホトケサマ??なにそれ??
ヨシヒコが見つめている方向を見ても、何も見えない。ただ雲間から青空がのぞいているだけである。
だが、ルイズ以外、ほかの生徒たちはにわかに騒ぎ出した。
「なに!?なになになに!?なんなのあれ!!??」
「大きい人?伝説の巨人!?」
「先住魔法か!?だとしたら、エルフがっ!!!」
さしものキュルケも、あまりの予想外の事態に普段では決して見せないような呆け顔で雲間をみつめ。
常に沈着冷静で、感情の変化に乏しいタバサですら
「なに・・・あれ・・・」
と、驚きを隠せない様子で呟いた。
277 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 13:04:49.21 ID:KKRWjIV5
そんな混乱した様子の生徒たちを、コルベールは必死になだめようとしていた。
「落ち着きなさい!アレ・・・彼はどうやらミス・ヴァリエールの使い魔・・・えっと、ミスタ・ヨシヒコ?の知り合いらしい。だから、ひとまず落ち着きなさい!!」
どうも、ルイズ以外の全員に『何か』が見えているのは確かである。しかし、どれだけ凝視してみても、やはりルイズには何も見えなかった。
「なにも・・・見えないわ・・・・」
少なからず落胆し、ルイズは肩を落とした。
そんな様子を見かねたのか、『見えない何か』は明らかに不服そうな声で語りだした。
「おいおいおいおい、よりにもよって主人公に見えてないってどういう事よ?これあれよ、ヨシヒコとおんなじパターンよ?
 もうこういう繰り返し系のギャグ系とか?そんなもん求めてないからね全く」
と、天から聞こえてきたにしては重みを感じない、軽い感じで『何か』が語りかけてきた。
しかし、そんなこと言われても見えないものは見えないのである。そんな文句を言われてもどうしようもない
そうルイズは反論しようとした。その時、横からスッと何かを差し出された。
横を向くと、ヨシヒコがレンズが赤と青の眼鏡を持っていた。
「これを。」
そう言われ、若干いぶかしみつつも、言われた通り赤青メガネを受け取りそれをかけてみた。
278 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 13:06:59.17 ID:KKRWjIV5
「全くこれがなんだって・・・・・・ってうおぉぉっっ!!??」
と、まったく女の子らしくない声をあげて、ルイズはのけ反った。
目の前にはローブをはおった、やたら顔のデカいおっさんが飛び出してきたのである。
あまりの出来事に腰を抜かしそうになったが、そこは公爵家の令嬢。気丈に立ちつつ、目の前の何かに向けて質問をぶつけた。
「あんた・・・あなたが、ホトケサマ・・・?」
しかし、ルイズのその疑問には答えず、心底不服そうな表情で言葉を発した。
「まったく、またこのパターン?もういいかげんね、ホトケショックだからね?
 ヨシヒコだって最後は見えるようになったんだからさー、お前もちゃんと見えるようになれよ?」
言う事がいちいち癇に障るが、ここで癇癪を起こすと話が進まなくなりそうだったので、ルイズはとりあえず我慢することにした。
それを知ってか知らずか、ヨシヒコは目の前の巨大なおっさんに向けて話し出した。
「仏、今回はどうしていらっしゃったのでしょうか。」
そう問われ、仏(?)は一つ咳払いをし、居住まいを正して、可能な限り重々しい感じで語りだした。
「うむ。その者、ルイズが『どうしてヨシヒコは、異世界から突然呼び出されたのにもかかわらず、現状を把握しているのか』を疑問に思ったらしくてな。
 それを説明するために出てきたのだ。」
「なるほど。それは痛み入ります。」
279 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 13:10:01.93 ID:KKRWjIV5
ヨシヒコはそう丁寧に答えた。
その答えにそこそこ満足したのか、さらに居住まいを正し、話し続ける。
「ふむ。それとヨシヒコよ、残念ながら私は仏ではないのだ。」
その一言を聞き、ヨシヒコは少なからず驚いた。
「そんな・・・。確かにいつものようなボツボツの頭ではありませんし、まるで魔法使いのような服を着ていますが、顔も声も登場パターンも同じなので、てっきり仏様かと・・・・。
 ・・・では、あなた様はいったい・・・。」
「うむ、答えてしんぜよう・・・・・。」


           ――――――――――我が名はブリミル。始祖ブリミルである!!――――――――――


「・・・んなっっ・・・!!!」
ルイズは驚愕した。
当然である。目の前の(というか上のほうの)どう見ても胡散臭い人物が、よりにもよって始祖ブリミルだと名乗ったのである。
普通に考えれば神への冒涜にも等しい暴言であるが、空の上から現れ、なおかつ異世界からやってきた使い魔の素性を知っているという異常事態。
これはもはや『始祖の御業』とでも思わなければ納得できないことである。
・・・しかし・・・・・・
「え、ん、ん、ん、なになになに?びっくりしちゃった?びっくりして声も出なくなっちゃった?」
これである。
280 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 13:13:09.77 ID:KKRWjIV5
このあまりのノリの軽さ、これがあの伝説の始祖・ブリミルであるとはとても信じがたい。
だがルイズは、突っ込みたい衝動を抑え、話を聞くことにした。
でないと、いつまでも話が前に進みそうになかったから。
「それで、ぶ、ブリミル様?この使い魔、ヨシヒコはどうして事情を知っているのでしょうか?」
「ふむ、それだがな・・・・・」


仏改めブリミルが語るには、ヨシヒコはかつて異世界の勇者であった。
疫病に苦しむ故郷の人々を救うため、故郷の村に伝わる伝説の剣『いざないの剣』を手にし、ただ一人の家族である妹を残し、疫病を治す薬草を求め旅に出た。
道中で仲間を得、ついに薬草を手に入れるも、疫病の元凶が世界の支配をたくらむ魔王によるものであることを知り
仏(ブリミルと似てはいるが、違う存在らしい)の導きに従い、紆余曲折を経つつ魔王を倒すための伝説の武具をそろえ
ついに魔王の城へと乗り込み、魔王を討伐した。
その後ヨシヒコは仲間たちと別れて故郷の村に帰り、つつましいながらも妹と共に幸せに暮らしていた。

そんなある日。
「ヨシヒコ!ヨシヒコよ!!」
平穏な日常は、突然終焉を迎えた。そう、人騒がせな仏によって。
「お久しぶりです。どうしました、仏。」
「うむ、実はお前に久々にお告げをしようと思ってな。」
281 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 13:16:38.13 ID:KKRWjIV5
「本当に久々ですね。しかし仏、魔王を討伐してから魔物は出なくなり、疫病も消え、魔王に操られていた人々も心を取り戻し、今は平和そのものです。勇者の力が必要だとは思えないのですが・・・」
「うん。随分説明的な台詞ありがとう。でもねヨシヒコ、それで『平和になりました まる』だと話が続かないし、映画化だってされないでしょ?よね、よね?
 だから新たな使命を持ってきたんですー。というわけですー。」
「わかりました。で、その新たな使命とはなんでしょう。」
「ふむ、それでは告げよう・・・
 ヨシヒコよ、ここではない異世界へと行き、そこでルイズという少女と会い、その使い魔となれ。
 そしてルイズと共に、異世界を救うのだー!!」
普通、突然『異世界』などと言われたら信じられないであろう。しかし『普通じゃない』世界で『普通じゃない』冒険をし
しかも当の本人が『普通じゃない』くらい真っ直ぐでお人よしであったため、仏の胡散臭いお告げを信じてしまった。
「分かりました。では私はその異世界へと行き、ルイズという少女と共にその世界を平和にして見せます!!」



「・・・・というわけで、仏の導きに従い、私はこの世界へとやってきたのです。」
「はぁ〜〜〜〜〜〜・・・・・。」
283 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:02:02.04 ID:KKRWjIV5
ヨシヒコと(自称)ブリミルの話を半ば呆れ気味に聞いていたルイズであったが、どうやら話が一段落したらしところで、疑問をぶつけてみた。
「あのね、ヨシヒコ。あんたはそれを信じたわけ?
 そんなざっくりとした、しかも『異世界に行って使い魔になれ』だなんて、理不尽すぎる使命を」
「確かに仏のお告げはざっくりとはしていますが、今まで外れたことはなかったですし、それに困っている人がいたら手を差し伸べるのが勇者の使命ですから。」
そういわれ、やや納得はできなかったものの(ヨシヒコってそういう性格なのね)と、とりあえずその場は理解をすることにした。
するとそこで、(自称)ブリミルが横やりを入れてきた。
「しかしルイズよ、お前にも予感はあったのではないか?『異世界の青年を召喚する』という、確信にも似た予感が。」
「うっ・・・それは確かに。」
確かに彼女は『異世界から人間を召喚する』と確信していた。
そのだいたいの姿形まで思い描くことができたのも、どこかでアカシックレコードにアクセスしてしまったからであろうが
それではなぜ自分はアカシックレコードにアクセスできたのか、それは彼女自身にも謎であった。
「そのことについては、時期が来れば教えることとしよう。ほかに何か聞きたいことはあるか?」
284 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:06:10.63 ID:KKRWjIV5
ルイズはなんかはぐらかされたような気がしないでもなかったが、とりあえずそのことは置いといて、他に気になっていたことを聞くことにした。
「そうね・・・ヨシヒコの使命は私と共にこの世界、ハルケギニアを救う事らしいけど、これからどんな危機がハルケギニアに訪れるの?」
その疑問は最もであった。
最近、『土くれのフーケ』なる盗賊が貴族たちの財宝を荒らしまわっているとか、アルビオンで貴族たちが反乱を起こし、内戦状態にあるらしいなどの
よからぬ噂を聞くことはあるが、「世界の危機」と言われてもあまりピンとは来ない。
そのことはヨシヒコもおなじようで
「それは私も疑問に思っていました。やはりこの世界にも影からすべてを操り、災いをもたらす魔王が存在するのでしょうか」
その言葉に、最も動揺したのはタバサであった。
タバサは本を読むふりをしながら事の成り行きを見守っていたのだが、ヨシヒコの何気ない一言に心臓を掴まれる思いがした。
しかし、その表情の変化は僅かで、その後は努めて変化を悟られないように注意することにした。
だが、そこで語られた(自称)ブリミルの言葉は、信じがたいものだった。
「そりゃまー、アレだよアレ。まあなんか、盗賊とかを捕まえちゃったりー?戦争を止めちゃったりなんかしたり?病気を治療したり??
 まあとにかく色々アレなんだよ。」
285 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:09:57.31 ID:KKRWjIV5
・・・・信じ難いくらい、情報が曖昧であった。そして(自称)ブリミルはしどろもどろであった。
ルイズはジト目で睨みながら、呆れたようにつぶやいた。
「なによそれ、まるで情報になってないじゃない。伝説の始祖ならもうちょっとマシな情報を持ってきなさいよ。」
「ウッセーよ、バーカ!始祖だって教えられることと教えられないことがあるんですー。何でもかんでも教えたらお話にならないんですー。
 わかったら情報収集ぐらい自分でしろよこのゼロムネルイズ!」
「なっ、何よゼロムネって!胸は今関係ないでしょ!大体ねーあんたブリミルとか名乗っちゃったりしてるけど、さっきから悉く胡散臭いのよ!
 まともな情報も提供しないくせにえらそーに指示だけ出して、いったい何様よ!」
「始祖様ですー ブリミル様ですー。
 ・・・てかおめぇよぉ、いつからそんなため口聞くようになったんだよ、お?
 もっとちゃんと敬えよ。いつも食事の時に言ってるみたいに感謝しろよ!!」
「あんたなんかに感謝するなんて、もう一生願い下げよ!
 もう絶対、あんたなんかに祈ってやらないわ!
 今まで毎食事にあんたに祈ってたのかと思うと、虫唾が走るわ!!」
「あ、あーあーそういうこと言っちゃうんだー言っちゃうんだー。
 いーのかなー。せっかく最後に耳寄りな情報を教えてあげようと思ったのになー。
 教えるのやめよっかなー。」
286 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:13:54.03 ID:KKRWjIV5
「・・・・・・何よ。」
(自称)ブリミルとの言い争いですっかり聞く気が失せてしまっていたが、あからさまに思わせぶりな態度を取ったので、仕方なしにそう聞いた。
その反応を見て取った(自称)ブリミルはしたり顔になり
「えー、どーしよっかなー。おしえよっかなー、教えるのやめちゃおっかなー。うーん・・・・・・やっぱ教えない☆(テヘペロ」
「・・・・もういいわよ、どうせくっっっだらない情報なんでしょ?もういいわ。私は疲れたの。帰って寝るわ。」
と、ほんとに疲れた様子で言葉を吐き出した。
ちなみに、この後も授業の予定があるのだが、そんなことお構いなしである。
・・・それ以前に、(自称)ブリミルと不毛な罵り合いを繰り広げていた間に、もうとっくに次の授業の時間が来てしまっていたのだが、そんなことそっちのけの状態であった。
というか、その場にいたコルベール含む全員が、そんなことをすっかり忘れてしまっていた。
(自称)ブリミルはそんなことを知ってか知らずか(まあ全く気にしていないんだろうけど)、あからさまに気を引こうとするそぶりを見せつつ、独り言を言いだした。
「あーあ、残念だなー。せっかくヨシヒコに関する情報を教えてあげようと思ったのになー。
 これから否応なしに寝食を共にする使い魔が、『どのような』使い魔か、せっかく知るチャンスだったのになー。もったいないなー。」
287 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:17:14.17 ID:KKRWjIV5
その言葉には、ルイズも後ろ髪をひかれるものがあった。
自分の使い魔となったヨシヒコが途方もなくスケベで無礼千万で、異世界で勇者をしていたという事は理解した。
しかし、『使い魔として』の性質は?使い魔のルーンによって付加された能力は?分からなかった。
ヨシヒコの左手には、どうやらすでにルーンが刻まれているらしいが、今までに見たこともないルーンで、どのような性質のものかわからない。
・・・・・いや、そもそもあのルーンは『何時』刻まれた?
使い魔にルーンが刻まれるとき、その使い魔は激痛を感じるはずだか、先ほどまでのヨシヒコには、そのような様子は微塵も感じられなかった。
我慢したのか?
否。我慢しているという素振りすらなかった。では一体・・・・・・
思考の堂々巡りにはまってしまったルイズを一瞥し、(自称)ブリミルは意地悪そうな笑顔を浮かべて語りだした。
「う〜〜ん。そんなに気になってるのなら仕方がないな〜〜。よし、ルイズよ。おまえg「ああ、このガンダールヴのルーンのことですね。」・・・ってうぉい!」
と、今までの話の流れをすべて明々後日の方向に投擲して、当のヨシヒコ本人が語りだした。
自分の台詞に被せ気味にネタばらしをされてしまった(自称)ブリミルは、明らかに不満顔である。
「おいおいヨシヒコよ〜、そういう「な、なんですとぉぉぉおぉおぉッッ!!!」・・っておまえもかーい!」
288 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:23:17.92 ID:KKRWjIV5
今度はコルベールであった。
すっかり蚊帳の外でモブキャラ化しつつあったが、ヨシヒコの左手に刻まれているのがガンダールヴのルーンであると聞き、いてもたってもいられずヨシヒコに接近してその左手を取った。
「こ、これが・・・・・・
 なるほど、確かに珍しいルーンだとは思っていましたが・・・・・申し訳ありません、ミスタ・ヨシヒコ。
 そのルーンをスケッチしてもよろしいですかな?」
「ええ、かまいませんよ。」
「かたじけない!・・・・フムフム、ここがこうなって・・・・
 ・・・・・・・・なるほど。ご協力、感謝いたしまずぞ!さ、それでは続けてください!!」
といいつつ、また自分の定位置に戻って行った。
繰り返しになるが、すでに次の授業開始時間になって大分経っている。
本来ならば、コルベールは教師として生徒たちを先導しなければならない立場なのだが
(自称とはいえ)ブリミルと、その使い魔の証である、ガンダールヴのルーンを持つ青年が今ここにいるという奇跡ともいえる事態を目の当たりにし、すでにそんなことそっちのけであった。
「あーあー。せ〜〜〜っかく私がおしえてあげようかな〜〜っと仏心・・・ブリミル心を出したのに、お前ら邪魔すんなよな〜っ。」
などと不満げに語りつつ、不貞腐れてしまった(自称)ブリミルであった。
290 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:29:40.61 ID:KKRWjIV5
(・・・ガンダールヴ、確かに聞いたことがあるわ。始祖ブリミルの使い魔の一人で、あらゆる武具を使いこなし、千の軍勢を払いのけた『神の盾』。それが・・・・・)
そう、そのガンダールヴが今目の前にいるのだ。しかも、自分の使い魔として。
その事実にルイズは内心喜びを感じながらも、また新たな疑問が湧きあがってきた。今度はそれをヨシヒコに尋ねることにした。
「ねえ、ヨシヒコ。あなたなどうして、自分がガンダールヴだってわかったの?その仏・・・ブリミル?から聞いたってわけでもなさそうだし。」
それはそうである。お人好しでお調子者のヨシヒコのこと、仏からそう聞いたのならば、自分で最初にそう言うはずである。
別に口止めされていた、という事もなさそうだ。
まして、ハルケギニアに来てコントラクト・サーヴァントを終えてから、間もない。
あの(自称)ブリミルからそのことを聞き出すような余裕はなかったはずだ。
ならば何時、どのようにして・・・
「ああ、それはですね・・・・・・」
その疑問に、ヨシヒコは答えた。



再び時をさかのぼる。
仏のお告げを受けて、ヨシヒコの故郷、カボイの村を再び出立するところからである。
「兄様・・・また、行かれてしまうのですね。」
「ああ、仏より受けた新たな使命だからな。行かなければならない。」
「兄様、ヒサは・・・・・。」
291 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:34:23.76 ID:KKRWjIV5
言葉を紡ぎかけた妹、ヒサをヨシヒコは優しく抱きしめた。
「心配するなヒサ。約束しただろう、お前を一人にはしない。必ず帰ってくる。」
ゆっくりと離し、お互いの目を見つめあう。
妹は兄の目に決意を、兄は妹の目に覚悟を見た。
「・・・・はい。兄様、お待ち申しております。」
その言葉を聞き決意を固めたヨシヒコは、くるりと背を向け、カボイの村を後にした。
その背中を見えなくなるまで見届けたヒサは
「兄様・・・・ヒサは、心配です」
とつぶやいた。

カボイの村を出たヨシヒコは、一路アキバラの村へ向かった。
アキバラの村、家電製品とアイドルの村である。
この村で一度はアイドルをめざし、その夢破れてしまったヨシヒコにとっては、苦い思い出の村でもあった。
しかし、今回はそうも言っていられない。
ヨシヒコはダーマ神社へ向かった。
ダーマ神社の受付に並び、転職希望の用紙を眺めた。
「確か・・・・あった。」
魔物使いとモンスターマスターの間。そこにはこう書かれてあった。
『使い魔』と。
「使い魔になる」仏のその指令を聞き、確かダーマ神社で『使い魔』に転職できたはずだよなー。などと思い出したヨシヒコは
先に『使い魔になっておく』ことにしたのだ。先に使い魔に転職しておけば、まだ見ぬ異世界の自分の主人の負担を減らせると思ってのことだった。
292 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:37:37.32 ID:KKRWjIV5
余計なおせっかいである。
受付の列は進み、とうとう自分の順番となった。
ヨシヒコは受付の神主に、単刀直入に希望を告げた。
「『使い魔』に転職したいのですが・・・。」
「『使い魔』ですね。かしこまりました。
 ・・・ヨシヒコ様は『勇者』をマスターされていらっしゃいますね?そうしますと上級職の『ガンダールヴ』に転職することも可能なのですが、いかがしましょう。」
「では、それでお願いします。」
「かしこまりました。ではここに拇印を押してください・・・ありがとうございます。これで、今からヨシヒコ様は『ガンダールヴ』になりました。
 あと、こちらは『ガンダールヴ』のルーンになります。左手の甲にお貼りください。」
そういいつつ、神主はヨシヒコによくわからない文字が刻まれた紙のようなもの(タトゥーシール)を手渡された。
それを言われた通り左手の甲に貼りつつ、神主の話に耳を傾ける。
「『ガンダールヴ』は『使い魔』の上級職ですが、職業特性といたしまして、すべての武具が装備可能になります。
 また手に取ったすべての武具の取り扱い方法が自動で分かるようになります。
 また、マスターボーナスといたしまして、武器装備時に攻撃力と素早さがそれぞれ+50%される特典つきです。」
「それはすごい!ありがとうございました!」
そう言い残し、ヨシヒコはダーマ神社を後にした。
293 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 14:40:22.20 ID:KKRWjIV5
  
