1 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/30(土) 10:44:45.64 ID:Ypnu80BD
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。



(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part297
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1310281203/l50



まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/




     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!




     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。





.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2 : 忍法帖【Lv=30,xxxPT】 2011/07/30(土) 10:59:31.92 ID:00onAuff
>>1乙

あとNever Winter Nights - Deekin in Halkeginia登録完了
タイトルとかは全部含めて登録したので訂正するときは五十音順の方も訂正願います

登録久しぶりだからミスっちゃった
3 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/30(土) 18:04:26.28 ID:NSmwMer/
>>1乙

未だにまとめへ登録されないエターナルの作者カワイソス
俺はやらんけどね
4 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/30(土) 19:40:15.64 ID:qchLQHy6
>>3
おめーは何が言いてーんだ。
8 : 忍法帖【Lv=31,xxxPT】 2011/07/31(日) 09:15:06.44 ID:ZOjgUsyg
今の夏休みって昔と時期がずれてるって本当なんだろうか?
9 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 10:02:56.11 ID:uyZsUgEk
>>8
>飯田教育事務所によると、26、27日を中心に飯伊の各小中学校で終業式が行われる。二学期の始業式は8月18日の丸山小学校を皮切りに、19、22、24日に実施される。

ソースはミナミシンシュウ.jp
なお、「飯伊」とは飯田・下伊那地区のこと
10 :ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 11:41:53.04 ID:fgXFSMiO
皆さんこんにちは、夏暑いって誰が決めたんでしょうね。夏寒くても別にいいと思いますが。
さてウルトラ5番目の使い魔、53話投稿開始します。
10分後、11:50にはじめますので、今週もよろしくお願いいたします。
13 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 11:55:04.36 ID:ivFI+Ojl
>>10
冷夏だと米が不作になったり
秋の農作物も不作になるから重大な問題だよ!

ウルトラ支援
25 :ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 12:12:43.53 ID:fgXFSMiO
今週はここまでです。
>>13
いやまあそうなんですが、この暑さは拷問です。よくペギラを連れて来いとか言われますが、ペギミンHの準備はあるんだろうな。
ともあれ支援ありがとうございました。
 
ライトノベルは愛をテーマにしたものが多いですが、ここではその中でも友愛や信愛といったものを主にとりあげてみました。
友達がいるというのはよいですよね。私にも共に遊んだり、先生に叱られたりしたときに慰めてくれた友達の記憶がありますが、
どれも大切な思い出として残っています。
さてキュルケとタバサに迫る新たな敵はなにか。来週またお会いしましょう。
27 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 12:21:03.26 ID:ivFI+Ojl
>>25
ウルトラ乙
関東は台風が過ぎてから涼しい日が続いてるけど
西日本や九州は猛暑が続いてるんですよね・・・
11 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (1/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 11:51:05.46 ID:fgXFSMiO
 第五十三話
 悪夢を越えたその先に……
 
 超古代植物 ギジェラ 登場!
 
 
 ルイズたち一行がアーハンブラ城にたどり着く前の夜、タバサとロングビルは互いの存在理由を賭けて戦った。
 そして、敗れたタバサは仲間たちのもとから去った。いや、逃げ出した……
 飛び出した後、どこをどう進んだのかは覚えていない。走ったのか、魔法で飛んだのか、あるいはどこかから転げ落ちたのか。
 気がついたときには、タバサは見知らぬ原っぱの中で、土のベッドに雑草をシーツにして夜空をあおいでいた。
「ここは、どこだろう……」
 全身疲れきり、鉛のように重くなってしまった体を投げ出してタバサはつぶやいた。
 見慣れぬ風景、嗅ぎなれぬ風、北花壇騎士として方々を旅してきたけれど、初めて感じる空気。
 いったい、みんなのいた場所からどれだけ離れてしまったんだろうか……体の疲れ具合と、魔力の消耗具合から
推測するに、元いた森から半径十リーグ前後のどこかというところか。シルフィードに乗ればひとっとびの距離だが、
人の足だけに限ると世界はとたんに狭くなる。
 気がつけば、月は天頂から主役を星々に譲り、山間にその姿を没しようとしていた。一人で戦ってきたときから、
シルフィードの背に揺られているときまで、何十回、何百回と見上げた夜空、見慣れた星座。けれど今は、生まれ育った
ガリアのどこかだというだけで、まるで違う世界に来てしまったように思える。いや、ほんとうに違う世界に来てしまったのと
同じだろうと、タバサは顔をおおった。
「わたしは、みんなを裏切った……」
 心が落ち着くと、続いてやってきたのは逃れようのない罪悪感の波だった。
 シェフィールドからの残酷な命令と、それに従ってみんなを手にかけようとした自分。
 止めようとしたロングビルを殺す寸前まで追い詰め、あげくその相手に心の弱さを指摘され、無様に逃げ出した自分。
 走っているあいだは忘れられていた。けれども、どんなに遠くまで逃げても、心に刻み込まれた痛みから逃れることはできなかった。
 わたしは結局、なにをしていたんだろうかとタバサは思った。
 はじまりは、忘れることもできない三年前の誕生日のあの日から。すべてを失い、体のいい処刑として送り込まれた
キメラドラゴン退治を乗り越え、シュヴァリエになってから、ひたすらに戦いにあけくれてきた。
 ジョゼフとイザベラの気まぐれで与えられる過酷な任務。狡猾冷酷な悪党や、残虐凶暴な怪物退治。
 そのすべてをやり遂げてきたのは、奪われた母の心を取り戻し、父の仇のジョゼフに復讐するためだけのはずだった。
 なのに、自分にはいつの間にか、目的以外にも大切なものができてしまっていた。
「友達なんて、わたしには一番似合わないものなのに」
 誰かとつながりを持とうなんて、今まで考えたこともなかった。でも、入学してすぐになれなれしく声をかけてきた
キュルケから始まって、次々と面倒ごとに首を突っ込む学友たちをほっておけずに関わりあってたら、いつの間にか
仲間の一員みたいになっていた。
 なんだ、ほんとうはお前は一人でいるのに耐えられなくなっていたんだなと、タバサは自分を笑った。
12 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (2/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 11:52:39.21 ID:fgXFSMiO
 どんなに無視しても、平然と話しかけてくるキュルケの声が心地よくて、いつしか逃れようとするのをやめていた。
 フーケのときからそうだ。命に関わるような危険なとき、関わり合いになるまいとすれば、いくらでも逃げることは
できたのに、自分からみんなと行動をともにするようになっていた。
 皆が危険なことをする。自分の力がないとみんなが危ないというのは口実で、ほんとうは皆とともにいたかっただけだ。
 結局、お前は孤独に住んでいるつもりで、人にすがっていた弱い人間なんだと、心の中から別の自分が冷笑してくる。
 そのとおりだ……わたしは、魔法の力ではずっと強くなったけど、本質的なところでは、父と母に甘えていたころから
なにも変わってはいない。今回だって、ティファニアを救うというのも、シェフィールドの命令だからというのも名目で、本音は
またみんなと旅がしたかっただけだ。
 なのに、わたしはそのみんなを自ら裏切った。裏切って、殺そうとした。もう、取り返しはつかない。
 涙があふれ、喉から嗚咽が漏れてくる。なにもかも夢だったらよかったらいい。もう一度、過去に戻ってやり直したい。
けれど、そんなことはできない。過ちは消しようもない。
 タバサの心に、昔暗記するほど母に読んでもらった『イーヴァルディの勇者』の一小節が浮かんでくる。
 
”それは、とある地方のお話。
 ひどい領主が村人を苦しめていたところにイーヴァルディがやってきました。
 重い税と、役人の横暴に苦しめられる人々を見て、彼は心を痛めました。
 そんなとき、彼はふとしたことから、領主の娘のルーと知り合いになったのです。
 心優しい娘のルーは、イーヴァルディに頼んで父の圧政から村人たちを助けてもらおうとしました。
 ところが、村人たちとともに領主の屋敷に乗り込んだイーヴァルディはルーの案内ではいった部屋で罠にはまり、捕らえられてしまいました。
 ひどい拷問がくわえられる中で、イーヴァルディたちはルーが裏切ったことを知ります。
『なぜだ! どうしてぼくたちを裏切ったんだ』
 悲しみに満ちた叫びを、ルーは泣きながら聞いていました。彼女は、残酷な父の命令で、イーヴァルディを罠に
かけなければ軍隊を呼んで村人を皆殺しにするとおどされていたのでした。
 ところが、横暴な領主の最期は突然やってきました。山を越えた竜の洞窟に潜むという伝説のドラゴンが、領主の
屋敷を襲ったのです。
 屋敷はつぶされ、領主はドラゴンの炎で焼き殺されました。そしてルーは、邪悪な神への生贄としてさらわれてしまったのです。
 ドラゴンは、真っ暗な小部屋にルーを閉じ込めると、お前の命はあと三日だと言い残して去っていきました”
 
 最後に読んだのは、もうずいぶん昔のことなのに、概要がすらすらと浮かんでくる。
 そして、幼いときにはなにげなく読み飛ばしていた、閉じ込められたルーの心を表した一節が、タバサの心にありありと蘇ってきた。
 
”ルーはじっと考えました。でも、ただ友を裏切り、ひどいめにあわせたという事実だけが残りました。
 だから、わたしがこんな目に合うのは当然の報い……
 ルーの最後の望みは、裏切った友に許してもらうこと。でもそれは、かなわない望みなのでした……”
 
「決して許されることは、ないのだから」
 あのころは漠然と、かわいそうな囚われのお姫様だと思っていた。イーヴァルディという勇者に助けに来てもらえる
ルーのことを、うらやましいと思って、自分に重ねて楽しんだりもした。
15 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (4/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 11:57:21.19 ID:fgXFSMiO
 タバサは虚を突かれた目で、まるで何も知らないままでここに来たような友の顔を見た。しかし、タバサがキュルケに
呼びかけようと口を開きかけたとき、小さな唇はルージュをひいた人差し指でふさがれた。
「なにも言わないで……少し、お話しましょうか」
「キュルケ……!」
「はいはい、深刻ぶってる女の子は不細工よ。はい、涙と鼻水を拭いて……時間は、あるんだしね」
 キュルケはタバサの隣に座ると、ぽんと背中を叩いて空をあおいだ。
 夜空はいまだ満天の銀河を瞬かせ、人里を遠く離れた山奥の自然は二人と一匹を、虫の音で穏やかに包んでくれている。
 邪魔するものもなく、なににせかされることもなく、キュルケはタバサにすべてを知っていることと、それでなお迎えに来たことを告げた。
「まったくあなたは、人がちょっと目を離すと危ないことばっかりして心配かけるんだから。わたしたちが来なかったら、
どうせまた危ない橋に突撃しに行ってたんでしょ?」
 完全に図星を指されて、タバサは返す言葉がなかった。けれど、自分は命をとろうとしていたのだ、これまでとはわけが違う。
なのになぜキュルケはこうもあっけらかんとしているのか? 自分の知る限り、キュルケは憎い相手には憎いとはっきりと
言う性格だ。追い詰めた敵を笑顔で弄ぶようなことはしない。
 キュルケの心がわからず、タバサは問いかけようとした。しかし、今度もその直前でキュルケの指がタバサの口を
塞いで、キュルケは微笑を浮かべたまま告げた。
「なぜって聞く必要はないわよ。聞かなくても、今のあなたの思いつめた顔を見たら、なにを考えてるのかは一目瞭然。
ツェルプストーのキュルケさまの読心術をなめるんじゃないわよ。まったく、あなたは昔から物事を悪いほうにばっかり
考える悪いくせがあるんだから。そんなことくらいで、わたしが怒るとでも思った?」
「そんなことって! わたしはキュルケたちを……」
「殺そうとした。わかってるって言ったでしょ。でもね、わたしは全然怒ってはいないのよ。むしろ、すまないと思ってるくらい。
親友のあなたが、それほど思いつめてたときに、気づいてもあげられずにのほほんとしていた自分が情けないわ」
 キュルケは、自分の衣服の胸元の部分を、引きちぎりそうな強さで握り締めた。
「あなたが自分を責めてるのはわかるわ。でも、悪いのはあなたじゃない。憎むべきなのは、あなたの弱みにつけこんで
裏で笑ってる卑劣な奴らのほう。違う?」
「でも、実際にわたしは」
「ああもうっ! ほんとにあなたは生真面目なんだから。そういうときはね、「悪いのはジョゼフだ。わたしは全然悪くない」って、
思いっきり責任押し付けてふんぞりかえってればいいのよ。わたしならそうするわ」
 からからと陽気に笑い、キュルケは今度は少し強めにタバサの背中を叩いた。
「きっとシェフィールドも、あなたのお母さんの心を治す薬なんて最初から渡すつもりはないわ。まったく、世の中、
だますやつよりだまされるやつのほうが悪いなんて、ひどいこと言うものがいるけど、だますやつのほうが悪いに
決まってるじゃない。だから、タバサは全然悪くないの。わかる?」
「う、でもキュルケはいつも」
16 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (5/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 11:58:41.89 ID:fgXFSMiO
「ん? ああ、わたしに言い寄って燃えてく男の子たちのこと? あれはいいのよ。男ってのは、女にだまされるために
存在するものなんだから。でも女をだます男は最低だけどね、タバサも将来ためになるから、よーく覚えておきなさいよ」
 けっこうひどいことをしれっと言いながら、キュルケはにこやかな笑顔をタバサに向けた。その笑顔を見ているうちに、
タバサの中で渦巻いていたどろどろしたものも、少しずつ消えていく。
「ほんとうに、わたしを憎んでいないの?」
「疑り深いわね。ま、タバサらしいけど、わたしがタバサに嘘をついたことがこれまであった? それにね、仲間を
裏切らなきゃいけないほど追い詰められて、苦しめられた人をどうしてそれ以上憎めるっていうの? タバサ、
あなたで二人目だけど、どんな過ちも、つぐなおうという気持ちがあれば必ずやり直せるのよ」
 二人目……その言葉で、タバサは以前アルビオンでレコン・キスタの間諜だったというミシェルのことを思い出した。
 ミシェルがアルビオンで才人たちと再会したとき、タバサはティファニアたちを送っていていなかった。しかし、後に
皆と合流したあとや、その後にトリステインで会ったときには、とても罪を背負った人間とは思えないほど、強く、
明るい笑みのできる人間になっていた。
「サイトが、命をかけてミシェルを救おうとしたとき、人はそれぞれ重いものを背負ってるんだって知ったわ。それを知らずに
怒ったり、ましてや憎むなんてとんでもなく傲慢なこと。だからタバサ、あなたの背負っているものをわたしに分けて。
ただの友達じゃなくて、同じものを分け合った親友としてあなたを助けたいの!」
「そんな! だめよ、これはわたしたちガリア王家の問題。無関係なあなたを巻き込む」
「はいはい、それはもう聞いた聞いた。そういう面倒ごと一切合財承知で首を突っ込みたいって言ってるのよ。わたしの
親友に手を出した以上、ガリアの王様だろうがゴキブリだろうが消し炭にしてやるわ。タバサ、もう付き合いも長いんだし、
わたしがどういう女か、わかってるんでしょ?」
 キュルケにとっては、一国の王もゴキブリも同格らしい。タバサは、キュルケの乱暴な優しさが心に染みて、自然と
涙を流していた。
 しかし、それでもなおタバサの心には大きな罪を犯したという意識がぬぐえない。理由はどうあれ、うやむやにするには
あまりにも重過ぎる罪だ。なんの罰も受けずに済んでいいはずがない。
「キュルケ、ありがとう。でも、わたしはこのまま免罪されていいとは思えない。わたしは……」
「許すわ」
「えっ……?」
 タバサの言葉をさえぎり、キュルケの放った一言がタバサの心を捕らえた。
「タバサがどれだけ自分を責めても、たとえ世界中の人間全部がタバサを弾劾しても、わたしは許すわ。たとえ世界中の
人間すべてがタバサの敵になっても、わたしはタバサの味方でいる。だってわたしは、タバサのことが大好きなの。
優しくて、気高くて、賢くて、わたしにないものをいっぱい持ってる……けど、小鳥のように危なっかしくて、心配ばかりかける。
この世に二人といない大事な親友。タバサがほんとは弱虫で甘えん坊だってこと、ちゃんと知ってるんだからね。だから、
遠慮しないで頼って甘えて……タバサの力になれることが、わたしの喜びなんだからね」
17 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (6/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 12:00:12.02 ID:fgXFSMiO
 優しく頭をなでてくるキュルケに、タバサは失われる前の母の面影を見た。
 いつしか、タバサはキュルケの胸に抱かれて、心の中に溜め込んだものを全部吐き出そうとするように、声をはばからずに
泣きに泣いた。
「キュルケっ、ごめん。ごめんなさいっ……」
「ばか、許すって言ってるでしょ……でも、今日はじめてわたしとあなたは本当にわかりあえたのかもね。もう、お互いに
仲間はずれはなしよ。シャルロット」
 友の絆は、邪悪な策略などに負けたりはしない。罪が人を苦しめても、許す心が人を救う。
 タバサはキュルケの優しさに、本当に人を信じるということを知った。それは、妄念でもなければ願望でもなく、相手の
心の光が闇に勝つことを信じ、その肩を抱いてともに歩くということ。そして、頼り頼られるだけではなく、ましてや傷を
なめあうのでもなく、互いの苦しみも受け止め、いっしょに背負って歩くということ。
 はじめは命じられたからやってきただけだったトリステイン魔法学院。でも、そこにはキュルケがいて仲間たちがいた。
凍て付いた雪風の心の中に平然と入り込み、なんでもないことのように溶かしてくれる人たちがいた。もし彼らがいなければ、
今の自分は昔となんら変わらずに、孤独な灰色の道を歩いていたかもしれない。
 その出会いは運命だったのだろうかとタバサは思う。いや、考えるだけせんないことだ。出会いがどうであれ、声を
かけたのも、それを受け止めたのも自分たちの意思だ。その選択は、運命などとは関係ない。
 タバサは思いのすべてを涙と声に変えて吐き出し、涙を拭くと同時に決意した。
「ガリア花壇騎士のタバサはもういない。これからは、トリステイン魔法学院の二年生、キュルケたちのクラスメイトの
タバサとして生きていく」
 それが、タバサのジョゼフとの決別の証であった。復讐よりも友とあることを強く願い、くびきを解き放って飛び立つ時がきた。
 もう、何があっても仲間に杖は向けない。もう、何者にも束縛されたりはしない。
 強い光を目に宿して蘇ったタバサの姿に、キュルケは、シルフィードは青い小さな妖精が生まれたような感動を覚えた。
「キュルケ、シルフィード、こんなわたしだけど、これからもよろしく」
「もちろんよ! シャルロット」
「ううん、タバサでいい。その名前も、キュルケたちといっしょにすごしたわたしの大事なものだから」
「おねえさま! 元気になってよかったのね。色ボケ女もたまには役に立つのね」
 一言多いシルフィードの頭を軽くこづくと、タバサとキュルケは顔を見合わせて笑った。
 
 しかし、タバサが完全に自由になるためにはもうひとつだけ、どうしても挑まなければならない戦いがある。
 
「行くのね?」
 そうキュルケに問われると、タバサは黙ってうなづいた。
 囚われている母の元へ行き、その安否を確認する。シェフィールドは、裏切ったら母の命をとると明言していたから、
無事でいてくれる可能性は低いものとタバサは考えていた。けれど、たとえ死体と対面することになっても、自分を
生み育て、心と引き換えにして守ってくれた母を切り捨てることは絶対にできない。
19 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (8/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 12:02:29.00 ID:fgXFSMiO
 魔王の城へ向かう勇者が、洞窟に眠る財宝を探しに行く冒険者に変わり、キュルケとタバサは強く手を握り合った。
 これがジョゼフとの長きにわたる因縁に決着をつけられる千載一遇のチャンスだ。泣いて耐えていた自分と決別して、
運命を自分のもとへとひきずりよせる。
 そのとき、二人のもとへ一羽のフクロウが飛んできて、足に抱えていた書簡をタバサの元へと落とした。
 それは、確かめるまでもなくガリア北花壇騎士への伝書フクロウであり、差出人は中身を見るまでもなかった。
「ジョゼフからの挑戦状ってわけね。しかし、さっきの会話も聞かれちゃったかしらね?」
「大丈夫、これはわたしの持っているシュヴァリエの任命状の魔法の印を察知して飛んでくるだけだから。もしも誰かが
盗み聞きしてたら気配でわかる」
「そ、まあ女の子の会話を盗み聞きしてたら変態以外の何者でもないしね。それじゃ、向こうさんもやる気らしいし、
お相手してあげましょうか。場所はタバサの実家か、いつごろ到着できる?」
「ガリアの反対側だし、ワイバーンの生息地やシルフィードが休憩できない山岳や森林地帯を避けていくことになるから、
ざっと二日は必要だと思う」
「二日ね。それじゃ、到着するまではのんびり旅行でもしゃれこみましょうか。行きましょ、タバサ」
「うん」
 こうして、タバサとキュルケは旅立った。その間、才人たちがアーハンブラ城で戦い、ティファニアを奪還するのに成功
したことを彼女たちは知る由もないが、彼女たちは彼らなら必ず成功させてくれるだろうと確信していた。
 