「・・・という事があったのです。」
その話を聞いたルイズは呆気にとられていた。
いうべき言葉が見つからなかった。
『転職できる』という神社なる施設が存在しているというのは驚きだし、そこで『使い魔』に転職できるということも驚きだった。それよりなにより・・・
「じゃ、じゃあヨシヒコ、あんたってここに、ハルケギニアに来る前から、すでにガンダールヴだったってわけ!?」
そうである。ヨシヒコの言葉が確かならば、かれはここに来る前から、ルイズと契約を交わす前からすでに『使い魔』で『ガンダールヴ』だったのである。
「じゃあ、じゃあなんで私と契約したの?ほんとに、ただ私と・・・その・・・キス、したかったから?」
その疑問に、ヨシヒコはてらいもなく答えた。
「まあそれもあります。というかそれが8割ですが
 契約を交わすまでは『使い魔』ではあっても『誰の使い魔か』までは特定されていない状態でしたから。それを確定させるために契約が必要だったみたいですね。」
いやそっちのほうが重要だろ、と突っ込みたくなったが。あまりにもあんまりな出来事の連続で精神的に疲弊しており、もはや突っ込む気力すらなくしていた。
「うん・・・もういい、もういいわ・・・とにかく、今日は疲れたから。私は部屋に帰って寝るわね・・・。」
そう言い残し、ルイズはおぼつかない足取りでその場を後にした。
295 :使い魔ヨシヒコと零王の城 〜一〜2011/09/25(日) 15:00:34.70 ID:KKRWjIV5
「待ってください。私はあなたの使い魔。お供します。」
そういいながら、ヨシヒコはルイズについて行った。
その様子を見ていたギャラリーの面々は、これでショーは終わったとばかりに、おのおのフライなりレビテーションなり
あるいは飛竜にまたがったりして学院へ帰って行った。
ただ一人・・・・・・
「うぉ〜〜〜〜いぃ。始祖を無視すんなよぉぉぉ〜〜〜い。」
中空に浮かびっぱなしの(自称)ブリミルをその場に残して・・・・・・。




「〜 一 〜  完」
296 :使い魔ヨシヒコと零王の城2011/09/25(日) 15:02:41.11 ID:KKRWjIV5
以上で第一話終了となります。
長々とスレを占有して申し訳ありませんでした。

ご覧になって下さった皆様、ありがとうございました。

そんなこんなで、ルイズとヨシヒコの珍道中が続いたり続かなかったりしますが。
なまぬる〜く見守ってください

後規制キビシス
297 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 15:33:50.84 ID:GBns+sxt
ヨシヒコって、ぶっちゃけあのちゃっちい映像と役者の演技力で面白かったから
活字化してもイマイチあの面白さは伝わらんなあ

寒いことになる前に考え直した方が良いぞ
うむ
298 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 16:03:12.56 ID:4gsDuGOY
元ネタは知らんが
出だしからルイズがアカシックレコードにアクセスだの人間召喚を確信だので
ガンゼロのエピローグを思い出したの乙

忘れ去られた巫女さんだか舞姫でも召喚して・・・だからどーしたになりそう
ラスボスさんにちなんで準ラスボスの使い魔とか・・・
ラオデキヤ(ジュデッカ=ゴッツオ)
メイガス
シオニーちゃん
インファレンス
ジュア=ム、フー=ルー
ジュア=ムはある意味アリかもしれんな・・・

>>297
ちゃちぃ映像と役者の演技力・・・実写版地獄甲子園だな!!
・・・これも活字化は難しいかも
302 :ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:41:29.53 ID:IwVj6RCn
皆さんこんにちは。ウルトラ5番目の使い魔、61話投稿開始します。
いつもどおりさるさん回避のために10分後、17:50にはじめますので、今週もよろしくお願いいたします。
303 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (1/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:50:04.65 ID:IwVj6RCn
 第六十一話
 未知なる世界の空を目指して
 
 サイボーグ獣人 ウルフファイヤー
 超異形進化怪獣 ゾンボーグ 登場!
 
 
 人は心を持つがゆえに人であり、心は愛を知ったときに魂となる。
 ならば愛を捨て、心を失ったときに人はなにになる……
 
 まだ夜明けには遠く、星の淡い光に照らされたラ・ロシュールの街。しかしこの街は今、血の様に赤い光にも照らされていた。
 エボリュウ細胞を搭載したロケット。それを搭載していた空中船に満載されていた大量の爆薬。本来であれば、
この街に眠る幾万という人々を怪物化するために用意されていた悪魔の種は、皮肉にもそれをばらまこうとしていた
張本人を宿主に選んだ。
 天に唾した者のむくいか、すべてのエボリュウ細胞に体を乗っ取られたワルドは、エボリュウ以上の超異形進化
怪獣ゾンボーグと化して街を襲う。
 死人のような茶色い皮膚に、肥大化した上半身。鎧のように胸元から伸びる六本の突起物。
 彼の醜い姿は歪んだワルドの心の映し鏡か。道を踏み外し、引き返すこともできなくなった果ての末路。
 
 暴走するゾンボーグを食い止めようと、ウルトラマンAは単身立ち向かっていく。
 人間の未来を信じる光の戦士と、間違った進化を遂げてしまった怪物。両極に位置する正邪の対決がはじまった。
「シュワッ!」
 街へこれ以上の接近を許すまいと、エースは正面からゾンボーグに挑みかかった。
 腕をぶつけあってよっつに組み合い、力と力の試しあいとなる。乾いた地面に足が食い込んで砂埃をあげ、互いの
筋肉がきしんで拮抗状態が生まれた。だがそれも一瞬のこと、十四万トンのタンカーを持ち上げることのできるエースの
パワーはゾンボーグを押し返し、勢いを緩めずに上手投げが炸裂する。
「ヘヤァッ!」
 地響きがなり、背中から地面に叩きつけられたゾンボーグを粉塵が覆う。最初の一手はエースの勝利だ。しかし、
これで怒りに火がついたゾンボーグは起き上がる前に口から稲妻状の光線を吐き出してきた。
「フッ! ウォォッ!」
 エースの胸元で火花が散り、のけぞってひざをついた隙にゾンボーグは起き上がってくる。裂けた口を大きく
広げて、第二撃を食らわすつもりだ。そうはいかないと、エースは体の前で腕を回し、円形の光の壁を作り出した。
『サークルバリヤー!』
 光線は方向を強制的に変更させられて、逆にゾンボーグの回りに複数の爆発を引き起こさせる。
 同じ手は二度通用しない。そのことを知ったゾンボーグはエースに接近し、格闘戦に持ち込んできた。太い腕を
振り上げて殴りかかり、胸元から伸びた鋭い突起物がエースを狙う。
304 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (2/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:51:11.17 ID:IwVj6RCn
 しかし格闘センスはエースもさるもの、ゾンボーグに足払いをかけて転ばせると、背中にのしかかってパンチの
連打をお見舞いする。上半身が大きくて重心のバランスの悪いゾンボーグはなかなか起き上がれない、そこを突いて
エースの連続攻撃が続く。
 
 だが、一見エースの優位で進行しているように見える戦いを、アニエスとミシェルは予断を許さない目で見守っていた。
「油断するな。そいつの実力はそんなものではないはずだ」
 直接、不完全とはいえ異形進化怪獣エボリュウと戦ったことのある二人には、あの怪獣の実力がこの程度だとは思えなかった。
 地下道で、人間大の怪獣と化してしまったワルドの力は、少し思い出すだけでもすさまじかった。腕力、防御力、さらに
光線を発射する能力。あのときも特殊な条件でなければ勝てたかどうかわからない。変貌し、巨大化したやつはそれらを
強化して身につけているはず、他にもどんな能力を隠し持っているかも未知数だ。
「あっ、危ない!」
 エースがゾンボーグの背中から振り落とされた。ゾンボーグはさしたるダメージを受けたようには見えず、真っ赤な
目を光らせてエースをにらみつけて、口を大きく開いた。
「雷撃が来るぞ! 避けろ!」
 光線という単語に単語になじみの薄いミシェルは、光線の外見のとおりに雷撃と呼んだ。一瞬ののちに、言葉の
とおりに緑色の電撃型光線がゾンボーグの口から放たれる。しかしさらに一瞬早くミシェルの声が届いていたエースは、
大ジャンプして光線を飛び越える。
「トオォーッ!」
「よしっ!」
 エースの掛け声とミシェルの歓声が同時に響く。山をも跳び越すエースの跳躍力なら、この程度の攻撃をかわすなど
造作もないことだ。そして今度は奴の頭上から一撃を食らわされられる! そう思ったときだった。
「なにっ! 跳んだっ!?」
 ゾンボーグはエースに合わせるようにして、蛇腹状になった足を大きくしねらせてジャンプした。今まさに急降下
態勢に移ろうとしていたエースは避けきれず、頭から体当たりされて空中から叩き落された。
「ウワァァッ!」
 背中から荒野に墜落し、今度はエースが大量の砂塵を巻き上げる。ゾンボーグはゆうゆうと着地して、溜飲が
下がったようにうなり声をあげた。その憎らしい声に、アニエスとミシェルも奥歯を噛む。
「くそっ、前は鈍重だったくせに、なんて跳躍力だ」
「ウルトラマンに届くほど跳べるとは、やはり肉体は相当に強化されているな。いかん! また来るぞ」
 ゾンボーグの口から放たれた光線がエースを襲い、エースはとっさに地面を転がって避ける。あの光線もエボリュウの
ときに比べたら格段に強化されているはずだ、まともに食らったら危ない。しかし接近するにしても、うかつに近づけば
的にされてしまう。
 ならば! エースは攻撃のあいまをついて立ち上がり、再度空中へ飛び上がった。
「馬鹿な! 空中戦では五分なんだぞ、どうする気だ」
 アニエスが、勝機は半分でしかないエースの行為に叫んだ。いちかばちかの賭けに出たのか? いや、エースは
そんな自棄な戦法をとる戦士ではない。追って跳んだゾンボーグとあわや空中衝突かと思われたそのとき、空中で
一回転したエースはゾンボーグとそのまま組み合って落下した。
305 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (3/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:52:18.23 ID:IwVj6RCn
「うまいぞ、捕まえた」
 わざと狙われるようにしたのは逆におびき寄せて捕まえるためだったのか。やはりエースはすごいと二人に笑みが戻る。
 組み合った状態から戻った両者は、そのまま格闘戦に移行した。こうなると、チョップ技、キック技に長けたエースは
得意の間合いから連続攻撃を決め、体の下からすくい投げをかけて転がせる。
「ようし、いいぞそのまま逃がすな!」
「一気にとどめを刺してしまえ。今度こそ逃がすな!」
 まだまだ、油断のできる相手ではないが戦いには勢いというものがある。よく訓練された精鋭の騎士が、ふいを
突かれるだけで、雑兵に反撃もままならずに討ち取られてしまうなどよくあることだ。アニエスとミシェルは数々の
経験からそのことをよく学び、ゾンボーグがひるんでいるこの隙に、撃破してしまえと声を張り上げる。
 
 しかしそのころ、戦いの流れを大きく揺るがす出来事が起ころうとしていた。
 ラ・ロシュールの街を襲ったウルフファイヤーの群れ、その大半は銃士隊と魔法衛士隊によって撃破されたが、
一匹残らず掃討されたというわけではなかった。最後に残った一匹が、追撃してくる銃士隊から逃げて街の
外へと飛び出してくる。
「逃すな! 追え!」
 部隊の小隊長を先頭に、小隊全員が馬に乗って街道にまで出て追いかける。女ばかりの部隊とはいえ、
くぐってきた戦場の数と質ではいまやハルケギニアでも有数だ。男どころか鬼神も退く激烈な闘志で、絶対に
逃してはなるかと馬に拍車を入れる。
 ところがそのとき、山陰にでも隠れていたのか緑色の閃光を放って空飛ぶ円盤が現れた。
「し、小隊長!」
「いけない。全員止まれ!」
 以前アブドラールスのUFOがトリスタニアを攻撃したことを覚えていた隊員たちは馬を止めた。今回の円盤も、
あのときのように空襲をかけてくるのか!? 警戒する隊員たちの前で、円盤は高速で飛んでくると、ウルフファイヤーの
頭上で静止して、光線をウルフファイヤーに照射した。
 するとどうか、人間大であったウルフファイヤーが瞬時に身長五十三メートルに巨大化したのだ。
「なっ!」
 巨大な遠吠えをあげるウルフファイヤーを見上げて、隊員たちは絶句した。さらに肩越しに自分たちを振り向かれると、
狩るものと狩られるものの立場が逆転してしまったことを悟った。
「いかん……さ、散開しろ!」
 小隊長の叫びとともに、部隊はクモの子を散らすように逃げ出した。しかし、ウルフファイヤーの口が大きく開かれると、
口腔の奥から灼熱の火炎が放射された。
「うわぁぁーっ!」
 直撃は免れたが、火炎が岩に当たって蒸発する際の爆風で数人が吹き飛ばされた。しかも、爆音で馬が怯えて
いうことを聞かなくなってしまった。巨大ウルフファイヤーは、追い回されたことを恨んでいるかのように迫ってくる。
 踏み潰される! 頭上に迫ってくる巨大な足に、引き裂くような少女の悲鳴がこだまする。そのときだった。
「テェーイッ!」
 間一髪で、ウルトラマンAがウルフファイヤーを羽交い絞めにして引き離した。
306 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (4/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:53:23.05 ID:IwVj6RCn
 助かった。ほっとする間もなく、圧死を免れた隊員は早く逃げろというエースのしぐさに従って、仲間たちに
支えられて必死で逃れていく。
 しかし、銃士隊員たちを救うことと引き換えに、大ダメージを与える寸前でゾンボーグを解放してきたことが
エースにとってあだとなった。ウルフファイヤーから銃士隊員たちを逃すために必死で押さえつけるエースの背後から、
ゾンボーグはその腕を巨大な触手のように伸ばしてエースの首を締め上げてきたのだ。
「グッ、フォォッ!」
 エースから苦悶の声が漏れる。怪力で首を絞められたら、さしものウルトラ戦士でも危ない。首を押さえ、なんとか
振りほどこうとエースはもだえる。そこへ、羽交い絞めから解放されたウルフファイヤーが攻撃をかけてきた。
怪力のパンチが胸を打ち、キックが腹に食い込む。
「グッ、ウォォッ!」
 防御の姿勢をとることもできず、ウルフファイヤーの攻撃がおもしろいようにエースに決まっていく。さらに、後方から
触手で引き倒されたエースを、二匹は引きづり回しながら踏みつけ、いいように痛めつけていった。
「くそっ! これじゃなぶり殺しじゃないか」
 アニエスがあまりの惨状に思わず叫んだ。これではまるで、首にロープをくくりつけて馬で引く拷問と同じだ。
首が絞まろうとするのを抑えれば体が痛めつけられ、体を守ろうとすれば首が絞まる。
 残酷な奴らめ、特にワルドは本当に意識が消えているのか? もしかしたら、ワルドの狡猾で卑劣な頭脳だけが、
そっくりそのままゾンボーグに残ったのではあるまいか。アニエスたちの周りには、窮地を逃れた銃士隊員たちも
集まってきて、深刻げに戦いを見守っている。
「隊長、すみません。私たちが深追いしたばかりに」
「もういい。それよりも、これからのことを考えろ」
 実際、部下の不手際を責めている時間などなかった。ウルトラマンAのカラータイマーは明滅をはじめ、残り時間が
わずかであることを示している。こんなとき、自分たちの非力が恨めしい。いや、いままで何回ウルトラマンAの戦いを
見てきたのだ、彼はいつでも絶対的不利をくつがえしてきたではないか。
「エースくじけるな! そんなもの振り払ってしまえ」
「ヌッ、フォォッ!」
 アニエスの怒声がエースの気合を呼び起こした。首が絞まるのを覚悟で両手を離し、その両手を合わせてエネルギーを
らせん状に集中させる。
『ドリル光線!』
 近接専用の特殊な光線で、大蟹超獣キングクラブの尾をバラバラにしたこともあるこの技ならば、ゾンボーグの触手も
吹き飛ばせるはずだ。しかし、その危険性を察知したのか、ウルフファイヤーの火炎がエースを吹き飛ばして、光線の
型が崩れてしまった。
「おのれっ!」
 動物的勘というやつか、同じ手は二度と通用するまい。ゾンボーグとウルフファイヤー、二匹の怪獣はエースにまだ
戦う力が残っていることを知ると、さらに攻撃を強めてくる。
 エースを拘束したままで、ゾンボーグはエースを引きずりまわして逃れる隙を与えない。ウルフファイヤーは踏みつけ
攻撃を続け、エースは象の足元の蟻のようにつぶされ続ける。
 アニエス、ミシェル、銃士隊はその凄惨な光景をただ見つめているしかなかった。自分たちの力ではなんの助けにも
ならない。それでも、なにかできることはないのか? 考えろ、圧倒的な力を誇る怪獣たちに対して、人間の武器は
最後まであきらめない勇気と、そして知恵しかない。
 かつて何度も救われたように、今ウルトラマンAを救えるのは自分たちしかいない。そのとき、ミシェルの胸中に
ひとつの記憶が蘇った。才人に救われたあの日、襲ってきたノースサタン星人を倒したエースの力。ミシェルは
決意すると、腰に刺した剣を引き抜いて走り出した。
307 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (5/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:54:56.15 ID:IwVj6RCn
「ミシェル! なにをする!」
 剣一本で二大怪獣に挑むつもりか、無茶すぎる。やめろとアニエスと銃士隊員たちの声が響くが、ミシェルの足は止まらない。
 二大怪獣が歩くたびに飛ばされてきた石や岩が、何個もすぐそばを通り過ぎていく。どれも、当たればよくて大怪我、
悪ければ即死する大変な凶器だ。それでもミシェルの足は止まらずに、エースの近くまで来ると、手に持った剣を
エースの手元に向かって精一杯の力で投げた。
「エース! そいつを使えぇーっ!」
 エースの目に、手元近くの地面に針のように突き刺さった剣が見える。そうか! これしかない! エースは剣を
掴み取ろうと手を伸ばす。むろん、なにをするかはわからなくても本能的に危険を察知したウルフファイヤーが飛び掛ってくる。
だが、一瞬早く剣を掴み取ったエースは、渾身の力で指先でやっと掴めるほどしかない大きさの剣を振り上げた。
「デェェーイ!」
 銀色の閃光がひらめき、猛烈な風圧と真空波がウルフファイヤーを吹き飛ばす。
 ありがとう、これでまだ戦える! エースは手のひらに伝わってくる確かな感触に闘志を取り戻した。今のエースは
素手ではない。高く掲げた手の中には、鈍く鉄色の輝きを放つ一振りの大剣が握られていた。
『物質巨大化能力!』
 あらゆる物体の伸縮を自在とするエースの超能力により、ミシェルの剣はエースが使うにふさわしい大きさの大剣となったのだ。
 息苦しさを必死でこらえながら、エースは首を絞め続けているゾンボーグへ向き直る。いつまでも調子に乗っていられると思うな!
「デャッ!」
 一撃で触手を叩き切り、振りほどいたエースが立ち上がった。対して触手、すなわち腕を失ったゾンボーグは錯乱して、
もだえ苦しんでいる。今がチャンスだ。
 しかしエースは一気呵成に攻めにはいけなかった。なぜなら、エースは剣術にはそこまで詳しくはない。念力剣・
エースブレードを使ったり、超獣バラバの剣を奪い取って戦ったことはあるが、メビウスやヒカリを例外として、あとは
ウルトラの父がエンペラ星人と一騎打ちをした際にウルティメイトブレードを用いたそうだが、一般的に宇宙警備隊で
剣を使って戦うウルトラ戦士はほとんどいない。
 けれどエースはこの剣を捨てる気にはならなかった。この一振りの剣には、命を賭けて託してくれたミシェルの
勝利への願いが込められている。だからこそ、エースは決断した。
〔才人くん、君がやるんだ。君が私になって二大怪獣を倒すんだ〕
〔ええっ! お、おれが? そんな、無理だよ〕
 精神は共有しているとはいえ、これまでエースの肉体の主導権はすべてエース自身が扱ってきた。その大役を
自分に任せられると聞かされて才人は驚いた。けれどもエースは自信を持って才人を諭す。
〔自分を信じろ、私の戦い方はすでに君の体に染み付いているはずだ。剣の腕では君に一日の長がある。それに、
その剣には君を思う人の意思が込められている。扱うのは君しかいない〕
 その言葉で、才人はこれがミシェルの剣だということを強く意識した。怪獣に踏み潰されるかもしれない危険を
冒して届けてくれた起死回生の一振り、これはただの武器ではない。
〔おれが戦う……おれが、ウルトラマンに〕
 変身するだけじゃない、そのものと化して戦う。その責任の重大さは押しつぶされそうという表現では表しきれない。
しかし躊躇する才人に、ルイズは厳しく言い放った。
〔サイト! あんた男のくせになにおじけづいてんのよ。あんた今頼られてんのよ、あんたしかできないって! 
それをなんなのその煮え切らない態度。一度でもあんたみたいなのに好きだって言った自分が恥ずかしくなるわ〕
〔っ! ……わかった。おれ、やってみる。北斗さん、お願いします!〕
 ルイズの叱咤に才人はついに決心した。エースはうなずき、才人の体の感覚がウルトラマンAと同調した。
 視界が大きく広くなり、ダメージを受けた体の痛みも、剣を握る感触も自分のものとなる。
308 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (6/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:56:20.66 ID:IwVj6RCn
〔これが、エースの見ている世界〕
 間接的に体験するのとは大きく違った。いつも見ている世界がミニチュアのようであり、現実感が麻痺してくる。
 体は動くはずなのだが、金縛りにあったように動けない。だがこれは現実なのだ、吹き飛ばされていた
ウルフファイヤーが疾走して飛び掛ってくる。
 どうする? どうすればいい? 舞台に初めて上がった素人役者のように固まる才人の耳に、エースの声が
鋭く響いた。
〔恐れるな! 君の心の赴くままに斬れ!〕
 その瞬間、才人の中で何かが切れた。頭の中をぐるぐるしていたものがいっぺんに消え、体に染み付いた
ガンダールヴだったころの記憶がウルトラマンAの体を動かす。
「イャァーッ!」
 気合とともに剣が振り下ろされ、ウルフファイヤーの体を斜めに切り裂く。
 手ごたえ、あり。ウルフファイヤーは子犬のように絶叫してのけぞった。
〔やった、おれが……〕
 間合いが甘かったようで、両断するまではいかなかったものの、それは紛れもなく才人の剣が見せた戦果だった。
 そして同時に、ウルトラマンAと一体化した才人の体に限りない自信が湧いてくる。
 やれる。今なら、おれは持っている力をすべて使いこなせるはずだ!
 ただの一撃が、才人の中に不定形な様でただよっていた『剣士』としての自分を現実の形にしていた。剣の
重さが自分の体のように感じ、どうすれば剣が動いてくれるのか手に取るようにわかる。才人は剣の柄から
伝わってくる感触をしっかと確かめると、アニエスたちに助けられて離れた場所から見守っているミシェルへと
うなずいてみせた。
〔ありがとう姉さん、この剣は絶対に無駄にはしないぜ!〕
 強く誓い、完全に自分自身を掌握した才人の大逆襲の幕が切って落とされた。
「トァーッ!」
 大剣を振るい、エースとウルフファイヤーが再び激突する。しかしウルフファイヤーも手傷を負ったとはいえ、
動物は多少の傷では憶さずに逆に凶暴化してしまうものだ。上段から切り込んだエースの攻撃を、すばやい
動きでかわしつつ、さらなる攻撃もさばきながら隙をついてパンチやキックをあびせようとしてくる。
 やるな! そうか、銃士隊との戦いで剣に対する対処法を学習したんだなと才人は感付いた。賢い狼は
絶対に銃を持った人間に近寄ることはないように、動物は一度傷つけられると、二度とそのリスクを冒すことはない。
ならば、こちらも持っているすべての力で相手の力を上回るしか勝つ方法はない。
 上段から中段、突進からフェイントを使った切り込みと、才人は知っている限りの剣技をエースの体を使って披露する。
才人本来の肉体では負担が大きすぎて不可能なガンダールヴの技も、ウルトラマンの強靭な肉体でなら可能だ。
 そしてその壮絶な剣と肉体の激突は、戦いを見守るミシェルにおぼろげな思いを抱かせはじめていた。エースの
振るう剣の太刀筋、体の運びや独特なくせなどに、剣士としての自分が呼びかけてくる。
「サイト、お前なのか……お前が」
 だが勝負はそのまま一対一とはいかなかった。ウルフファイヤーが苦戦していることを見て取った円盤が、
エースの後方から怪光線で援護射撃を食らわせたのだ。
「ヌワァッ!」
 不意打ちを受け、よろめいたエースにウルフファイヤーの蹴りが炸裂して、さらにエースはなぎ倒された。
 しまった、敵は怪獣だけではなかったんだと空を見上げるエースに、円盤はさらに怪光線を発射してくる。
しかもウルフファイヤーもその攻撃に呼応するように、口からの火炎攻撃に切り替えてきた。
〔くそっ! はさみうちか〕
 剣は近づかないと使えない。このままではやられる! 光線技はまだ撃ち方がよくわからないし、狙っても
当たるかどうかはわからない。だが、エースにはできなくとも自分にはできるかもしれない戦い方がある。
才人はガンダールヴだったころの感覚を思い出して、力の限りを尽くしてジャンプした。
309 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (7/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:57:48.89 ID:IwVj6RCn
「トオーッ!」
 ウルトラマンAの跳躍力は地上九百メートルにも及び、ウルトラマンレオに続いて二位を誇る。一瞬で円盤の
頭上まで舞い上がると、そのまま渾身の力で剣を振り下ろし、円盤を真っ二つに切り裂いた。
「やった!」
 地上の銃士隊から歓声があがる。円盤も、これが下や横方向からの攻撃だったら回避の用意もしていたの
であろうけど、才人の判断は完全に意表をついた。まさか上から襲われるとはまったくもって想定していなかったに違いない。
 両断された円盤は、片方は即座に墜落したが、もう片方はエンジン部は切られなかったと見えて少しの間浮いていた。
しかしやがてフラフラとよろめいて、街から離れた場所に墜落していった。
 さあ、あとは二大怪獣だけだ。ウルフファイヤーは頼りの円盤が破壊されたことですっかり怖気ずき、ゾンボーグは
両腕を失ったショックからようやく立ち直っているようだが、まだ攻撃態勢にはない。カラータイマーの点滅も限界に
近づき、これが勝負を決める最後のチャンスだと悟った才人は、剣を左手の逆手に握りなおして、ウルフファイヤーに
向かって突進した。
「イヤーッ!」
 すれ違いざまの一撃。ウルトラかすみ斬りの応用で繰り出した斬撃は、見事にウルフファイヤーの胴体を切り裂いた。
 仰向けに倒れ、爆発四散するウルフファイヤー。さあ、残るは一匹。
 しかし、ゾンボーグは最後のあがきか電撃光線を吐き出して抵抗してきた。ショックが全身を貫き、エースを通して
才人にも苦痛が伝わる。だが、光線を吐くゾンボーグの姿が才人の脳裏でライトニング・クラウドを放つワルドと
重なると、才人は大剣を全力でゾンボーグに向けて投げつけた。
「デャァッ!」
 銀の矢となって、ミシェルの剣はゾンボーグの胸の中央を貫いた。たまらずもだえ、苦しげな咆哮が夜闇に響き渡る。
 決まった……才人、エース、ルイズ、そしてアニエスとミシェル、銃士隊は決着がついたことを知った。
 完全に致命傷だ。いくら怪獣と化したとはいえ、胴体をぶち抜かれて生きていられるわけがない。抜こうともがくも、
すでに腕はなく、助かるすべはなかった。
 これ以上はもう、苦しみを長引かせるだけだ。断末魔のあえぎを漏らすゾンボーグを見ているうちに、才人たちは
あれだけあったワルドへの敵意が薄れていくのを感じていた。憎んでもあまりある悪党だったが、もう十分だ。
〔北斗さん……〕
〔わかった。あとは、まかせろ〕
 才人から肉体の主導権を返されたウルトラマンAは、苦しむゾンボーグを一瞬だけ見据えた。
 さらばだ。体を左に反らせ、エースは腕をL字に組んでとどめの一撃を放つ。
『メタリウム光線!』
 三色の光線はゾンボーグに吸い込まれていき、巨体は瞬時に炎に包まれる。それがゾンボーグの最期の姿だった。
巨体が硬直したと思った瞬間、ゾンボーグは頭部から上半身が爆発を起こし、次いで下半身も誘爆すると、一気に
大爆発の火焔を吹き上げて消し飛んだ。
「やった!」
 銃士隊から惜しみのない歓声がとどろいた。ゾンボーグは木っ端微塵となって飛び散り、虚空に跡形もなく消えていく。
ウルトラマンAの勝利、そしてこれでトリステインにまとわり続けていたワルドの影も完全に消え去った。
 元は魔法衛士隊の隊長でありながら、レコン・キスタと通じて国を売り、さらにはリッシュモンの手下になって
トリステインを滅ぼそうとした悪の末路は、自らが撒き散らそうとした毒に自らが食い尽くされることで終わった。
しかし、何者がワルドを利用してラ・ロシュールの人々を狙ったのかはわからずじまいであったが、最後の最後まで
他人の思うままに舞い続け、糸が切れたように燃え尽きていったさまはもはや哀れですらある。 
310 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (8/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 17:59:41.08 ID:IwVj6RCn
 二大怪獣は消滅し、敵の気配が完全に途絶えたことを確認したエースは、天に瞬く銀河を見上げた。
「ショワッチ!」
 ハルケギニアの大地を離れ、ウルトラマンAは遠く天空を目指して飛んで行く。その後姿を見上げてミシェルは思った。
”ありがとう、これでまた私は一歩前に進める”
 ミシェルの中に残っていた、わずかな心の傷の痕。ワルドと同類であったかつての自分の姿。すでに許され、
自分も自分を許したつもりでいたが、その事実は消せずに彼女の胸のうちにひっかかり続けていた。ワルドは本当に
どうしようもない悪党だったが、もしかしたら、今日ここで灰になっていたのは自分だったかもしれない。
 ならば、ワルドと自分の運命を違えたものはなんであったのかと問われれば、ミシェルは迷わずこう答えるだろう。
「大切な仲間と、私を信じてくれた家族、そして私を救ってくれた愛する人」
 そう、ミシェルには闇の中に光を照らし、手を差し伸べてくれる人がいたがワルドにはいなかった。ワルドも
ひょっとしたら最初は愛や夢を持つ普通の人間だったのかもしれないが、いつの間にか誰との絆も持たない
孤独な人間に成り下がってしまった。人とのつながりがないのなら、心などなんの意味も持たない。それでは、
どんな高尚な理想を持っていようとも独善と狂信にしかならないのである。
 しかし、自分の選んだ道は間違いではなかった。
 今、過去の幻影はもう一人の自分とともに、完全にミシェルのうちから消え去ったのだ。
「私の居場所は、ここにある……」
 胸に手を当て、ミシェルは今ある自分を確かめるようにつぶやいた。
 隣を見ると、アニエスが肩を叩き、なくした剣の経費は出るのかと聞いてくる。仲間たちも、戦いのときに見せていた
剣呑な表情をおさめて笑いかけてくる。ここにいる限り、もう二度と自分は道を誤ることはないに違いない。
 ラ・ロシュールは邪魔されかかった眠りに再びつき、人々はなにもなかったかのように朝を待って眠り続ける。
 街に帰ろうと荒野を歩くアニエスたち。その彼女たちに向けて、才人とルイズも駆けてきた。どこにいっていたんだと
問いかけるアニエスに、才人は頭をかきながら答えた。
「いやあ船が落ちる瞬間、おれたちはルイズの魔法で脱出したんだけど、こいつがとんでもない場所に飛ばしやがるもんだから」
「あんたが暴れるからイメージが崩れちゃったんじゃないの。おかげでアニエスたちを拾い損ねちゃったじゃない」
「すいません。でも、姉さんたちもウルトラマンAに助けてもらえてたんですね。ほっとしました」
 どことなく白々しいが、アニエスたちは才人たちも無事だったことを喜んだ。ただ、ミシェルは才人の顔を少し複雑そうな
表情で眺めていた。
「なあサイト」
「はい、なんですか?」
「お前、もしかして……いや、なんでもない」
 それきり、ミシェルは向こうを向いて歩き出してしまった。才人は頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら後を追う。
二人を含めて一行はラ・ロシュールへと歩を進める。
 そんな平和な談笑をする一行を、少し離れた丘の上から見守っている男がいた。土色のジャケットをはおり、真新しい
テンガロンハットをかむった壮齢の姿は、熟達したカウボーイを思わせるだろう。彼はしわが刻まれながらも、若々しさを
根強く残す顔に笑みを浮かべた。
311 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (9/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 18:02:02.66 ID:IwVj6RCn
「よい仲間を持ち、そして深い絆を育んでいるな。その仲間たちがいる限り、どんな強敵にも立ち向かっていけるだろう。
忘れるなよ、それが、光の戦士の本当の強さなんだ」
 わずかに感傷にひたる感じで、男はつぶやいた。そのとき、ミシェルはふと気配を感じて丘の上を見上げたが、丘の上には
誰もおらずに、冬の冷たい風が流れているだけだった。
 
 だが、平和の静けさの中に戻ったかのように見えるラ・ロシュールにおいて、なお冷たい目を輝かせる者たちもいた。
「やれやれ、ワルド子爵は失敗しましたか。あれだけお膳立てをしてあげたというのに、使えない人でしたねえ」
「ええ、彼の執念を見込んで復仇の機会をあげたというのに、口ほどにもなかったですね。でも、目的の半分は
達成できたのですから、僕たちが骨を折ったかいはあったのではないですか?」
「そうですね。虚無のさらなる覚醒は、万の雑兵を捨てるにも勝る成果であったと言えますね。その意味では
ワルド子爵はよくやってくれました。神の力の目覚めに貢献できたとなれば、彼の魂はきっと天国に導かれるでしょう」
「はい……それに、子爵の一身に彼らの憎悪が集中してくれたおかげで、我等のことが表に露見することはないですしね。
まったく、よい当て馬でした。もう聖地のことも考えずにすむようになって、彼もさぞ本望でしょう」
 慰霊の意思など少しも感じられない口調で、ふたつの声はそれぞれにしか聞こえない言葉でささやいた。ワルドが
生前に洞察していたように、彼らは最初からワルドを捨て駒として捉えていた。それが思っていたとおりになったからとて、
惜しむ気持ちは少しも湧くはずはない。
「ともあれ、これで彼らの現在の力はわかりました。ですが、四の四の四の大望を成就するには、まだ不十分ですね」
「では、もう一押しをかけてみますか?」
「それには及ばないでしょう。我らが助長しなくとも、虚無の成長が続いていることは確認できました。しばらくは見です、
慌てずとも、目覚めるものは時が来れば自然に目を覚まします。我等はその間に、干ばつが来てから井戸を掘る愚を
犯さぬように努めることとしましょう」
 何を目的としているのか、不気味に陰謀をめぐらす者たちの薄笑いが夜闇に溶けていく。
 
 ひとつの事件がこの夜に起こり、終わった。けれども、この事件がより巨大な計画のための下地に過ぎないことを知る者はいない。
 悪の根は一本ではなく複雑に絡み合い、ハルケギニアという土壌を食い尽くそうとする。けれども人は荒らされた土地を
耕して、また花を植えようとする。たとえその畑に、何度雑草が生えようとしても。
 
 長かった夜が明けて、朝はまた来た。この日はいよいよアンリエッタとウェールズが、アルビオンに旅立つ記念すべき
日となって街中が湧きに湧いている。
 むろん、新婚夫妻も復興なったアルビオンへの帰還を心待ちにしている。しかしその出航前に、アンリエッタはなかば
強引に時間をねじ込んで才人たちを呼んでいた。目的はもちろん、昨晩の事件のあらましを問いただすこと、そして
もうひとつ、ハルケギニア全体の運命を左右するかもしれない、ある腹案を実行に移すためであった。
「そうですか、あのワルド子爵がとうとう……彼も昔は優秀な騎士だったのですが、どこで道を誤ってしまったのでしょうね。
せめて魂だけは救われるよう、冥福を祈りましょう。それでアニエス、昨晩の事件はやはりワルド単独の仕業とは
思えないのですか?」
「はい、あれだけの獣人の兵団や、人間を怪物化させる薬の存在を見ても、とうてい彼一人で調達できるものとは
思えません。サイトとミシェルが目撃したという、聖堂騎士姿のワルドにしても、聖堂騎士団に問い合わせたところ
そのような者はいないの一点張りでした。この件には、なにか我々の想像を超えた強大な何者かが糸を引いて
いたように思えます」
 アニエスの見解にアンリエッタは無言でうなずいた。目の前には、アニエスとミシェル、そして才人とルイズに
ティファニアとルクシャナがそれぞれ控えている。彼らの活躍はアンリエッタの胸をいくぶんか熱くしたが、自分の
お膝元でも平然と事件が起きる現状を笑ってはいられない。
312 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (10/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 18:04:37.25 ID:IwVj6RCn
「それでアニエス、その黒幕とは何者だとあなたは読みますか?」
 問いかけながらアンリエッタも酷な問いだと思った。今回証拠は残っていない。ワルドは死体も残さず消滅したし、
証拠品となりうる船も炭と化したし、船籍一切の記録も偽装されたものだった。こんな真似をするやつは、何者だ?
最初に思いついたのはもちろんヤプールだったが、徹底した証拠隠滅はヤプールらしくない。ならば何度も虚無を
狙ったガリアのジョゼフの仕業か? これの可能性がもっとも強いが、やはり証拠がないのが痛い。
「私にも今回の事件の裏は読めません。しかし姫さま、原因も重要ですが、これだけ用意周到に襲ってくる敵ならば
尻尾は容易に掴まさせますまい。それよりも、いずれまた襲ってくることは確実でありましょうから、そのときにこそ
備えて万全を施すことこそ急務かと」
 アニエスの進言に、アンリエッタは深く考えた。政治的な問題であれば、マザリーニ枢機卿に相談すれば有益な
助言はいただけるが、この問題は前例がないから自分で判断しなければいけない。部屋の片隅で護衛についている
カリーヌに視線を送ったが、彼女は相変わらず微動だにせず直立不動を保っている。
”大事な決断を人頼みにするなということですか”
 相変わらず厳しい。でも、それに見合うだけの実績をこの人は上げてきたのだ。考えて、アンリエッタはルイズたちに
向けて息を大きく吸ってから発言した。
「ルイズ、ティファニアさん、単刀直入に申しましょう。エルフの国に行ってみるつもりはありませんか?」
「は……?」
 一瞬世界が風景画と化した。言葉の意味を飲み込めず、耳の奥にひっかかった言葉が脳に吸収されずに漂っている。
それでも何度も言葉の意味を反芻し、頭の回転の特に速いルイズとルクシャナが同時に声をあげた。
「ひ、姫さま! わたしたちに東の果てへ行けというんですか」
「こ、この蛮人たちをサハラに案内しろというの!」
 どう考えてもそれ以外の答えがあるようには思えなかった。後になって才人たちも驚き始めたが、特にルイズの驚きが
大きかった。アンリエッタが突拍子もないことを言い出すのはいつもだが、今回はとっておきだ。先日ティファニアと
ルクシャナにエルフと人間の架け橋になってくれと言ったことすら非常に常識的に思えてくる。
 だが何よりも、想像の斜め上どころか、天頂を刺し貫いているアンリエッタの真意がまったく読めない。単刀直入とは
言ったものの、直入過ぎて消化できない。それにアニエスとミシェルについては、さらに意味がわからずに呆然としている。
 説明を求める一同に、アンリエッタは順を追って話を再開した。
「どうも結論を急いでしまって申し訳ありません。ですが、事は場合によっては一日の遅れが世界の破滅へつながるかも
しれません。アニエス、もうあなたたちにも隠しておく必要はないでしょう。サイトさんは不本意かもしれませんが、もはや
わずかばかりのかばいあいに意味があるとは思えません」
 そうしてアンリエッタは、まずアニエスとミシェルに虚無をはじめとする事のあらましを、才人とルイズも交えて説明した。
むろん両者にとっては晴天の霹靂に等しいが、ティファニアとルクシャナがエルフだという確かな証を見せられると、
納得する以外になかった。
「すみません、今まで黙ってて……お二人や、銃士隊のみんなを巻き込みたくなかったから」
 頭を下げて陳謝する才人に、アニエスはため息をひとつすると応えた。
「やれやれ、だがお前らしいな。過ぎてしまったことをいまさらどうこう言うつもりはない。エルフも、どちらかといえば
新教徒に近い私にはどうでもいいことだ。しかし、お前たちの配慮はありがたく思うが、姫さまの言うとおりに、もはや
些細な配慮が役に立つとは思えないようだな。ミシェル、お前もそう思うだろう?」
313 :ウルトラ5番目の使い魔 61話 (11/11) ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 18:06:16.97 ID:IwVj6RCn
「ええ、世界が滅んでしまえばどのみちゼロですからね。サイト、配慮はありがたいが、銃士隊は全員お前らにまだまだ
返しきれないほどの借りを抱えてるんだ。なんでも遠慮なく頼れ。第一、家族の危機を黙って見ているやつがいるか?」
 アニエスとミシェルはのけものにされて多少怒った様子だったが、快くすべてを受け入れてくれた。才人はただ一言、
「ありがとうございます」と、涙で詰まった声で返した。
 そしてアンリエッタは、前置きが済んだことを確認すると、いよいよ本題に乗り出した。
「皆さん、今のお話であらためて認識できたかと思いますが、もはやハルケギニアの平和を乱そうとしているのは
ヤプールだけではありません。ガリア王ジョゼフは私欲のために虚無を狙い、ほかにもどんな勢力が水面下で
胎動しているか想像もつきません。そしてこれらはほっておいても増えることはあっても減ることはないのです。
今回のことで、もはや私の近くでも安全などないことも実証されました。これを解決するためには、もはやこちらも
過去のいきさつにこだわって躊躇しているときではありません。わたしはここに、数千年に渡ったエルフとの抗争に
終止符を打ち、同盟を結ぶための一歩を踏み出すことを決意しました」
 熱意に満ちたアンリエッタの言葉に、一同は圧倒された。エルフとの終戦、同盟の締結、それはハルケギニアでも
人間たちがずっと考えてきたが、宗教、種族、強硬派の妨害と様々な要因によって果たしえなかった究極の理想だ。
しかしアンリエッタは夢想を語っているわけではないことを強調する。
「皆さんのおっしゃりたいことはわかります。本来なら、何十年とかけて、段を重ねながら交渉していくしかない事柄
でしょう。しかし、我らには一年先の保障もないのです。エルフとの和解は、ヤプールに勝つための絶対条件、
ならば今動かないでいつ動くというのです?」
「ですが姫さま、申し上げにくいですが、エルフとの接触はそれだけでロマリアに異端と認識されます。そのような
ことになれば、このトリステインの命運が」
「それにお姫さま、エルフのみんなはほとんどが人間を蛮人と呼んであざけってるわ。とても対等の同盟なんて
結びようがないと思うわよ」
 アニエスとルクシャナの反論ももっともだった。しかしアンリエッタは歯牙にもかけない。
「言ったはずです。もはや小さなことを気にかけていられるときではないのです。むろん、ロマリアの妨害を避けるため、
当初は秘密裏にことを運びます。エルフの統領テュリューク氏は懸命なお方と聞きました。それに、エルフも今ならば
ヤプールの恐ろしさが身に染みているはずです。逆に言えば、チャンスは今しかないのですよ」
 アンリエッタの訴えは次第に一同の心を動かした。確かに、細かないさかいなど滅亡してしまえば意味はない。
このままだらだらと時間を費やしても、ヤプールは強大化しエルフは衰亡していくだけだ。ならば、一か八かに
かけるしかないのではないか? ルイズはわかりましたと答え、ティファニアにあなたはわたしたちが守るからと告げた。
 だがそう思っても、現実的な、しかも物理的な問題が残っている。それをルクシャナは口にした。
「けれど姫さま、サハラに到達するためには広大な砂漠地帯を越えるか海上を迂回しなくてはいけませんわ。
言っては悪いですが、人間の空中船では越えるだけで精一杯。しかも国境を監視する空軍も水軍も蛮人の
海賊を相手にしてきて、根っからの蛮人嫌いと聞きます。和平の使者など、問答無用で撃沈されてしまいますよ」
「わかっています。妨害を突破し、ある程度こちらの実力と本気を示す必要があります。そのために、極秘に
用意していたものがあります。入ってきてください!」
 アンリエッタが呼びかけると、扉が開いて二人の男女が入室してきた。しかも二人ともよく見慣れた人で、
ルイズと才人は驚愕して相手の名を叫んだ。
「エレオノールお姉さま!」
「それに、コルベール先生も!」
「ルイズ、先んじて話は聞いたわ。本当なら、あなたをエルフの国にやれなんて命令、断固反対だけど、
エルフの虚無への誤解を解くにはあなたしか適役はいないのよね」
「でも、かわいい生徒の君たちを無駄死にさせるわけにはいかない。だからとっておきを用意した。行かせて
あげるよ君たちを、私たちの作った新型高速探検船『東方号』でね!」
 