 そして今、最後の戦いに望み、ジョゼフの罠にタバサとキュルケははまってしまった。
 二度と抜け出したくなくなるほどの快楽を味わわせる、甘美な夢の世界を与える古代植物ギジェラの花粉。けれども、
どんなに誘惑にあふれていようと、眠って見る夢は所詮過去の焼きなおしや妄想の産物に過ぎない。未来に続き、
本当にすばらしい世界を築くための夢は、目を覚ましているときしか見ることはできないのである。
 キュルケと誓った母を救うという目的を思い出し、タバサは悪夢の残滓を振り払って立ち上がった。
「ごめんキュルケ。わたしはまた、同じ過ちを繰り返すところだった」
「いいわよ。元はといえば、わたしの不注意が原因だったんだし。でも、あの快楽の泉から、よく帰ってきてくれたわ」
「うん、正直迷った。けど、決めたの……どんなに苦しいことが待ってても、逃げないし、黙って耐えたりもしない。
未来をつかみとるために、前を向いて立ち向かっていくって。だって、わたしには痛みを分かち合ってくれる友達がいるから!」
 その言葉に、キュルケの顔に最高の笑みがあふれた。
「もー! なんてかわいいこと言ってくれるのかしら。感激しちゃったじゃないわたし! んじゃ、ちゃっちゃとこの趣味の
悪い罠をぶっつぶしちゃいましょうか」
「うん!」
 顔を見合わせて、杖を交差させた二人は同時に魔法を放った。
『ウェンディ・アイシクル!』
『フレイム・ボール!』
 極低温の冷気と、高熱火球が同時に部屋を封じ込めていた鉄檻に炸裂する。ガリア製の鋼鉄でできた檻は、その
どちらかだけであれば耐えられたであろうが、正反対の熱攻撃による熱膨張と収縮による、分子の過剰運動には
耐えられなかった。
20 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (9/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 12:03:46.27 ID:fgXFSMiO
「シルフィード!」
「ええーいなのね!」
 シルフィードの体当たりでもろくなっていた檻は叩き壊され、空へと続く道ができた。
 さあ、もはや地を這いずる時は過ぎた。シルフィードは自らの主人の親子と、その友を乗せて大空に飛び立つ。
 だが、高空へ逃げようとしたシルフィードへ向けて、ギジェラは体から生えた触手を伸ばして襲い掛かってくる。速さは
たいしたことはなく、シルフィードの機動性ならかわすのにはさして苦労しないが、なおも花粉を花弁の中央から
撒き散らし続けるギジェラに、タバサはシルフィードに命じた。
「シルフィード、止まって」
「きゅい」
「タバサ?」
「あれをこのままにしておくわけにはいかない。キュルケ、お願い」
「タバサ……」
 ギジェラを杖で指して頼むタバサに、キュルケはその意図をすぐに察知した。しかし、それはこの場所とは赤の
他人であるキュルケにとっても、ためらわざるを得ない意味合いを持っていた。
「いいの? あれを焼き払えば、あなたの屋敷も無事じゃすまない。ここは、あなたとご家族の大事な場所なんでしょう?」
「かまわない。あれがこのまま育ち続ければ、この周囲一帯が危険にさらされる。ジョゼフはそんなことを考慮してはいない。
それに……ここには悲しい思い出のほうが、多い」
 目を伏せたタバサの胸中には、空虚だった三年間、自分の家なのに悪夢にうなされ続けた暮らしが消えずに残っているのだろう。
 話にだけは聞いているが、狂った肉親と暮らし続けるというのはどんなに苦痛か。わずかに想像するだけで、震えが走る。
 しかし、いくらつらい思い出があるとはいえ、それを消し去りたいというのは……いや、それは邪推だなとキュルケは
考え直した。タバサの味わってきた苦痛を、安易に否定する権利はない。それに、あれをほってはおけないし、タバサが
選択したことならば、わたしもそれを尊重しよう。
「わかったわ。けど、あのどでかいのを焼き尽くすのはわたしの炎でも少々骨ね」
「大丈夫、わたしが合図したら火を放って」
 そう言うと、タバサはシルフィードをギジェラの真上あたりに向けて飛ばせた。ギジェラの触手は動きが大味なので当たる
心配は少なく、シルフィードは三人を乗せたままでも余裕を持ってかわす。
 そうか、タバサが待っているのはあれね、とキュルケは理解した。この巨大植物を人間の力で焼き尽くすには普通の
方法では無理だ。本人は決して好いてはいないが、北花壇騎士として数々の戦いを潜り抜けてきた経験は確かに
タバサの中に息づいている。
 触手の攻撃がいくらやっても当たらないことに業を煮やしたギジェラは、花弁の奥からくちばしを伸ばしてきた。
獲物を狙う怪鳥にも似たそれがシルフィードを狙い、開いた口内から黄色い花粉が毒ガスのように噴射される。
21 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (10/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 12:04:40.21 ID:fgXFSMiO
 だが、それこそがタバサの勝利への賭けだった。確かに、水と風を主に得意とするタバサの力では、植物である
ギジェラに対して決定打となりうる攻撃魔法は打てない。ただし、魔法は攻撃だけではなく、その中には応用しだいで
直接攻撃以上に効果を発揮しえるものも数多く存在する。
 その中でも、やはりタバサの得意系統とはずれるものの、魔法難易度としては低く、この状況を逆用できるものがあった。
『錬金!』
 タバサの杖が光り、花粉にかかった魔力の光が花粉を引火性の強い油に変える。むろん、全部は変えきれず、
花粉と油の混合した気体がシルフィードに向かって襲い掛かってくるが、タバサはそれに向かって残りの全精神力を
使った魔法をぶっつけた。
『ウィンド・ブレイク!』
 突風が花粉と油の霧を押し返し、それはギジェラに向かって降り注ぐ。この瞬間に、得意ではない錬金と、花粉を
押し返すだけの風を作り出したタバサの精神力は尽きた。しかし、同時にタバサが待ち望んだ勝利への条件は整った。
「キュルケ、今!」
「わかったわ。『フレイム・ボール!』」
 キュルケの放った全力の火炎弾がギジェラに命中する。それは、通常ならば、直撃したところでギジェラの巨体には
たいしたダメージは与えられなかったであろうが今回は違った。花粉と油、ともに可燃性の物質が細かい粒子状になり、
それが空気と混合したものがギジェラを包んでいたために、引火点を超える熱を与えられたそれにたやすく燃え移ったのだ。
 一瞬、太陽が出現したのかと錯覚するほどの火炎がギジェラを包み、高熱が一気に全体を覆う。その閃光と衝撃波が
通り過ぎていき、恐る恐る目を開けたとき、そこには自らの持つ油分に引火し、轟音を立てて燃え上がるギジェラの
姿があった。
「や……やった!」
 キュルケはタバサに抱きつき、喜びを全身で表現した。タバサは疲れた様子ながら、口元だけはほころばせて
心の内が親友と同じことを示している。
 
 一方そのころ、そこを遠く離れたグラン・トロワでは、ゲームの開催者であり対戦相手が、自らの敗北を悟っていた。
「どうやらシャルロットの勝ちのようだな。やれやれ、途中までは順調だったのだが……敗因は赤毛の小娘のことを
計算に入れていなかったことか」
「ジョゼフさま、それはいたしかたありません。まさか、あの幻想世界から連れ戻すことが可能だとは」
「いや、あやつらの底力を過少評価した余の落ち度だ。余と対局できる相手もいなくなって久しいから、少々かんが
鈍っていたか……いや、本当の敗因は、余がどうあがいても手に入れることができないものを持っている、
シャルルがシャルロットに残した遺産のせいかな」
 ジョゼフは苦笑すると目を閉じて、常に誰からも慕われて囲まれていた弟のことを思い出した。思えば、幼少のころから
自分たち兄弟はくっきりと分かれていた。魔法の才がなく、母からも無能と呼ばれて孤独だった自分と、対照的に
天才的な魔法の才に恵まれて、なおかつ人望の厚さでもてはやされていた弟。
 生まれついての差は変えがたく、神はまったく人間を不公平に作る。シャルロットにしてもそうだ。国内のオルレアン派の
貴族はすべて抑え、シャルロットに味方は一人もいないはずなのに、どこからかあの子を助ける者が現れてくる。
自分がいくら孤独であっても、助けようなどという者は現れなかったのに……
22 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (11/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 12:06:24.67 ID:fgXFSMiO
 その考えは、タバサが聞いたらきっぱりと否定するであろう。キュルケや仲間たちとの友情に、魔法の有無などは
関係ないと。だが、ジョゼフにとっては真実だった。持てる者と持たざる者の価値観の差は、時に残酷なまでに人の心に
壁を作り、運命を狂わせる。
「余は、生涯通じてシャルルには勝てなかった。いや、余が勝手にあいつを勝ち逃げさせてしまった。そして、その娘にも、
これだけ有利な条件を揃えても勝てぬか。ははははは」
 敗北を認めたジョゼフの哄笑が寝室に響いた。彼の顔には憎しみや怒り、屈辱感などはなく、単純な愉快さだけが浮かんでいる。
 実は意外にも、ジョゼフの心には敗北感はなかった。いや、それ以前にジョゼフにはそもそも「勝ちたい」という意欲が
欠落しているといったほうがいいかもしれない。なぜなら、彼が心の底から勝ちたいと思っていた相手は、もうこの世に
いないのだから。
 ただ、勝利の高揚感も敗北の屈辱感もない代わりに、ゲームが終了したことでジョゼフの心には例えようもない
空虚さが生まれてきていた。
「ふぅむ……シャルロットとのゲームも今回でお終いか。しかし困ったな、シャルロットがいなくなった後の暇つぶしを
考えていなかった。やることが特にないというのは退屈だな。虚無での遊びのほうもなかなか進展せんし、
面倒だからエルフとの戦争でも起こすかなあ」
 まるで子供が鬼ごっことかくれんぼのどちらをするかを迷うように気楽に、しかし冗談は一切なく本気でジョゼフはつぶやいた。
 この世での目標を当に喪失し、それを取り返すことは絶対に不可能だとわかっている彼にとって、この世は退屈な
暇つぶしの場でしかなかった。残った関心は、このくだらない世界をいかにしてもてあそんでやるか、その果てに
自分がどうなれるのかということだけ、そのためならばこの世のあらゆる美徳や理想も踏みにじってくれよう。
 
 だが、ジョゼフが破滅的な夢想に心を任せようとした瞬間、遠見の鏡から聞き覚えのある声が響いてきた。
「陛下、エルフと開戦なさるのは結構ですが、まだ時期尚早であるとお止めいたします。それよりも、陛下には
新たなゲームのステージをわたくしどもといっしょに構築していただきたいものです」
 突然、タバサたちを映していた遠見の鏡の画像が乱れ、別の人物の姿が映し出された。それは、端正な美貌の
月目が目を引く美少年で、不敵と呼んでさえいい笑顔で鏡の向こうからジョゼフを見つめている。
 しかし、突然の乱入者に声をあげたのはジョゼフではなく、鏡を操作していたシェフィールドだった。
「お前! どうやってこの映像に割りこんだ!? これには、傍受を防ぐ仕掛けが何重にも施されていたのだぞ」
「ふふ、ご無礼をお許しください。まあ種明かしをいたしますと、我がロマリアには世界各国が研究した魔法技術の
成果が蓄積されていますので。この程度のことは、わけはないですね」
 悪びれもせずに、彼、ジュリオはシェフィールドに向かってポーズをとってみせた。そのふてぶてしさに、
シェフィールドは歯軋りをして、なにかを怒鳴りつけようとしたがジョゼフに静止された。
「くくく、まあよいミューズよ。貴様、ジュリオとか言ったな。このアイテムの機能に割り込んできたことは驚いたが、
そんなことを自慢したいわけではあるまい。神の奇跡を見せてくれるはずだが、準備ができたのかな?」
「さすが、お話が早くて助かります。まずは、こちらをご覧ください」
 ジュリオはそう言うと、体をどかして鏡の映像に彼の背後の風景を映した。するとそこには……
23 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (12/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 12:07:33.62 ID:fgXFSMiO
「なっ!?」
「ほぅ」
 シェフィールドは絶句し、ジョゼフは口元を歪めた。なんと、ジュリオの後ろに映っていたのは燃え盛るギジェラの
姿と、その周辺を旋回するシルフィードの姿。彼のいる場所は、オルレアン邸の正門近くの街道だったのだ。
しかし、それはありえるはずがなかった。リュティスからオルレアン邸までは、風竜で全力で飛んでも数時間かかる。
なのに、さきほどジュリオが立ち去ってからまだ一時間も経っていない。
 ならば、ここか向こうにいるどちらかがスキルニルなどを使った擬態か? もしくは映像を加工しているのかと
シェフィールドは思ったが、ジュリオはそのどちらも違うというふうに首を振った。
「これが、まずは奇跡の前座といったところですか。わたしにとって、あの程度の距離はたいした意味を持ちません」
「ほお、瞬間移動でもしたというのかな。だが、そんなものではたいして驚けんな」
 チャリジャという、人間を超越した存在と手を組んでいたジョゼフにとって、この程度は驚くに値しない。だが、ここまで
くるとジュリオもそんなことは承知していると、軽く笑うと空を見上げてから返答した。
「はい、わたしもこんなもので陛下のおめがねにかなうとは思っておりませぬ。さて……ころあいもそろそろよろしい
ようですし、お目にかけましょう。我らの奇跡、力の一端を……そのあかつきには、我らの神の使途に名を連ねること、
ご考慮いただけたら幸いです」
 ジュリオはそれだけ言うと姿を消し、映像は元のタバサたちを屋敷から見上げたものに戻った。
 
 ギジェラは噴火する火山のように燃え上がり、一時もがくように激しく動いていた触手も力尽きた。
 燃え続ける巨体から葉がもげ、花びらがちぎれて燃えながらオルレアン邸に降り注ぐ。火の雨を受けた屋敷は
燃えあがりはじめ、タバサとキュルケはそれを少し離れた空からじっと見つめていた。
「タバサ……」
「……」
 タバサはなにも言わずに、ただギジェラと屋敷の最期を見守っている。やがてギジェラの巨体が燃えながら
崩れ落ちていくと、タバサが幼少のころからすごした屋敷は、炎の海の中に沈んでいく。
 だが、炎によって明るさを増していた風景が、突如として暗さを増し始めたのだ。
「な、なに!?」
 ずっと屋敷を見下ろしていた二人はとっさに空を見上げた。そして、信じられない光景が二人の目に飛び込んできた。
「あれは、月が……欠けていく」
「月食……!?」
 なんと、空を煌々と照らしていた青い月の半月が、虫食いをされたように欠けていく。しかし馬鹿な、今は月食などが
起きる時期ではないはずだ。
24 :ウルトラ5番目の使い魔 53話 (13/13) ◆213pT8BiCc 2011/07/31(日) 12:08:48.49 ID:fgXFSMiO
 そのとき、呆然とする二人の頭の中に、悪意に満ちた恐ろしげな声が響いてきた。
 
〔君たちの存在は、我々の計画の妨げになる恐れがある。この世界から、消去させてもらうよ〕
 
 その言葉が終わると同時に、反応する時間さえ与えられずに異変は起こった。
 何が起きはじめたのかすらわからない二人の目の前で、森の中から白い光の塊が立ち上った。それは、見る見るうちに
小山のように大きくなると、次第に人の形を取り始める。そして、光の塊は黒々とした体を持つ異形の怪物として実体化した。
 「あれは! 新しい怪獣!?」
 骨格が全身に浮き出たような不気味な容姿に、顔のない頭には頭頂部から首に至るまで黄色く点滅する筋が通っている。
 新たな敵は、キュルケの絶叫を合図としたかのように肩を震わせて迫りくる。
 悪夢は終わった。しかし、悪夢よりも残酷な現実が迫りつつある……
 
 
 続く
26 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 12:17:57.53 ID:VrHZL4r1
スパロボからラミア・ラヴレスを召喚したらルイズ涙目だよな。
エクセ姉さんが言うにはバスト93cm以上らしいし、キュルケとテファを交えてお茶会なんぞ開こうものなら大惨事になりそう。
28 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 14:04:40.03 ID:LfY7SafM
しかしさ、エタるのが当然のこの界隈で
1話で「こいつはエタる」っていうのは
クソを指して「これは臭い」というのと同じくらい下らんことだよな。
「こいつはエタらない」と1話の時点で言う奴はおらんのか。
29 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 14:15:49.24 ID:ZrRzu/6d
投下間隔が数ヶ月単位で、
忘れられかけた頃とか「まだかなー」とか言われた頃に
毎回投下しちゃってごめんなさい。
30 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 15:19:55.80 ID:Y5RbXK9p
せめて 月一ぐらいで投下したい。
でも実際は 隔月ですらない。 ごめんなさい。
32 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 16:12:22.36 ID:xtRncum4
なんだっていい!作者を励ますチャンスだ!うおおおおおおおおおお!!
33 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 16:50:49.15 ID:5CX5GsMk
 ウルトラ5番目の使い魔作者さん、乙でした。

>>だますやつよりだまされるやつのほうが悪いなんて、ひどいこと言うものがいるけど、だますやつのほうが悪いに
 決まってるじゃない。

 この台詞は凄い同感です。これって、極端に言ったら殺された相手に対して、殺した相手が殺される方が悪いって
言うのと同じですからね。

 ジュリオは何やら原作以上に怪しい人物になっている模様。この作品においてはレイオニクス以上の怪獣使いに
なりえる彼ですが、その能力が災いしてか宇宙人にでも操られているんでしょうか?
 おーい、タバサ襲ってるけど、自分の恋人の姉だぞー。
34 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 16:57:47.52 ID:kEG1/NA6
おっしゃ、それでは賢王の人と悪魔の虹の人、応援してます。いつでも帰還してきてくださいね。
35 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 17:02:52.14 ID:5CX5GsMk
 サイヤと騎士団とカービィとミーディアムの作者さん方、今でも応援してますよー。
36 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 18:01:36.50 ID:NyttSYhW
エターなる予定の人はリレー許可の遺書をのこしてから逝ってください
79 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 03:36:35.07 ID:68OWrTnu
>>36
許可で出たとして自分はエタらずにきちんと締められるのか?
というか今は原作がそうなるかどうかの瀬戸際だろう
38 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 20:27:24.12 ID:quncLO8D
ヴィンダーが怪獣使いか


作品名を出さなきゃ良いんだな

この世ならざる美貌の主を複数召喚した方
ハルキの双月がダブるビーム撃つ日を待ってます
39 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 21:00:35.14 ID:WeQ5PqZC
月のビーム・・・MWか
月・・・神に地球を追われたネイティブアースのコロニーとか
火星と木星の間にあった星から逃げてきた民の館と幻獣神の住まいとか
人間になった愚かしいほど健気な機械たちとか
秘密結社の基地と石田声の少年の棺桶と巨大人造人間とか
誰も知らない社とか
実は原始生命体に死の概念を与えた巨大宇宙生物の肉体だとか
月こそ邪神に滅ぼされた本来の故郷の星とか
生命の種子をまいた50億年前の別銀河からの漂着者とか
何度も拳を叩き付けられたり落書きされたり人類殲滅システムが隠されていたり200年前の科学者が眠っていたり

月になぞらえてシナリオ構築するのもアリよねぇ
・・・スパロボJから数十年前のガウ=ラ・フューリアをハルケの月内部に転移
眠りから覚めたフューリーは困惑するもハルケギニアへの移住を計画する・・・
ルイズはハルケギニアのとある村から平民の男子を召喚するが・・・

えー、ぶっちゃけアル=ヴァンの所為でヤンデレ化するエレオノールが見たくなっただけです
40 :ルイズと無重力巫女さん2011/07/31(日) 21:22:28.33 ID:pStZcBPt
ウルトラの人、投稿お疲れさまです。
ジュリオが丁度良いくらいに悪役の助っ人的存在ですね。
善人と悪人の間を行き来する道化師、それが個人的なジュリオへの印象です。

さて夜も更けてきましたね。
何事も無ければ21時25分から投稿を開始します。
よろしければ支援の方、御願いします。
41 :ルイズと無重力巫女さん2011/07/31(日) 21:25:10.30 ID:pStZcBPt
トリステイン魔法学院の敷地から外は、広大な森が広がっている。
首都トリスタニアへと続く街道の外は、どこまでも広がっているかのように感じてしまう巨大な森林地帯がある。
最寄りの街であるトリスタニアに行こうとしても、馬を使わなければちょっとした旅になってしまう。
一応ちゃんとした道はあるのだが、いかんせん森の中を突っ切るように出来ているので凶暴な肉食動物が襲ってくることもある。
その為、魔法学院かトリスタニアに行く者は馬に乗るか馬車に乗るか、あるいは空を飛べる幻獣に乗るしかない。

しかし、今日に限ってはそのどれにも当て嵌まらない゛物゛で学院の敷地を出た者がいた。

「相も変わらず、デッケー森だなぁ。地平線まで続いてるんじゃないのか?」
愛用の箒に腰掛けるかのような姿勢で乗って空を飛ぶ魔理沙は、眼下に見えるトリステインの森を見ながら呟く。
箒の出す速度はそれ程速くはなく、ゆっくりと空中散歩を楽しむ彼女の横を二、三羽の小鳥たちが飛んでいく。
そんな小鳥たちを見て軽く微笑みつつ、自分の後ろにある魔法学院へと視線を向けた。
もうかなりの距離を飛んだのではあるが、トリステイン魔法学院にある塔はハッキリと見えている。
流石はトリステインの誇る魔法学院なのか、その存在はなかなかのインパクトを放っていた。
「さてと、ここまで来れば大丈夫だろ」
魔理沙はひとり呟くと、つい数十分前の出来事を思い出した。



『じゃあ行ってくるわ。大丈夫、夕食時には帰ってくるから』
それはルイズと霊夢が喧嘩し、霊夢が部屋から出て行った直後である。

『おい、霊夢…!』
魔理沙は咄嗟に、窓から身を乗り出して見回してみるが、霊夢の姿は何処にもなかった。
その時魔理沙はあれ?と一瞬だけ首を傾げようとしてその前に、心当たりがあるのに気が付く。
(あいつ…瞬間移動で逃げやがったな…)
あのぐーたら巫女が自分の姿を一瞬にして消す方法といえば、それしか思いつかなかった。
異変解決やちょっとした喧嘩で、何度も霊夢と戦った経験のある魔理沙だからこそ、真っ先に思い浮かんだのである。
霊夢の奴うまいこと雲隠れしやがったぜ…。とおもわず感心してしまったが、すぐに別の考えが頭をよぎる。
(ちょっと待てよ…もしかして後の事は全部私に任せたってことか…!?)
心の中でそう叫び、思わず目を丸くしてしまった。

今のルイズが体内に飼っている「怒り」という名のペットは怒り狂い、ある二人の手に噛みつきたがっている。
それはズバリ、霊夢と魔理沙である。しかしその内の一人である霊夢はトンズラをこいた。
つまり、本来なら二人で仲良く受け合うルイズの怒りを霊夢のいない今、魔理沙が二人分の怒りを受け止めることになる。
怒り心頭のルイズの仕置きはキツイとその身で知った魔理沙は、すぐさまこの部屋から出ることにした。

幸いルイズ本人はシエスタが取り押さえてくれていたので、なんとか逃げ出すことは出来た。
『あぁもう…。すまん二人とも、すぐに帰ってくるぜ!』
そう言った後、何処かへ逃げた霊夢を追うような形で魔理沙は箒に跨り、部屋を出て行った。
とりあえず学院の外へと出れた魔理沙は霊夢を探すワケでもなく森の上を飛んでいて、今に至る。