 
 続く
315 :ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc 2011/09/25(日) 18:08:26.15 ID:IwVj6RCn
今週はここまでです。
今回は、子供の頃にみんな必ず思う「ヒーローになってみたい」という願いをひとつの形で叶えてみました。
ウルトラヒーローだけでなく、ライダー、戦隊、メタルヒーローに各種アニメ。誰でも思い出があることでしょう。
ティガ最終回の「ぼくがティガだ!」はちょっとまだ無理なので、才人が剣技に長けているということで
こういう形にしました。
なお、超闘士激伝でメタリウムソードなんてのを使ってるぞ、というツッコミはご容赦ください。あれはあくまで
パラレルワールドです。うちではきれいなヤプールは出ませんから。
 
では、次回から新編スタートです。これからは、今まで出番の少なかったキャラも増やしていこうと思います。
317 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 21:12:12.63 ID:4Yq0RnN7
乙です
MXでジャンボーグAを見たせいか、二大A夢の競演という妄想が…
318 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 21:37:00.75 ID:7SwR55ZY
乙!




ところで俺も書こうか迷ってるんだが…………

ヴァンパイア十字界のストラウスとスパロボJの紫雲統夜。またはSO2のアシュトン辺りで迷ってる。

マイナー?なキャラで悪いんだが最強の赤バラ王とハーレム騎士、気弱だが男前な双剣士…………どれが良いかな?
320 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 21:52:24.54 ID:JAHBqNo8
>>318
ストラウスもなかなか

タバサの冒険との絡みも面白そうだな
321 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 21:53:14.54 ID:w1u/UwKI
>>318
書き手のひとりとして言わせてもらう。はじめてなら小ネタで自力を確かめてみるべき
長編はその作品、そのキャラが本気で好きでなければまず続かない。少なくとも人に判断ゆだねるくらいならいいとこギーシュ戦でやる気がなくなる
322 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 22:01:14.04 ID:spsZjUvl
>>321
そうだね。
最初は小ネタ扱いで、続けられる手応えが感じられたら長編に移行したら
いいんじゃないかな?
どこで完結させるかは作者の胸三寸だけど、せめて原作1巻程度は続けたいと
思わないかな?
そういう人が増えてくれるとまたここも賑わいを取り戻せると思う。
323 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 22:04:57.94 ID:7SwR55ZY
>>321
一理………というか真理だな。

うん、先ずは小ネタから始めてみる。
325 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 22:09:42.28 ID:bLsY2dFu
318じゃないけど、無理して長編スタートより小ネタで感触を探るというのは参考になりました。

>>318
ハーレム騎士は原作準拠だから、むしろ小ネタ向きかと。
328 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 22:35:57.57 ID:CpM33PXb
>>318
赤バラさんは面白そうだが、存在がチート過ぎるので扱うには難しそうだな
329 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 23:20:49.62 ID:w1u/UwKI
>>323
がんばってくれ。小ネタは簡単なようで意外と難しいから練習にはちょうどいい。
そういえば昔は1レスの一発ネタが毎日のように来てたな。あれも練習にはいい。
324 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 22:08:01.31 ID:cyr3gjbb
いくら統夜でもこれ以上女を増やしたら身がもたないんじゃ…
すでに女3人と同棲中だろ
326 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/25(日) 22:09:52.49 ID:7SwR55ZY
>>324
いや、三人と同居はハーレムエンドだけだから…………誰かとくっついたエンドなら良いのさ
330 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 01:53:47.33 ID:TDBikset
作中でほぼ全ての要素がかっちり嵌りすぎてて拡張性に乏しいんだよな
その上ほとんどのキャラがゼロ魔基準で超チートだし(レティシアでもゼロ魔上位クラスくらいありそう)
日常生活にしても、赤バラをうまく書ける自信は俺にはないな
331 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 03:08:54.82 ID:RZvH+nc7
赤バラの頭の回転速度と考えの深さを、
ただの原作コピーじゃなくてゼロ魔に上手く反映させる自信があるんなら良いんでないの。
332 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 13:42:50.16 ID:Vlcrbz+5
赤バラは最大多数の最大幸福を地でいっちゃう人だからなあ
最期には自分も幸福になったと信じたい
333 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 14:19:05.45 ID:zzNXKwjN
赤いバラと聞いたらやっぱりビオランテが一番に思い浮かぶなあ
病死したカトレアの細胞を使って、エレオノールがキメラドラゴンの製法を使って誕生させ、ラグドリアンに花を咲かせる
破壊の杖は抗核バクテリアのランチャーで、タルブにあるのはスーパーX
334 :カナリア2011/09/26(月) 16:29:03.18 ID:AseT+k3l
今から短い小ネタ投稿します。
 
 
召喚キャラ:紫雲統夜
召喚者:キュルケ
元ネタ:スパロボJ
状況:ハーレムエンド後数年経過。
335 :騎士の使い魔(小ネタ)2011/09/26(月) 16:30:14.91 ID:AseT+k3l
フューリア騎士団所属のトウヤ=セルダ・シューンこと紫雲統夜は困惑で顔を歪めていた。
 
 
目の前で胸元を大きく開けた赤髪の少女【フェステニア嬢ではない】が立っていたのも、近くにツルツルした頭の中年親父や歳の近い者達がいたのも構わない。
全員が中世ヨーロッパ的な服装をしているのも大丈夫だ。
 
スラスター故障時の機体制御訓練を監修していた筈なのに、まばゆい閃光を食らった瞬間になぜか地上に居るのだってボソンジャンプだと思えば………
次元連結だと思えば………フォールド反応ですキラッ☆と思えば…………一万と二千歩譲ってあなたと合体してもまだ許せた。我慢できた。
 
だが…………
 
 
「なんでキスしたぁ!?」
336 :騎士の使い魔(小ネタ)2011/09/26(月) 16:31:38.64 ID:AseT+k3l
騎士服の袖で急いで唇を拭いつつ、ブレンと心を通わせる「yesだね!」の彼女が言ったであろう言葉を放った統夜は、じっくりと加害者を見やった。
そんな様子に加害者の少女は小首を傾げて愉快そうに笑う。
 
「あら、私の唇は不味かったかしら」
「いやまぁまぁの味では有ったけどさ………ち、違う!なんでもキスした!?」
本音がほんの少し漏れた統夜に、周りの生徒達はヒソヒソとオクサマキキマシテー、だとかウラヤマシイワモゲロ、だとか言い合う。
 
「良い男がいたら迫るのは良い女の責務だと思うけど?」
「それはもっともだと思うけどさ…良い女なんて何処にいるんだ?」
「「「……………」」」
あまりにもあまりな事を真顔で言った統夜と固まる女子一同。
 
「キュルケが良い女じゃないならなんなのかしら………」
本来彼女と敵対しているはずのピンクが胸に手をやりながら呟くと、周りの女子も皆下を向く。
 
 
「あなた面白いわね………どう?私の男にならない?」
「却下、それより此処はどこだ?」
キュルケの誘いを一蹴して統夜は辺りを観察する。
337 :騎士の使い魔(小ネタ)2011/09/26(月) 16:38:44.56 ID:AseT+k3l
クーデレハッケン、ン?ツキガフタツアル……などと呟く彼をみていたキュルケは、タバサ位しか見たことの満面の笑みを浮かべた。
 
 
彼女をここまで袖にする男など一人も居なかったから、今の統夜の反応は彼女の【微熱】を痛いほど刺激したのだ。
 
 
 
――絶対欲しい――
そう考えるキュルケは、自然と艶やかな表情になっていた。
恋こそ彼女の家名に相応しい。
 
 
 
「此処が何処だか教えてあげるから、少し話を聞いてくれないかしら?」
マイペースな統夜へ笑いかけ、キュルケは彼の腕に抱きついて動揺を誘う。
彼女の胸は男を誘うに十分な大きさだったのだから、普通なら良いアプローチなのだろう。
 
 
「なら離してくれ、そして話してくれ」
「……………分かったわ」
自慢の体を押し付けたのにこの反応。
 
「カティアとどっこいかなー」などと彼が考えているとは分からず、一瞬自信を失いかけたキュルケだったが、どうせ長い付き合いになるのだからと笑みを深めるのだった…………
338 :カナリア2011/09/26(月) 16:40:28.13 ID:AseT+k3l
とりあえず召喚篇はこれで終わりです。
342 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 18:13:49.16 ID:SZCTlVcN
>>338
ネタ成分多めだから一発ネタかと思ったら分割してくるのか
339 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 16:46:38.24 ID:9/5w3CWF
乙だが、ちょっと短くね?


…個人的にはルイズが誰を召喚するのか気になるw
340 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 17:16:19.93 ID:8M41zGto
ちょっと短いのと、一部抜けてるような気がするのは気になるけど、乙&GJ

さて、残りの被召喚候補は、
1.カティア、テニア、メルアのヒロイン3人娘
2.カルヴィナ・クーランジュ
3.アル・ヴァン=ランクス
4.シャア・ミナ姫
とよりどりみどりな件
341 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 17:19:54.87 ID:cbVV7Mlj
誰かdies iraeとのクロスやってくれへんかな?
343 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 19:10:12.92 ID:SfmdfCzW
>>341 Dies iraeクロスとか胸あつ・・・
まさかのニート召喚ですねわかります
358 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 21:25:49.20 ID:D+YJpxDU
>>341>>343
水銀は本編でカール・クラフト排除しその位置になり替わったように
もし呼んでいたらブリミル排除してなり代わりりかねない危うさがある

下手したら王家の連中全員奴の子孫で
場合によっては城での三騎士戦みたいに要所要所で駒にされそう
359 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 22:08:45.23 ID:SfmdfCzW
>>358 ブリミル排除とかwww
さすがニート、やることが違うっていうかマジでやりかねんwww
そこへ蓮炭召喚で引っ掻きまわすんだろうなwww
344 :ゼロと魔王2011/09/26(月) 19:11:46.86 ID:SfmdfCzW
みなさんお久いぶりです。
これからだれもいないようでしたら5分後ぐらいに第8話を投下したいと思います
345 :ゼロと魔王2011/09/26(月) 19:17:31.93 ID:SfmdfCzW
ゼロと魔王 第8話 聖剣杯 第一回戦



「さ〜〜あ!やって参りましたよ聖剣杯第一回戦!!実況はコルベール!」
「解説は学院長であるわしがやるぞ」

なぜかノリノリなコルベールとオールドオスマンが実況解説をしている中で、対戦者同士が睨み合っていた。

「まさか、初戦の相手があなたとはね・・・ツェルプストー!!」

そう言って今にも噛みつきそうなルイズ。
それとは対照的に、余裕そうな態度を崩した様子もなくキュルケは言う。

「初戦があなたとはね・・・これは楽勝なんじゃないかしら?」
「なんですって!?」
「だって、あなた魔法使えないでしょう?」
「ラハール!!あんた絶対に・・・・あんたなんか顔色悪いわよ?」
「初戦の相手はあれか・・・?」
「そうよ!だから絶対に勝たないといけないのよ!」
「オレ様はこの戦い棄権しようかと思うのだが・・・」

ルイズは少なからず驚いた、何せ相手が誰であろうとも突っかかりそうなラハールがそんな事を言ったのだ。
それも心なしか腰がひけているようにも見える。

「馬鹿言ってんじゃないわよ!ツェルプストー相手に棄権なんてヴァリエールの名が泣くわ!!」
「オレ様はな・・・」
「何よ?何かそれ相応な理由g・・・」
「オレ様は、ムチムチな奴が大の苦手なのだ!!」

軽くルイズが凍りついた。
それはそうだろう、まさかラハールにこんな弱点があるなんて少なくとも予想が付かなかったからだ。
だが、今思えばラハールはアンリエッタともかなり距離をとっていた気がする。

「え?・・・何それ・・・?」
「うるさい!それより、棄権だ棄権!」

ラハールがムチムチ嫌いになったのは、過去に色々あったからなのだが・・・ルイズがそんな事を知るはずがない。(詳しくは、ファミ通文庫出版の「魔界戦記ディスガイア HEART OF THE MAOH」を参照)
これが別の相手だったら、本来やる気のなかったルイズはこの提案に乗っただろう。
だが、相手がキュルケな時点で何が何でも勝たなければならないと考えているため、この提案に乗るわけにはいかない。
だから、なんとかしてラハールを戦わせる方法がないものか考える。
そして考え付いたのは・・・

「ふ、ふ〜ん、つまり相手が苦手な相手だからって逃げるんだ?」
「・・・なんだと?」

ラハールを挑発して、なんとかやる気を出させるというものだった。
だが、少なからず心配だったのは自分に後で何かあるかどうかであるが、そんなのを気にしている場合ではない。

「魔王って言っても大した事ないんじゃない?」
「ほほ〜う?あの時のオレ様の力を忘れたか?」

346 :ゼロと魔王2011/09/26(月) 19:18:03.72 ID:SfmdfCzW
忘れるわけがない、あれほど恐怖したのは初めてなのだから。

「だったら、ツェルプストー倒して見せてよ。魔王だったら出来るでしょう?」
「グッ・・・しかしな・・・」
「な〜んだ、出来ないんだ」
「・・・いいだろう!やってやる!おい、速く始めろ!!」
(・・・もしかして、ラハールって結構バカ?)

とか思ったが、乗せる事には成功したのでそれで満足することにした。

「それでは、聖剣杯第一回戦ミス・ヴァリエールVSミス・ツェルプストーの試合を開始します。それでは始め!」

最初に動いたのはラハールで、剣を抜いたと同時に、手の甲のルーンが光ラハールのスピードが加速する。

「さっさと終わらせてやる!」

速攻勝負で終わらせようと考えているのだろう、真っすぐキュルケに斬りかかっていく。
だが、横からキュルケの使い魔のフレイムが吐いた炎がラハールを襲いかかる。

「チッ・・・」

それをマフラーで防いで距離をとる。

「確かにあなたは速いけど、それだけじゃ私には勝てないわよ」
「なら、これでもくらえ!『メガファイア』!!」

ファイア系の魔法のメガ級にあたるメガファイアを投げつける、当然剣を抜いてない状態だと使える魔法は初期魔法だけである。

「『フレイムボール』!」

だが、それをフレイムボールの魔法で相殺される。
力が下がったとはいえ、ラハールのメガファイアを相殺したあたり、さすがトライアングルメイジと言うべきか。
だが、相殺した本人は・・・

(ほとんどノータイムであれ?そのままぶち抜いて勝っとこうと思ったのに・・・これが東のメイジの力ってやつなのかしらね)

キュルケとしても、速攻で終わらせるつもりでいた。
この聖剣杯のルールは勝ち上がり方式で、使い魔もしくは主人を倒せば勝利なのだが、あまり一回の戦いで魔力を消耗するのは避けたい。
だから、ルイズを狙うかと思ったがラハールとキュルケの魔法は互角、それプラス相手は接近戦も出来ると来たものだからラハールから注意をそらすのは危険である。
使い魔であるフレイムは、砲台としては使えるだろうが、当然ラハールに接近戦を仕掛けられると確実に負ける。
こうなっては、相手をいかに近づかせないかが大切になってくる。

「さて、この状況どう見ますかオールド・オスマン氏」
「そうじゃのー、ミス・ヴァリエールの使い魔が使う魔法はミス・ツェルプストーが相殺できる。じゃから魔法で倒す方法をとるより、その魔法でいかに接近戦に持ち込めるかが要じゃろうな」
「ほう、それはまたなぜ?」
「ただ突っ込むだけではさっきみたいにミス・ツェルプストーの使い魔が近づけさせない、それにツェルプストーとの連携されたそれはもっと難しくなる。じゃから魔法をうまく使う必要があるわけじゃ。まあ、後はミス・ツェルプストーの魔力切れを狙うかじゃな」
「なるほど、それではミス・ツェルプストーが不利という訳ですな」
「ミス・ツェルプストー側から言ったら、一か八かで大技狙うとかしなくてはならんからな」
347 :ゼロと魔王2011/09/26(月) 19:18:49.70 ID:SfmdfCzW
「なるほど、ですが大技を繰り出したとしても避けられる可能性があるのでは?」
「じゃから一か八かなのじゃよ。それに、使い魔だけでは抑えきれない可能性があるからの」
「この状況からどうなるか気になりましたな。・・・おおと!ここでミス・ヴァリエールの使い魔が動いた!」
「長期戦なんぞする気はない!すぐに決着をつけてやる!!」

ラハールがとった行動は、長期戦に持ち込むのではなく一気に勝負を決める方法を・・・つまりとりあえず突っ込むである。
だが、当然ただ突っ込むだけではなく今度はファイアの魔法を放って牽制する。
当然ファイアの魔法ではフレイムボールは相殺できないため、飛んできた魔法を避け、そこから一気に距離を詰める。
だが、そこでやはりフレイムの炎により距離を再び取らされる。
もう一度やるかと思ったら声が聞こえてきた。

「まったく・・・見ちゃいられねーな」
「む?何だこの声は?」
「こっちだこっち、おめぇさんの手に握ってるものだよ」
「握っている?剣しか・・・まさか剣がしゃべってるのか?」
「そうだよ、まあその辺の説明は後で誰かに聞きな、それよりお前完全に力押な戦い方してやがるな?」
「チマチマやっていてもしょうがないであろうが」
「それには賛成だが、もうちょっとマシな戦い方ってのがあるだろう」
「ほ〜う?それなら貴様はどんな戦い方をするというのだ?」
「ん〜?そうだな、まずお前さん使える魔法は火系統の魔法だけか?」
「基本的なオレ様の世界の攻撃系魔法は使えるが?」
「そうかい、なら氷出す魔法ないか?」
「あるが?」
「それなら今使える最高の氷系統の呪文を相手に放ちな。放ったらそれと同時に相手に斬りかかりる・・・それで勝てるはずだ」
「よく分からんがいいだろう・・・貴様名前は?」
「オイラはデルフリンガー、デルフとでも呼んでくれ相棒」
「そうか、デルフか・・・オレ様と言う魔王に使われる事をありがたく思うんだな」
「へ〜魔王ね〜、そいつは光栄だ。とりあえずあの娘っ子には負けないでくれよ魔王様」
「当然だ、オレ様は史上最凶の魔王だからな」
「あら?話は終わり?でも、その剣インテリジェンスソードだったのね。少し驚いたわ」
「そんな名前の剣のか?まあいい、今から決着をつけてやろう!」
「へ〜でも私も負けるつもりはないからその辺はよろしくね」
「言っていろ!『メガクール』!!」

ラハールは、そう言うとクール系のメガ級の魔法をキュルケに放つ。
火系統の魔法しか使えないと思っていたのを、さっきの火系統と同じレベルの魔法を放ったことに少し動揺したが、とっさにフレイムボールの魔法で相殺する。
だが、そこで問題が起きる。