「え〜と…。お、ああいう広い所なんか好さそうだ」
何処かに休める場所はないかと、眼下の森に視線を向けていた魔理沙は、恰好の休憩場所を見つけた。
そこは森の中にポッカリと出来たような小さな円形の草原で、風に乗ってサラサラと背の低い草が揺れている。
目をこらしてみると草原にはいくつかの切り株があり、真ん中の方には切り落とされていない木がポツンと生えていた。
付近には怪しい者も動物もおらず、休憩にはもってこいの場所であった。
とりあえずそこに降りる事にした魔理沙は辺りに気を配りつつ、ゆっくりと高度を下げていく。
慣れた動きで無事そこに着地すると箒を右手に持ち、思いっきり深呼吸した。
そして口の中にたっぷりと森の空気を入れて、勢いよく吐き出す。
42 :ルイズと無重力巫女さん2011/07/31(日) 21:28:04.72 ID:pStZcBPt
「ふぅ〜、やっぱり森の空気ってのはうまいもんだな」
魔理沙はいまだ切られていない木の根本に腰を下ろし、空を仰ぎ見た。
それから次に霊夢の顔を思い浮かべ、苦々しい表情を浮かべる。
「全く、霊夢の奴も困ったもんだ…まさかあのまま逃げるとは思わなかったぜ」
自分のことを棚に上げつつも、一人勝手に逃げた巫女に込めて呟く。

全ての始まりは、霊夢がルイズの部屋にあったお菓子を勝手に食べたことから始まった。
確かにそれを考えれば霊夢が原因ではあるが、彼女と一緒にお菓子を食べた魔理沙にも一応罪はある。
魔理沙本人は「目の前に菓子があるから喰った」と言っても、ルイズの視点からすれば立派な共犯だ。
それをこの白黒がちゃんと理解しているのかどうかは、よくわからない。


「まぁ仕方ない。ルイズの怒りが収まるまでここでのんびり過ごすとしますか」
魔理沙は諦めにも似た境地でそう呟くと思いっきり背筋を伸ばし、辺りを見回した。
目には眩しいくらいの青空と白い雲が写り、小鳥たちの囀りが耳の中に入ってくる。
魔理沙は被っていた黒のトンガリ帽子を脱いだ瞬間、ハッとした表情を浮かべた。
「しまった、そういやミニ八卦炉をルイズから取り返してなかったっけ…」
いつもなら帽子の中に仕舞っているマジックアイテムがないことに、魔理沙は苦笑した。
朝の授業の時に奪われ霊夢の頭に投げつけたそれを、今はルイズが所持している。
その時の事を思い出し、やけに投げるのがうまかったなーと魔理沙は思い出した。
今取りに戻ってもルイズは怒っているだろうから、自分が怒りのはけ口になるに違いない。
アレとは古い付き合いだが、今行けば確実に大変な目に遭うのはわかっている。
それに戻らなければ壊す!とも脅迫されてはいないから大丈夫に違いない。

「虎穴に入らなきゃ虎児は手に入らないと言うが…それで喰われたら元も子もないぜ」
魔理沙は観念したかのように呟くとゆっくりと目を瞑った。
やがてそれから数分もしない内に、彼女の口から小さな寝息が聞こえてくる。
今日は計二回もルイズの鉄槌を喰らった魔理沙の体は、休憩を欲していたのだ。



一方、事の発端とも言える霊夢は何処にいるのかというと…
魔法学院にある男子寮塔の屋上で、ゴロンと寝転がっていた。
ルイズと喧嘩になりかけて部屋を出た彼女はあの後、瞬間移動を用いて女子寮塔の出入り口で隠れていた。
その後魔理沙が箒に乗って飛び去っていくのを確認して、今に至る。

「はぁ…なんか思ってた以上に怒ってたわねー」
まるで他人事のように呟きつつ、ルイズのことを頭の中で思い返していた。



今までに何回か怒ったことはあったが、あの怒り様はその中でも五本指に入るものである。
しかし霊夢には理解できなかった。どうして菓子一つであれ程怒れるのか。
ふとした事で人をからかってくるような連中ばかり居る世界で暮らしている霊夢にとって、菓子一つ分の被害など微々たるモノだ。
ぐっすりと寝ている最中に叩き起こされたり、飲もうとしたお茶をスキマに掠め取られたり、例を上げればキリがない。

しかしその分、怒りの沸点が大分高くなってしまった霊夢に対し、ルイズの沸点は低かった。
生まれつきということもあるが、幼い頃からの教育がそれに拍車を掛けている。
常に清く正しく生き、自分に厳しく道を外す者を見れば正してやり、対峙する者には決して背を向けるな。
それが貴族としての生き方だと。そう教え込まれてきたルイズにとって、許されざる行為なのだ。
ましてやそれが、大事にとっておいた菓子を勝手に食べられたのだから激怒するのも無理はない。
更にルイズの言葉に霊夢が反論したことも、彼女を更に怒らせる要因となっていた。

だからこそ、お互い理解できなかった。
霊夢は過剰に怒るルイズに疑問を感じ、ルイズは人の話を真面目に聞こうとしない霊夢に怒っていた。

43 :ルイズと無重力巫女さん2011/07/31(日) 21:31:04.72 ID:pStZcBPt

「そりゃ私だって今すぐ食べようとしたものを盗られたら怒るけど、あれはすこし怒り過ぎじゃないの?」
霊夢はまるで隣にいない誰かに愚痴をこぼすかのように、ひとりブツブツと呟く。
その呟きはそのまま風に乗って何処かへ飛んで行き、誰の耳にも入らぬまま消えてゆく。
耳にはヒュウヒュウ…と風の音が入り、自然と意識が遠のいていく。
(ま、今部屋に帰っても録な目にあわないだろうし、このまま昼寝でもしてようかしら…)
気怠そうな表情でボーッと青空と白い雲を見つめながら、霊夢はそう思っていた。
しかし、そんな彼女の気まぐれを邪魔するかのように青い影がひとつ、彼女の視界を横切った。

「ん…?」
ウトウトしかけていた霊夢は、自分の視界に入ってきたモノに怪訝な表情を浮かべる。
青空ばかり見ていたから目の錯覚かと思ったが、すぐにその考えは否定された。
何故なら、風が空気を切る音と一緒に動物の鳴き声が耳に入ってきたのだから。

…ゅい、きゅいきゅい…

「きゅい?」
いきなり耳に入ってきた謎の鳴き声を思わずマネしつつ、霊夢は上半身を起こす。
そしてキョロキョロと見回したところで先程の青い影と鳴き声の主が、グルグルと自分の周りを飛んでいるのに気が付いた。
大きな体躯に青い鱗を持つどっしりとした体にそれに見合う大きさの翼、そして肉食動物の如き鋭い牙を持つ蜥蜴の頭。
ハルケギニアにおいて、一度暴れれば天災並みの被害を起こすといわれるウインド・ドラゴン――の幼体であった。
口を僅かに開いてキュイキュイと身体に似合わぬ可愛らしい声を上げながら、空を自由に飛んでいる。
霊夢はそれを見てフゥッとため息を漏らす。

「ああいうのは良いわね。余計な事を考える必要もなく空を飛べるんだから」
溜め息を混ぜて竜にそう愚痴を漏らすと、霊夢はゆっくりと目を瞑った。
黒い闇が視界を覆い、風の音しか聞こえない世界は、じわじわと夢の世界へと彼女を導いていく。
やがて数分もしない内に意識が朦朧とし、いよいよ眠ろうとした霊夢の耳に、誰かの声が入ってきた。

「そんなことないのね」
それは自分の周りを飛んでいるウインド・ドラゴンの声ではなく、瑞々しい女性の声だった。

一方、学院のとある場所で怒りを露わにしている一人の女子生徒がいた。

「あーもー…!どうして忘れ物を取りに行っただけでこんなに苛々しなきゃいけないのよ」
ルイズは手に持った『忘れ物』である答案用紙を右手で持ちながら、愚痴を漏らした。
今のルイズは正に、怒れる女神と呼ぶのに相応しいほどその身体に憤怒を纏わせている。
もしも、場の雰囲気を読めない誰かが彼女に気安く触れよう者なら、彼女の容赦ない拳がその顔にめり込むに違いない。
それ程までに怒っている理由は勿論、遠慮という言葉を知らぬあの紅白の使い魔と白黒の居候が原因であった。
人が大事にとっておいた物を勝手に手を出し、録に謝りもせずに出て行った霊夢と魔理沙のことである。

「レイムやマリサのやつ、謝りもせずに逃げるなんて…何考えてるのかしら」
ルイズはそんな事をブツブツ呟きながら、その時の事を思い出していた。
あの時、ルイズの怒りの矛から逃げるように部屋から真っ先に逃げた霊夢。
そしてそれを追うかのように、箒に跨ってサッと部屋から出て行った魔理沙。
あの時、怒り心頭であったうえメイドのシエスタに取り押さえられていた為止めることが出来なかった。
二人が部屋から消えていった後、自分を押さえつけているシエスタの腕を無理やり振り解いた時、彼女は気づいた。

「あいつら…逃げたわね」
もうそうとしか考えられなかった。
44 :ルイズと無重力巫女さん2011/07/31(日) 21:34:11.29 ID:pStZcBPt
確かに、人が大切に取っていた物に手を出した霊夢(それと魔理沙)には罰を与えようと思っていた。
貴族の物に…というかそれ以前に人の物に手を伸ばす不届き者には相応の罰は必要だ。
子供の頃から親や家庭教師からそう言われてきたルイズにとって、それは当たり前のことである。
だが罰といっても、ルイズは自分が幼少期に受けた゛躾と称した体罰゛の様な事をする気はなかった。
この時は精々、『頭に鉄拳一発』というルイズの思考では『まだやさしい』ものを考えていた。
最も、あの二人に対して効果があるのかどうかはわからないが。

だが、魔理沙はともかく勘の良い霊夢は逃げ、魔理沙もそれに続いて…
不幸にもそれが、ルイズを更に怒らせる結果に繋がった。

あの後、おろおろしていたシエスタを無視して、忘れ物の答案用紙を持ってルイズは部屋を出――今に至る。
ツカツカと大理石の床を蹴る靴の音が気持ちよかったが、今のルイズを鎮める事は出来ない。
「もう決めたわ…帰ってきたら夕食抜きと廊下で寝るように言ってやるわ…」
ブツブツと独り言をぼやきつつ、ルイズは教室目指して早歩きで進む。
今日の六限目の授業は座学がメインだと聞いたのに忘れ物をして皆に笑われる。
そして苦笑していた教師に取ってくるよう言われて取りに行けば、使い魔する気ゼロの使い魔が自分を批判していた。
「全く…今日はなんて―――きゃ!」
しかしその独り言は、右の角から歩いてきた小さな影にぶつかったところで終わった。
まさかの不意打ちに用心していなかったルイズはそのまま後ろに倒れてしまう。

幸い頭を打つことはなく、尻もちをついてしまっただけで済んだがルイズの怒りは更に上昇した。
こんなにも人が苛々している時にぶつかってくるとは、なんという輩か。
最早八つ当たりにも近い感じでそんな事を考えつつ、ルイズは怒った表情で目の前にいるのが誰なのか確認した。
「誰よ!この私に当たってきたのは…―――…タバサ?」
目の前にいた人物が全く予想していなかった存在だという事に気づき、ルイズは目を丸くした。
ルイズとぶつかってしまったタバサは微動だにしておらず、いつもの無表情な顔でルイズを見下ろしている。
「た…タバサ。何でアンタがこんなところに…?」
ここにいる理由か全く思いつかないルイズは怒りの感情を一時的に隅においやり、質問を投げかけた。
それに対し、タバサは掛けている眼鏡を人差し指でクイッと直しながら、簡潔に答える。
「トイレ」
「え…そ、そう。トイレ…トイレね」
うん、簡潔でサッパリとしてる。だが貴族の少女がそんな事を簡単に言うか?
ルイズはそんな疑問を覚えながらも、いそいそと立ち上がる。
スカートについた埃を用紙の持っていない方の手でパパっと払うとタバサの横を通り過ぎる。
そしてそのまま教室へ行こうとしたとき…
「…ルイズ」
不意にタバサが声を掛けてきたので、足を止めた。
何かと思い、怪訝な表情を浮かべたルイズがそちらの方へ首を向けると、再びタバサの口が開く。

「貴女の使い魔は、何処か怪我をしてない?」

突然の質問に、ルイズはポカンとしていたが、数秒経ってから答えた。
「え?使い魔って…レイムの事?」
コクコク…とタバサは頷いた。
「いえ…別に怪我とかは無いけど…」
いきなりの質問にルイズはどう答えたらいいか分からず、適当に答える。
だがそれで充分だったのか、タバサは「そう」と呟くと歩き始めた、ルイズとは逆の方向へ。

段々と離れていくクラスメートの後ろ姿を見ていたルイズは、霊夢のことを思い浮かべた。
同時に隅に置いていた怒りの感情も、待っていました言わんばかりにルイズの表情に表れてくる。
「何だったのかしら…さっきの質問…あ、いやでも…それよりも」
やっぱり夕食抜きと廊下で一晩過ごしが良いわね!と呟きながら歩き始めた。タバサとは逆の方向へ。

この時もし、何気無く後ろを振り向いていれば気づいていただろう。
ルイズに背を向けていたタバサの姿が、いつの間にか消えていた事に。
そして、先程まで閉められていた筈の窓が開いていたことも…。
45 :ルイズと無重力巫女さん2011/07/31(日) 21:37:02.92 ID:pStZcBPt


トリステイン魔法学院から徒歩で一時間くらい離れた山中に、小さな山小屋がある。
屋根に穴こそ開いてないものの、外見はボロ小屋そのものでとても人が住んでいる風には見えない。
もう数十年前に作られて放置されているこの小屋は、本来は登山者や旅の貴族、遭難者が寝泊まりする為の小屋であった。
しかし数年前からこの近辺にまで足を運ぶようになったオーク鬼達の所為で、訪れる者はすっかり減ってしまったのである。
だが完全に使われなくなったという事は無く、今では街へ赴いたり木の実やキノコを取りに来た近隣の村人達が利用していた。
見た目はボロ小屋ではあるが、中はちゃんと寝泊まりが出来るよう村人達が綺麗にしている。
オーク鬼達の方も住処からかなり離れているため、山小屋のあるそこまで近づくことは滅多にない。
今まで多くの旅人を夜風、雷雨、猛吹雪から守ってきた山小屋は、村人達を守る仕事に取り組んでいた。

そんなある日の事、とある男と女の子が山小屋に訪れていた。
男の方はまだ三十代に入ったばかりといった顔立ちで、その背中には大きなリュックサックを背負っている。
中には山の中でしか取れない木の実や食べれる茸、そして護身用の゛武器゛が入っていた。
その隣を歩く女の子は、背中に小さな革袋を背負っており歩くたびに革袋がヒョコヒョコと上下に動く。
男はふと足を止めて辺りを見回し、山小屋のすぐ近くにまで来ていたことに気が付く。

「お、もう山小屋か…となると、村まで後三十分といったところだな」
この山小屋は、近隣にすむ村人達にとっては休憩場だけではなく、目印としての意味もあった。
「なぁニナ、村までまだ三十分近く歩くしあそこで一旦休憩しないか?」
「うん!休憩する!」
ニナと呼ばれた少女は男の提案に、元気よく頷いた。
服装からして平民だとわかるその二人は、ここから三十分ほど歩いたところにある村に住んでいる者達であった。
本当は男性だけが山に入り、食べられる山菜に茸、それに甘い木の実を取ってくる筈であった。
しかしそれを何処で聞いたのか、村を出る直前にニナが自分も連れて行ってとせがんだのだ。
この娘は以前一人で山奥に入り、オーク鬼に襲われかけたという経歴を持っていた。
少女の母親は我が侭言わないの!と男にまとわりついているニナを引き剥がそうとする。

しかし男は…
「いや大丈夫ですよ、この娘ひとりなら何かあっても守ってあげられますし」
と快く少女の同行を承諾して、今に至る。



「暗いねー」
「あぁ、暗いな。…まぁ誰も遭難してないのならそれはそれで良いのだが」
古い木のドアを開けた先にあるリビングを見た二人の感想は、似通っていた。
窓の数が少ない所為かもしれないが、小屋の周りにある木々が陽の光を遮ることでそれに拍車を掛けている。
ドアを開けてすぐのリビングには、大きなテーブルと椅子があり、奥には大きな暖炉も見えた。
そこを中心にして暖炉のすぐ横に一つ、とリビングの側面に二つのドアがついている。
暖炉のすぐ横にあるドアはキッチンに通じ、遭難者用の乾物食料や非常食が常に備蓄されている。
リビングの側面にある二つの部屋は大きな二段ベッドが一部屋に二つ、計四つが置かれていた。
とりあえず明かりをつけようと、男は荷物をテーブルに置いてニナに視線を向けた
「ニナ、革袋をテーブルに置いてキッチンからランタンを取ってきてくれないかい」
「うん!わかった!」
小屋に入っても背負っていた革袋をようやく下ろしてテーブルに置いた。
そしてリビングをかるく見回した後、トテトテと可愛らしい足取りで暖炉の横にあるドアへと歩いていく。
男はその光景を見ながらニヤニヤと笑みを浮かべつつ、背負っていたリュックの中から林檎を二つ取り出した。
ツヤの良い赤い果実をテーブルに置くと、次は果物ナイフを取り出そうとしたリュックの中に手を入れた。その時――

「キャッ!」
キッチンへと続くドアを開けたニナが、小さな悲鳴を上げたのだ。

何かと思い、男は咄嗟にそちらの方へ顔を上げる。
そこには顔を引きつらせ、口を押さえてゆっくりと後退るニナがいた。
「ニナ、どうかしたのかい?」
尋常でない少女の引き方に、男は手に握った果物ナイフを持ったまま、そちらに近づいた。
唯一頼りになる男がきてくれたお陰が、ニナは口を押さえていた両手を下げ、恐る恐る口を開く。
46 :ルイズと無重力巫女さん2011/07/31(日) 21:40:39.57 ID:pStZcBPt
「き…キッチンに…オバケが…オバケがいるの」
少女の口から出た思わぬ一言に、男はキョトンとした表情を浮かべた。
「え?オバケ?」
男の言葉に、ニナは軽く頷いた。
首を傾げつつも、男は開いたままのドアを押してキッチンの中へと入った。
まず目に入ったのは、キッチンが何者かによって手ひどく荒らされていた事であった。
床には皿だった陶器が棚から落ちたのか、粉々になって床に散らばり、小さい鍋がコロンと無造作に転がっている。
酷いな…と思いつつ裏口のあるキッチンの奥へと視線を向けた時――彼は見つけた。

裏口とキッチンを隔てるドアに、ボロ布をまとった『誰か』がもたれ掛かっていた。
男はそれを見て一瞬身を強ばらせるが、すぐに落ち着くとその『誰か』に声を掛ける。
「あの…君は一体」
至極落ち着いた風を装いつつ話し掛けるとその『誰か』はゆっくりと、顔を上げた。
その拍子に頭からすっぽりと被っていたフード部分が外れ、相手が思いもよらぬ存在だと男に知らせた。
『誰か』の正体は一人の女性であった。それも十代半ばの少女だ。
白に少し黄色が混じったような肌に、赤みがかった黒い瞳。
艶のある黒い髪は、白いフリルの付いた赤いリボンで束ねている。
これまで多くの人と村や町で知り合ってきた男から見ても、見たことのない特徴であった。
一体何処の生まれだろうか…心の中でそんな事を考えていると…。
「ゲホッ…ゴホ…!」
少女が苦しそうな表情を浮かべて咳き込みだした。
いきなりの事にどうしようかと一瞬迷ったが、男はすぐに皿を置いている棚から手頃な大きさのコップを取った。
その時、ふとこちらの様子を不安な目で見つめているニナの姿が目に入る。
「ねぇ…その子、オバケさんじゃなかったの?」
ニナのいう『その子』とは、自分の後ろで咳き込んでいる少女の事だろう。
「大丈夫だよニナ、この子はオバケさんじゃないよ」
諭すように男はニナ言いながら、キッチンの中に備え付けてある井戸にロープの付いた桶を放り入れる。
五秒もしないうちにバシャーンと水が跳ねる音が耳に入り、男はロープを引っ張り出す。
冷たい地下水を入れた桶が引き上げられ、男はその桶の中にコップを入れ、水を掬う。
そしておかわりがいるだろうと思い、水を入れたままの桶を足下に置くと、コップを持って少女の方へ近づく。
咳き込んでいた少女は近づいてくる男と、彼が持っているコップに気づき顔を向ける。
その表情はポカンとしており、まるで何も知らぬ無垢な子供が浮かべるようなものであった。
「大丈夫?飲める?」
男は優しそうに声を掛けつつ、コップを少女の前に差し出した。
少女は男の言葉を理解したのか、ボロ布の中に隠れていた腕を上げると、差し出していたコップを手に取った。
そして一瞬躊躇った後、コップを口元に持っていきゆっくりと飲み始めた。
「ングッ…グッ…ングッ…ハァ」
録に水分も摂れなかったのか、水を美味しそうに飲んだ。
コップを口元から離し、安堵の溜め息をついた、

「君はひとりかい?名前は?」
男はその様子を見て安心しつつ、彼女に話し掛けた。
まだ村や貴族の学校が近くにあるからといっても、ここは山の中だ。
この世には人とうり二つの姿を持つ吸血鬼という亜人がいる事を、男は知っていた。
おかしな素振りを見せれば、手に持った果物ナイフを頭に刺そうと考えていた。
しかし少女は、ボーッと熱に浮かされたような表情を浮かべながら、ボソボソと何か言い始めた。
「……、……………」
「ん?…今なんて?」
ハッキリと聞き取れなかった男は用心しつつ、耳を傾けた。
今度はハッキリと男は聞いた――――少女の名前を。

「レイム…、私は……レイム…レイム…」
少女はそれだけ言うと目を瞑り、意識を失った。
48 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/07/31(日) 23:27:22.13 ID:ivFI+Ojl

香霖堂のノリでお菓子に手を出してしまったのだろうか
50 :アクマがこんにちわ ◆wg35mxeotnaW 2011/08/01(月) 03:34:36.89 ID:yIbz7F8+
専用ブラウザで開いてるスレ投下直前になって間違えた…
四十分頃投下します。
52 :アクマがこんにちわ ◆wg35mxeotnaW 2011/08/01(月) 03:39:52.40 ID:yIbz7F8+
戦場と化したはずのアルビオンの首都ロンディニウムで、略奪にいそしむ傭兵達の姿があった。
貴族派は王党派打倒のため、手柄のあった傭兵部隊に大金を支払う約束をしていた。多数の傭兵は目立った手柄など立てられなかったが、その穴は略奪で埋めるというのが常套手段であった。
積極的に城を攻め落とし、残された財宝を手に入れようと戦う者もいれば、早々に町中の裕福そうな館に押し入って略奪を行う者もいた。



「何か、物はあったかよ」
「ろくなものはねえ、くそっ、ハズレか」

首都ロンディニウムの家々を物色していた盗賊が、いらだちを隠さずに声を上げた。
本業は盗賊で副業が傭兵、そんな彼らは攻城戦を早々に離脱し略奪を行っていた。

金目の物が残されていないとわかると、盗賊は不満そうに空の食器棚を蹴りつけた。
裕福層にとって、食器は調度品であり、調度品は財力の象徴でもある。それが無いと言うことは、どこかに隠されているか、持って逃げたのだろう。