「水蒸気!?しまった!フレイm・・・」

自分の使い魔を近くに呼び寄せようかと思ったが、フレイムの名前を言う前に冷たい感触を首に覚えて言葉を止める。

「オレ様の勝ちだ、降参するんだな」

水蒸気が晴れてきて、見ると自分の首に剣が押し当てられていた。
自分の負けは確定したと見ていいだろう。
フレイムは自分を巻き込まない為に、炎を吐けないみたいだ。

「・・・私の負けよ。降参」
「決まったーーーーー!!第1回戦の勝者はミス・ヴァリエールだーーーーーー!!!」

それを聞いた瞬間ラハールは急いでキュルケと距離をとっていた。

348 :ゼロと魔王2011/09/26(月) 19:19:58.80 ID:SfmdfCzW
「ハァハァ・・・もう2度と近寄りたくないぞ・・・」
「まあ、とりあえず勝利おめでとうだ相棒」
「よくやったわラハール!あのツェルプストーn・・・」

そこで言葉をきったのは、今度はキュルケではなく、自分の首に剣を押し当てられたからだ。

「そういえば貴様、誰が大した事ないんだったか?」
「え、え〜っと・・・勝てたからいいじゃない。ね?」
「ね?ではないわ!!」
「まあまあ相棒、勝てたんだからいいじゃねーか」
「そういえばあんた、そのインテリジェンスソードどこから盗ってきたの?」
「盗ったのではない、倉庫にあったのをもらったのだ」
「倉庫?まあ、いいわ。それより速くここから出ましょう。次の試合が始まるわ」
「それもそうだな、行こうぜ相棒」
「分かった・・・だがさっきの事は後できっちりと教えてもらうからな?」
「え、ええ・・・(チッ!覚えてたか!)」

ラハール達が退場して行くのを冷ややかに見ているのがいた。
タバサである、もっとも、元々あまり感情を見せないからそう感じるだけかもしれないが・・・
その隣には、ローブで顔まで隠した女がいる。

「よかったわね、勝ったわよ」
「・・・そう」
「あれが勝ち上がらないとあなたは、絶好のチャンスを失くすものね。そう、あなたのお母さんを元に戻す方法が・・・ね」
「勝てば・・・」
「ええ、勝てば元に戻してあげるわ。もっとも、勝てればの話だけれどもね。まあせいぜい頑張りなさい」

すると女は人ごみに姿を消していく、それをにらみつけながらタバサは呟く。

「絶対に勝ってやる・・・!」

キュルケあたりが今のタバサを見たら驚いたであろう。
いつも感情を押し殺しているタバサが怒りという感情を見せたのだから・・・

350 :ゼロと魔王2011/09/26(月) 19:23:03.34 ID:SfmdfCzW
以上で今回は終わりです。
いや〜今回は遅くなってすみません
どんなに遅くても1か月以内には投下したんですけどね・・・
次はもう少し速くつくりたいと思います。
最後になりましたが支援ありがとうございます
369 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 10:49:58.20 ID:ITdE5HJu
>>350
乙ー!
10月に新刊が出るみたいだからすごい楽しみ。
351 : 忍法帖【Lv=4,xxxP】 2011/09/26(月) 19:38:18.40 ID:sjYhodLV
投下されたみなさん乙です
連日投稿が盛んでうれしい限り
352 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 20:23:15.19 ID:Xan9KUjf
ヨシヒコはともかく、仏さまは字におこすの難しそうだなー。
353 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 20:58:17.70 ID:r/+xICJu
時よ止まれ 君は誰よりも美しいからっての筆頭にどのルートでもやばくなるな
354 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 21:00:45.11 ID:i5lGNZIt
ちょっとした疑問なんだが…セラムンとかミュウミュウとかツインエンジェルとかってゼロ魔と相性悪いのかな?
356 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 21:06:59.64 ID:FdWESbb0
>>354
さあ?料理人次第としか…
357 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/26(月) 21:09:24.27 ID:i5lGNZIt
>>356

ありがとう。あまりその手の作品を見ないから相性悪いのかなと思ったんだ。
360 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 02:50:49.20 ID:9MrW9CaN
ヨシヒコって、ノベライズの話を
「活字にしたらさっぶいから」って理由で監督が断ったんだっけか

まあ、アレは映像と役者ありきで面白いものだったしな
366 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 07:52:11.30 ID:7DyRbEl4
セラムン呼んだら、『月が二つ』ってのをどう絡ませられるか その辺が面白いかも。
402 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 10:32:52.04 ID:neB87x2E
>>366
セラムンは結局全ての惑星、衛星にセーラー戦士が居たんだっけ。
となるとハルケの2つ月にもそれぞれセーラームーンが居るとか。

そういやハルケの太陽系って他の惑星どうなってるんだろ。
そっち系の学術が発展しなかったから誰も発見してない、知らないって感じかな。

まぁぶっちゃけストーリーに絡まないから設定してないだけだろうけど。
368 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 10:20:06.95 ID:8ZHtDrgJ
ロリババァ、鋼鉄姫ユーミルはなにかとやりやすそうだね。
森の番人ノワはハーフエルフなんで取扱注意かも。

逢魔の女王アルドラもありか。イザベラと相性良さそう。

クイブレで貧乳てーとこんなとこ?個人的にはカトレアの息子ラナがくぎゅボイスだし、やや成長した時点で召喚とか面白いかもと思う。
372 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 17:38:08.33 ID:GVwWCGvi
貧乳って…あいつら一応中学生だから、むしろ普通以上と言ってもいいサイズであるわけだが…それ以前に、中学生らしからぬ身長のような気もする。
427 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 02:04:21.36 ID:3BiyBT/a
>>372
いまどきの中学生は成長よすぎてロリの対象になるかは怪しい
そらおとの連中も普通に見たら高校生だろ、あれが数年前までランドセル背負ってたとか想像できるか?
377 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 21:29:01.36 ID:GZa/m33y
ベイダー卿のアレは仮面かマスクか
380 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 21:57:54.49 ID:ZlLpv9Ef
>>377
あれは「ベイダー卿」としての素顔じゃね?
379 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 21:54:38.12 ID:9p5tWHwZ
斧ょぅι゙ょといえばルルアンタだろ
381 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 22:24:29.96 ID:KQuclNqG
>>379
ただし武器は風車
382 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/27(火) 23:08:01.73 ID:332lOTK0
「アリアンロッド・サガ・リプレイ・エチュード」のルーチェか、大斧幼女と言うと。いや、ネヴァーフという蘭学で言うドワーフに相当する種族だからちっちゃく見えるだけで。
385 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 00:24:03.80 ID:KkbK9fXv
お前ら子供に幻想持ってるようだけど、子供の姿を利用してる奴ってのは性質悪いんだよなエルザみたいに
子供を召喚したルイズは丸くなること多いけど
「子供が純粋だと思っているのは人間だけだ」
と言い放ったあいつを呼んだら運よくルイズ生き残っても人間不信になりそうだ
386 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 00:53:19.03 ID:jkqdHDTZ
エルザの場合はあの姿がデフォなんだから利用してるってのとはちょっと違うけどな
そもそも吸血鬼の価値観ではかなり真っ当な事してるわけだし
387 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 01:19:43.39 ID:xIypTyrX
あの世界の吸血鬼は性能低すぎる気がする…
アーカードさん並にとはいわないけどピートくらいにはなっててもいいと思う
388 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 01:48:13.69 ID:nu0VoOxC
エルザはあくまでタバサが勝てる程度に抑えておかないといけないから、あまりとんでもない化け物だと原作は作れなかったろう
第一他作品の吸血鬼みたく強力だったら人間のふりする必要がない。セルのごとく気配を消して村から村へ食い尽くしながら移動すればいい
390 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 04:34:48.89 ID:mtQXwOxI
前の方でハンター×ハンターのクロスが無い。
とのことだったので、無いなら作ってしまえと書いて見ました。

よろしければ、投下したいと思います。

召喚されるのは、ゴンとキルア。
時系列的には、GI編の直後でカイトと出会う前。
原作ではGI編の直後にカイトのところへ向かいますが、
このSSではカイトのところに向かうまでに、ちょっと旅をしているという設定になっています。
ドラゴンボールZの映画みたいな感じだと思って下さると幸いです。

では、始めたいと思います。
391 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 04:36:24.26 ID:mtQXwOxI
彼の名はゴン=フリークス。
幼い頃に自分を残して失踪した実の父、ジン=フリークスを探して旅をしている。
まだあどけなさが残るその外見とは裏腹に、ハンターライセンスを所持しており、幾多の修羅場をくぐり抜けてきている。
幼い頃から自然と共に育ってきたゴンは、野生児特有のパワーと勘で、並み居る強敵との戦いを生き抜いてきたのだ。

「……さあな。結局、グリードアイランドの中にも、お前の親父の今いる場所の手掛かりまでは無かったからな」

そう返した銀髪の少年の名は、キルア=ゾルディック。
ゴンの友達である。
ハンター試験でゴンと知り合い、そのまま意気投合し、今は彼の父親探しを手伝っている。
キルアも見た目こそ、年端もいかない子供ではあるが、実は伝説の暗殺一家、ゾルディック家の三男なのである。
彼自身もまた暗殺者であり、数々の暗殺術を用いて何百、何千もの人間をその手に掛けていた。
彼もまたゴンと同様にハンターライセンスを所持している。
ハンターとは怪物・財宝・賞金首・美食・遺跡・幻獣など、稀少な事物を追求することに生涯をかける人々の総称であり、全世界に600人しかいないとされる選ばれた人間のことである。
プロのハンターの資格を得るには、数百万分の一の難関と言われるハンター試験を突破しなければならず、それに合格しても更に裏試験というものがあり、これも突破しなければ一人前のハンターと認められない。
ゴンとキルアはそのハンターなのである。
だが、二人が子供ながらに強いのはハンターだからというだけが理由ではない。
その秘密は念にある。

念。
それはオーラと呼ばれる生命エネルギーを自在に操る能力のことである。
一人前のハンターであるならば半ば習得必須であり、戦闘だけでなく芸術の分野など多岐に渡って活用されている。

ゴンもキルアも未熟ではあるが、念の使い手なのである。
それぞれが独自の能力を持っており、彼らの強さの源となっている。

二人はつい先程、グリードアイランドと呼ばれるジン=フリークスとその仲間たちが作った念能力専用のゲームをクリアしたところであった。
その中で知り合ったビスケことビスケット=クルーガーと別れ、再び二人でジン=フリークスを探す旅を始めたのであった。

「……にしても、ゴン。お前、ゲンスルーとの戦いで片腕捨てたんだって?無茶し過ぎだっつーの!大天使の息吹が無かったら、お前一生片腕だったんだぞ?」
「えへへ、だって思い付いちゃったんだもん。それにやられっぱなしじゃ悔しいじゃん!」
「ビスケもその話聞いたら、流石に呆れてたぞ」
「でも今はもう何ともないんだし、結果オーライだよ」
「結果オーライ……って、お前なあ……」

キルアがゴンに呆れていると、目の前に突如鏡が現れた。
あまりに突然のことではあったが、二人は瞬時に後ろへ飛び、鏡から一定の距離を取ると臨戦態勢になる。
ハンターとは言え、子供が故に念での実戦経験がまだまだ少ない彼らではあったが、それでも強敵と渡り合ってきたという確かな事実が二人へこの行動を取らした。

すぐに二人は凝を行う。
凝とはオーラを体の一部に集めることで、そこへ力を集中、増幅させる技術であり、攻撃または防御に使用されている。
この場合は、目にオーラを集中させることで、目の前の鏡から発するオーラを確認し、相手の力量を測ろうという意図があった。
だが……。

「……?何、これ?」
「念能力じゃ……ないのか?」

二人は同時に言葉を漏らした。
目の前の鏡からはオーラを全く感じなかったのだ。
もしも目の前の鏡が誰かの念能力であるならば、どれほど巧妙に隠してあってもオーラを感知出来る筈である。
その不可思議な現象に二人は思わず首を傾げた。
392 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 04:38:59.19 ID:mtQXwOxI
すみません、コピペミスで↑に冒頭の文章が抜けてました。
冒頭に↓の文章を足してお読み下さい。

二人の少年が道を歩いている。
付き添いの大人の姿は何処にも見えず、子供だけで旅をしているようであったが、彼らに怯えや畏れといったものはなく、実に楽しそうにしている。
彼らは旅を冒険を心から楽しんでいるようであった。

「……それにしてもジンは何処にいるのかな?」

黒髪の少年が何とはなしに口を開いた。
393 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 04:40:32.56 ID:mtQXwOxI
「この鏡、誰かの攻撃……じゃあないのかな?」
「油断するなよ、ゴン。突然現れたってことは、例え念能力じゃなくても、誰かの仕業なことは間違いないからな」
「うーん、でも周りに誰もいないみたいだよ?」
「この鏡に俺たちの意識を集中させることがそもそも敵の目的かも知れないだろ?警戒は怠るなよ、ゴン」
「分かってるよ!」

ゴンは少しだけ不服そうに言った。
二人が周囲に気を張り、その場で待機すること数分。
良くも悪くも状況が変わることは特に何も無かった。
しかし、逆にそれが二人を焦らすこととなった。
二人は別段、辛抱弱いというわけでは無く、その気になれば何時間だってその場で待機することは可能である。
しかし、目の前には出所不明の鏡が威圧的に二人の前へと立ちはだかっていて、それが誰かの念能力というわけではなく、目的さえも不明。
今でこそ、ただそこにあるだけではあるが、もしかしたら突然攻撃してくるかも知れない。
或いは、こうして二人の足を止めることそのものが目的かも知れない。
ありとあらゆる可能性が二人の脳裏に浮かび上がり、それが焦燥を生んでいたのであった。

「……キルア、あの鏡を調べよう」
「……ゴン!?」

ゴンの提案にキルアは面食らう。
まるで、その発想は無かったとでもいうように。

「だって、ここでこうしてても埒があかないよ」
「攻撃されたらどうすんだよ?敵の罠かも知れないだろ?」
「その時はその時だよ。それにこっちを攻撃してくるようなら、遠慮なくあの鏡を壊せる」
「……………………」

そう言ってのけるゴンにキルアは目を丸くした。
数秒間だけ考えた後、ハァと息を吐くと、そのままゴンに賛同するように両手を上げた。

「……ま、お前の言うことにも確かに一理あるな。このまま俺たちがこうしてるってのが敵の狙いかもしんねーし。……一応、凝だけは忘れんなよ?」
「分かってるって!」

と、ゴンはすぐに目へオーラを集中させた。
キルアも凝を行うと、二人で鏡に近付いていく。
相変わらず鏡からはオーラを感じない。
あと少しで鏡に触れるという位置まで近付くと、二人は歩みを止めて鏡を観察した。
少し古ぼけた感じのする、至って普通の鏡のようである。

「……鏡、だね」
「……鏡、だな」

二人の感想もそれだけ言うのが精一杯であった。
これだけ近くにいても、危険などは全く感じず、突然目の前に現れたという事実さえなければ、道端に置いてある鏡で通じてしまいそうである。
怪しいことには変わりないが、怪しいだけで敵意は無いように思える。
と、ゴンは指先で鏡面に自ら触れようとする。

「ちょっ、ゴン!お前っ!?」
「ちょっとだけだから大丈夫だって……って、えええええええ!?」

指先が鏡面に触れた瞬間、ゴンの体が鏡の中へと引きずり込まれた。
その力は物理的なものではないみたいで、ゴンのパワーをもってしても止めることが出来ないようであった。
キルアは咄嗟にゴンの体へ腕を回して力ずくで鏡から引き離そうとするが、それはかなわず、二人は一緒に鏡の中へと吸い込まれてしまった。

「「うわああああああああ」」
395 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 04:42:37.82 ID:mtQXwOxI
二人がそうやり取りしていると、突如周りの連中の中から声が上がる。

「平民だ。ルイズが平民の子供を召喚したぞ!」

その声を合図にその場へ笑い声が巻き起こった。
皆が皆、何がそんなに面白いのか、というくらいに笑っていた。
そして、それら全ては明らかな嘲笑であり、それが事情がよく飲み込めていない二人をもイラッとさせた。

「……何だ?何でこいつら笑ってんだ?」
「……よく分かんないけど、何かムカつく!」

と、二人の背後に誰かが近付いて来る気配がした。
振り返ると、そこにはピンクブロンドの美しい少女がいた。
背丈は二人と同じか少し低いくらいで、何処か幼さを感じさせる風貌であった。
そんな彼女が顔を真っ赤にし、小刻みに震えながらこちらを睨み付けている。
二人よりも先に、ピンクブロンドの少女が口を開いた。

「んで……」
「?」
「何でアンタたちみたいなのが召喚されるのよ!!」

強い口調でそう言うと、少女の瞳からは涙がポロリと落ちた。
拳をギュッと握り締め、唇を噛んでいる姿が何処か痛々しい。
突然少女から怒鳴りつけられて、二人は腹を立てるよりも先に困惑していた。

これが、ゴンとキルア、そして少女ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとの出会いであった。
396 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 04:47:31.14 ID:mtQXwOxI
プロローグはこんな感じです。
表題をつけるならば、

鏡×異世界?×ピンクブロンドの少女

って感じでしょうか?(日テレ版がもうすぐ放映なのにフジテレビ版のタイトルですみません)

SSのタイトルは、

HUNTER×HUNTER×ZERO

とします。
次回、投下時から名前欄に記入しておきます。

プロローグなので少し短めですが、感想などお聞かせくださると、とても有難いです。
それでは、またお会いしましょう。

397 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 08:58:40.50 ID:pSPkZbRK


キメラアント以降のゴンたちになると、パワーバランスが酷いことになりそうなので
GI編くらいの頃が丁度いいかもな
415 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 17:55:17.57 ID:Y+wn453c
>>397
ハルケでキルアにイルミの針を抜かせるほどの覚悟させるやつがいるかな
403 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 10:46:51.71 ID:oYfK3sga
10:50頃に投下致しますが、よろしいですか?
今回はタイトルを忘れません
404 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 10:51:16.56 ID:oYfK3sga
<厄災招く、破壊の箱> 前編

翌日、当然ながら学院では昨晩から朝まで騒ぎが続いていた。
何せ、由緒正しいこのトリステイン魔法学院が世を騒がす怪盗?土くれのフーケ?のターゲットにされ、
しかも巨大なゴーレムによって大胆な襲撃をされてしまったのだ。
厳重に?固定化?の魔法で防御を固められ、破壊されるはずのない宝物庫がこうもあっさりと破られ、
さらにそこで保管されていた?破壊の箱?までまんまと盗まれてしまったのだ。

『破壊の箱、確かに領収致しました。 土くれのフーケ』

堂々と壁に刻まれた犯行のメッセージに、教師達は口惜しさに皆、肩を震わせるばかり。
学院創設以来の大事件、そして過去に例を見ない大失態だった。

本日の授業は全面休講。
学院長室には教師達と昨晩の四人の目撃者達が集められ、対策会議が開かれていた。
……しかし、実際に行われているのは教師達の愚痴や責任の押し付け合いばかり。
当直の教師は誰だったのか、衛兵はどうしていたのか、衛兵など所詮は平民に過ぎないから当てにならない、
などと醜い口論が続けられるばかり。
そして、昨晩の当直であったシュヴルーズがサボっていたので責任を取れと言う他の教師達をオスマンが嗜めた。

まともに当直などできた者はいない、そしてこの責任は教師全員にあるという事実を述べると
教師達は誰も反論できなくなり、俯いてしまった。

(……どうしようもない連中だな)
教師達の他にルイズ、キュルケ、タバサが並んで立つ中に混ざってスパーダも腕を組んで目を瞑ったまま
沈黙していたが、教師達のあまりの無能さに頭を抱えたくなった。
この世界の貴族とやらは貴族……いや、メイジとしての力と権威に溺れ、
そしてその上で胡座をかいているだけのものが多いようだ。
普段からそのような状態だから肝心な時には何もできない。
こんな腑抜けでは、ほとんど連中が蔑んでいる?平民?と何も変わりはしない。

教師達が静まった所でオスマンがコホンと軽く咳払いをし、ルイズ達の顔を見回す。
「さて、昨晩の出来事の目撃者は君らだと聞く。詳しく、説明してもらえんかの?」
そこでルイズが前へ出て、昨晩のことを有りのままに手早くオスマンに報告を行った。
無能な教師達に比べて、的確に報告を行える彼女達の方が立派だ。
405 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 10:55:53.62 ID:oYfK3sga
ちなみにあの後、タバサの使い魔シルフィードがゴーレムを追跡したそうだが、
その道中で土くれの山だけが残されていたのを発見したらしい。
これでは後を追おうにも手がかりがない。

……しかし、一つだけ手がかりはある。
いや、手がかりというより真実なのであるが。
「ミス・ロングビル! どこへ行っていたのですか!?」
と、コルベールが興奮した様子で声を上げるとスパーダが思い浮かべていた人物――土くれのフーケこと、
ロングビルが姿を現していた。
「申し訳ありません。朝から急いで調査をしておりましたの」
さて、首謀者は一体どのような作り話を語ろうというのか。スパーダは内心、面白がりながら彼女の報告とやらを聞いてやった。
ロングビル曰く、学院近在の農民から聞き込みを行い、近くの森の中にある廃屋へと入っていった黒ずくめのローブ姿の人間を見たという
情報を得たらしい。
そして、そこがフーケの隠れ家ではないかという推測をオスマンらに伝えていた。
「黒ずくめのローブ? それはフーケです! 間違いありません!」
と、話を聞いていたルイズが叫ぶ。
「そこは近いのかね?」
「はい。徒歩で半日、馬なら四時間といった所です」