「どっかに隠したって様子じゃねえな、ああ畜生、女でも隠れてりゃなあ」
腹いせにテーブルを蹴飛ばすのを見て、別の盗賊がニヤリと笑みを浮かべる。
「…そのあたりが怪しくねえか、食器棚の後ろだ」
「これか、…そうだな、隠し部屋ぐらいあるかもしれねえ。 おらよ!」

一人が食器棚を引き倒す、すると予想通りそこには扉があった。

「昨日みてえな女、隠れてねえかなあ」
「昨日はおまえが先にやったせいで売り物にならなくなったんだからな」
「俺のせいじゃねえだろ?おまえが首を絞めたから死んだんだよ、俺は殴っただけだ」
「ばか、顔殴ったら売り物にならねえ、せめてあっちの方が役に立てばいいのに、おまえが無茶したせいで」

ばきっ

「 あぶっ」
「あ?」

突然、扉が吹き飛び、ドアノブを掴もうとしていた盗賊が部屋の隅へと転がった。

「メイジか!?」
魔法で扉ごと吹き飛ばされた、そう考えた盗賊達は一斉に武器を構えた。隠し部屋には、顔に入れ墨を入れた男が立っている。こいつがメイジだろう、と。

男が隠し部屋から足を踏み出すと、入り口の影に隠れていた盗賊が叫んだ。
「…う、おおっ!」
杖は持っていない!そう判断した他の盗賊も、男へ剣を突き刺す。

やった!そう思った。誰もが男の血が噴き出す様を想像した。
だが実際に血を吹き出したのは、剣を向けた盗賊達であった。
盗賊の一人は自分の頭に剣を振り下ろしていた、またある者は自分の腹に剣を突き刺し、またある者は自分の顔に剣を突き立て貫通していた。

「あ、あひ」
「なに、なにが」
残った盗賊二人は、突然自殺した仲間の姿を見て、得体の知れない悪寒に襲われた。
男の顔に見える入れ墨は、暗黒の底へ繋がっているようであり、その『穴』から自分が見られている気すらしたのだ。
「うわああああああああああ!!」
なりふり構わずに叫び、逃げようとした盗賊の背後から、男はポケットから取り出した小さな青銅のつぶてを投げた。
つぶては逃げようとした盗賊の脳幹を破壊した、叫び声にならない声を上げながら、廊下の壁に激突し、そのままばたばたと足を動かして…しばらくの後、完全に動きを止めた。

53 :アクマがこんにちわ ◆wg35mxeotnaW 2011/08/01(月) 03:40:11.29 ID:yIbz7F8+
「あ、ああああああ」
最後に残った一人は、足をばたばたと動かしながら失禁していた。
手に持っていた斧を投げ出し、命乞いをする。
「たすけてください、ころさないで、ころさないでください」
「質問に答えろ」
「はい、はい!」
「外の様子はどうなってる?城はどうなった?」
「し、城はもう瓦礫まみれのはずで、へえ、今頃、お宝探しに殺到してる頃で!」
「レコン・キスタの陣地は?」
「あ、あのナントカってでかい建物、王宮から西にちょっと離れた場所に」
「それは本陣か」
「いいえ、本陣はあっしらも知りません!本当です!」
「この辺りに、お前達以外に傭兵が居て、家々を回って略奪をしているのか?」
「いることはいますが、そんなには多くねえと思いやす、貴族の建物がある場所じゃありやせんから…」

「そうか…ああ、ところで、さっき誰かが言っていた、昨日の女ってのはどうした?買い取ってやってもいい」
「へ……買い…取る、ですか」
「そうだ。金貨ならある」
「へ、へへ、ああ、昨日の女ね、昨日の女…い、いや、そいつは、ジョンが殺しちまったんです、それにあんまりいい女じゃありませんでした!お望みならもっといい女を捜してきます!」

恐怖が薄れてきた盗賊は、これがチャンスだと思い、必死で気に入られようと言葉をまくし立てた。

「 だまれ 」
ベキッ


■■■



「………デルフ、周囲に人は?」
『俺の解る範囲には居なそうだ』
「そうか」
人修羅はデルフリンガーと共に周囲の気配を探り、家の周囲に誰もいないことを確かめると、盗賊達の死体を一瞥した。
「…くそっ」
『相棒、おめえ…』
「なんだよ。ハッキリ言ってくれ」
『相棒が何を経験したのかいまいち解らねーけど、相棒は心の中で謝りながらこの家に食料を探しに来たんだろ? 罪悪感の欠片もねー連中とは絶対に別モノだ』
「…気を遣わせたな。デルフ」
修羅は深呼吸すると、隠し部屋で眠っているルイズの額に手を置いた。
窓から差し込む明かりは少しずつ縦に伸びている、夕方が近くなっている証拠だ。

『爆発』で自分の体を焼いたルイズは瀕死の重傷を負った、人修羅の『メディアラハン』で完全に治癒されても丸一日眠ったままであった。
ワルドに裏切られたことがショックだったのか、それとも魔法の影響かわからないが、人修羅でもどうにもならない事態に陥っていた。
優しく、ルイズの額に手を乗せる。熱はない。呼吸も正常。生命力も魔力も満ちている。それなのに目覚めない。



54 :アクマがこんにちわ ◆wg35mxeotnaW 2011/08/01(月) 03:40:33.63 ID:yIbz7F8+
「食料もない。ルイズも目覚めない。少ないとはいえ盗賊は辺りをうろついている。夜までここに留まるべきか…」
『俺が辺りを見回せば、相棒には見えない物陰まで見通してやれる、すぐ移動した方がいいんじゃねーか?こんな盗賊がまだまだ来るかもしれねーしよ』
この場を離れるべきと考えているデルフリンガーは、自分を使えと言うが、人修羅には別の懸念があった。
「使い魔や、竜騎士に発見される可能性は?」
『あいつらは夜目も利くから意味がねーな』
「そっか、夜目が利くなら昼夜の意味はないな。…あとワルドのことだ、奴がこちらの特徴を伝えていたとしたら、レコン・キスタに囲まれるかもしれない」
『どっちにしてもよ、周囲の状況が解らなきゃ動きが取れねえ。人の気配を探りながら町外れまで行って、逃げ出せそうなら逃げる』
「『逃走加速』しても風竜相手だときつい…逃げ出しやすい位置を取るのは賛成だ」

人修羅はクローゼットから地味な配色の服を探した。
女性の使用人が着ていたと思しき服を見つけると、それをルイズに着せ、フードをかぶせた。
ルイズに着せていた自分の服を着直すと、ポケットに詰め込んだ青銅のつぶてや、平たくした五寸釘のようなナイフをベルトに刺し直し、デルフリンガーの鞘を胸の前で斜めにかけなおす。

ルイズを背負った後、風呂敷包みのように布で体を固定する。

「よし。行くか」

人修羅はデルフリンガーの先導に従い、注意深く裏通りを進んでいった。


■■■



アルビオンの首都ロンディニウムは、過去に大火に見舞われ大きな被害を被った。当時の王は防火の観点から、石造りの家を推奨したとされている。
土地勘のない人修羅にとって、似たような家の並ぶ城下町は迷路のようなもので、頼りになるのは日影の向きだけであった。
戦場の音、つまり大砲の音や怒号はもう聞こえてこない。城は陥落したのだと嫌でも理解できた。

ルイズを背負ったまま、不規則に立てられた家々の間を走り抜けていくと、途中の家々から人の気配が感じられた。
この戦争はあくまでもニューカッスルの城を落とすための物であり、町外れに住む人々には直接的な被害はないはずだった。
だが、人修羅の記憶には自分以外の誰かの記憶が、マガツヒと共にすり込まれている。

ある文明では、買い戻すことも可能な『身分』としての奴隷があり、またある文明では『消耗品』としての奴隷があった。
ある地域では都市国家間での祭りを兼ねた争いとして戦争があり、またある地域では征服者による被征服民族の虐殺があった。

無数の戦争の記憶が、人修羅の中にうごめいていた。



人気の少ない草だらけの路地を通り抜け、割れた石畳の上を走り、崩れかけた家々の間をすり抜ける。

この辺りは古い平民街らしく、建物は不揃いな石と木の板で作られている。
乾いた砂だらけの通りは、雨が降れば泥となって足が沈むと想像できる程だ。
道には浅黒い肌の、年老いた乞食の姿もあり、現在は『貧民街』なのだろう。
黄色く変色した野菜を持った子供が、人修羅に視線を向けたのが解ったが、立ち止まる気はなかった。

しばらく走っていると、ロンディニウムを囲む外壁が見えてきた。
外壁は魔法学院よりも低く、防衛と言うよりは境界線として作られているように見える、この程度の高さなら飛び越えても問題はない。
飛び越えようと足に力を入れた、その瞬間、人修羅の視界に何かの影が映った。
「!」
崩れかけた家屋の影に隠れて、遠くの空を見上げると、竜に騎乗したメイジの姿が見える。
王党派の生き残りを捜しているのだろうか、念入りに城下を観察している。
幸いなことに、人修羅に対する特定の視線や害意は感じられなかった。

「こっちを狙ってる訳では…なさそうだな。王党派の生き残りを探しているのか?」
55 :アクマがこんにちわ ◆wg35mxeotnaW 2011/08/01(月) 03:41:02.84 ID:yIbz7F8+
人修羅は少し考えて、ふと、この崩れかけた家屋に着目した。
屋根が半分崩れ、壁も三分の一が崩れているが、隠れるにはちょうど良い空間がありそうだ。
「デルフ、屋内に空間はあるか?」
『んー…地面が掘り下げてあるみてーだ。十分場所はあるな』
「よし。ここで夜を待つ」

竜騎士が向きを変えた隙を見計らって、崩れかけた壁の隙間へと滑り込む。
一休みするには十分な広さがあるが、床には砂が積もり、天井は低すぎるため立ち上がることはできなかった。
人修羅は比較的綺麗な床にルイズを降ろし、デルフリンガーを背中に結び直した。

「誰か近づいてきたら教えてくれ」
『あいよ』

人修羅はルイズの隣に座ると、そっと手を握った。
「ルイズ…」


■■■■■■■■■■■



まどろみのような、温かい液体の中にいるような、安らぎの世界…。
そこにルイズの意識があった。

その世界は無限に広く、永遠とも思える時間があった。

とくん、とくん、とくん……

聞こえてくるのは心臓の音だろうか、一定のリズムが聞こえると同時に、どこからか聞き慣れた声が聞こえてくる。



『そろそろ生まれるだろうか。医師のは数日中だと言うが』
『あなた、子を身ごもっている私以上に気にしてどうするのですか、もっと子供達の前では威厳を持って下さい』
『それは勿論だ。だがな、エレオノールの時も、カトレアの時も、そしてこの子が生まれそうな今も、男の私は何もできん。それが悔しくてな』
『だからといって、うろうろされては気が散ります』
『ううむ…』
『ところで、名前はちゃんと考えているのですか?』
『勿論だ。長男の名前、三女の名前両方考えてあるさ』
『………長男、長女、次はどちらを授かるのでしょう』
『そんなことを考えるなんて、お前らしくない、生まれてくれれば、それが何よりのことだ。男か女かなんて、王宮の連中が何を言ってるのかなど気にするな』
『…ええ、大丈夫』
『おまえとわたしの子だ。元気に生まれてくるさ…』



ルイズはその声に聞き覚えがあった、とても身近な人の声で、安心出来る声。
生まれる前から聞こえていたのだろうか、間違いなく父と母の声だった。
男か女か…王宮の誰かが言ったのであろう、その言葉の悪意を感じたのは物心ついてすぐの頃だった。
何処かの庭園で園遊会が行われた時に、ルイズを見た誰かが、わざとらしく『長男でないとは残念ですね』と言ったのを覚えている。
その言葉の意味は解らなかったが、その時はじめて父を怖いと思い、母が悲しそうにしていた。
56 :アクマがこんにちわ ◆wg35mxeotnaW 2011/08/01(月) 03:42:10.05 ID:yIbz7F8+
その時からずっと心の奥に、得体の知れない不安が渦巻いていたのだろう。
自分は生まれてきてよかったのか、本当は、男の子が生まれるはずで、私は何かの間違いなのかと思ったことがある。

そして私は魔法が使えなかった。
どれだけ練習しても、何度も何度も繰り返しても、爆発するばかりで、一つとして魔法ができない。
その時から母は冷たくなった、父は厳しくなった。
私は落ちこぼれだから人一倍やらなきゃいけないんだ、魔法以外のすべてが完璧でなければならないんだと、そう思った。


でも今は、私が嫌われていたのではないと解る。

母は私たち姉妹誰に対しても冷たく、恐ろしかった。父はとても厳しいけど、とても優しくもあった。

何度も聞いた言葉が、意識の中でこだまする。
『貴族として』『貴族らしく』『貴族ならば』『貴族の』『貴族は』……

母は私を貴族として育てようとした。
父は私を娘として愛してくれた。
エレオノール姉様は私の失敗を見つけては怒り、学問を教えて欲しいと頼んだときは魔法学院以上に丁寧に教えてくれた。
カトレア姉様は私に、人を傷つけてはならいことと、家族は私をずっと心配しているのだと言い聞かせてくれた。



それなのに


わたしは


私は…


ここで眠っていて、いいのだろうか


いいはずがない

それでいいはずがない!

目を覚まさなきゃ

目を覚まして、私は私のやるべき事をやらなければ!

心地良いまどろみから、出なければ!!!




「ルイズ」

はっきりとした誰かの声が、ルイズの意識に届いた。
誰かが自分の手を握って、呼びかけている。

「ルイズ!」

「人修羅!」
57 :アクマがこんにちわ ◆wg35mxeotnaW 2011/08/01(月) 03:42:33.45 ID:yIbz7F8+

■■■■■■■■■■■


「あ、ぐっ」
「ルイズ、ルイズ!」
「…は、ああ、人修羅?人修羅!」
「大丈夫か? 痛いところはないか?」

ルイズは暗闇の中で目を覚ました、ぼんやりと光る人修羅の姿は、消えゆく陽炎のようにも見えた。
だが、ハッキリとした手の感覚がある、人修羅はルイズの手をずっと握っていた。そしてルイズも、人修羅の手を強く握り替えしていたのだ。
「人修羅…ここにいるのね。私も、ここにいる…よかった」
「落ち着いた?」
「ええ、もう、大丈夫」

微笑みを浮かべたルイズが立ち上がろうとするのを、人修羅が慌てて制止した。
「ちょっと待て、ここは天井が低いんだ、頭をぶつける」
「天井?あ、うん…そういえば、ここは何処? どうなってるの?」

きょとんとした顔で問われ、人修羅は言葉に詰まった。
自分の体を吹き飛ばすような酷い目にあった後なのに平然としているのは、あまり良い兆候とは思えなかったからだ。

「どこから話せば…あのさ、ええと、ルイズはどこまで覚えてる?」
「ワルド様…いいえ、ワルド子爵の指輪をつけて、私が操られて、それで、私の魔法が私を吹き飛ばして…あっ、そういえば、腕が治ってる」
「腕、ああ。腕は治せた。ってことは、自分の怪我の様子まで覚えていたのか?」
「ちょっと違うの、あの、変な夢を見て…人修羅が出てきたと思うのだけど、その時私、片腕が、あ、それだけじゃなかったけど、酷い怪我になってたのは何となく解るわ」
「じゃあその時までのことはちゃんと覚えてる、って事だな…」

人修羅は、ルイズと別行動の間何があったのか、ルイズが魔法を使ってからどうやって逃げてきたのかを話した。
ミス・ロングビルを見送り、ウェールズ皇太子を助けたが、ワルドには逃げられてしまい、水のルビーも紛失…その後なんとか人目を避けて城下町まで逃げた、と。

「殿下は、生きているの?本当に?」
「ああ。衛士…だと思うが、側近の二人が別ルートから逃げると言っていた」

ルイズは辛そうに俯いたが、辛さに耐えて顔を上げ、人修羅の顔を見た。
「人修羅。あなたが居て良かった…。殿下がワルドに刺されて、私は、殿下を見殺しにしたのよ。でも、何とかしてくれたなんて、本当に…」
「違う。俺だけがやったんじゃない。ルーンを通して聞こえてきたんだ、ルイズの声が。だから助けに行く事ができた。…体は操られても、心は操られなかったんだ。よくやった」

人修羅がルイズの両肩に手を置き、優しく抱きしめた。
「うん…。人修羅、ありがと…」




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
59 :アクマがこんにちわ ◆wg35mxeotnaW 2011/08/01(月) 03:43:23.48 ID:yIbz7F8+

その頃。 ガリアの宮殿、プチ・トロワ。

「うんしょっ」
「もう少しだホー」

イザベラは杖を宙に浮かせ、その上に立つという遊びをやっていた。
遊びと言うには少々特殊かもしれない、何せ足場は水に浮いた木片のようにふわふわと動くのだから、相当なバランス感覚が要求されている。
「上手だホー」
「おっとっと…慣れると結構面白いものだね。と、おっと、あら、あわっ!」

ひゅるんと杖が回転し、イザベラはたまらず尻餅をついた。
床にぶつかれば痛いはずなのに、まるでクッションの上に落ちたような感触だった。
イザベラは「ベッドの上じゃないし何?」と自分の下を見る。
「ヒホー…」
「あわわわっ、ヒーホー!大丈夫かい!?」
「大丈夫だホー、マダに踏まれるより軽いホー」
「ごめんよヒーホー、マダってのが何だか解らないけど、落ちても大丈夫な高さでやってるんだから、お前が私を受け止めようとしなくていいんだよ」
「ん〜〜でも、痛そうなのは嫌だホー」
「……あああああああもうヒーホー!お前は何て可愛いんだ!」
「ホ〜〜〜」
感極まったイザベラがヒーホーを抱きしめ、ごろごろと転がりだした。
しばらくして目を回したイザベラは、フラフラになりながらベッドへと腰を下ろした。

「さて、汗をかいたし、湯浴みをしたら寝ようか。お前湯浴みが嫌いだなんて、勿体ないねえ…一緒に入りたいのに」
「嫌いじゃないホー、苦手だホー」
「どっちでも同じさ。さて…」

床に落ちたままの杖に手を向け、くるりと手首を回転させる。すると杖は操り人形のようにぴょこんと起き上がり、ふわりと風に運ばれてイザベラの手に収まった。
自分の身長ほどもある杖を頭上で回転させると、空気中の水分が集まり、宙に直径1.5メイル程の水球が形成されていく。
「むむ…やっぱりまだ難しいね。『火』の動きまでは…ああ、お湯にならない…。まあいいか」

イザベラは無造作に服を脱ぐと、宙に浮いた水の球体へ飛び込んだ。飛沫が上がることなく、するりと水の球体に入り込むその姿は、飛び込むと言うより滑り込むといった方が適切かもしれない。

「イザベラちゃん凄いホー」
ヒーホーが大げさに手を叩いた。
「でも、こんなのは、ヒーホー達の魔法じゃ、初歩中の初歩なんだろ?この間夢に出てきた、スカアハと、オーデーンが言ってたじゃないか」
「あの二人から見たら何でも初歩になっちゃうホ」

「ぬるいけど、気持ちいいや…ふふ、自分が魔法でこんな事まで出来るなんて、ふふふ、ふふふ」
笑みを浮かべたイザベラが、息を止めて水中に潜り込む。くるりくるりと球体の中を泳ぐと、球体の真下からするりと抜け出し、杖を握りしめて体に熱を集めた。
みるみるうちに髪の毛まで乾いていき、寝るとき専用のキャミソールに着替える。

「さーて花壇に水をやるかね」
イザベラが杖を窓に向けると、『念力』で窓を開け、水の球体を風で削り、雨のようにして外の花壇に降らせた。
「エアロスが楽しそうだホー」

ヒーホーが見たイザベラの表情は、とても明るく、喜びに満ちていた。
ヒーホーが来る前からはとても想像できないほど、イザベラの心は満たされている。
精霊は、命令を与えても動いてはくれない、お互いに喜びを感じたとき最も力を発揮してくれる。
そのことに気づいてからの上達は早かった。
戦闘力では、一般的なラインクラスのメイジに劣るが、手足のように魔法を使いこなすという点でならトライアングルにも勝る部分があった。

今はまだその力を無邪気に楽しんでいる。
だが、次にタバサと向き合うとき、果たしてイザベラは優しいだろうか?