(話があまり上手くないな……)
スパーダは内心で深く溜め息をついていた。
彼女の作り話はどこも不自然だらけだ。
何故、その黒ずくめの正体がフーケだと断定できるのか。それに彼女は早朝から調査をして、
馬でも片道四時間もかかってしまう距離から調査だけでなく、行き帰りだけでそれだけの情報を仕入れてくるというのは無理がある。
学院へ帰ってくるだけでも昼過ぎにはなるはずだ。
……と、これだけ不自然な報告を誰も疑っている様子がない。
普通に考えれば分かるようなものだというのに、本当に鈍感な人間ばかりだとスパーダは呆れた。

その後、コルベールが王室衛士隊に頼んで兵を差し向けてもらおう、と言ったがオスマンは知らせている間にフーケは逃げてしまう、
学院の不始末は学院で解決する、と答えていた。
ロングビルはその言葉を待っていたかのように薄く微笑んでいる。
(そういえば、彼女は何かまだ用があるのか?)
ここでは破壊の箱と呼ばれている――あれ。
あれを盗んでしまえば、ここには用済みのはずだろう。
それなのに戻ってきたということは……恐らく、あれの使い方が分からない。だから誰かに実際に使わせてみようか、そんな所だろう。
だが実際の所、あれは彼女では扱えやしないのだが。
406 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 11:00:05.63 ID:oYfK3sga
「では、捜索隊を編成する。我と思うものは杖を掲げよ」
オスマンが有志を募うが、教師達は困ったように互いに顔を見合わせるだけで誰も杖を掲げない。
「ん? どうした? フーケを捕まえて名を上げようと思う貴族はおらんのか!?」
どうにもならない腰抜け達だ。やはり、普段は魔法の力に頼っているだけで
いざ本気のいざこざになれば強大な相手に恐れをなして何もできないようだ。
ただ、責任の押し付け合いに参加しなかったコルベールだけはフーケを恐れているというよりは、
自分自身に恐れているといった方が正しい。何を恐れているかは知らないが。

スパーダは今度ははっきりと細く息を吐くと、スッと一歩前へと歩み出た。
「私が行かせてもらおう」
ざわめきだす教師達やルイズはスパーダの行動に驚き、目を見張る。
そんな中、教師達の中から一人の黒い髪をした若い男がスパーダの元へ近づき、杖を突きつけてきた。
「魔法も使えぬ異国の没落貴族ごときが出しゃばるな!! これは我々の問題だ!」
風系統のメイジであるギトーがスパーダに対して敵意を剥き出しにして突っかかってきた。
しかし、スパーダは目の前に杖を突きつけられているのにも関わらずまるで動じず
逆に涼やかな表情でこう返してきた。
「そうか。では、学院を代表してお前にフーケの討伐へ行ってもらうとしよう」
その言葉が出た途端にギトーの威勢は一気に萎え、顔が青ざめだす。
「聞けばお前は風系統の優秀な教師だそうだな。ならば、フーケを捕まえるのも簡単なはずだろう?
 おまけに名も上げられて、一石二鳥だ」
「い……いや、私は……」
弱々しく口篭り、杖を手にしていた手が力なく下げられていく。
「――Humph, You scared?(――フン、怖気づいたか?)」
今度は明らかな嘲笑を交え、スパーダは下手に出しゃばってきたギトーに追い討ちをかける。
ギトーは唇を噛み締め、悔しそうにスパーダを睨みながら下がっていた。

(何なのよ……これが、貴族の姿だというの?)
ルイズはあっさりと引き下がっていたギトーを見て、心底呆れ果てる所か憤りさえも生じさせていた。
生徒の規範であるはずの彼らは貴族の誇りはおろか矜持さえも捨て去り、フーケに恐れをなしてしまっている。
それどころか責任逃れとその押し付け合いに終始し、己の保身のことしか考えていない。

魔法を使えることだけが貴族? 違う。敵に後ろを見せず、立ち向かう者のことを貴族と呼ぶのだ。

この中で最も貴族らしく、敵に後ろを見せようとしないのは、異国の貴族だと彼らが散々馬鹿にしているスパーダだけだ。
ならば、その正しき姿と行動を自分も示さなければならない。
407 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 11:04:13.87 ID:oYfK3sga
オスマンが有志を募ってからずっと俯いていたルイズは我慢が限界に達し、己の杖を顔の前に掲げだした。
「ミス・ヴァリエール! あなたは生徒ではありませんか!
 ここは私達教師に任せて……」
それをシュヴルーズが諌めようとするがルイズは、
「先生方は誰も掲げないじゃないですか!」
と、腰抜けな教師達全員に向けて責めるようにしつつも毅然とした態度で叫んでいた。
教師達は誰もその言葉に反論できない。ぐうの音もでない事実だったからだ。

スパーダはそんなルイズの姿を見て、微かに笑った。
正直、彼女には付いてきてもらった方が都合が良かった。
彼女を成長させてやるには良い機会だ。
次に、キュルケやタバサまでもが杖を掲げて同行を申し出る。
「ヴァリエールには負けられませんわ。……でも、あなたまで付いてこなくても良いのに」
キュルケが困ったようにタバサを見るが、「心配」とだけ答えていた。
オスマンはうんうん、と満足したように頷いていた。
「では、彼女達に頼むとしよう。
 ……何より、ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いている」
タバサは返事もせずに突っ立っていたが、教師達やキュルケ、ルイズは驚いたように彼女を見つめていた。
まあ、あれだけのやり手ならばそれくらいの称号は持っていてもおかしくはない。
スパーダは別段、驚きもせずに彼女をちらりと見ていた。
次にオスマンはスパーダとルイズを見比べる。
「皆も知っておるはずじゃが、ミス・ヴァリエールの使い魔……ミスタ・スパーダは
 グラモン元帥の息子、ギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝利している」
教師達の視線が、一斉にスパーダへと注がれる。

「彼らに勝てるという者がおるのであれば、前に一歩出たまえ」
ほとんどの教師はスパーダのことを魔法も使えない、どこの馬の骨とも知れない異国の没落貴族として
蔑んだ視線で見ているが、彼の操るその剣術は人間とは思えぬものだった。
彼ならば、土くれのフーケに後れを取ることはないだろう。
……もっとも、魔法も使えぬ没落貴族などに自分達が後れを取るというのがどうにも悔しく感じられたが。

スパーダを除く三人は真顔になって直立し、恭しくオスマンに礼をする。
「オールド・オスマン。私が、案内役を務めますわ」
ロングビルが前へ出てきて買って出てくる。
もっとも、彼女は首謀者なので案内というより誘い込むというのが正しいが。
「うむ。彼女達を手伝ってくれたまえ」
「もちろん。そのつもりですわ」
408 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 11:09:12.03 ID:oYfK3sga
「ちくしょう……ひどいぜ、相棒……」
一方、ルイズの部屋へと置き去りにされたデルフリンガーはさめざめと泣き続けていた。
スパーダはフォースエッジと自分を置いて、フーケの討伐に行ってしまった。
連れていってくれ、と懇願してもスパーダは「今のお前に用はない」と冷たく答えて
リベリオンとかいう大剣を持って出て行った。
それは確かに、自分の得物が三本もあればそれ以上はいらないはずだろう。
だが、ならば何故自分を買ったのだ?
何故、力を示したのに使ってくれない?
「……この野郎。お前も持ち主に置いてかれたんだ。ざまあみやがれ……」
すぐ隣に立て掛けられているフォースエッジに向かって愚痴を呟き続けていた。


一行は屋根のない荷馬車でフーケの隠れ家へと向かっていた。
御者はフーケこと、ロングビルが務めている。
スパーダ達は馬車に揺られながら、ただただ到着を待ち続ける。
「ミス・ロングビル。どうして御者を自分で? 手綱なんて付き人にやらせればいいじゃないですか」
そんな中、キュルケがロングビルに話しかける。肩越しに少しだけ顔をこちらに向けながら、ロングビルは答えてきた。
「……いいのですよ。私は、貴族の名を無くした者ですから」
「だって、あなたはオールド・オスマンの秘書なのでしょ?」
「ええ。……でも、オスマン氏は貴族や平民だということに、あまり拘らないお方ですから」
表情は微笑んではいるものの、その裏側はとても哀しそうにスパーダは思えていた。
自分のことを没落貴族などと呼んでいた連中はあの学院にいたものの、それはあくまで余所者と認識してのことだろう。
ロングビルは本当に、その没落貴族と呼べる位置にいるのかもしれない。
彼女の家が何らかの事情で取り潰しに遭い、貴族としての地位を捨てなければならない理由があったのだろう。
そして、そのために盗賊という身分に零落れなければならなかったのだ。
それは自らが生き抜くためか、はたまた共に巻き添えを食らった大切な人のためか。

「差し支えなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」
キュルケが興味津々といった様子でロングビルに問い詰めるが、ロングビルは困ったような笑顔を返すのみ。
「いいじゃないの。教えてくださいな――」
御者台ににじり寄ろうとするキュルケに、スパーダは瞬時に抜刀して閻魔刀を突きつけた。
突然のスパーダの行動に、タバサを除く三人は驚き目を見張った。
409 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 11:13:35.90 ID:oYfK3sga
「……よせ、キュルケ。彼女には話したくない理由がある。
 それを無理に抉り出しても彼女を傷つけるだけだ。好奇心もほどほどにしろ」
「そうよ! 聞かれたくないことを根掘り葉掘り聞こうだなんて! 空気を読みなさい!
 これだからゲルマニアの女は野蛮なのよ!」
ルイズまで彼女を責めるが、キュルケは一瞬ルイズの方をつまらなそうに睨んだ。
本来ならば彼女に嫌味を返してやりたい所だが、自分に突きつけられている閻魔刀を手にする
スパーダの冷たい瞳は、本気で怒っている。
キュルケは仕方なく、自分の位置へと戻り、大人しくしていた。
「……ミス・ロングビル。すまなかったな」
閻魔刀を納めたスパーダは、ロングビルに声をかける。
ロングビルはスパーダを見つめたまま呆気に取られていたが、すぐに微笑を浮かべて、
「いえ。良いのですよ」
と、答えていた。
スパーダに対して感謝をしているような、それとも余計なお世話だとでも言いたそうな、
複雑な感情が入り混じった笑みだった。



馬車はその後、鬱蒼とした深い森へと入っていった。
ここから先へは馬車では進めないため、徒歩で進むことになる。
薄暗い森の奥へと小道を通ってしばらく進んでいくと、一行は開けた場所へと出た。
どうやら森の中の空き地のようであり、その中にぽつんと建っている廃屋が確かにあった。
「私の聞いた情報だと、あの中にいるという話です」
茂みに身を隠したまま、ロングビルはそう言う。
あの中ではなく、ここにいるのが正解だ。
大体、あんな場所を隠れ家にするというのがそもそもおかしい。本格的に山狩りをされれば
完全に包囲されるのは目に見えている。
その後、ルイズ達は作戦を立て始め、タバサが地面に絵を描き始める。
スパーダはそれには参加せず、ちらりとロングビルの背中を見続けていた。
結局、三人の作戦は誰かが偵察兼囮となってフーケを誘い出すということに決まったようだ。
「で、誰がやるの?」
キュルケが尋ねると、タバサは「すばしっこいの」と答える。
三人の視線がスパーダへと向けられるが、本人は首を横に振っていた。
「私より、ミス・タバサが適任だな。体も小さいし、罠にもかかり難いだろう」
そう返され、タバサは少しの間を置いてからこくりと頷く。
「私は、この辺りを偵察してきますね」
ロングビルがそう言って、森の中へと姿を消そうとする。
「ちょっと、どこへ行くのよ」
スパーダがロングビルの後を付いていこうとして、ルイズが不満そうに彼を呼び止めた。
ロングビルも驚いた様子でスパーダを振り返る。
410 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 11:17:09.30 ID:oYfK3sga
「私も同行しよう。君らで廃屋の調査をしてくれ」
「いえ、良いですよ。私一人で」
ロングビルが微かに焦った様子でスパーダの同行を拒否するが、
「君一人では危険だろう。相手はあれだけ?巨大で強靭?なゴーレムを作り出せるのだからな」
そう答え、ロングビルの肩を叩くと彼女と共に森の奥へと姿を消していた。


その後、タバサが廃屋の偵察を行い、フーケがいない上に何も罠がないことも確認すると中へと入っていく。
何か手がかりがないものか、ほこりだらけの廃屋内を調べ始める三人。
タバサがその中にあったチェストを開けてみると……。
「これが、?破壊の箱??」
タバサが中から引きずり出し、抱えているそれを見てルイズが不思議そうに声を上げる。
それは側面に奇妙な骸骨の紋章が刻まれたスーツケースにしか見えなかった。
ルイズも破壊の箱は初めてみるのだが、これは一体どうやって使うのだろうか?
「あっけないわねー」
キュルケが拍子抜けしたように声を上げる。
「中に何が入ってるのかしら? ちょっと、貸してみて」
タバサから受け取った破壊の箱をキュルケが開けようとするが、鍵が掛かっているのか開かない。
杖を振るい、開錠の魔法をかけてみてもビクともしない。
そんなに重くないことから、中には何も入っていない様子なのだが……。
「そんなことより、早くスパーダ達を呼んできましょうよ」
ルイズが促し、三人は廃屋の外へと出て行った。



森の奥へと偵察へ向かっていった二人の男女。
その片方が、もう一人に己の杖を突きつけていた。
しかし、剣を背負う男はその状況にまるで動じず、腕を組み続けていた。
「……いつから? 私がフーケだと分かったのは」
ロングビルは先ほどまでの温和で優しそうな秘書の笑顔ではなく、油断のない得物を狙う猛禽類のように鋭くなっていた。
「ああ。昨日、君が大胆なことをしていた時だな。?ロングビル?の魔力と?フーケ?の魔力は
 性質から何から何まで全く同じものだったのでな」
腕を組んだまま軽く肩を竦めるスパーダ。
悪魔である彼には魔力を持った存在の力量や性質まで感じたり、見たりすることは他愛のないこと。
いくら彼女が変装をしようが、それはスパーダにとっては無意味なことだった。
ルイズ達と別れ、その姿が見えなくなってきた頃にスパーダは唐突にロングビルにこう問いかけた。
411 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 11:21:48.54 ID:oYfK3sga
「君が朝一番に仕入れてきたという情報。あれは少々無理があるな。
 何故、あれだけの具体的な情報を短時間で持ち帰られたのだ?
 馬でも片道四時間はかかる距離をたったの数時間で君は持ち帰ることができた」
スパーダのその指摘にロングビルは「こちらも必死になって調査をしましたので」と、とぼけた。
もちろん、さらにスパーダは追い討ちをかけ、
「君が朝一番で調査をしに出かけたのであれば、戻ってくるのは最低でも昼過ぎになっていたはずだ。
 にも関わらず、君は短時間であれだけの具体的な情報を仕入れて戻ってきた。それは何故か?
 ……フーケの行動を随一、監視でもできる人間でなければ不可能だからだ。
 そして、それができるのは、?本人?である君くらいなものだ」
そこまで指摘をしてやると、ロングビルは微かに舌打ちをしながら素早く振り向き、スパーダに杖を突きつけてきたのだ。

普通なら少しでも動こうとすれば、彼女は確実に一撃で仕留めるような攻撃をしてくるだろう。
だが、スパーダはまるで動じない。涼やかな表情のままだ。
「……私の魔力が分かる? あなた、魔法も使えない元貴族だと聞いていたけど……何者?」
「ただの退屈な没落貴族さ。異国にはそのような奴がいるということだ」
スパーダはフッと笑ってやり、モノクルを外した。
「まあ、君のあの報告もあまりに不自然過ぎたな。昨日のあの時、君と会っていなくても
 あの時点で気づいてたかもしれないな」
「……何もかも、お見通しって訳」
僅かに口端を歪めるロングビル。
「君が私達をここに呼んだ理由は大体分かる。君が盗んだという?破壊の箱?とやらの使い方が分からないのだろう?」
「そうよ。盗んだは良いけど、使い方がまるで分からなかったの。それじゃあ、売ったって全然意味がないじゃない?
 それで、学院の誰かに使わせてそれを知ろうと考えたのよ」
「私達以外の誰も知らなかったらどうするつもりだった?
 ……いや、予想は付くな。君が呼び出したゴーレムで叩き潰し、また別の誰かを呼んでいた、そんな所か。
 だが、君だけがのこのこ戻ってきた所で却って怪しまれるだけだと思われるがな」
「……もっとも、その前にあなたをここで始末しないといけないけどね」
杖をスパーダの胸に近づけてくるロングビル。
しかし、その瞳の奥には微かに?迷い?の感情が窺えるのがスパーダは分かっていた。

「ふむ……まあ、それは良いとして君はあの?破壊の箱?とやらがどういう物か知っているか?」
スパーダは顎を摘んでそう尋ねる。
「それをこれから知ろうって言うのよ」
しかし、スパーダはかぶりを振ってはっきりと告げた。
412 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 11:25:43.12 ID:oYfK3sga
「……やめておけ。あれは君はおろか普通の人間が手にするものではない」
「馬鹿にしないで? 使い方さえ知れれば後はどうとでもなるわよ」
「これは私からの忠告だ。……あれを下手に使うのはやめておけ」
スパーダの声音が低く、冷たいものへと変化し、ロングビルは僅かにおののく。
「あれはな、本来は?破壊の箱?という名前ではないし、マジックアイテムですらない。
?厄災?という意味を持った強大な力を持つ兵器だ。それも、私の故郷で作られたな」
「あなたの、故郷? ……いきなりそんな話をされて、信じると思って?」
「信じる、信じないかは君の勝手だがな」
未だロングビルに杖を突きつけられているのにも構わず後ろを振り返り、言葉を続ける。
「だが、重ねて言おう。あれは君がまともに扱えるような代物ではない。
 ……下手をすれば、君自身が命を落としかねんぞ」
真剣に言葉を続けているスパーダに、ロングビルの身が強張る。
彼は自分の動揺を誘おうとする訳でも、油断させようとしている訳でもない。
ただ真剣に、事実を伝えようとしている。
「そうだな……その気なればこの森なんぞ簡単に消し飛ばせる」
その言葉にロングビルの顔は僅かに青ざめた。
「君があれの使い方を知って売るのは大いに結構だ。……だが、あれがいずれ君にもいるであろう大切な人を傷つけないとも限らん」
ロングビルの表情がさらに青ざめる。
彼女の脳裏に、妖精のように美しく可愛らしい金髪の少女の姿が思い浮かぶ。
413 :The Legendry Dark Zero 82011/09/28(水) 11:27:53.38 ID:oYfK3sga
「そうなった時、あれを戦いが好きな奴の手に渡りでもすれば、どうなる? 君が使い方を知って売った以上、
 それからの持ち主もそれを知るだろう。そして、その破壊の箱は数多くの厄災をもたらし、いずれは君の――」
「やめてっ!!」
ロングビルが突然叫びだし、スパーダは肩越しに振り向いた。
杖を下ろしていたロングビルが俯き、肩を震わせていた。
スパーダは彼女へと向き直り、その前に立つ。
「……捕まえたいなら、とっとと捕まえなさいよ。
 あなただってどうせ、正体を知っていたのなら私を捕まえるためにわざわざここまで来たんでしょう?
 だったら、好きにすればいいわ。それで貴族として名を上げれば良いわ」
唐突に観念した態度を取る彼女に、スパーダは肩を竦める。
「いや、別に。そんな気はさらさらない。……第一、君をフーケとして捕らえた所で私には何の意味もない」
スパーダの口から出てきたとんでもない返答にロングビルは呆気に取られた顔を見せていた。
「じゃ、じゃあ……何しに来たっていうの」
「君に少し協力して欲しいことがあってな。聞いてくれるか?」
それからスパーダの口から出てくる言葉に、ロングビルは顔を顰めていた。
「……どういうつもり?」
「何、彼女達を鍛えてやりたいだけだ。
 存分に、力を見せてもらうぞ。?土くれのフーケ?」
にやりと笑い、スパーダはロングビルを伴って廃屋の方へと戻っていく。
彼の足元には、漆黒の影がオーラのように湧き上がっていた。


※今回はこれでお終いです。
 
414 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 11:58:30.27 ID:vATJsTrp
パパーダ乙。
パンドラの箱って資質とかは問わないけど、その分予備知識とか扱いを可能にさせる技量がないと無理だよね、じゃなければ災害が起きる。
アラストルは心臓を捧げよ、とかイフリートは業火に耐えてみせろ、とか何かと扱う者のスペックを要求する分、どっちも危険さは変わりないな。
416 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 18:21:25.18 ID:jkqdHDTZ
念覚える前ですでに加速ジョゼフとタメ張れるレベルのスピードなんだぜ……
あの世界は能力抜きでもヤバイレベルのが多すぎる
417 : 忍法帖【Lv=6,xxxP】 2011/09/28(水) 19:32:24.26 ID:sdrpii3U
早いのは間違いないが加速ジョゼフとタメってのはどういう根拠があるのさ?
419 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 19:50:43.27 ID:pSPkZbRK
キルアはGI編で残像みたいなのやってたけど、あれは速いからそう見えたんじゃなくて
速さに緩急をつけてるから残像のように見えるって設定だった筈