「ニンゲンも、アクマも仲良くしたいホー」
ヒーホーの呟きの意味が、今のイザベラにはまだ解らなかった。

■■■■■■■■■■■■■■■
63 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 07:09:38.54 ID:FCgztPJn
乙!
盗賊達に使ったのはテンタラフーか?
ニューカッスル突破してもうロンディニウムとはスタミナスゲー
64 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 09:34:26.91 ID:3M3R3Fos
投下乙です

テンタラフーだと剣振る前に死ぬだろう
テトラカーンかマサカドゥスでは
65 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 10:28:23.25 ID:Y1W3vXKf
うおお人修羅キテター乙
ようやくというか、呼び方変わったね
67 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 14:08:26.38 ID:jovyQeS6
FE紋章の謎のナバールが来たら女キャラには比較的優しいけど
それ以外には容赦ないだろうな
「俺は女を斬る剣は持っていない」と言ってたし
ビラクとか狼騎士団の面々は二次のイメージに引っ張られ
キュルケを無視したりと女に冷たいが男にはそうでもないとかなるかも
69 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 18:01:58.86 ID:x/SCCowh
ヒーホーくんにはできるとこまでお世話になったな
なんとなく魅惑の妖精亭にフェンリルとか思いついた、オカマ二人体制ってだけだけど
70 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 22:19:17.44 ID:zlMbBHt/
ゲート・ガーディアン
究極完全体グレートモス
混沌幻魔アーミタイル

いくらルイズでもこいつらを召喚するのは無理だろう
71 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 22:24:51.99 ID:HYFShq1N
アクマの人キタワァ
相変わらずヒーホー君とイザベラ様かわいいわぁ
72 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 23:05:35.52 ID:Tc4ZmJlm

そういえばイザベラは救済率ダントツなのはなんでだろう
73 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 23:11:42.39 ID:Bcx6agNc
アクマ乙!
かわいいよ。ヒーホー可愛いよ。
東京暑いから冷やしに来てよ。

>>72
まだ救いようがあるからじゃね?環境さえまともなら……って性格だし、特にタバサ王権復帰後は
(そのときタバサがどうなったかはさておいて)
76 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 00:36:29.80 ID:z+Q1HxwD
>>73
キングさんが来てホーリータウンにナッチャウヨー
90 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 12:07:58.82 ID:T1GJWinu
>>76
キングと聞いてキバの過去キンさんと5Dのジャックが連想されたんだが
91 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 12:10:37.74 ID:V79SaGpA
>>90
元ジャックだとルイズの生活費がガンガン削られていく光景が眼に浮かぶ
75 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/01(月) 23:46:08.78 ID:jovyQeS6
『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』のアローン(原作終了後)は召喚されて元の世界に戻れず
親友や妹と三人で暮らすことが出来なくなったとしてもそれは今まで多くの罪を犯した自分への罰と解釈し、
ハルケギニアで償おうとするだろう
彼は戦闘能力自体は全く不明で、むしろ一般人クラスだろうけど
かつて神を依り代にしていた時に剣を使っていたから
神の力を完全になくしてもデルフリンガーを多少は使えるかも

しかし彼はまた年上の女性にいきなりキスされる事になりそうだ
77 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 00:44:59.45 ID:1XQBY6Vn
RPGからなら聖剣伝説はまだないよね
リースやアンジェラにはハルケの王家はどう映るだろうか
78 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 02:31:59.73 ID:y5lz8jzf
精霊魔法つかえても救済になるのだろうか
最悪異端認定でアボンだろ
80 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 08:47:45.85 ID:GGGtyFLQ
>>78
(特にタバサに比べて)系統魔法の才能が無いのがコンプレックスなんだから精霊魔法だろうが才能があるのは嬉しいだろうし
明らかに始祖の血を継いでるって言うか直系を簡単にあぼんはできないんじゃね
81 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 09:14:06.56 ID:ZQZZoGho
最近ハンター×ハンターの再アニメ化が話題になってるけど
意外とハンターからの召喚って無いんだな
83 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 09:42:16.17 ID:8tURIPdC
>>81
よそではあったらしいけど今は消えてる

旅団の方々が召喚されたみたい。読んでみたかったよマジで
84 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 11:03:34.99 ID:+69VSdzB
完結してない作品でも、死亡キャラだったらまあ出しやすいと思わないでもないけどどうかな
ワンピから火拳のエースを呼んで生き返らせてほしいと思ったのはたぶんおれだけじゃないはず
86 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 11:20:28.92 ID:x+EOMv/h
聖剣伝説ならレンジャーなホークアイが召喚されてるぞ
1.2話だけだが
後短編にサボテンくんとシャドウが居るぞ
87 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 11:50:01.51 ID:pq7JFe9m
仮にハンターを自分で書くとして、まずルイズと契約させるまでの交渉シーンすら書ききれる自信がない
89 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 11:57:58.31 ID:tdUWPUt7
実写版マイティ・ソーからソーを召喚
親和性は割りと高いと思う
92 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 13:04:51.42 ID:qs+N36Tc
>91
マイティ・ボンジャックと申されたか。
93 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 13:30:36.81 ID:kJx4c7Pf
球磨川召喚SSを頑張って考えたけどチートすぎて扱えなかった…
ぐぬぬ
94 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 13:49:06.72 ID:8q8yc6aO
球磨川もだけどめだかキャラはチートより性格を再現するのが難しいだろうな
あの言動の個性をssで復元できたらたいしたものだ
あとコブラのハードボイルドさやボーボボのハジケ具合も再現するのは大変だろうて
かくいう原作サイトとルイズのレモンちゃんはとてもまねできん
95 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 14:08:32.29 ID:7ibmleVS
アルビオンからの帰還だけは安泰だな>マイティボンジャック
96 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 14:10:53.94 ID:U1ve4SM5
聖闘士星矢LCの黄金達で妄想
シオン:デルフリンガーをかっこよく(?)修復する
ハスガード:何故か教師になっちゃう
アスプロス:あらゆる難題も無茶苦茶な理屈で解決
マニゴルド:ギーシュは冥界に送られ、帰ってきたら改心
レグルス:天才だからとルイズに嫉まれるが、当人はそれを知って悩んだりする
アスミタ:電波だから想像出来ん
童虎:良い師匠になりそう
カルディア:腕じゃなく心臓が燃えてルーンが出そう
シジフォス:ルイズは貧乳だがロリと認めるかどうか微妙
エルシド:左手がなんかパワーアップ
デジェル:本の虫
アルバフィカ:キスしようとしたら拒絶され契約不可能
97 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 15:18:09.20 ID:/KOQdwiq
キング…サザンクロスの人が浮かぶなぁ
タルブ村にサザンクロスの旗があって、シエスタのお爺さんがハート様になるとか?
98 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 16:19:47.67 ID:Fq/Qtg1C
>>97
メイドさんの格好して黒髪のかつらつけたハート様がリアルに脳内に出てきたじゃねーかwwww
103 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 20:01:30.90 ID:bubaYED2
>>98
スカロンの比じゃねえインパクトだな……
99 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 16:54:59.41 ID:T0rUsscX
聖剣3の紅蓮のだったら死にかけで召喚>寝てる間に契約とかかな
100 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 17:45:36.02 ID:kYGKHJiY
聖闘士星矢LCは杳馬パパ転生ジョセフで妄想した。
召還されるのはもちろんオウルのパルティータママ。
そしてその間には息子のテンマが産まれる。

このペガサスは先代、現代と違い貧乏暮らしではなく、
裕福でしかも王族として育てられるペガサスという異例の扱いとなる。
101 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 17:49:18.85 ID:OqmHt/Gd
紅蓮の魔導師は落ちこぼれの苦悩を知る人だから
デュラン・アンジェラ編後だったらきっとルイズの支えになってくれる
ルーンの力を使うのは抵抗があるかもしれないが
102 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 19:58:29.19 ID:J0Q/+dIS
異色の組み合わせになるかもしれないが
バトルアスリーテス大運動会から神崎あかり召喚。
どこか境遇が似ているので、ルイズにはいい師匠になるかと。
106 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 20:49:30.20 ID:lWMlm3JZ
ジュリオ「お前の魅惑の妖精亭より面白い場所なんざ、もはや本当の地獄ぐらいしかあるまい」
107 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 22:11:10.34 ID:fi23LIfM
我ながらやっつけ仕事過ぎwww
ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira024145.jpg

……なにやってんだろワタシ
108 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 22:13:29.32 ID:Fq/Qtg1C
>>107
…このスレの住人が今夜魘されたら間違いなく君の責任だwww
113 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 07:34:41.68 ID:v8edeqTa
>>107

グロ注意を忘れるなゴルァ



orz
114 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 09:23:32.61 ID:v8j0pYdq
>>107
アレ? 普通にオモロですんじゃった俺って……
115 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 10:48:01.58 ID:sm7JMdXj
>>107
お嬢の浴室で耐性が付いたオレには通用しねえ!
拳王ジョゼフにタバシロウが「エアニードル!あたぁ!!」なんて夢に見てないぞ!
109 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 22:19:40.52 ID:OqmHt/Gd
ひ ど い も の を み た

もうこうなったらルイズにリースを召喚させて広場に触手を生やすしかあるまい
111 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/02(火) 23:10:16.10 ID:6g+QtYek
ソニックがギーシュに召喚されるってのは考えたけど妄想の中だけで終わった。
ソニック・ザ・ヘッジホッグとかやってねー。やったことがあるのはソニアドDXとソニアド2バトル
ぐらいだぜ・・・
117 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 11:53:41.14 ID:/GihWkJm
タバサケンシロウじゃね?
なんかコミケで似たようなの見た覚えが……
118 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 16:13:40.25 ID:K6PGZzhV
デブの魔人ブウが召還されたら
ルイズは喜ぶかな?ガッカリするだろうかw
119 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 16:32:02.50 ID:CBVOfij4
ギーシュがチョコにされちゃう…
124 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 18:04:43.05 ID:N8BoDIwL
>>119
サタン(と犬)も同時に召喚すれば無問題。
120 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 16:58:48.40 ID:kETbKd++
わたしはノボル先生の復帰を祈っている!そして祈っている!
122 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 17:25:12.65 ID:xEYzm910
銀魂からマドマーゼル西郷召喚
攘夷戦争初期に褌一丁で天人の戦艦一つ沈めたオカマ
…あれ?いろんな意味で最強じゃね?
とりあえず男性陣は強制女装確定
125 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 18:44:25.44 ID:6uWUvA/8
>>122
西郷がウェールズに召喚されて青髭空賊団を結成
その後ルイズに召喚された万事屋メンバーから突っ込まれるところまで妄想できた
126 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 19:48:22.69 ID:c2jt3fj1
>>125
その青髭空賊団とやらにナチュラルにジョゼフが混じってるのも妄想できた
130 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 23:33:58.57 ID:FXIGhPlP
>>126
イザベラは汚れたバベルの塔の建造にいそしむのかね
123 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 17:31:29.16 ID:SVCqTutE
レコン・キスタによるトリステイン侵攻の際、
スカロン(ビスチェ装備)と一緒に戦艦を全部墜とすのか
127 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 20:26:52.49 ID:J8SwUCWm
魔人ブウは人間の女にチューしようとしてたから
恋愛対象に人間も含まれる→ルイズとチュッチュして善ブウルート
という可能性も
131 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/03(水) 23:52:47.62 ID:PNdA7YDg
今戦う司書シリーズ見てるんだけど
モッカニアとかヴォルケン読んだら面白そうだ
151 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 20:22:14.52 ID:5CmFPXWS
>>131
モッカニアの「本」なら召喚されてたぞ
あの人も帰ってこないかなぁ
132 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 00:02:09.70 ID:MQ/LftS3
ルイズはバビディよりマシだから
デブブウでも反逆されないかも
138 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 01:43:15.30 ID:rPrA2tQi
>>132
正直初期のルイズはかりかりしてやばい
実力を見せたら違うだろうが
ブウの力的に考えて実力を見せる=死人がでるだからな
133 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 00:16:03.51 ID:Ml8D5tkG
仮にだが、純粋ブウにルイズが捕食されたらツンデレなブウができあがるのかねえ
135 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 00:42:01.96 ID:ggWfb3+u
フュージョンは胸の大きさが同じくらいの相手じゃないと出来ないぞ!
136 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 01:05:55.05 ID:4fbqI9Ms
ルイズ「お姉さまアレを使うわ」
エレオノール「えぇ、良くってよ」

何故かこんなシチュエーションが頭に浮かんだ私。
とりあえず蹴られるのは才人かなぁ。
139 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 02:05:52.82 ID:Ml8D5tkG
ハルケギニアにもドラゴンボールがある設定にしないとまずいだろうか
140 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 02:37:20.44 ID:kNBiLtSF
ギャグキャラ相手に実力を見せて貰えば良いんじゃないかな・・・
鳥山先生もギャグキャラは死なないから最強って言ってた気がするし
141 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 07:18:00.79 ID:vihtgqWg
とりあえず山とか吹き飛ばして目玉飛び出せばいいだろ。DBの鉄板演出
142 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 08:56:27.64 ID:MQ/LftS3
ブウはシエスタと仲良くなりそう
親切だしご飯くれるから
143 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 09:29:00.75 ID:zz/kwdLO
サタンとルイズじゃ性根が違うからブウを改心させられんだろ
サタンはセル編で既に内心では自分が井の中の蛙だったことを認めていたし
要領も悪くなかったからブウと仲良く出来たけど
原作初期のルイズはあの性格だからそんなの認めないだろうし
上から目線で態度も悪いから、召喚直後にブウに殺されるのがオチ
145 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 11:46:37.79 ID:Dp8uvo6b
アルシャード・トライデントのエクスマキニャで、なんとまあみずぼらしい使い魔か。
146 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 11:50:16.33 ID:YjabqAOH
ネコマジンは公式でベジータ以上だしな
使い魔としていいなら人造人間16号がいいと思う。機能停止してる状態で召喚して、契約で起動させればいい
147 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 19:32:20.65 ID:zz/kwdLO
使い魔があまりに立派だったり、そうでなくともまともな性格だと
どうしてもルイズの悪いところばかりが浮き彫りになるな
初期のルイズが如何に酷い奴だったかが分かる

才人だからまだギャグで済んでいたんだな
148 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 19:44:20.82 ID:nAurOP7o
>>147
>使い魔があまりに立派だったり、
……ご立派……そうか……
149 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 20:07:25.97 ID:gNvAh9Or
ルイズは正しい貴族であろうとしてる分、他の貴族に比べたらまともで立派なはずなだがな
初期の態度も半分はサイトが悪いし
150 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 20:16:57.71 ID:zz/kwdLO
原作初期のルイズは立派な貴族を目指してるとは思えんぞ
まだそこまでルイズというキャラが固まってなかったからだろうが
ドSとツンデレという記号を擬人化したみたいなキャラだったし
アニメだと悪い方に誇張されてたしな
153 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 21:16:58.32 ID:wUwmqpmP
>>150
忠実に原作再現しなくてもいいんじゃね?
二次じゃ母上がやんちゃしてた(違)とか知ってる事もあるし。
152 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 20:39:31.44 ID:zZcY6nSV
白の書・・・
黒の書・・・
ルルイエ異本・・・
セラエノ断章・・・
ネクロノミコン機械語版・・・
全知全能の書(魔王ゼタ)・・・
スケベ本・・・

思いつく限りの意思を持つ本たち
ネクロノミコン原本と血液言語版は既に召喚されてるのであえて除外
ナコト写本もルイズに力を貸す光景が想像できないというかあり得ないので除外
まぁ、ハンターホラーだったらルイズを乗せるだろうけど
バイク単体で召喚されてもマスターの胎児が無限螺旋に置き去りじゃ・・・駄目かもな
158 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 22:30:32.57 ID:5CmFPXWS
>>152
マルコシアス召喚も面白そうな気がしてきた
ルイズって以外と肉体派だしw マージョーリーみたいな戦いかたしても違和感がない
160 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 22:46:15.61 ID:zZcY6nSV
>>154
このまま経過も順調であることを祈る、切に

>>158
忘れてた、アニメしか見てないからなぁ
とりあえずルイズによる「バカまる子!!」は割と違和感なく脳内再生余裕でした
154 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 21:57:15.26 ID:id5O7E/y
先生の手術、成功したそうだぞ。
161 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 22:50:18.14 ID:oYjFd0+h
>>154
祝 手術成功!

先生も、目が覚めたとたん
「じゃ 体起こしてみましょうか?
 できましたね〜 ちょっと 立ってみて〜
 はい、それじゃ 歩いてみましょうか!」
てな具合に 看護婦からスパルタされているんだろうか?
155 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 22:04:53.78 ID:EWiYRD3y
それは良かった
他のSSサイトの話だが、ゼロ魔関係だけ何故か更新が途切れてるの多かったけど
やはり気になって創作どころじゃなかったんだろうな
156 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 22:05:44.04 ID:EWiYRD3y
途切れてるじゃなくて、更新が止まってると言いたかった orz
ここ2〜3日ね
157 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 22:07:56.88 ID:id5O7E/y
日本沈没の人や、魔界水滸伝の人とか作家さんの訃報が続いてたからなあ。
作品読んだこと無い作家さんでも、訃報聞くと悲しくなる。
159 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 22:45:45.94 ID:fl5fLsny
出版社は所属作家を定期健康診断にかけさせるべきだとおもうあw
182 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 15:03:26.53 ID:xisIKG86
>>159
「売れてない作家に何でそんな事してあげなきゃいけないのかな?馬鹿なの?死ぬの?」
199 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 22:31:20.37 ID:6vJfj0No
>>182
んなこと言って売れっ子も亡くなったら元も子もないような気がするんだがw
出版業界はやっぱ編集とかの健康診断もないのかね
164 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/04(木) 23:06:01.19 ID:Lpgu8d9s
九州某県の県病に入院してたら8千馬力のサイボーグに改造されてたな
172 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 04:00:02.08 ID:mf4rwfwO
そういや小ネタで栗饅頭召喚話があったし、ジョジョスレにもチョコレートを召喚したのがあったな。
他に菓子類で召喚したら良さげなのってあるかね?
177 : 忍法帖【Lv=2,xxxP】 2011/08/05(金) 08:27:22.55 ID:tSctniBG
>>172
ち、チョコラータ…

チーズおかきさんでもいいな
179 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 10:17:22.77 ID:WW0cL1gv
>>177-178
もうあのメロディでしか再生されないw
173 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 05:56:52.80 ID:zAewVkst
アンパンマン
174 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 06:03:42.93 ID:M3ODF60E
>>173
吹いたwww
175 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 07:21:41.12 ID:8Ka8H7JV
そういやスレイヤーズ、オーフェン、リウイ、スクライド、ダーカザン、血+、舞Hime、ROD、ケロロ軍曹がクロスオーバーするゲームが冬に発売するな
ヒットして続編が出ればロードス島やアルスラーンの参戦だって夢じゃない
181 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 14:36:20.90 ID:1Bc7/Vfp
手術成功が数年程度の延命に過ぎないとしても喜ばしいことです

お菓子……ハルケギニアにおいてもきのこたけのこ戦争が始まるのか?
ちなみにオイラはきりかぶかおにぎりせんべい派
184 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 16:52:03.16 ID:/iHZLjqI
破壊の杖はグルメスパイサー
オークや火竜は捕獲レベルどんくらいかな
185 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 17:06:30.07 ID:FPuZfjr8
花開院ゆら召喚
京都編後だったら虚無習得したルイズよりも強そうだな
破軍融合の破壊力半端ないし
でも式神が無いとただの小柄な女子中学生

兄の花開院竜二を召喚
式神の扱いもすごいけど口八丁だけでも十分生きて行ける気がする

ただこの兄妹才能有るのに口癖が「自分には才能無い」だから完全にルイズへの侮辱だよな
186 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 17:11:28.41 ID:u/h0P63I
Fallout3からリバティ・プライム召喚
推定全長20m級の鋼鉄の人型兵器。目からレーザーを発射し小型核爆弾を投げて戦う
装甲は異常に厚く、歩兵手持ちの核兵器では何発受けても無傷

ギャグとか蹂躙物にしかならんな
187 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 17:17:03.60 ID:uktgnHLk
>>186
民主主義を大音量で叫ぶロボとか胸が熱くなるな・・・
189 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 18:04:26.90 ID:PCLjg9SQ
>>186-187
動画で見たことあるけど、あれ勝手に動いて敵を蹂躙してくんだよなw
プレイヤーの立場がねーぞwww
188 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 17:45:42.40 ID:9/D4xwjb
ヒーローズファンタジアにスクラッドプリンセスやザ・サードが参戦しないのはちょっと納得できないですね
193 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 20:27:10.86 ID:Pd3dvh0t
>>188
ポン刀枠はBLOOD+のサヤさんがいるじゃないすっかー!

サヤを召喚してルイズをシュヴァリエにしちゃおうぜい。
195 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 21:06:45.09 ID:ctBr4MB+
>>193
百合展開かよw
213 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 12:14:05.68 ID:3799aFVW
>>193
そこはソロモンさんでひとつ
214 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 15:04:30.88 ID:nF8Wn1Lh
>>193
ポン刀っていうと椿定光が連想しやすいな
190 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 19:46:45.27 ID:lAG2QLBE
リナとオーフェンは、どこの書き下ろしの記憶を引き摺ってるんだ、これw
191 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 20:23:24.77 ID:46set9PI
カリカリッ…ガリッ……カッカッ

チョークで何やら書いている音がする、薄暗い部屋に鎧が二つおいてあり
そこには科学薬品や本などが置いてあった。そこにいるのは幼い少年二人が居る

「できた、アル」

「うん・・・」

「大丈夫、完璧だ」

彼らは円のような物に真ん中にある砂鉄のようなのが置いてある
少年がアルに真剣な顔で言う

「やるぞ」

「うん・・・」

二人は円に両手を突いた、すると光が現れ、円の中心の物体が一際光り出した。

錬金術とは、物質の構造を理解し、分解し、再構築する科学技術である。

それは、上手くすれば鉛から黄金を生み出す事も可能になる

しかし、科学である以上、そこには大自然の原則が存在した…。

光に満ちた部屋が一瞬で不気味に紫の光に変化した
兄が振り向いた瞬間・・・

質量が一の物からは、一の物しか生み出せない…

等価交換の原則

「うわぁぁああぁぁぁ!!!」

村に雷が落ち、少年の悲鳴がこだました。

大陸歴 1910年 2月 兄 12歳 弟 10歳。

等価交換の原則は

「何かを得るためには、それと同等の代価が必要」である事を示している。

それは…教訓なのだろうか。

人は何かの犠牲なしに、何も得ることは出来ないと。

暗くなった部屋には煙とイナズマが流れてる

「…ッアル…?……アル…ッ……アルフォンスッ!」

少年が弟の名前を呼んでも、アルが着ていた衣類や靴だけが残っていた

「くそ!、こんな事があってたまるか!!・・・こんな・・こんなはずじゃ・・・。畜生ォ!!・・・持って行かれたぁ・・・!!」

彼は痛みに絶えながら叫んだ、少年の左足は持っていかれてしまった
左足から血が流れいる
192 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 20:24:13.17 ID:46set9PI
「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・母さん・・・」

少年はそう言うと、円の中心にあった物体を見た
すると、蒼白い手がぬっと出てきて、手招きをしていた
彼が笑顔を見せたが・・・

手と共にグチャグチャと不気味な音が聞こえてきた
彼の笑顔がどんどん消えていく・・・
煙が晴れて、その中心にあったものは・・・

「!!ーッ」


それは、もう人の姿でも無かった
不気味な形、心臓の音と共に
この世の人間とも思えないものが現れた・・・

「うあぁあぁぁぁぁ―――…ッ」

そして現在、イーストシティの第一図書館には金髪の少年と大きな青い鎧が本を探していた

「はぁ・・・やっぱりここにも無かったか」

『うん、やっぱり石のありかはまだ無いんだよ、きっと』

「一度司令部に戻るぞ。ん?」

少年が歩こうとしたとき、前に緑の光があった
二人は夢かと思った、しかし眼をこすってもそれは夢ではなかった

「なんだこりゃ?」

『兄さん、危ないよ!!』

鎧の少年の忠告も聞かずに、彼はその光に指でつつく
そして手を光に当てたら、いきなりそれは彼の手を引っ張り出した

「!!。何だよこれは!?」

『兄さん!!』

少年がいくら逃げようとしても、光は彼の手を離さなかった
そしてとうとう彼はその光に吸い込まれた

『!!!』

少年を吸い込んだ光はその後に消えてしまった

『に・・・兄さん!!!』


その頃、彼は光の中に吸い込まれ、突然少女の声がした

『我が導きに答えなさい!!』

「!!、誰だ、一体誰なんだ!!?」

彼の名はエドワード・エルリック、国家錬金術師で二つ名は「鋼の錬金術師」と呼ばれている
194 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 20:41:44.19 ID:Gb5S3dgC
>>192
弟が鎧になってロリになって
SAN値直葬じゃないですか
197 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 21:49:25.09 ID:3fsH68yM
あんた、初めてかい?
投下予告も無い、タイトルも無い。
終了の申告も無いが これで終わりかい?

そんなこっちゃ 怖〜いお兄さん達にドヤされちまうよ。
他のモンの投下を見て ここの作法ってのを覚えた方がイイね。
204 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 23:02:29.38 ID:7vvtAMNz
>>197
言ってることは正しいけど、なんだか見てて恥ずかしいレスだな。
205 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 23:14:34.00 ID:3fsH68yM
>>204
いや 自分でもそう思うんだけど、
マジになると カドが立ちそうだったから…
201 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 22:35:58.51 ID:PCLjg9SQ
漫画の方だと、それこそ壮絶な話がいくらでもあるしな
マカロニほうれん荘の鴨川つばめ先生とか
202 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 22:41:12.24 ID:W6QUAJCb
>>201
当時合法だった覚せい剤っぽい薬使ってでも原稿落とさなかった
連載終了したいけど編集部が許可してくれなくて段々原稿が荒れていった鴨川先生のことかー
203 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/05(金) 23:01:28.72 ID:PCLjg9SQ
>>202
コミックス最終巻の最終話見てると、ほんと切羽詰ってたんだなってのが良く分かる
207 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 00:44:55.71 ID:joUMg9QL
好楽がルイズに召喚される訳か
212 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 11:43:24.16 ID:TRAOTLLc
>>207
一瞬、円楽師匠(先代)が召喚されたと読んだwww
211 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 10:27:23.48 ID:VznR1IOD
>触手
デスコ

タルブにはフォースジョーカー:タケオが召喚されており
シエスタがスーツを継承する
ガンダールヴ補正は無いが、あのクラスはキャラの強さ=スーツの性能が全てみたいな感じだから構わん問題ないってことで
216 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 18:35:35.17 ID:QtzQhpmd
そういえばあの刀、宮本武蔵にくれてやったはずだが何故か劇場版に出てたな
221 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 19:54:45.80 ID:H3jtELCD
>>216
あの話のあとでまた買い直したんだろ
218 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 19:12:08.54 ID:VsA8VHlR
既に小ネタで召喚されてるけど

ルイズ「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ…」
某アメリカ合衆国大統領「How do you like me Noooooow!!!!!!!!!!!」

レ キ シ ン ト ン 号 轟 沈

これだとストーリー詰むなw
228 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 22:35:41.20 ID:h5G2ZwBG
>>218
その前に城を包囲している敵軍を殲滅してそうだなw
米軍全てを敵に回して勝った大統領なら、高々数万程度の軍などジェットコースター並のハイスピードでローストチキンにしちゃうでしょう
219 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 19:20:51.06 ID:VznR1IOD
大統領・・・
SPに生命よりもキン●マを優先された黒人大統領・・・
世界征服されて白旗揚げて土下座足蹴までされたのにブレストファイヤーされた黒人大統領・・・
222 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 21:24:50.96 ID:UwunQ4Ap
大統領だったら、これからだろう
つ「幼なじみは大統領~My boyfriend is the PRESIDENT」
225 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 22:06:59.23 ID:8v53qfJ5
まず、どうやってギーシュを殺……倒すか悩むという無駄なことをするんですね。
226 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 22:20:52.76 ID:2vKIx0jN
3機編成の無人機によるコンビネーションでボコるのはどうか。
227 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 22:25:44.54 ID:zQmOJGEJ
この流れで幼なじみは大統領(マイケル・ウィルソン)って内容のMADがあったのを思い出してしまった。
229 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/06(土) 22:56:33.10 ID:rle1s5w8
「皆さん、私がフェリタニア第二合衆国、初代大統領ピアニィ=ルティナベール=フェリタニアです」

フリーデン・イン・デア・ハント 
フリーデン・イン・デア・ハント
230 :SeeD戦記ハルケギニアLion Heart with revenger2011/08/07(日) 00:19:20.49 ID:SlYIos1T
やはり私としてはラグナ大統領を推さざるを得ない。

こんばんは、お久しぶりです。SeeDの書き手です。
ようやく最終話までが書き上がりました。そこでまず今日はラスト二話の内の一話から。
ところでゼロ魔にはティファニアが、FFにも?にティファが居ますが、皆さんは「ティファ」という音を聞くと、モードとロックハート、どちらを真っ先に思い出すでしょう?

僕は断然、アディール派で。
では他にいらっしゃらなければ00:25より参ります。
231 :SeeD戦記ハルケギニアLion Heart with revenger2011/08/07(日) 00:25:02.45 ID:SlYIos1T
mission26 Arutimishia


「目処が立った!?」
 エスタ大統領執務室。
 報告に来た親友の言葉に、ラグナ・レウァール大統領はがばと立ち上がった。
「ああ。スコールくんの居る時代に、エルオーネが『接続』できる魔女が見つかったんだ」
「そうか……ならもうじき帰ってくるんだな!」
 うんうんとしきりに頷き、ラグナは少し涙ぐんだ。
「ただ……問題もあってな」
「問題?」
 キロスの言葉に、ラグナは首をかしげる。
「ああ。その時代に居た、接続出来る魔女というのが……」


 現在、ラグナロクはアルビオンへ向けて飛行中だった。
 受けている護送任務はモード大公国から。乗っているのは、元ウェストウッドの村にいた子供達だ。
「すっごーい!テファ姉ちゃんがお姫様なんて!」
「あたしたちも、お城に住むのかな?」
「俺、テファ姉ちゃんを守る騎士になるんだ!」
「ばっかでー。騎士ってのはメイジがなるもんだぜ?」
「成れるよ!今は平民でも使える魔法があるんだから!サイファーだって騎士だもの!」
 ラグナロクのキャビンは、実に喧しかった。
「一応言っておくが……状況は決して良いとは言えない」
 喧噪の中、一番年嵩の少年に、アニエスは小声で告げる。
「大公女は未だに敵は多い。今回君たちを連れてくるように依頼を受けたのも、連れてこれるぐらい情勢が安定したのではなく、目の届く範囲に置いて警護しなければ、人質に取られる可能性が出てきたからだ」
「判ってるよ。俺だってこの三ヶ月ただ孤児として暮らしてたわけじゃないんだぜ。近くの村で盗賊団が出たときなんかも、討伐団に積極的に参加して腕を磨いて……テファを守れるようになったんだ」
 気負いを想いで支えて、少年は窓の外を睨む。
 そんなキャビンの一つ上、ブリッジに居るのはスコールとジョーカーだ。
「ハルケギニアの上空を通過。海に出る」
 機外カメラで雲の狭間に見える青を確認し、スコールは確認の言葉を告げる。
「何の問題もなく着けるかな?」
「飛んでいる間はラグナロクに誰も追いつけない。敵襲があるとするなら、着陸したときだ」
 それでも、最も注意すべきは孤児院近くに停まるトリステイン側での事で、完全に出迎えの用意までしているモード大公国側では然程気にしなくて済むだろう。
「ところで、ジョーカー」
「ん?」
「お前とアニエス……いつからの仲なんだ?」
「……意外だね、委員長がそんなこと聞くなんて」
「普通なら、聞かないが……」
 軽く首を振りつつ、その点には同意する。
「最近のアニエスがメンタル的に落ち着いているのが、そこに原因があるんだとしたら……ガリアでのオルレアン派からの依頼が終わってからか?」
「……良い勘してるね、委員長も」
 苦笑いを浮かべつつ頷くジョーカー。
「意識してたのは、お互いに前からかな。委員長がお酒付き合わないから、自然に愚痴やら何やらは俺の方が引き受けてたからね。仲良くはなってたよ。
 それで……ガリア王ジョゼフとの戦いの時一回全滅しかけたんだって?あの後振る舞われたビールも入って、戦闘中の死の恐怖から来た吊り橋効果も手伝って……かな」
「成る程な……ジョーカー、言わなくても判ってると思うが、俺達は……」
232 :SeeD戦記ハルケギニアLion Heart with revenger2011/08/07(日) 00:26:20.26 ID:SlYIos1T
「この世界にとっては行きずりの存在、だろ。判ってる、俺にだって夢はあるからな。俺達の世界に帰る。その前提で生きてる」
 スコールの言葉に、軽くジョーカーは頷いて見せた。


 先の戦乱での被害も少なく、また元々マチルダの伝も強いシティオブサウスゴーダは現在公国の首都となっている。
 無事にアルビオンへ子供達を送り届けて、マチルダと久しぶりに会う。ジョーカーは子供達と別れをしていて、スコールはかつて孤児院に送り届けたときと同じにアルビオンで留守番を決め込んでいる。
 サイファーがいればジョーカーの方に留守番を頼んだかも知れないが、現在サイファーは急激に拡大した領土の平定のため、アルビオン中をかけずり回っていた。
「それで、治安は維持できているのか?」
「それが……あたしも戸惑ってるんだが、本当に静かなもんさ。テファのことについて、もちろんあれこれ言う連中もいる。直接的に攻撃してくる奴もいるが……はっきり言って村にいた頃に迷い込んできた山賊やらの方が余程多いくらいなんだよ」
 困惑顔でそう言いつつ、マチルダはティーカップを口に運ぶ。
 この辺りの事情は建国に遡る。
 前に述べたとおり、アルビオンの人々は元々地上国家のトリステインやゲルマニア、ガリアに分割統治されていた状況を快く思っては居なかった。ティファニアを簡単に受け入れた一つめの理由は、元々のアルビオン王家の流れを組んでいたからだ。
 第二に、その滅亡した旧アルビオン王家の扱いにある。
 ティファニアが玉座に着く際に公に改めて大きく宣伝したのは、ティファニアの家であるモード大公が廃せられるに至った経緯である。
 勿論、アルビオンの人々はモード大公がエルフと関わっていたことを知っているのだが、ここで二つの事実を加える。則ち、モード家を廃した王家は滅び、そしてモード家の忘れ形見に虚無がいたことだ。
 これを踏まえて、旧王家が滅びたのは虚無を蔑ろに扱ったために始祖の怒りを買ったのであるとし、ハーフエルフのティファニアの統治の正当性を虚無であるという一点で強調する。トリステインの新女王の存在もその理論を後押しすることとなる。
 こうしてお膳立てを整えた上で現ゲルマニアからの資金援助を受け、まず第一に唱えるのが民達の暮らしの改善だ。地上で数少ない、殆ど戦場になっていない土地から食料を買い貯めていたゲルマニアは、大量の麦をアルビオンへ輸送。その統治の手助けとしていた。
 露骨な人気取りと揶揄する者もいるが、少なくとも現実として餓えずに暮らさせてくれる王の登場にアルビオンの民達はそうそう表立った非難を口にはしなくなった。
 統治の最後のツメでゲルマニアの名が出てきたが、これらのことを計画したのは全てオットーである。ついでに、ティファニアの母親であるエルフが熱心なブリミル教徒であることも流布しようとしていたのだが、こちらは上手く噂に乗らず、失敗している。
 噂流布の意図としては、対ロマリアにおいての味方の増加を計ることがあった。
 現在のアニエスがブリミル教徒を自認しながらも、教皇庁に対しては不服従の心を固めつつあるのと同じように、エルフへの敵対心を煽るこれまでの教えとハーフエルフの虚無という矛盾を認識させ、現在の教皇庁への疑心を芽生えさせようとしたのだ。
 一応この意識改革は、エルフを血に加えているという事実を抱えるモード朝にとって、支配を盤石にするために非常に重要な一点であった。
 この思想転換はティファニアの息子がその玉座に着く際に、国教会の設立を宣言すると共に成されることとなるのだが、やはりスコール達には関係のない話だ。
「まぁ、そんなわけで、まだしも目の届く範囲にって事になったんだけどね」
「判るさ。教皇庁の影響力の強いトリステインに置いておくのは、確かに得策とは言えない」
「……何か、あったのかい?」
「いや……実害はないが、私の幼なじみによると、あの子達の素性を探ろうとしていた連中が居たらしい。そのせいか、孤児院の中でも若干存在が浮き始めていたようでもある」
 そのウェストウッドの子供達を探っていたのは、現トリステイン王朝の間者達だ。
 現トリステイン女王が即位したのは教皇庁の肝煎りが有ってのことだが、前のガリアでの偽女王騒動を受けて、現王朝の実質的政治主導を握っているラ・ヴァリエール公爵は危惧を抱いた。
 娘も同じく偽物にすり替えられるのではないかという直接的な危険もさることながら、ガリア、ゲルマニア、アルビオンの三国が同盟を結び、ロマリアとの冷戦状態に入っているのだ。
233 :SeeD戦記ハルケギニアLion Heart with revenger2011/08/07(日) 00:27:53.66 ID:SlYIos1T
 ハルケギニア全体の流れが、ロマリアから離れつつある。これ以上ロマリアという船と一緒にいてはトリステインまでが沈没しかねない。そしてそうなればやはり、彼の娘はトリステインの元首である以上タダでは済むまい。
 同盟とは行かないまでも最低限、ゲルマニアとの和平は締結しなければと、元々隣領地で、表面上は親交のあったツェルプストー家の娘を通じてガリアへ仲介の当たりをとっていた。
 その途中――公爵としては驚くべき事だったのだが――何と同じく教皇庁と手を切る方法を画策していた“鶏の骨”マザリーニ枢機卿から、より近い道を見つけたかも知れないと連絡が入った。
 その枢機卿が見つけた道というのが、ウェストウッドの子供達であった。
 元々スコール達を監視し続けていた枢機卿は、トリステインの誰よりも早く、孤児院に入れられた子供達の存在に気づき、また教皇庁の情報網を通じてその素性や縁者などにも精通していた。
 それが事ここにいたり、自らの祖国のために枢機卿の身分もかなぐり捨ててどうにか当たりを付けようとしていたのだ。
 その際に居たのがアニエスの言う、素性を『探ろうとしていた』者たちだったのだが、結局彼ら自身がアルビオンへと行ったためにその道は閉ざされることとなった。
「ふぅ……間一髪だったのかもねぇ」
 マチルダが深くため息をつくが、一応取り越し苦労であることはここに明記しておく。もし一月以上移動が遅れていても、国を救うためのパイプ役として、子供達はむしろ下にも置かぬ扱いを受けていただけだろう。
 尚、『近道』を失ったトリステインだが再度改めて、今度は公爵と枢機卿が連携してツェルプストー家を通じガリアへの仲介を依頼。二月後には無事、ゲルマニアとの和平を締結するに至り、国体は長く保持されることになる。


 公城を出て、ジョーカーと共にラグナロクへ戻りハンガーへ上がったところ、驚愕に目を見開いたままの体勢で、スコールがこちらへ僅かに腕を伸ばしたまま制止していた。
「!?……どうした?」
 一瞬異様な光景に言葉を失ったが、スコールの尋常でない表情にとりあえず問うてみる。
「あ……アニエス……」
 腕を下ろしつつも、驚愕の表情だけは変わらぬままでスコールは視線も下ろす。
「酷い顔だね。幽霊でも居たのかい?」
「!……そんなものだ」
 ジョーカーとしては軽口を叩いたつもりだったが、スコールには笑えない冗談だった。
「魔女が来ていた」


 アニエスとジョーカーは子供達と下りて、艇内で留守番中のスコールには特にやることもなく、暇を見てはやっているガンブレードの解体整備に精を出していた。
 何せ、使いを荒くせざるを得ない割にデリケートな武器だ。手入れはしておいてし過ぎることはない。
 ガン部分の本体のグリス塗りまで終えて、マガジン内部の清掃をしていたときだ。
「……eeD……SeeD、SeeD!」
 一瞬、幻聴かと思った。
 良く聞き慣れた声が自分の耳を突いたのに、反射的に立ち上がって身構える。
「あ……アルティミシア!?」
 真っ赤なドレスに真っ黒い魔女の翼。妖しげな美しさを湛えた魔女が、僅かに至近。ラグナロク内に、居た。
「このような異世界に来て尚、お前は居るのか……」
「何故、お前がここに……」
 そう問うだけで精一杯だった。
「フフフ……時をも操れる魔女の力ならば……物理的な距離や障害など何の意味も持たない……忘れたの?イデアを操っているとき、私はそうしてお前達の前から消えたこともある」
 違う。そうではない。
 自分が聞きたいのはそういうことではないのだ。
 だが、驚愕と焦燥とで作られる思考停止という名の精神的監獄から、スコールが立ち直るよりも先にアルティミシアが動く。
「!?」
234 :SeeD戦記ハルケギニアLion Heart with revenger2011/08/07(日) 00:28:55.15 ID:SlYIos1T
 掲げられた左腕から射出されたカーディナルが、避け損ねたスコールの右頬を掠めてハンガー内を飛び、アルティミシアの腕に戻る。
「私は今はロマリアにいる。来なさい、SeeD……あの時の続きを、今度こそは決着を付けてあげる」
 それだけ言い残して、空気に溶けるようにアルティミシアの姿はかき消え、次の瞬間アニエス達が帰ってきたわけだ。


 顔を押さえ、呻くようにスコールは呟く。
「正直……あれが何かの幻か白昼夢だったと思わないでもない……」
「けど、その傷だけは本物だ。そうだろ?」
「ああ……あのアルティミシアも、本物だということになる」
 ジョーカーの問いに、切れた頬をなぞりながら頷き返す。
「何故生きているのかも、何故ハルケギニアに居るのかも判らないが……」
「その……魔女アルティミシア、か?死んだふりをしていただけではないのか?」
「いや、あいつはただ死んだ訳じゃない。おそらく、寿命はとうに尽きていたのが、魔女の力だけで生きながらえていて、ママ先生が魔女の力を継承したことで生きるための根源となっていた力を失い、消滅したんだ……。
 力も失って、そんな死んだふりが出来たとも思えない」
 アニエスの推測に、首を振って否定する。
「俺はあの戦いで魔女に会わなかったし、何で死んだものが生きているのかも判らないけど……何でここにいるのかは判ると思うぜ」
「アルティミシアがハルケギニアに居る理由がか?」
 割とあっけらかんと言ってのけるジョーカーにスコールは目を向ける。
「ああ、こないだの教皇庁からの女王奪還作戦の時、教皇サマが言ってたからな。俺を殺して、その代わりに新しい使い魔を喚ぶって……俺は生きてるけど、あの時の戦いでルーンは消えた……それで、もう喚べることになってるって事じゃない?」
「なら、あのアルティミシアは……」
「教皇が喚んだ、って俺は考えるね」
 頷いて、ジョーカーは続ける。
「委員長と魔女アルティミシアの関係は俺は知らない。けど、わざわざこんな所に挑発に来るって事は道でばったりあっただけでも只じゃ済まない相手だろう。
 そんな相手が前からハルケギニアにいたのなら、とっくの昔に委員長の前に現れてる。
 今日になってようやく現れたのは、最近召喚されたから。教皇が新しい使い魔を喚べるようになってから結構経つ時期なのは……一度委員長は彼女に勝ってるんだろ。その時の傷を癒すため、とか?」
 理屈は、通る。
「……あいつは、今は教皇の使い魔か」
「世知辛いもんだね。俺達の世界の未来をほぼ手中に収めて、過去にまで手を伸ばそうかっていう魔女様が、今や他人の使いっ走りとは」
 軽く肩をすくめるジョーカーにアニエスは口を尖らせる。
「だが、何故アルティミシアという魔女はレオンハートの後背を突かなかったんだ?ライオンハートも整備中で、得物もないレオンならば絶好の機会だっただろうに」
「それこそ、魔女が教皇に喚ばれている理由の本丸さ。委員長に一度負けている魔女だ。二の轍は踏みたくないだろう。
 罠なり、伏兵なりを潜ませることで必勝を誓ってリターンマッチに臨もうとするはずで、その為の場所がロマリアなら……」
「……聖堂騎士団と虚無の教皇の力が味方に換算できる立場、という訳か」
 ジョーカーの推理にアニエスは渋い顔をした。
「けど拙いかもな……下手をするとロマリア教皇庁周辺一帯は、全部あいつの制御下に置かれてたりしないか?何しろ、魔女だし」
「暗示や、催眠ということか?」
「ん」
 アニエスの問いにジョーカーが短く頷き返すが、今度は明確にスコールが首を振った。
「いや……第二次魔女戦争中、あいつは他の誰を操ったことはなかった。おそらくアルティミシアは誰かを操る術を持たない」
 ガルバディアのビンザー・デリング前大統領は元々その力を利用するためにイデアに入ったアルティミシアを利用していたが、彼女が自分の手の内から出ようとしたところで制止をかけ、逆に殺された。
 サイファーは元々『ロマンティックな夢』を追いかけていたのでアルティミシアには協力的だった。
235 :SeeD戦記ハルケギニアLion Heart with revenger2011/08/07(日) 00:29:57.98 ID:SlYIos1T
 スコール達は一度その行動を停止させられていたが、あれはどちらかというと擬似魔法でいうストップに類する時間制御系の術と見るべきだろう。
 魔女のイベントの時デリングシティに居た人々は、あれは単なる集団心理だ。一時の狂乱、興奮状態に過ぎず、操られていたと言えるものではない。
 唯一の例外はリノアで、デリングシティ潜入任務中半ば操り人形となって危うく生け贄にされそうになった。
 だが後々のことを考えれば魔女の継承者である彼女はそれこそ例外とカウントするべきだろう。ガルバディア・ガーデン、エスタの宇宙ステーションなどでは直接操られてもいる。
「それに、操られていないからといって、教皇が手を貸さないとも限らない。むしろ教皇、アルティミシア双方がお互いの経緯を理解すれば、俺を排除するために結託しても不思議じゃない」
(俺を倒した後は、判らないが……)