と思ったら、その前のハンター試験の時に、
一般人の目には捉えられないスピードで参加者を次々と倒していってたっけか
100人以上を30分内に倒してるから、下手するとジョゼフより速いかも知れんな
420 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 19:54:08.08 ID:xlasKXOh
人間大のサイズで目に見えない速さって相当早いよね
大体1/60秒で視界の外から視界の中を通ってまた視界の外に出れるぐらい早くないと無理
421 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 19:54:37.32 ID:jkqdHDTZ
根拠を問われると困るが、囚人から心臓抜き取った時とかな
漫画的表現だと言われればそれまでだが、イメージ的には同レベルだろうよ
422 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 20:15:01.26 ID:KbEIK1IJ
キルアの速さは単純な速度と言うよりは暗殺者だからこその
「(いろんな意味での)死角を突く」ことに比重が置かれてる気がするな。
ただスピードがズバ抜けて高いというのじゃなくテクニックとの掛け合わせで早く見える部分も多いかと
425 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/28(水) 22:29:17.30 ID:xlasKXOh
針抜けたあとは王とネテロの祈りに次ぐぐらいの速さじゃね?
432 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 11:13:47.67 ID:ux6gal6p
おい誰かDies iraeの奴書いてくれや、キャラはヴィルヘルムでいいぞ
俺には文才がまったくない
だからお前等まかせた!ww
439 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 16:38:01.42 ID:6emlvNi0
>>432
中尉殿は無理だろ・・・召喚しても契約にもっていくのは無理だし
たとえ契約してもルイズがぶっ殺されて終了とかね・・・
そもそもあれが獣殿以外のいう事を聞くはずがねえ。
話として成り立たせるなら蓮か司狼ぐらいだろうな
433 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 11:47:06.36 ID:KZHKC1Kw
交信がすんごく遅いけどなろうに赤騎士が呼ばれたのと白騎士が呼ばれたのがあったような
434 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 13:45:30.13 ID:LRW93hiV
支障最強の弟子ケンイチで梁山泊召喚とか誰か書いて!自分じゃ書けなっかた・・・
435 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 14:43:55.71 ID:d3eadAk3
>>434
考えた事はあるけど難しいだろうなぁ
多分師匠とセットで召喚されて遠出する時にルイズは馬なのにケンイチはタイヤに師匠や石を乗っけて自分の足で走らされる
436 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 14:50:15.94 ID:F7bl3fGf
ルイズといっしょに、愛の国ガンダーラ・ブホテルを目指す話を誰か書いてくださいませ
437 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 15:36:36.48 ID:Y4WAV6EI
九十九乱蔵召喚で、ハルケに持ち込まれた呪詛、巫術、妖異に挑む話は
考えたな。
相手も魔獣モンスターじゃなく、呪怨ファミリーや山精みたいな得体の知れない
存在にどう挑むかみたいな。

ゼロ魔の魔法って物理側面が強いから、呪詛、悪霊というカテゴリーの違う相手
だとかなり苦戦しそうな気がする。

ただ、ルイズの召喚だとストーリーに絡めるのがむずかしいから
タバ冒や烈風みたいにやるのがいいんだろうが、どうやって呼ぶかが問題だな。
ここのスレタイからも外れちゃうし。
438 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 15:56:12.42 ID:BAA1fH/e
過去にルイズ以外が召喚したのもいくつかあったし、別に問題なくね?
440 : 忍法帖【Lv=20,xxxPT】 2011/09/29(木) 19:00:49.90 ID:aD3dqY2j
そういや召喚対象が本気でルイズを殺しにかかるようなのってどれくらいあったかね?
そういうのはそもそも話が成立しないから短編とか小ネタでないと難しそうだが
441 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 19:06:59.10 ID:CQ9T6PTl
結構いるけど、完結した奴だとスクールディズの言葉くらいしか思いつかんな
442 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 19:09:18.92 ID:CQ9T6PTl
あと別スレで更新止まってるけどJOJOの吉良か
途中で和解しかかったけど虚無を見てヤバいと感じまた敵対
となかなかデレない彼が好きでしたw
443 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 20:37:09.47 ID:FgCn/Y8D
別のサイトだけど、なろうのゼロのキメラアント
召喚直後に偉そうな口聞いたという理由で王にぶっ殺された
445 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 21:35:20.43 ID:jKnn3RAk
派生もとの親スレだから名前出してとか通じる訳で
他サイトなんかは一々出すんじゃないよ
446 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/29(木) 23:32:12.65 ID:pJhrOGes
よろしければ、40分あたりから「ぜろ☆すた」の代理投下をはじめます
447 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:42:39.54 ID:pJhrOGes
「ぜろ☆すた ポケットきゃらくた〜ず 第2話」

 遡る事1週間程前。こなたは体調を崩したカトレアの自室まで見舞いに来ていた。
「ねえ、コナタちゃん……」
 窓の向こうに広がる外の風景を眺めていたカトレアは俯いて、近くの椅子に座り本を読んでいたこなたに声をかけた。
「ん?」
「私……、どうしてこんなに体が弱いのかな……。すぐ風邪引いちゃうし……、背もちっちゃくて全然成長しないし……」
 それを聞いたこなたは笑みを浮かべて本を閉じ、
「大丈夫だよ。風邪なんかすぐ治るし成長もするよっ」
 とカトレアを元気付けたものの、即座に悪戯っぽい笑みに表情を変えて指を立てる。
「まー、キャラ的に私を超える事は無いと思うけどね」
「ええ、酷い」
 口を尖らせ頬を膨らませたカトレアだったがそれも一瞬の事、すぐに普段通りの優しげな笑顔になる。
「もう、私絶対コナタちゃんより大きくなってみせるんだから」
「はっはっは、どうかな〜♪」

 そして現在。
 カトレアの掌の上にはこなたが、テーブルの上にはルイズ・キュルケ・ロングビルが立っていた。
「なったね」
「なったのかな……?」
「だから違うでしょ!」
 こなたの言葉にカトレアは首を傾げ、ルイズは冷静にツッコミを入れたのだった。
448 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:44:57.20 ID:pJhrOGes
「えっと……、つまりコナタちゃん達は、朝起きたら小さくなっていて何がなんだかわからないって事でいいのかな……?」
「そうそう。カトちゃんなかなか飲み込みが早いね」
「いや、それしか言いようが無いでしょ……」
 ルイズのツッコミにカトレアも思わず苦笑する。
「原因とかってわからないのかな?」
「いや〜、それがとーんと心当たりが……」
 こなたが肩をすくめると、キュルケも困惑の表情でロングビルに視線を向ける。
「どうしようかしら……。こんな体になっちゃって……」
「困りましたね……」
 2人ともどうしたものか悩んでいるのを見て、ルイズは自分の考える限り最もそうした方面に詳しそうな人物に相談する事を提案する。
「ひとまずオールド・オスマンに報告した方がいいんじゃない? 小さくなってしまいました、って」
 その発言にロングビルは顔面蒼白で硬直した。
 ここにいる5人の中で最もオールド・オスマンに近い彼女には、今の自分の姿を見たオスマンの反応が容易に予想可能だった。
『ミ〜ス・ロングビル〜、またわし好みのか〜わゆい姿になっちゃってええ〜ん』
 そんな言葉を言われながら頬擦りされる自分の姿のイメージに、
「それは無しです!!」
 と慌ててその提案を却下した。
「何でですか……?」
「この姿では抵抗力は0に等しいですから……」
 表情を引きつらせつつカトレアの方に向き直ったロングビルの態度に、ルイズは怪訝な表情で首を傾げていた。
「コナタちゃん達、こうして見るとお人形さんみたいだね」
「あー、そうかも……」
 そこでふとこなたはテーブル上に置かれたフィギュアに視線を向ける。
449 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:46:56.24 ID:pJhrOGes
「………」
 それから数時間後、トリスタニア・ケバキーア街に並ぶ長蛇の列の中にカトレアの姿があった。
「私が来る事になっちゃった……」
「や〜、すまないね、カトちゃん。こんな事お願いしちゃって」
 とカトレアが提げている鞄の端からこなたが顔を出した。
「わっ、コナタちゃん、出てきちゃ駄目だよ……」
「こらコナタ、おとなしくしてなさい! 顔出して誰かに見つかっちゃったら大変でしょ!」
「え〜、いいじゃん。少しくらい大丈夫だよ〜」
 鞄の中でそんなやり取りをするこなた・ルイズ。
 ちなみにキュルケ・ロングビルは、鞄のもう片方の端から外の様子を眺めている。
「っていうか、何でみんなついてきたの? 家で待ってればよかったのに」
 と言いつつこなたは鞄の縁から飛び降りる。
「コナタ達だけじゃ心配でしょ!」
「そんな事言って、『一緒に行きたい』って素直に言えばいいのに〜。るいずんのさびしんぼさん♪」
 こなたの言葉にだいぶ頭に血が上っていたルイズだったが、そんな彼女を察したのか察していないのかキュルケが行列を眺めて、
「でもコナタ、凄い列ね」
「皆さん限定品が目当てで並んでるんですよね」
 列の先頭部分は今カトレアがいる場所からは見えず、先程到着した最後尾ももう随分後方に遠ざかっていた。
「うん。まあ、限定品というか限定版を買うためにね」
「限定『版』?」
 聞き慣れない言葉に首を傾げるロングビルに、こなたは今回の目当ての詳細を説明し始める。
「今日出るゲームの特典目当てで並んでるんだよ。通常版なら並ばなくても買えるし」
「ミス・コナタの欲しい物はゲームだったんですね」
「そう! 雑誌見たんだけど、も〜超面白そうで!! っていうか、超美少女揃いで!!」
 テンションが上がって奇妙な動作をするこなただったが、ルイズは彼女の言葉の中に入っていた気になる単語を聞き逃さなかった。
「美少女……?」
「ああ、今日買うのってギャルゲーだから♪」
「それってちい姉様が買える物なの?」
 ルイズが首を傾げつつ尋ねた率直な疑問に、こなたは瞬時に硬直したのだった……。
450 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:48:00.93 ID:pJhrOGes
 カトレアは列から離れ、ある建物内の階段に腰掛けていた。
「どうしたの、コナタちゃん? 急にゲームが要らなくなっちゃうなんて……」
「ああ〜……、いや、何て言うか、その……」
 あさっての方向を見上げてかいてもいない汗を拭いつつ、こなたはそう言葉を濁す。
「まあ、私にもまだ人の心が残っていたというか……。ちょっと法的にアレというか……」
「?」
(そりゃ言えないわよね)
 首を傾げたカトレアに対し、詳細を知っているルイズは顔を背けつつ汗を垂らした。
「ま、まあ、気が変わっただけだから気にしないでいいよ」
「うん。じゃあまた何かあったら言ってね」
 そこでルイズは開けられた鞄の口から周囲を見上げ、
「それでコナタ、今度はどこに来たの?」
「ん〜、ここはねー……、ゲーセン」
「は?」
 こなたの言葉に一瞬呆然として聞き返すルイズ。
「新作のシューティングが今日から稼動でね〜。あ、カトちゃ〜ん、3階に行ってくれる〜?」
「この体でゲームなんかできるわけないでしょー!!」
 ルイズの指摘はもっともだったが、こなたはどこ吹く風でカトレアをに階段を上らせる。
「大丈夫大丈夫、私にいい考えがあるんだって」
「いや、どう考えても無理だし他の人に見つかるわよ……」
「んっふっふ〜♪」
452 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:49:43.90 ID:pJhrOGes
 筐体前に座り、苦笑しつつぶかぶかな服の袖をボタン・スティックに向けて伸ばすカトレア。
 右袖の中ではこなたがボタンに手を乗せて待機し、左袖ではルイズがスティックを抱え込んでいた。
「ちょ……、あの、ミス・コナタ、これは何の冗談かしら……?」
「ほら、俗に言う『協力プレイ』ってやつだよ。これなら姿を見られずにゲームができる! ナイスアイディア♪」
 当然そのような提案にルイズが納得するはずもなく、
「っていうか、何で私がこっちなのよ!? コナタがスティックでしょ!!」
「そこはシューティングが得意なルイズに一任って事で。ほら、始まるよ」
 ゲームが開始されたため仕方なくスティックを操作するものの、ルイズは大声を上げる。
「無理よこんなやり方!! できるわけないでしょー!!」
 ……そのルイズの予想に反して、ゲームは非常に順調に進んでいった。
 カトレアの(もののように見える)腕前に、店内にいる客達が彼女の周囲に群がっている。
 人垣から漏れ聞こえる自分への賞賛に、真相を知っているカトレアは緊張しきりだった。
453 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:51:23.72 ID:pJhrOGes
 ゲームを終えて、カトレア達は建物内の階段を下りていた。
「や〜、流石るいずん。上手かったね〜」
「何言ってんの。ほとんどミスを防いだのはコナタのボムじゃない」
 カトレアが手を胸元に当てる仕草のふりをして接近させたこなた・ルイズがそんな会話を交わしていると、
「ルイズ、上手だったわよ〜」
「素敵でしたわ」
「うん、2人とも凄かったよ。あんなに人を集めちゃうんだもんね」
(ま、人を集めたのはカトちゃんの要因も大きいけどね〜)
 鞄の中を探るふりをして入れた袖から、こなた・ルイズは鞄に戻った。
「さあ、もう帰るわよ。コナタも十分楽しんだでしょ」
「そだね。とりあえず外へ〜」
 2人のそんな会話を聞きつつ、カトレア達はクレーンゲーム機の横を通って建物の外に出た。
454 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:52:45.50 ID:pJhrOGes
 カトレアを鞄の中から見上げていたルイズは、彼女の頬にうっすら汗が浮かんでいる事に気付いて声をかける。
「ちい姉様、大丈夫?」
「え?」
「ずっと1人で歩いてるけど、疲れてません?」
 ルイズがかけてきた言葉にカトレアは笑顔で答えるが、その顔にはかすかに疲労の色が浮かんでいた。
「あ、大丈夫です。歩きっぱなしってわけじゃないですし。今も座ってましたから」
「そっか、ならいいけど……」
 店頭のショーウィンドーに貼られていた広告が、そう答えたルイズの目に止まる。
(あ、あれ、コナタが持ってたフィギュアの……)
 それは昨日こなたが購入した少年のフィギュアの広告で、「売り切れ」と書かれた紙が貼られていた。
 その後も幾つもの店のショーウィンドーに同じ広告が貼られていて、やはり「完売御礼」「SOLD OUT」「高価買取中」という表示があった。
(へえ、あのフィギュアって本当に人気あるのね。貼り紙に全部『売り切れ』って書いてあるわ)
 カトレアの手で隠されつつ鞄の底に下りようとしたルイズだったが、そんな事を考えてふと足を止めた。
「ねえコナタ、あんたのフィギュアって凄いのね。凄い値段で買い取ってる所があるわよ? っと……うわっ!?」
 ルイズがそう言いかけた時、突然鞄が激しく揺れてルイズは底まで転落した。
「な、何!?」
 横倒しになった鞄の中を歩いて外の様子を伺うルイズ・ロングビル。
 するとカトレアは地面にへたり込み、苦しげに息を荒げていたのだった。
「ちい姉様!? ち、ちい姉様、どうしたの!?」
「え、えっと、少し気分が……」
「コナター! どうしよう、ちい姉様が……!! コナ……」
 そう叫びつつこなたの方に振り返るルイズ。
 しかし鞄の中にいたのはロングビルただ1人だった。
「何でいないのー!?」
「あら?」
 ルイズの声にロングビルも振り向いて、自分達しかいない事に気付いた。
「な、何で2人ともいなくなってるのよ!?」
「変ですね。さっきまでいましたのに……」
 鞄の口から顔を出して周囲を見回したロングビルだったが、こなた・キュルケの姿はどこにも見えなかった。
「こんな時にコナタはー!! あーっ、もう、どうしたらいいのよ!? こんな姿じゃ助けも呼べないじゃない!」
「少し休めば大丈夫だから……。心配しないで……」
 精一杯の笑顔を浮かべてカトレアがルイズに語りかけたその時、
「……ミス・カトレア……」
 そうカトレアに声がかけられた。
「え……?」
 顔を上げたカトレアの視線の先には……。
455 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:54:06.32 ID:pJhrOGes
 一方、こなた・キュルケ組。
「ね、ねえ、コナタ、みんなとはぐれちゃったけどいいの……?」
 何やら狭い小部屋の中でキュルケは心配そうな表情でこなたに言ったが、
「だ〜い丈夫! ルイズ達ならすぐ戻ってきてくれるから。それよりキュルケ」
「え?」
「ここがどこだかわかるかな?」
 逆にこなたからそう問いかけられて、キュルケは周囲を見渡しつつ答える。
「え……? クレーンゲームの……中かしら?」
 首を傾げつつ、自分達がここには言ってきた時の事を思い出して答えるキュルケ。
 それを聞いたこなたは万歳せんばかりの勢いで、
「そう! あのアームがスッカスカで全然景品が取れないクレーンゲーム!! でも何と! この姿なら中に入って取り放題じゃん!!」
 と言うと上方にある開口部めがけて何度も跳躍する。
「というわけでキュルケ、ちょっと下から押し上げてくんない?」
「あー、あたしそれ要員で連れてこられたのね……」
 そう言いつつもこなたの脚を押し上げる、面倒見のいいキュルケ。
「誰かに見つかっちゃったら大変よ。みんなの所に戻りましょうよ」
「見つからないようにすぐ終わらせるよ♪」
 開口部の端にしがみついて登攀に成功したこなたは、
「ふいー……おおお♪」
 目の前にある宝の山と言うべき大量のぬいぐるみに目を輝かせた。
「キュルケー、どんどん落としていくからねー」
「か、勝手に取ったら泥棒になっちゃわないかしら?」
「取った分だけ銀貨1枚入れてくから大丈夫♪」
(1個銀貨1枚!? 達人でも無理なんじゃ……)
456 :ぜろ☆すた?2011/09/29(木) 23:54:55.62 ID:pJhrOGes
 呆然とするキュルケをよそに、こなたは手近にあったクマのぬいぐるみをつかむ。
「さてさて、じゃあキュルケの好きそうなのから落としてあげようかな……ん? お、意外に重い」
 外見より重いぬいぐるみの重量に首を傾げて振り返ると、伸びてきたクレーンがそのぬいぐるみをつかんでいた。
「……あうわあ!? し、しまった! 誰かがクレーンを動かしてる!!」
 内部に入る自分の存在が露見する事を危惧して一瞬狼狽したこなただったが、
「いや、お、落ち着け……。幸い景品の陰でプレイヤーからこっちの姿は見えないし……」
 確かにこなたとクレーンを操作する人物の間は、ぬいぐるみが遮蔽物となって視線を遮っていた。
 これ幸いとさらに奥にあるぬいぐるみの陰に隠れようとこなたは這い進もうとする……が、
「ここはひとまず退散〜……お?」
 その動作が突然停止する。
 見るとクレーンがこなたの脚をしっかりつかんでいた。
「おおおおおお!!」
 そしてそのままこなたはぬいぐるみ諸共、上空高く持ち上げられていってしまった。
「コ、コナタが! コナタがさらわれちゃう!! コナタああああ!!」
 キュルケは突然の展開に悲痛な叫び声を上げた。
「リリース」
「むきゅ!?」
 直後、クレーンから解放されたこなたがぬいぐるみと共にキュルケの頭上に落下してきた。
「身を挺してまで落下衝撃から私を守ってくれたぬいぐるみ……と、キュルケ……。私はこんなにも想われていたんだねえ……。2人の事は忘れないよ……」
「コナタ……、早くどい……て……」
 少々ほろりとなったこなたの足元では、ぬいぐるみの下敷きになったキュルケが苦しげに声を上げていた。
「あ、でもやばいな。景品取れたって事は、ここ開けられちゃうじゃん」
「え!?」
 するとクレーンを操作していたらしい少年達の声が聞こえてくる。
「わ、何か結構簡単に取れたな」
「ギーシュの腕がいいんだな」
「あはは、運だよ運。アームの力も強かったみたいだし……」
 そうギーシュがマリコルヌに笑いかけつつぬいぐるみを取り出そうとして、
『は?』
 ぬいぐるみの向こうから突き出たこなたのアホ毛・必死でぬいぐるみの下に隠れようとするキュルケの姿に、呆然とするのだった。
457 :ぜろ☆すた?2011/09/30(金) 00:00:30.56 ID:Vzby5G/t
「いや〜、一時はどうなるかと思ったね〜」
 ヴァリエール邸・浴室。
 こなたは浴槽の縁に置かれた小鉢のお湯に浸かり、タオルで汗を拭っていた。
「うん、見つかったのがギーシュ達でよかったわね」
 椅子の上で歯ブラシで体を洗うキュルケも、そう安堵の言葉を口にした。
「あんた達ねー、勝手にいなくなるんじゃないわよ! こっちは大変だったのよー」
「まあいいじゃない、みんな無事だったんだしさ〜」
 こなたから少々離れた場所でロングビルと共に縁に腰掛けているルイズが苦言を呈したものの、こなたは大して気にした様子も無かった。
「タバサちゃん達、協力してくれるんですって」
「ん? 協力って?」
 どこまでも楽観的なこなたの態度に、流石のカトレアも驚愕の色を隠せない。
「え……、コナタちゃん達が元に戻る方法を一緒に探してくれるって……」
「あー」
「『あー』じゃないわよ! あんたはこのまま戻れなくてもいいの!?」
「ん〜、まあ急がなくてもこれはこれで楽し──」
「でもよかったですね。親しい協力者は心強いですものね」
 こなたの言葉を遮って、ロングビルが口を開いた。
 それを聞いたこなたはバスタオルが巻かれたロングビルの胸部に視線を向け……、
「!! 戻ろう!!」
 と叫んで立ち上がった。
「は?」
「ロングビルさんの胸がこんなに小さいなんてロングビルさんじゃない! 今すぐ元に戻さなきゃ!!」
「ちょっ……、胸だけなの!」
「わあ……、ミス・ロングビル……ロングビル?」
「ひゃっ、ミ、ミス・ツェルプシュトー……!?」
 夜のヴァリエール邸に、そんな声が響くのだった。
459 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 00:04:34.01 ID:Vzby5G/t
以上です。代理投下を終わります。
それにしてもカトちゃんといわれると、あの偉大なコメディアンを連想してしまう。
460 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 01:29:24.19 ID:QarOHecX
というか、上条さんと一方通行はあるのに浜面はないのか。彼は人気ないのか?
               