 ロマリア教皇庁。白亜の大理石で出来た建物を臨める街の入り口に、スコール、アニエス、ジョーカーの三人が立つ。
「ラグナロク……空にして良かったのか?」
 そこら中に浮浪者が踞り、決して衛生的とは言えない大通りを歩き出して、アニエスが尋ねる。
「良い訳じゃないが……手が足りていない。虚無相手にはジャンクション人員が二人は必要なのはジョゼフとの戦いで証明済みだが、同時に今回は魔女も相手にしなければならない可能性が高い」
 渋い顔でスコールは呟く。
「二対三か」
「いや、アルティミシアは俺一人で相手をしてみせる」
 首を振り、きっぱりとスコールは言い切る。
「大丈夫なのか?前の時はお前の仲間も一緒で倒したんだろう」
「問題ない……時間圧縮を使ったあいつの策略で、最終的に一対一にまで持ち込まれたが、それでも俺は勝った。今度も不覚をとらなければ、負けはしない」
「それなら、虚無相手に私とジョーカーの二人がかりで挑めるか……」
「いいや」
 脳内で戦略を組み立てようとするアニエスを、ジョーカーが遮る。
「悪いんだけど、俺も因縁があるんでね。もしあの教皇がやる気なら、こっちのオーダーだ。タイマン張らせてもらうよ」
「馬鹿な!幾ら何でも虚無相手に一人では無理だ!ガリア王相手でも私とレオンハートでギリギリの勝利だったというのに……」
「何とかなるんじゃない?」
 心配そうに顔を曇らせるアニエスにジョーカーはあっけらかんと言ってのける。
「委員長とアニーがガリア王相手に苦戦したのは、ガリア王がジャンクションを使っていたっていう要素も大きかったんじゃないか?
 元々同時に二つの魔法は使えないのがメイジの系統魔法だし、話に聞いた『加速』の虚無も、普通の人間の膂力だと大した驚異になるとは思えない。
 何より教皇サマにとっちゃジャンクションなんてのは異教徒の使う異端中の異端だろう?その異教徒を排除するのに系統魔法以外の力に頼るのは本末転倒ってものだ」
「しかし……」
「それに、俺と委員長がそれぞれとタイマン張ってる間だって、他にも教会の騎士サマ達も居るからね。『後々』のこと考えると、余計な被害は出さない方が良いだろうし、アニーにはそっちの足止めに専念して欲しいんだ」
 きっちりと戦略を踏まえてのジョーカーの言葉に、アニエスは頷かざるをえなかった。
「さて……」
 白亜の城の城門が見えてきて、ジョーカーは軽く笑みを浮かべる。
「蛇が出るか何が出るか」
「蛇は出ない。居るのは魔女と虚無だ」
 城門の前に立った聖堂騎士三名。その目の前でスコール達は足を止める。
「傭兵、シードだな」
「そうだ」
 シャッと杖がそれぞれ一人に一本ずつが向けられる。
「教皇猊下がお待ちだ。入れ」
 半ば以上、脅しとして杖を突きつけているらしいが、彼らは果たしてそれが全く意味を成さない行為だと判っているのだろうか。
236 :SeeD戦記ハルケギニアLion Heart with revenger2011/08/07(日) 00:30:55.89 ID:SlYIos1T
(ガリアに間者が紛れていた点から言っても、情報収集を怠っているとは思えない。俺達はいくつもの戦場で系統魔法を無効化してきている。先のガリア女王奪還作戦の時のジョーカーも見たはずだ。それに気づいてない事はない。
 それではこれは……対応しきれていないのか?)
 スコールの予想は半ば当たっていたが、正確にはこれは対応「しきれていない」のではなく、対応「する気がない」のだ。
 自分たちはブリミル教徒の中でも特に教えを信望する者たちであり、その自分たちがメイジではない平民に負ける筈がないのだ、と思う。
 言ってみればそれこそが宗教であるとも言える。
 一つの教えに縋り、信じ、思考を硬直化させ、その範疇に入らないものを異端者であると断じ、排除しようとする。宗教の持つ影の面。そこを肥大化させた者たちの総本山に、スコール達はゆっくりと入っていった。



セミファイナル、今回はここまで。
通常のRPGでは教会があったり、神官職の者が居たりすることも多いんですが、FFの、特に8ではそうした宗教色が殆ど感じられないので、スコールの宗教に対しての理解度には気を使います。
一応日本で作られたゲームだし、日本の一般人のように「あるのは知ってるけど別段生きていく上で詳しくなる必要はない」ぐらいの認識レベルとして書こうとしています。
では、来週もこの時間のうpを予定しつつ……さようなら。
241 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 05:20:21.93 ID:RlS/MhkF
東方Projectから守矢神社の3人を召喚したら、佐々木さんは守矢神社の氏子さんとかの設定が追加されそうだな。。
故郷を偲んだ武雄さんが、タルブ村に守矢神社の分社を建てたりしてたら良さげな感じ。
242 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 05:36:37.74 ID:cHJ396BM
乙乙
宗教を本格的に取り扱う作品ってあんまりないからね、過去作のFFでさえあんまり思い付かないな

宗教を本格的に扱った作品からのクロスってなんかあったっけ?思い付くのだと、ヘルシング……はちょっと違うような気がするがw
243 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 06:19:03.60 ID:xr+3P+du
宗教関係の話をあんまり押し出したり突き詰めたりすると、
どうしても作者個人の宗教観が前面に出ちゃうからね。

例えば作中で「ブリミル教はここがおかしい、間違ってる」と被召喚キャラあたりがズバズバ言ったところで、
「じゃあどうするんだ」って話になったら、その後の展開が一悶着どころじゃないし。

言われただけで簡単に宗旨替えなんかするのかとか、
そもそもレコン・キスタやらエルフやらとの争いは宗教観の違いもあるだろうけどその辺どうすんだとか、
ダングルテールなんかは新教徒狩りで全滅させられてたよねとか、
まあとにかく色々。
244 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 07:16:26.39 ID:Sbwke5+5
宗教なら、小ネタで仏陀が召喚されてなかったっけ? 立川在住の。
あと 「ご立派様」は宗教SSといってもいい・・・のかなぁ
245 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 07:43:07.02 ID:9eAwD2P0
>>244
ガイア教が生まれたから……まぁ、ありじゃね?
249 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 12:14:37.59 ID:EoWC/X0r
久しぶりにseedきてたーん

そういやラグナたちは2〜3年待ってればオートでスコールたち帰還できるの知らないん?
250 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 14:42:54.91 ID:79OCCqQc
そろそろウルトラの使い魔がくるころだ。

なので特撮系の話をしよう。


ルイズが呼び出したのは粗大ゴミとして捨てられたとある怪人。
彼はルイズのペットとなり、やがて彼女の両親に認められるためにガンダールブとなるための
特訓をし、ついには大陸浮上問題を解決し英雄となり、ルイズを始めとした数々の女性達のハートすら
射止めてしまうのであった。



そんな彼が生涯のパートナーとして選んだのは―――――ミセスシュヴルーズ
251 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 14:48:02.89 ID:Pk4isISB
>>250
それだと、中の人的にはまずエレ姉に振られないと。
252 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 15:08:02.63 ID:hqPN571Z
特撮というと、

召喚されたのは他の人には見えない人

なんだかんだで虚無覚醒

桃色の髪の人「わたし、またあなたと空を飛びたい!」
体が青いひと「君はもう、一人で飛べる」

END


な展開が思い浮かんだ。
255 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 15:52:22.83 ID:Sbwke5+5
これこれ、御新規さんをからかうのは その辺で止めときましょうや。
256 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 16:54:33.68 ID:B8K1bTm/
来てから話せよ馬鹿ども
ウル魔の人が投下しにくくなるだろうが
258 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 17:17:59.98 ID:ByVTw2e6
ルイズとカトレアがストームブリンガーとモーンブレード召喚する話マダー?
259 :ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 17:40:22.87 ID:3TQ//HJO
皆さんこんにちは、ヤマグチノボル先生の手術が成功して本当によかったです。今年は田中実さんの訃報でがっくりしていましたので、明るいニュースで救われました。
さてウルトラ5番目の使い魔、54話投稿開始します。
他の人の予約がなければ10分後、17:50にはじめますので、今週もよろしくお願いいたします。
260 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (1/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 17:51:04.92 ID:3TQ//HJO
 第54話
 共鳴する悪の波動
 
 精神寄生獣 ビゾーム
 宇宙大怪獣 改造ベムスター
 円盤生物 アブソーバ 登場!
 
 
 タバサとキュルケの力を合わせた戦いで、ジョゼフの送り込んだ最期の罠、ギジェラは倒された。
 しかし、勝利の余韻もつかの間、突如として現れた新たな怪獣が二人に新たな脅威を告げる。
 黒々した肉体に、黄色く発光する顔と胸の器官。才人が見たとしたら、かのゼットンを連想しそうな容姿を持つ人型の
怪獣は、まるで人間の持つ恐怖という感情を形にしたかのようなおどろおどろしさを振りまいている。
 キュルケはぞっとしたものを感じ、タバサも背筋になめられたような不快感を覚えた。
 そして、ジョゼフすらも予期していなかった第三者は、明らかな敵意をタバサたちに示す。
 果たして、その目的はなんなのであろうか……
 
 シルフィードの背から、タバサとキュルケは愕然として異形の怪獣を見つめていた。だが、この自失していた数秒がいかに
貴重であり、自分たちがどれほど危険な状況にいるのかを、皮肉にもその敵によって気づかされた。
 新たに出現した怪獣は、まるで喉がひっかかったまま笑っているような、薄気味の悪い声をあげながらこちらに向かってきたのである。
「いけない。シルフィード、逃げて」
 タバサは怪獣の接近に、ためらわずに逃げを選択した。敵の能力が未知数なうえに、二人とも精神力を使いすぎて
すでに魔法を打つ余力がない。とても、もう一匹怪獣を相手にするような余裕などはなかった。
 シルフィードはぐんぐん上昇していき、怪獣の姿はどんどん小さくなっていく。
 しかし、タバサたちは知らなかった。その怪獣……かつて別世界にも現れたことのある、精神寄生獣ビゾームを
操っていた存在が、地球攻撃のために得意としていた戦術を。
 高度何千メートルという高さに上昇していくシルフィードを、ビゾームはなぜか光線で打ち落とそうともせずに見上げている。
 そして、天高く上がったシルフィードのシルエットが月と完全に重なり、月食が完成したときにビゾームは高笑いするかのように両腕を掲げた。
「ここまで来れば……っ? シルフィード、どうしたの? スピードが速すぎっ」
「ち、違うのね! な、なにかに吸い寄せられてるのねっ!」
 上昇をやめようとしたシルフィードを、まるで重力が逆転したかのような強力な力がひきつけていく。これはいったい!? と、
引き寄せられていく方向を目の当たりにした二人は、信じられない光景に驚愕した。
「あれはっ!? 月に。月食に引き寄せられていってるの!」
 だがそれは事実だった。月食の月が、まるで空に開いた穴のようにシルフィードを吸い寄せている。
261 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (2/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 17:52:57.52 ID:3TQ//HJO
 タバサとキュルケは、空に開いた穴の姿に、アルビオンで日食が起きた折、そこからGUYSガンフェニックスが
現れた光景を思い出して戦慄した。
「まさかっ! あれは別の世界へつながってる扉! タバサ、逃げるのよ」
「わかってる……シルフィード」
「だ、だめ、少しずつ引き寄せられてるのね!」
 空の穴、ワームホールに向かってシルフィードはじわじわと引き寄せられていった。このままでは、みんな揃って
どこかわからない世界に飛ばされてしまうかもしれない。しかし、ワームホールの吸引力にシルフィードの力はわずかに
負けており、タバサとキュルケにも魔法で後押しする余力はなかった。
 ワームホールまであと何百メートルもなく、引き裂かれるような引力の中で、タバサは自らを、キュルケは自らと
タバサの母が飛ばされないように必死で守った。しかし、人一倍小柄で、かつギジェラの幻覚と魔法の大規模使用で
疲労の極に達していたタバサには、すでに肉体的な余裕も残されてはいなかったのだ。 
 ワームホールの引力に抗って、全力で翼を羽ばたかせるシルフィード。と、急に体がぐらりと揺れ、吸い込まれる
力が強まったような違和感を覚えた。そして、ふと背中を振り向いたシルフィードの心は零下の海中へと放り込まれた。
 そこに……いつも同じ場所に座っているはずの主人の姿が、忽然と消えていたのである。
「おねえさまーっ!」
「タバサー!」
 シルフィードとキュルケの絶叫が虚空を裂いた。タバサの小さな体が、シルフィードから引き剥がされてワームホールへと
吸い込まれていく。もはや、後先を考えている余裕はなかった。シルフィードはすぐさま反転し、全力でワームホールに
翼を向けた。
「タバサーっ!」
「キュルケ……」
 タバサが必死で伸ばした杖をキュルケが捕まえようと手を伸ばす。だが、それが限界だった。タバサは大きく開いた
ワームホールの中に、黒い水に落ちたように吸い込まれて消え、その瞬間、ワームホールはそれまでの吸引力が
うそであったかのように、強烈な反発力でシルフィードを吹き飛ばしたのだ。
「タバサぁー!」
 悲鳴とともに、シルフィードはきりもみしながら墜落していった。意識を失う前にキュルケの目に映ったのは、
終わろうとしている月食と、愉快そうに肩を震わせている怪獣の姿だった。
 
 
 しかし、この異常な月食がもたらした影響はここだけではなかった。
 ガリアの反対側で、眠れず空を見上げていた才人とルイズの見ている前でも、ありえるはずのない月食は見えていた。
262 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (3/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 17:54:07.08 ID:3TQ//HJO
「そんな馬鹿な……この時期に月食なんて」
 呆然と不気味な姿をさらす月を見る二人は、はるかかなたのタバサたちとビゾームの戦いを知るよしもない。だが、
この不吉の象徴のような月がもたらす異変は、二人の元へも別の形で現れた。
 突然、才人が肌身離さず持っているGUYSメモリーディスプレイの呼び出し音が鳴った。慌てて懐から取り出し、
スイッチを押した才人の耳に、ノイズ交じりの声が流れてくる。
〔こち……ちき……聞こえるか? ハルケ……才人!〕
「この声は、リュウ隊長! おれです。聞こえますか!」
 向こうの世界で、再びこの世界とを連結させる作戦が成功したのかと才人は喜色を浮かべた。しかし、通信の向こうから
聞こえてきたリュウの声は、再会を喜ぶものではなく、急いでなにかを伝えようとする怒鳴り声だった。
〔おう! 才人か、いや……り、時間が……〕
「なんです! よく聞こえない!」
 相手の声色から、容易ならざる事態なだけはわかったが、音割れがひどくてうまく聞き取れない。地球で何が
あったのだ? 焦って聞き返す才人へ、メモリーディスプレイからもリュウの焦った声が途切れ途切れに響く。
〔よく聞け! お…………ディゾルバー……次元移動……作戦…………ヤプール〕
「ヤプールですって! なにがあったんですか! もしもし!」
 叫べど、激しくノイズの混ざる通信はいっこうに要領を得ない。
 地球とハルケギニアを結ぶはずの次元トンネルになにがあったのだ? まさか、ヤプールがすでに地球にも。
 
 才人は、自分の知らないところで事態が大きく動いていたことを知った。しかしそれは、単純にヤプールによる
攻撃が再開されたのみならず、ジョゼフをはじめとするハルケギニアを狙う勢力の活動が混ざり合い、まったく
予想できない形で生み出された結果によるものだったのだ。
 そう、この世界は常に狙われている。かつて、地球が宇宙を漂う幾千の星から、侵略の魔手を伸ばされたように。
 さらにその中には、ヤプールのように時空を超えて陰謀をめぐらすものも存在する。それらの悪の勢力が互いのことを
意図しあわなくとも同時に活動すれば、それがもたらす事態と被害は計り知れない。
 平和を守ろうとする者たちと、平和を乱し混沌と破滅を愛するものたち。
 水面下で着々と力を蓄え、悪意をみなぎらせて蠢動してきた敵たちが、ついに表に出て侵略を開始しはじめた。
 そして、その次なる標的となったのは才人が帰還を心待ちにしていた故郷だったのだ。
 
 次元を超え、時系列は数時間巻き戻る。
 地球……エースたち、M78星雲のウルトラマンたちの故郷のある世界の地球において、それまでの平穏さが嘘のような異常事態が起きていた。
 
「GUYSアンタクルティカより連絡! 南極にて冷凍怪獣ペギラの群れを確認、北上しつつあり。南太平洋でGUYS
オーシャンが迎撃態勢をとるもようです」
「GUYSスペーシーから緊急連絡! 月面上にて月怪獣ペテロを確認。さらに火星基地にナメゴン二体が出現、
木星ステーションからも、羽根怪獣ギコギラーが地球に接近中との報です。現在全力出撃中」
263 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (4/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 17:55:24.02 ID:3TQ//HJO
「ヨーロッパ方面からもザルドン、アメリカでもゴキネズラが出現したそうです。各国GUYSが迎撃中ですが、苦戦しているようです」
 
 フェニックスネストのディレクションルームに、ひっきりなしに各地に怪獣出現の連絡が飛び込み、オペレーターたちが
対応に苦慮している。
 世界各地で同時多発的に起きた怪獣の異常発生。怪獣頻出期の歴史上においても、最大級の非常事態が、
この日地球を襲ったのだ。地底から現れるもの、宇宙から飛来するものなど、出現パターンは様々であるが、
そのいずれも大都市や基地などを標的に定め、その防衛のために世界各国のGUYSは総力戦を余儀なくされている。
 むろん、これが単なる偶然の自然現象などではなく、ヤプールかそれに匹敵する侵略者による仕業であることは、
当初から誰もが認めていた。
 一週間ほど前から、地球の各地で観測された微量のマイナスエネルギーの検出。次元の変動と、それにともなう
ヤプールエネルギーの観測。さらには、GUYSの厳重な警戒網を破っての、地球各地での未確認飛行物体、
いわゆるUFOの目撃証言。その場所はおよそとりとめがなく、日本だけでも瀬戸内海上空、静岡の下田港、
愛知県の伊良湖岬。国外では台湾、フィリピンの海上で漁船が不振な飛行物体を目撃し、南太平洋、北大西洋、
地中海でも飛行中の旅客機が怪しい光を目撃したとの報告があがっている。恐らくこれらは、本格的な攻撃の
準備のための偵察であったのだろう。
 当然、攻撃の対象は日本にも向けられ、GUYS JAPANも出動している。このころになると、ハルザキ・カナタら
新人隊員たちも、ジョージやテッペイら前GUYSのOBらの指導で、すでに一人前と呼べる技量に成長していた。
彼らは今では、さらに新たに入ってきた新人隊員たちとともにガンフェニックスで出撃している。
 ただし、各地の怪獣の数はかつてのアーマードダークネス事件のときよりも多く、ガンフェニックスだけではとても
対処し切れなかった。そのため、GUYS JAPANはガンクルセイダーや、補用機の旧MATのマットアローの改修機
であるGUYSアローまでも投入して、必死に各地の被害を抑えている。
 しかし、各地から悲鳴のようにあがってくる救援要請を受けながらも、GUYS JAPANにはリュウ隊長、ミライこと
ウルトラマンメビウスら主戦力をフル投入できない訳があった。
「隊長! 札幌にアーストロンが出現しました。これで、世界各地に出現した怪獣の数は二十体を超えます。
このままでは、市民の避難が完了するまでに食い止めきれません!」
「ちっ! いったい何匹出現すりゃ気が済むんだ」
「リュウさん! やっぱり僕が行きます」
 ディレクションルームで、各地のGUYSクルーに指示を出していたリュウは、待機しているのにいてもたっても
いられなくなったミライから出動要請を受けて、一瞬逡巡した。確かに、メビウスが参戦してくれれば戦況は一気に
楽になる。しかし、現状をかんがみるとリュウは首を横に振るしかなかった。
「だめだ。ミライ、やつらはお前を引っ張り出すことが目的なんだ。ここを手薄にしたら、せっかく完成した
ディメンショナル・ディゾルバー・Rを誰が守るんだ!」
265 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (5/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 17:56:44.63 ID:3TQ//HJO
 そう、それこそがリュウを苦悩させている元凶だった。地球と次元を超えた異世界ハルケギニアとの行き来を
可能とする、時空間安定化装置ディメンショナル・ディゾルバー・R(リバース)。かつてヤプールの次元ゲートを
半永久的に封印したディメンショナル・ディゾルバーの極性を反転させたこの装置は、前回のときは未完成で
あったためにわずか三日でゲートが閉じてしまったが、フジサワ博士らの努力で完成にこぎつけられていた。
ただし、ゲートを開くためには理由は不明であるが日食が必要であり、あのときの皆既日食には及ばないにしても、
部分日食が発生する今日しかチャンスはなかった。
「ヤプールは、俺たちが向こうに乗り込んでいくのを恐れてるに違いねえ。いいかミライ、俺たちの仕事はこいつを
防衛して、もう一度向こうの世界へのゲートを作り出す。そして、お前の兄さんたちとも力を合わせてヤプールを
ぶっ倒す。だから、見え透いた誘いに乗るんじゃねえぞ」
「わかりました。すみませんでした」
 ミライは素直に謝罪したが、リュウの心は複雑だった。ミライにこうして偉そうに言ったものの、隊員時代の
リュウであったら、真っ先に飛び出していったのは間違いないし、今でもリュウはどちらかといえば司令室より
現場を好むタイプだ。
 しかし、一隊員だったころと隊長に就任した今では責任の重さがまるで違う。上に立つものは、自らの自我を
抑えて、全体を、目的を最小限の犠牲と労力で成し遂げさせるために牽引しなければならない。それは、リュウの
気質からしたらかなりの負担になることは、隊員時代の彼を知るものからしたら容易に想像ができた上に、
今回は新生GUYS JAPANに本当の意味で経験を積ませるため、ジョージ、マリナ、テッペイ、コノミら
前GUYS JAPANは参加していないから、負担は一気にリュウにのしかかってくる。
 ただし、現在のリュウを知る者の中に、彼がその義務から逃げたことは一度もないことを否定する者もいなかった。
「GUYSを頼む」
 かつてディノゾール戦で、セリザワ前々隊長が散り際に残した言葉をリュウは忘れたことはなく、それは
今も続いている。ウルトラ5つの誓い、地球は地球人自らの手で守り抜くという信念を受け継ぎ、そして敬愛する
二人の隊長に追いつくために、リュウは全力で隊長の責務と向き合っている。
 
 地球側の必死の努力をあざ笑うように続く、怪獣軍団の猛攻。けれども世界各国のGUYSは、日本に比べれば
経験が浅いにもかかわらず、じわじわと怪獣軍団を押し返し始めた。
 だが、地球側がこれくらいの健闘を見せることくらいはヤプールも想定していた。次元を超えて地球の戦いを
見守るヤプールは、怪獣軍団による無差別攻撃では不十分だと判断した。
「地球人の科学力もなかなかのものだ。やはり、マイナスエネルギーに惹かれてやって来たゴミどもだけでは
不十分だな。ならば、作戦の第二段階へ移る。ゆけ! 超獣どもよ!」
266 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (6/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 17:57:49.30 ID:3TQ//HJO
 次元の裂け目を通り、ヤプールの第二陣の攻撃が送り込まれる。今度は無差別ではなく、ピンポイントに地球の
重要拠点を狙った攻撃は、即座にGUYSの知るところとなった。汗をぬぐう暇もないフェニックスネストの
ディレクションルームに、新たな敵出現の報が飛び込んでくる。
「隊長! マレーシアの天然ガスステーションにガス超獣ガスゲゴンが出現。続いてインドのニューデリーに
さぼてん超獣サボテンダーが現れました」
「ちっ! ヤプールめ。業を煮やしてついに超獣も出してきやがったな」
 舌打ちしたリュウは、事態が深刻さを増していることを自覚した。このまま戦いが長引けば、物量差で負ける。
世界各国への攻撃も、耐えられなくなった国をGUYS JAPANが助けに行かなければいけない状況になるのを
計算しているからなのだろう。実際、戦力の低い地方のGUYSは悲鳴のように周辺国に救援を求め、特に精鋭の
日本には救援要請が山積みされている。これは直接日本だけが標的にされるより性質が悪い。
 ヤプールの相変わらずの卑劣なやり口に、以前ヤプールに憑依されたことのあるリュウは胸がむかむかしてくるのを
隊員服のはしをつかんで抑えた。あのときのことは記憶にないが、自分の体を操ってGUYSの皆をだまし、ミライを
陥れようとしたヤプールに、リュウは好意的な感情を抱いたことは一度もない。
 絶対にヤプールだけは許さねえ。リュウは決断した。
「メテオールの使用を許可する。ただし、無理に撃破しようとしなくてもいい。怪獣たちはヤプールエネルギーの
影響を受けてるだけだ。ぶっ叩いて追い返せ!」
「G・I・G!」
 隊員たちもリュウの荒っぽい命令にすぐに答える。セリザワ隊長時代とも、サコミズ隊長がいたころとも違う形の、
リュウが指揮する新しい形のGUYSの姿がここにあった。
 そして、GUYSマシンの必殺装備、超絶科学メテオールが発動し、GUYS JAPANは決戦に打って出た。
 