461 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 02:52:31.86 ID:JqNjDp1s
ルイズに召喚された才人は、彼女に放課後学院を案内してもらっていた。

「ここは宝物庫よ。めずらしいマジックアイテムがいくつも保管されてるんですって」
「ふーん、中はどうなってるのかな」
「ダメよ。スクウェアクラスのメイジが固定化をかけてるのよ。鍵がなかったら絶対……」
「ひらけー、ゴマ!」
 
キギーッ!
 
「ワハハハ!おろかな人間どもめ、扉を見たらそればっかり唱えおってお前で5人目だ。
ようこそー死の沼へ。覚悟するがいい、このハズレ大魔王が、そなたの首を……」

バタンッ!
462 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 03:41:44.17 ID:y1YYTXGY
銀河戦国郡雄伝ライから羅喉と姜子昌の主従を


…ガンダ補正有りなら七万相手に無双しそうだけどな羅喉
464 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 11:09:52.25 ID:Ck9BIxcr
>>462
補正前の時点で一般人よりはるかに強い兵士達5000人相手に無双しているからな…
ライだと骸羅召喚のほうがよさそうな気もする
490 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 20:56:53.56 ID:+2f6b82w
>>464
弾正以外に骸羅が素直に従ってくれるイメージがねぇ
つーかライの登場人物で従ってくれそうなのって英真とか三楽斎とか後は女性陣の一部位な気がする
463 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 07:48:54.35 ID:wk7Ag/Le
そろそろユーゼス・ゴッツォが見たいぜ……
(規制も解除されてるから代理もできるし…)

デレオノールやカトレアさんはどうなってしまうのか…
467 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 12:17:27.86 ID:y1CqB+5j
>>463
デレオノールとか誰が上手いこと言えと。
465 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 12:00:46.29 ID:sATV43f7
善吉を召喚してせめてSSだけでも主人公らしい扱いを・・・
あくまでも『普通の高校生』だし、心の振り幅も大きいからガンダの補正も十分受けられるし
466 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 12:15:23.49 ID:cpsneEtq
『誰にも勝てない』がアイデンティティの球磨川さんに惨敗しちゃったもんな
468 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 13:38:26.47 ID:WLVjVwoA
しかしいくら普通人の代表とはいえ善吉はジャンプの主人公としては地味すぎるからな
ハデハデの実でも食ったほうがいいのではあるまいか?
469 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 14:07:16.32 ID:KZ/rB2rw
大丈夫だ、来週善吉が主人公かなんかで問題になるらしい。
ただ、球磨川のほうがよっぽど主人公じゃね?ってツッコミたくなりそうだが
470 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 14:17:03.82 ID:6Tqne/Rl
球磨川は主人公というよりトリックスターのイメージなんだがな
473 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 15:55:36.74 ID:ktsJYE9A
>>465
>>468
>>469
>>470
キミ達は何を言ってるのかね?
どうかんがえてもクマーが主人公だろ常識的に考えて・・・・



482 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 18:18:07.18 ID:rfOd6DMe
>>473
人気投票じゃ実に1位と8位、票数にして6倍の大差だもんな
それに最近のめだかちゃんはヒロインというかむしろラスボスじみている
471 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 15:40:56.69 ID:FAzj5IZL
ぬらりひょんの孫から土蜘蛛召喚
晴明に地獄に落とされたと思ったらなぜかルイズに召喚された
「人、妖怪はおろか神ですら喰らい尽すと言われる絶対に遭遇してはならない妖」
肩書き長っ!
474 :騎士の使い魔(2)2011/09/30(金) 16:01:09.52 ID:fKZ1Qq+r
召喚という拉致に遭ってから五分後、他人のサモン・サーヴァントの邪魔にならないよう脇に下がっていた統夜とキュルケ。
 
最初サモンとコントラクトの意味を良く分かってなかった統夜は、キュルケの情報提供をほぼ右から左に流して、ただ目の前で繰り広げられる召喚に目を輝かせたものだ。
 
 目を皿にして観察する彼の前に出るわ出るわビックリドッキリマグマ獣……ならぬ召喚動物達。
 
ネズミに牛に虎にウサギに竜…………十二支もかくやといった感じの動物は勿論、飛ぶ目玉や二首の小鳥なんかも居た。
 
そんな動物を見た統夜は使い魔とは凄いものだなと呟いたのだが……………
 
 
 
 
 
「じゃあこのマークは使い魔とやらになった証な訳か?」
「ふぁい」
統夜は額に青筋を浮かべて【ご主人様】と向かい合っていた
対するキュルケは気の抜けた返事をするのだが、彼女に統夜を馬鹿にする意図は無い。
「キスは契約を履行する為の儀式と?」
「ふん」
キュルケに統夜を馬鹿にする意図は無い。
「何となく焼ける様な痛みが有ったのはマークを刷っているからだな?」
「ほうひょ」
馬鹿にする意図はry
 「ほうほう、拉致の上に奴隷契約を結ばされたと…………ちょっとおイタが過ぎるんじゃないかぁ!?」
「いはいいはいいはいぃぃ!!」
怒りの統夜と痛がるキュルケ。
統夜の鍛えられた指が、キュルケの柔らかい両頬を力いっぱい握り、断ち切らんとばかり引っ張っていた。
475 :騎士の使い魔(2)2011/09/30(金) 16:05:22.82 ID:fKZ1Qq+r
 
 
「うぅ………もうお嫁に行けない」
赤く見事に膨らんだキュルケの両頬。
彼女はそんな頬を押さえながらほんのりと涙目になっていて、そんな彼女の様子に統夜はほんの少し………本当に少しだけ同情した彼は一言
「ドンマイ」
と言って彼女の肩を叩いてあげた。
 
 
「貴方がやったんでしょうが…………はぁ」
キュルケは深いため息を吐き、頬から手を離すと他の生徒へ目を向けた。

 涙は未だ収まってないのだが、彼女の瞳からはなにやら妙な色を湛える。
からかうような慈しむような………手の掛かる妹に対する愛情だろうか?
 
カティアがテニアを見るような眼だ、と統夜。
 
 
その統夜が視線をたどれば見付かるのは二人の人間。
一人は禿げた教師で一人は小さな女生徒。
 
 
「次はルイズだから見逃せないわねー」
「ん、ルイズとはあの桃色か?」
「えぇ、そのピンクの娘よ。性格は胸と同じくお子ちゃまだから、貴方も絡まれないようにね」
二人の内どちらを指すのか分からずに聞いた統夜。
それを律儀に返すキュルケは、まぁ親切なのだろう。
 
内容はピンクの娘………ルイズを馬鹿にしているが、内に込められた物はあくまでプラス感情。
 
――悪友みたいなものなんだな――
キュルケの表情と言葉から、統夜はそう解釈した。
478 :騎士の使い魔(2)2011/09/30(金) 16:12:27.80 ID:fKZ1Qq+r
確かに出てきたのは黒い四方4メイル程の大きな鉄の箱だ。生き物ではない。
 
 
青髪の呟きにいち早く反応したキュルケは、ナイス!とばかりに目を輝かせてコルベールへ言った。
 
「使い魔は生き物でしたわねミスタ・コルベール!?」
「え………えぇ!そうですなミス・ツェルプストー」
一瞬の後に彼女の意図を把握したコルベールは、大袈裟に宣言する。
 
「まぁ一度や二度の"ミス"は仕方がないですな!さぁミス・ヴァリエール、二回目をどうぞ!!」
「みすたぁぁ………」
「頑張りなさいルイズ、ほら立って」
「うぅぅキュルケ………」
三人による小芝居が続くなか、ただ一人統夜は箱に眼が釘付け。
 
 
かといって状況は止まることなく進んでいく。
 
「皆……頑張る!我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、使い魔を召還せよ」
ルイズの力みの抜けたさっぱりした口調に、一同の期待は大きく高鳴った。
 
 
 
パンパカパーン!!
 
 
小気味良く鳴り響くファンファーレ。
やはり固まる一同。 
479 :騎士の使い魔(2)2011/09/30(金) 16:15:20.87 ID:fKZ1Qq+r
「「「…………」」」
彼らは互いに顔を見合わせると、立ち上る煙と中から見える物体に目を向けた。
 
 
 
洗礼された威厳が深く滲み出る、高さ190サント程の蒼きシルエット。
腰には鍔と持ち手のみの剣が括られ、銃と思われし道具が背中にあった。
その独特で、どことなく統夜の騎士服に通じるところのあるデザインに、目敏いキュルケは彼を見た。
 
 
しかし統夜はその視線に気づくでもなく、黒い鉄と蒼い鉄を交互に見やって困惑する。
 
 
「………ゴーレム?」
いつのまにか統夜の隣に立っていた青髪の少女が呟くように聞くと、統夜は首を振って答えた。
 
 
 
曰く
 
「オルゴンクラウド発生器と騎士機ラフトクランズ。大きさは違うが俺の愛機だ………」
483 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 18:51:01.14 ID:+wOnHn8N
つか2位(めだか)にほぼ4倍の大差をつけてたからな
裸エプロン先輩の人気はもはや別物と考えたほうがよさそう。
484 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 18:52:00.07 ID:+wOnHn8N
個人的には範馬勇次郎を召喚したら面白いと思うんだけど
やたら一人語りが長くなりそうだ
485 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 19:59:41.81 ID:dEsjHUyl


白い蜥蜴・・・スカルプルム?

というか、最初に箱が召喚された時点で火星の遺跡かと
486 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 20:11:23.91 ID:mBjhlwun
純粋の魔人ブウ戦後の瀕死状態の善ブウを召還
瀕死のところをルイズ達に助けられるとか
488 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 20:19:08.42 ID:lj7Mgpk/
とりあえず善吉ディスりたいならアンチスレでも行ってやってくれ
491 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 21:12:57.36 ID:IIxHATdW
いやいや、アメコミからデッドプールを召還して欲しいw

第4の壁崩壊ネタを絶対にやってくれるにちがいないw
492 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/09/30(金) 21:38:28.34 ID:WsO8UG2V
そういやアニメ一期の再放送が10月から始まるんだったか……アニメ未見だったが、ネタ確保のために見ておくかな
494 :ルイズと無重力巫女さん2011/09/30(金) 22:25:35.72 ID:8Eer/Ofs
どうも皆さん今晩は、九月も今日で終わりですね。
47話の方を22時30分から投稿するので支援の方、出来るならお願いします。
496 :ルイズと無重力巫女さん2011/09/30(金) 22:30:21.23 ID:8Eer/Ofs
声が聞こえた。それが声だと誰かが言うのなら。
――…ン…――イ…――イィン…


まるで黒板を爪で引っ掻いたようなその声は、何を表しているのだろうか。
ただ相手を脅かすための威嚇か殺人音波か――もしくは嘆きの叫び声なのかもしれない。
しかしその声は結局の所、一時の眠りと共に暗い闇に沈んでいた霊夢の意識を無理やりすくい上げることとなった。

「んぅ…?」
約数十分近くの睡眠から起こされた霊夢は重い瞼をゆっくり上げ、右手でゴシゴシと目を擦る。
まず最初に目に入ったのは当然の如く、青い空と白い雲であった。
もう何百何千と見てきた空模様に見入る事なく、霊夢はゆっくりと上半身を起こす。
眠気が完全にとれていないような顔で辺りを見回し、ある事に気づく。
「あの竜…どこいったのかしら」
霊夢は眠る前にグルグルと自分の周りを飛んでいた青い風竜の事を思い出し、ポツリと呟いた。
まぁ相手は生き物であるからして何処かへ行くのは当たり前だが、それでも霊夢はあの竜に関して気になる事があった。
それが何なのか曖昧で良くわからないが、霊夢は何かが気になっていた。
「まぁいないのなら別にいいけど…」
何処か面倒くさいという雰囲気を漂わせる言葉を呟いた後「それよりも」といって山の方へと視線を向けた。

霊夢が見つめる先には、学院と外へ隔てる城壁の外側にある鬱蒼とした森林地帯が見える。
一見すれば何の変哲もない、幻想郷のそれよりも大きい規模を持つ森でしかない。
だが目を覚ます直前に聞いた音を耳にした霊夢にとってそこは、人を死に誘う樹海に見えていた。
先程の異音もそうであるが、森の方から微量ではあるがどうにも嫌な気配を感じ取っていた。
それは霊夢にとって一度だけ感じたことのあるモノであり、もう二度と感じることのないモノだと思っていた。
「う〜ん、どうしてこう…人が休もうって時に向こうから厄介事が来るのかしら」
霊夢は首を横に振りながら肩を竦めると、よっこらしょとかけ声を入れて重いようで実は結構軽い腰を上げる。
そして袖の下に隠してある退魔針と攻撃用のお札、そして数枚のスペルカードを確認すると一回だけ深呼吸をした。

その深呼吸は長くゆっくりとしたものであったが、それは霊夢を変えた。
先程まで眠そうだった顔は変わっていないが、その目には強い意志が宿っている。
身体全体に漂っていた怠情の雰囲気は、風と共に何処かへ消え失せていた。

男子寮塔の屋上。
そこにはもう、人の来ない場所で昼寝を嗜む少女はいない。
人と妖の住まう世界の中核であり、異変を解決する結界の巫女がそこにいた。

「全く、何処に行っても私は私ね…休む暇すらありゃしない」
最後に一言だけ呟き、霊夢は自身の履いている靴で勢いよく地面を蹴った。
トン…ッ!という音をたてて霊夢の身体が宙に浮き、そのまま森林地帯の方へと飛んでいく。

そしてこの時、飛んでいく自分の後ろ姿を見つめる少女に気づくことなく、霊夢は森へと向かっていった。

498 :ルイズと無重力巫女さん2011/09/30(金) 22:35:05.94 ID:8Eer/Ofs


数十分前――女子寮塔にあるルイズの部屋。

「全く、今日は散々だったわ」
ルイズは今日で何度目になるかわからない癇癪を起こしながら、自室へと続くドアの前にまで来ていた。
不躾な同居人の霊夢と魔理沙に取って置いた菓子を食べられ、挙げ句の果てに反省どころか謝罪もせずに逃げる始末。
唯一良かった事は、部屋に忘れて取ってきた課題のレポートが、先生の高評価を得たことだけである。
だがそのレポートの結果も、『座学だけは優秀なメイジ』であるルイズにとっていつもの事である。
勿論それは喜ばしいことであるのだが…その前に怒った出来事を帳消しにする程の力は無かった。
現に今のルイズは怒り心頭であり、頭の中ではどんな罰をあの二人に下してやろうかと考えていた。

(夕食と翌日の朝食、昼食抜きは勿論だけど…その他には身体を縛って廊下に放置も良いわね)
先祖伝来のサディスティック思考を丸出しにしながら、ルイズは゛恐ろしい罰゛を考えていた。
その顔には恐ろしい笑みが浮かんでおり、彼女の傍を通る女子生徒たちは出来る限り避けようとした。
誰もグッスリと眠る風竜を叩き起こしたくないのと同じで、ハルケギニアのことわざで言えば『さわらぬ悪魔に祟り無し』というものである。
だがそんなルイズにただ一人、勇猛果敢にさわろうとする赤い髪のメイジがいた。

「どうしたのよルイズ、そんなに怖い顔をして?悪魔にでも取り憑かれたのかしら?」
ふとドアの前で考え事をしていたルイズの耳に、あまり聞きたくないライバル声が入ってくる。
ルイズはハッとした表情を浮かべてそちらの方へ顔を向けると、案の定そこにはキュルケが佇んでいた。
「何の用かしらツェルプストー、冷やかしならさっさと私の前から消え失せなさい」
「おぉ怖い怖い…悪魔が誘発する怒りに呑まれてはいけないわよ」
まるで悪魔払い師になったかのように戒めるキュルケに、ルイズはムッとした表情を浮かべる。

「いい加減にしないと、吹き飛ばすわよ」
その一言は、面白がってからかっていたキュルケを退ける程の威力を持っていた。
キュルケはヒュウ〜と口笛を吹かすと数歩下がり、その肩をすくめた。
「…貴女ってホント、冗談が通じない人よね?」
「余計なお世話よ」
助言とも取れるキュルケの言葉を無視して、ルイズは自室ドアを開けて部屋の中に入っていった。
その様子を横から見ていたキュルケはもう一度肩をすくめた後、ふと思い出したかのように呟く。

「それにしても、タバサはどこにいったのかしらねぇ?」
いろいろと用事かあるのに…そんな事を口走りながら、キュルケは歩き始めた。

「体の調子が悪くなったから部屋に戻るって言ってたけどいないし…トイレかしらね」



自室へと戻ってきたルイズは着けていたマントを脱ぐとベッドの上に放り投げ、自らは椅子に腰掛ける。
だがすぐに腰を上げると部屋に置いてある箪笥の前にまで来て真ん中の段に付いてある取っ手をつかみ、引いた。
スーッと静かな音を立てて出てきたのは、今回の事の発端ともいえるあのお菓子の箱が入っていた。
それを両手で持つとテーブルの上に置き、それから引いたままだった段を押し戻した。
この一連の動作を終えたルイズは再び椅子に座り、自分の手元にあるお菓子の箱を凝視する。
既に開けられた形跡が残る箱を見て、ルイズは溜め息をついた。

『誰かと思えばお前さんか。娘っ子』

ふと、背後からノイズが混じりのダミ声が聞こえてきた。
その声に聞き覚えがあるルイズが後ろを振り向くと、インテリジェンスソードのデルフリンガーが壁に立てかけられていた。
500 :ルイズと無重力巫女さん2011/09/30(金) 22:40:12.77 ID:8Eer/Ofs
霊夢の手によってロープで縛られ、喋れないようにしたうえでクローゼットしまわれた筈のその剣は何故かロープを外され、クローゼットから出ていた。
気絶させた魔理沙をクローゼットに入れる際にその姿を見た(助けようとはしなかった)ルイズは、怪訝な表情を浮かべる。
「…あんたグルグル巻きにされてクローゼットにいれられてなかったっけ?」
『いやさぁ、実はシエスタってメイドがオレを出してくれたんだよ。感謝感激さね』
ルイズの疑問に対しそう答えた後、そういや…と少し苛立ったような声で続けた。

『何であの時出してくれなかったんだよ娘っ子、いくら貴族のお前さんでもロープ切ることくらい出来るだろーが』
「だってアンタうるさいんだもん、声もひどいくらいにダミ声だし」
『ひでぇ。それでも人間かよ』
「ふつうの人間なら喧しいインテリジェンスソードをわざと騒がせたりしないわよ?」
『そんなことはねぇ、きっとこの世界の何処かにオレっちのようなお喋りな剣が好きな奴がいるはずだ』
「ならその人間の所に行けばいいじゃない」
『足があればな』
キッパリと言いきったデルフに、ルイズは呆れ表情を浮かべた。
「そりゃアンタ、剣だからねぇ…はぁ」
背後のデルフとそんな会話をした後、ルイズは小さな溜め息をつく。
その溜め息に心当たりがあったデルフは、数秒ほど時間を置いてルイズに話し掛ける。

『何だ?まだ仲直りしてねぇのかよ』
デルフの突然の言葉にルイズは一瞬だけ目を丸くしたが、すぐにキッと細めた。
「あんた最初から最後まで全部聞いてたわね」
『そりゃクローゼットのドアは木で出来てたからな、言葉通り最初から最後まで聞こえてたよ』
ルイズの言葉にデルフはそう答え、カチャカチャと音を立てて刀身を揺らす。
恐らくソレは人間で言う片手を振っているのだろうかとルイズは推測しながら、口を開く。
「なら知ってるでしょ、私が被害者であの二人が加害者だって事は」
『だろうね。普通の人間なら他人の部屋に置いてある菓子に手ェ出したりしないだろうし』
既に決定されているかのようなルイズの結論にデルフは肯定しつつ、でもよ…と言葉を続けた。
『それを逆に言えば、常軌を逸してる楽しい奴等って解釈は出来ると思うぜ』
デルフの思わぬ言葉にルイズが反応するのに、数秒かかった

「……はい?」
まるで理解できないと言いたげな声を聞き流し、デルフは尚も言葉を続ける。
『それによぉ、お前さんだってあいつらが謝ってくれりゃあその怒りが収まるんだろう』
ルイズはハッとした表情を浮かべ、思わずデルフの姿を視線から逸らす。
そんな彼女の背中を見つめつているデルフは一言、こう言った。
『だったらあいつらが戻ってきたとき、ちっとは大目に見てやろうぜ。そうでなきゃいつまでも溝は埋まらねぇぞ』
まるで自分の心を読み取ったかのようなデルフの言葉に、ルイズはウゥ〜…と小さな唸り声をあげる。