「パーミッショントゥーシフト・マニューバ!」
 
 ガンフェニックスから分離した、ガンウィンガー、ガンローダー、ガンブースターの機体が金色に輝き、それぞれの
機体の超兵器が放たれる。
「スペシウム弾頭弾、ファイア!」
「ブリンガーファン・ターンオン!」
「ガトリングデトネイター、発射!」
 ガンウィンガーから放たれた大型ミサイルが、静岡の浜名湖で暴れていたシェルターの周囲に巨大な水柱を
立ち上げ、驚かせて追い返した。
 ガンローダーの荷電粒子竜巻が、愛媛県の霊峰石鎚山の上空で、参拝客を狙っていたテロチルスを巻き上げて山腹に激突させる。
 ガンブースターも負けてはおらず、光線砲の全弾命中で福岡県の山間部から北九州市方面に向かっていたインセクタスを吹き飛ばした。
 さらに、その他の機で出撃した部隊も負けてはいない。ガンクルセイダーの改良型ガンクルセイダーMXにはメテオール、
スペシウム弾頭弾が備え付けられており、函館に出現したアーストロンを撃破、千葉県九十九里浜に上陸を
もくろんでいたツインテールを海に叩き返した。
267 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (7/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 17:59:02.14 ID:3TQ//HJO
 残るGUYSアローは元々四十年も昔の機体なので、改修を重ねたとはいえ性能的に苦戦は免れない。しかし、
これらの機体も整備班長のアライソの下でエンジン出力他、可能な限りのパワーアップがなされていた。さらに今回は
細胞破壊ミサイルや大型レーザー砲・ゴールデンホーク、対怪獣用強力ミサイル・X弾改など、旧防衛チームが
開発・使用した兵器を実験的に再現して搭載してあり、それらを駆使して怪獣たちを退けていった。
 
 新生GUYSの隊員たちは、必死の努力で怪獣軍団の猛攻から人々を守っていく。
 怪獣たちが倒され、あるいは逃げ帰っていく姿に人々は歓声をあげ、飛び去っていく戦闘機を手を振って見送る。
 しかし、弾薬、エネルギーが尽き果てて、隊員も疲労困憊したGUYS JAPANはしばらく戦えない。彼らが
必死に作ってくれたチャンスを、無駄にするわけにはいかない。
「リュウ隊長、フジサワ博士からディメンショナル・ディゾルバー・Rの発動準備完了と連絡です」
「日食の開始まで、あと五分です」
「ようし、フェニックスネスト、フライトモード起動だ!」
 リュウはついに作戦開始を指令した。GUYSの基地、フェニックスネストはただの基地ではなく、その地上の
建物部分は飛行可能な大型航空機として機能する能力を持っている。
 最上部のディレクションルームのあるコクピット部分が鳥の頭のように前に倒れこみ、その背部に主砲である
大型砲・フェニックスキャノンがせり出してくる。さらに主翼が展開し、後部リフレクターブレードが垂直尾翼の
ように後方で固定され、フライトモード起動用意が整った。
 このモードはGUYS最大の切り札であり、本来はミサキ総監代行以上の許可が下りなければ起動不可能だが、
今回はサコミズ総監からリュウに権限が委任されている。
 時空ゲートを開く場所は、フェニックスネスト上空五百メートルの空中。今回は空間座標固定の技術が確定している
ために、ある程度自由な場所にゲートを開くことができる。ただし、地上に開けば両世界を渡ってはいけない者が
通ってしまう危険性が強く、上空高く作りすぎては行き来が不便となるために、監視に適したフェニックスネスト上空に
作ることとなったのだ。
 メインエンジンが起動し、すさまじいエネルギーがエンジンノズルに集中していく。
 
 しかしヤプールも、GUYSの作戦は読んでいた。フェニックスネスト上空の次元に歪みが生じ、強力なヤプール
エネルギーが空を黒く染めながら、邪悪な意思とともに漏れ出してくる。
 
「おのれ地球人どもめ! 今一度時空を超えさせはせぬぞ。今こそ我らヤプールの真なる力を見せてくれる! 
ゆけ! 我等が同志、最強の宇宙怪獣ベムスターよ。さらにパワーアップしたその威力で、人間どもをふみつぶして
しまうのだぁー!」
 
 空間がガラスのように割れて真っ赤な裂け目が生じ、その中から巨大な影が姿を見せる。そしてそこから
地球の大地に降り立つ、濃緑色の体を持つ異形の鳥型怪獣。引き裂くような甲高い鳴き声をあげ、今にも
飛翔しようとしていたフェニックスネスト前面の滑走路上で、鋭い一本爪を生やした腕を高々と掲げたそいつを見て、
リュウは悲鳴のように叫んだ。
268 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (8/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 18:00:32.66 ID:3TQ//HJO
「あいつは! ベムスターじゃねえか!」
 リュウたちGUYSは以前ベムスターとの戦闘経験がある。オオシマ彗星のダストテールを追って地球へ
飛来したそのときの個体は、GUYSやメビウスの攻撃をことごとく吸収して大苦戦させられた。かろうじて
メビウスがヒカリからたくされたナイトブレスを使った、メビウスブレイブの初披露で撃破したものの、それが
なければさらなる被害をこうむったのは間違いない。GUYSにとっては忘れられない因縁の敵だ。
「野郎! 超獣じゃなくてベムスターとは人をなめた真似してくれるぜ。基地の防衛機構を作動させろ。地上兵器で
食い止めているうちに離陸する」
 フェニックスネスト周辺には、オオシマ彗星の破片の隕石を撃墜した大型ビーム砲シルバーシャークGをはじめ、
一二〇〇ミリシンクロトロン砲や無人戦車大隊も配備されており、これをフルに活用することで無双鉄神
インペライザーの一体を撃破したことがある。
 だが現れたベムスターはただのベムスターではなかった。その特徴の変化から、オペレーターがリュウを止めた。
「隊長待ってください! あれはGUYSが以前交戦したベムスターではありません。ドキュメントZATに記録を
確認しました。レジストコード、宇宙大怪獣改造ベムスターです!」
「改造だと!?」
 そう、それは普通のベムスターではなく、体格も一回りほど大きく、以前リュウがどことなくかわいいと表現した
顔つきも、赤目が目立つ凶悪なものになっていた。こいつはかつて、ウルトラマンAによって倒されたヤプールが
タロウが地球防衛をしていた時代に復活した折に、ウルトラマンジャックが倒したベムスターを超獣と同様に
強化再生させた新たなベムスターだった。その実力はジャックが戦ったときのものをはるかに超え、一度はタロウを
完封するほどの脅威を見せ付けている。
 今度現れたものは、ハルケギニアの月でウルトマンジャスティスによって倒された個体を強化再生したもので、
ベムスターはヤプールの自信を体言するかのように、地上兵器の猛攻をほとんど無視しながら、大またでのしのしと
フェニックスネストに迫ってくる。
「防衛ライン、突破されます! フライトモード離陸、間に合いません!」
「畜生!」
 離陸直前の無防備な状態を狙われたら、いくらフェニックスネストでもひとたまりもない。主砲のフェニックスキャノンは
ディメンショナル・ディゾルバー・Rの発射のために使えず、防衛ラインを抜かれたら打つ手はなかった。
269 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (9/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 18:02:13.74 ID:3TQ//HJO
 しかし、ベムスターがフェニックスネストまであと百メートルにまで迫ったときだった。滑走路上でベムスターの前に
立ちふさがったミライが、メビウスブレスを装着した左腕を空に掲げた。 
 
「メビウース!」
 
 金色の光に包まれて、メビウスの輪の中から銀色の巨人が現れる。ミライが変身したウルトラマンメビウスが、
フェニックスネストを守るためにベムスターの眼前に立ち上がったのだ。
「ヘヤッ!」
 登場したメビウスは、ベムスターに肩から突っ込んでフェニックスネストへの突進を阻んだ。しかし重い! 以前の
ベムスターよりもさらにパワーのあるベムスターに、メビウスの足元のコンクリートが耐えられずにはじけるように
して飛び散っていく。
「ミライ!」
「リュウさん。こいつは僕が食い止めます。その隙に早く!」
「くっ、すまんミライ。だが気をつけろ! そいつは以前のベムスターよりはるかにパワーアップしてるはずだ。
負けるんじゃねえぞ!」
「G・I・G!」
 力強く答えたメビウスは、さらに渾身の力を込めてベムスターを押さえつける。だがベムスターはタロウをも
軽々と吹っ飛ばした怪力でメビウスを振り払い、目から発射する破壊光線でメビウスごとフェニックスネストを狙う。
「フェニックスネストはやらせない!」
 間一髪、立ちふさがったメビウスがメビウスディフェンサークルを作って光線を防いだ。しかしベムスターは
近接戦を得意としていたオリジナルの能力に、ヤプールによって目や腹の口からも光線を放てるような改造が
施されている。距離を詰めようとしたメビウスに、今度は目から針状の光線を連射して痛めつけた。
「ウワァッ!」
「ミライ!」
「僕は大丈夫です。それより早くっ!」
 メビウスは苦しみながらも、フェニックスネストを守る盾としてベムスターの前に立ちふさがった。その隙に、
ミライが作ってくれたチャンスを無駄にしてはならないとフェニックスネストは白煙を上げて、その名に
冠した不死鳥のように、炎をたなびかせて雄雄しく空へと飛び上がった。
 圧倒的な威容に、はじめてその姿を目の当たりにする新人隊員たちは揃って歓声をあげた。長い防衛隊の
歴史上でも、フェニックスネスト・フライトモードに匹敵するメカは、UGMの大型宇宙艇スペースマミーなど
わずかしか存在しない。そして、いまやコクピットとなったディレクションルームでは、キャプテンシートにリュウが座り、
矢継ぎ早にディメンショナル・ディゾルバー・R発射の指示を飛ばす。
270 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (10/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 18:02:59.38 ID:3TQ//HJO
「メテオール解禁。ディメンショナル・ディゾルバー・R発射用意!」
「高度五百メートル。発射位置固定、フェニックスキャノン安全装置解除」
 チャンスは一度、ベムスターを抑えているメビウスも単独では長くは持たない。発射準備完了を待つ一秒が
一時間にも感じられる中で、リュウの額から流れた汗が顔を伝ってあごから床へと滴り落ちていく。
 だが、カウントダウンが開始されようかという直前、レーダーを監視していたオペレーターが叫んだ。
「隊長! 後方百メートルに怪獣の反応が!」
「なんだと!? そんな近くに来るまでなんで気づかなかったんだ!」
「わかりません。突然、突然現れたんです。うわぁっ、間に合わない。衝突します!」
 直下型地震のような激震が襲い、オペレーターの何人かが床に放り出された。かろうじて席にしがみついていた
リュウは船外監視カメラを操作し、フェニックスネストに食らいついた怪獣の映像をスクリーンに映し出すと、
そこにはフェニックスネストに無数の触手で絡みつく、緑と赤の不気味な生物が現れた。
「な、なんだこいつは!? まるで、クラゲとタコの合いの子みたいな」
「ア、アウト・オブ・ドキュメントに記録を見つけました。こいつは、円盤生物アブソーバだと思われます」
「円盤生物!? そうか、そういうわけだったのか!」
 リュウは円盤生物と聞いて、以前怪獣博士のテッペイから余暇時間に講義を受けたことを思い出した。
防衛チームMAC壊滅後に現れた円盤生物と呼ばれる宇宙怪獣たちは、そのほとんどが自分の体を
石ころ大の大きさに縮小できる能力を持っている。恐らく、小型円盤形態でレーダーを避けて接近して
きたために発見できなかったのだろう。
 しかし悔しがる暇もなく、オペレーターからさらに悪い報告が入る。
「隊長、フェニックスネストのエネルギーが急速に減少しています。このままではフェニックスキャノンの
発射が不可能になり、最悪墜落してしまいます」
「なにっ! くそっ、やつがエネルギーを吸い取っているのか」
 アブソーバという名前は、”吸収”という意味を持つ。あらゆるエネルギーを吸い尽くすといわれるアブソーバの
触手が、蛭のようにフェニックスネストのエンジンに張り付いて、エネルギーを吸い取っていたのだ。
「まずい。なんとか振り払えないか!」
「だめです! がっちり捕らえられていて、とても振り払えません」
「畜生、なんてこった……」
 今やフェニックスネストは、電気クラゲに捕らえられた小魚も同然であった。メビウスはベムスターとの戦いに
拘束されて援護できず、GUYSの地上武器ではフェニックスネストを巻き込んでしまうために狙えず、頼みの
戦闘機も全機エネルギー切れで動けない。
271 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (11/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 18:04:30.40 ID:3TQ//HJO
 これまでか……さしものリュウもあきらめかけた。しかしそのとき、ディレクションルームに懐かしい声が響いてきた。
 
〔リュウ、あきらめるな。最後まであきらめない者だけが、不可能を可能にできるんだ。それはお前が、一番
よく知っているだろう?〕
 
「この声は、まさか!」
 顔をあげたリュウの前で、アブソーバに複数のミサイルが着弾して火花を上げるのが見えた。
 突然の攻撃に驚き、アブソーバの拘束とエネルギー吸収が緩む。そしてアブソーバの醜い姿の後ろに、
丸みをおびた銀色の戦闘機が旋回するのを目の当たりにして、リュウは誰が助けに来てくれたのかを確信した。
「ジェットビートル……サコミズ総監!」
 それこそ、最初の防衛チーム科学特捜隊の主力戦闘機ジェットビートルの雄姿。さらに、そのコクピットに
座っている人は、CREW GUYSの総監にして前GUYS JAPANでミライやリュウたちを教え導いてくれた
サコミズ・シンゴ隊長に間違いなかった。
 ジェットビートルは旋回してくると、主翼の両端に装備されているロケット弾でアブソーバを攻撃していく。
ただし、フェニックスネストへの誤爆は一発もなく、アブソーバの強固な皮膚を避けて目などの急所に攻撃を
集中させる腕前は並みのものではない。リュウは、アブソーバの拘束が緩んだこの隙しかないと叫んだ。
「いまだ! エンジン全開で振り切れ!」
 轟然とメインノズルから炎を吹き出し、フェニックスネストはアブソーバを振り払った。もちろん、一度捕まえた
獲物を逃してなるものかとアブソーバは再度触手を伸ばしてくるが、そこへ急速旋回してきたビートルが
ロケット弾の雨を食らわせて食い止める。
 ビートルの動きにはまったく無駄がなく、とても四十年以上も昔の機体だとは思えないキレを見せて、
フェニックスネストの後ろを通り過ぎていった。銀地に赤いラインをあしらったボディは美しく、古臭さはまったく
感じさせない。そしてなにより、主翼と垂直尾翼に描かれた流星マークが、その存在を誇らしげに表している。
 ビートルはフェニックスネストにアブゾーバを近づけまいと攻撃を続け、ディレクションルームにサコミズからの
通信が再び入ってきた。
〔リュウ、この怪獣は私が引き受ける。その間に、お前たちは作戦を成功させるんだ〕
「サコミズ隊長! いや総監、総監は確かニューヨークの本部にいるはずじゃあ!? それに、そのビートルは!」
〔実は今朝日本に帰ってきていてな。お前たちが苦戦していると聞いて、いてもたってもいられなくなって、
アライソさんに私の昔の機体を出してきてもらったんだ〕
 それでリュウは隊長就任後にサコミズ総監から聞かされた昔話を思い出した。サコミズ隊長は、昔は
科学特捜隊の亜光速実験船イザナミのキャプテンをしており、冥王星までも航海していたことがあったという。
ただし、光速に迫ることによる時間の遅れ『ウラシマ効果』によってサコミズ隊長は四十年前の人間なのに、
現在でも三十代そこそこの若さでいる。そしてそのとき、イザナミに搭載されていたのがジェットビートルの
改造機イガヅチ。そのサコミズ隊長の昔の愛機が、宇宙航行用の装備を取り外して、ここに蘇ったのだ。
272 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (12/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 18:05:25.32 ID:3TQ//HJO
〔さすがアライソさんだ。骨董品同然のこいつを、新品同様に保っていてくれた。さあ、いけリュウ!〕
「無茶です! メテオールの装備もないそんな機体じゃ持ちません。総監にもしものことがあったら、GUYSは
どうなるんですか〕
 リュウは、セリザワ隊長に続いて敬愛するサコミズ隊長が、むざむざ怪獣の餌食になるのは耐えられなかった。
しかしサコミズは、強い決意のこもった声でリュウを諭した。
〔リュウ、君がやるべきことは、みんなが思いを込めて飛ばしたフェニックスネストをゴールまで導くことじゃ
ないのかな? それに、私が今ここにいるのはGUYSの総監としてじゃない。私個人としての意志だ。私は
お前たち次の世代を担うものたちが、存分に力を尽くせるように働いてきた。しかし、机の上でできる仕事が
なくなったら、もう一度君たちとともに戦いたくなってしまった〕
「総監……」
〔いわばこれは、私のわがままだ。君たちや、ウルトラマンとともに戦いたいという、その一念だけのね。
私もまた、君たちの道を切り開くためにここに来た。だからリュウ、君はみなのその思いをつなげる道を作るんだ!〕
「っ……G・I・G!」
 サコミズ隊長も安全な場所を捨てて、命をかけて道を切り開いてくれた。この思いは、絶対に無駄に
するわけにはいかない。
「ディメンショナル・ディゾルバー・Rは、まだいけるか?」
「時間、エネルギー残量ともにあと一回だけ可能です。再発射可能まで、およそ二〇〇秒」
 これが本当に最後のチャンスだと、リュウは気を引き締めなおした。新人隊員たち、各国のGUYS、
メビウス、サコミズ隊長、多くの人が背中を支えてくれてフェニックスネストは飛んでいる。こいつを絶対に
落とすわけにはいかない。
 
 だが、GUYSの強い意志を持ってさえヤプールによって強化再生された二大怪獣は強かった。
 ベムスターは肉弾戦で完全にメビウスを圧倒し、元々光線技が通用しないというアドバンテージも持って
メビウスを追い詰めていく。
「フワアッ!」
 体当たりで弾き飛ばされ、倒れこんだところに蹴りこまれてメビウスは苦悶の声をあげた。こいつは以前に
戦ったベムスターが、多少なりとて持っていたかわいげも消え去り、凶暴性が非常に上がっている。もはや
完全に超獣と呼んで差し支えはないだろう。
 すでにカラータイマーは赤く点滅をはじめて、食い止めるだけのつもりではかなわないと考えたメビウスは
一気にけりをつける覚悟を固めた。左手のメビウスブレスから光の剣、メビュームブレードを発生させて
けさがけにベムスターに切りかかっていく。
「テヤァァッ!」
 グドンやアリゲラの体でも両断するほどの切れ味を持つ、メビウス必殺の一刀がベムスターに一直線に向かう。
ベムスターはメビウスの動きについてこれないのか、真正面から受け止めるかまえになっている。やった! と、
メビウスはもはや避けようがない距離にまで迫ったベムスターの姿に確信した。
273 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (13/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 18:06:12.75 ID:3TQ//HJO
 しかし、メビウスの確信は打ち砕かれた。メビュームブレードはベムスターの体に当たりはしたが、石を
切りつけたペーパーナイフも同然にはじき返されてしまったのだ。
「ヘアッ?」
「なんだと!」
 狼狽の声を上げたのはメビウスよりも、むしろリュウのほうだった。数々の怪獣を倒してきたメビウスの剣が
まったく通用しないとは信じられない。だがそれも道理だった。ベムスターはかつてウルトラマンジャックの
ウルトラスパークで二度に渡って、体をバラバラにされて倒されている。その轍を踏むまいと、ヤプールは
ベムスターの表皮を特に強化し、ウルトラスパークと同等の切れ味を誇るZATの回転ノコギリをはじき返すほどの
頑丈さを与えていたのだ。
 そして一瞬の狼狽はベムスターに味方した。メビウスを抱えあげて投げ飛ばし、鋭い爪の生えた腕で殴りつける。
すでに持つ武器のほとんどが封じられたに等しいメビウスに、満足に反撃する術は残されていなかった。
「ウワアッ!」
「ミライ!」
 ベムスターは腹の口から毒ガスを噴射してメビウスを攻め立てる。ディレクションルームのスクリーンに
映るメビウスの苦戦の様子に、リュウは戦友の名を叫んでやるしかできなかった。
 
 たったの二百秒足らずが永遠にも思えるほど長く感じられる。コンソールに表れるエネルギー充填完了の
カウントダウンは恐ろしくゆっくりと流れていき、敵の攻撃はひと時も休むことなく続く。そして、運命のときが
やってきた。
「部分日食が始まったようです。次元の変動が観測されはじめました」
 ついに、地球とハルケギニアを結ぶトンネルを開くことができる時間が来た。前回の皆既日食に比べれば
わずか七分の一しか削れず、本来ならたいしたニュースにもならないような些細な自然現象だが、今はこれに
地球はおろか全宇宙の命運がかかっていると言ってよい。
 遮光フィルターを通した太陽の姿が徐々に欠けていき、センサーにも次元の歪みが大きくなってきているのが
観測できる。エネルギー充填完了まで、あと一六〇秒。早く、早く、と焦る気持ちばかりが強くなる。
 そこへ隙が生じてしまったことを責められる者はいないだろう。リュウはおろか、操縦士までもカウントダウンに
集中してしまったフェニックスネストに向けて、アブソーバの触手の先端が伸びる。
〔リュウ!〕
「しまった!」
 サコミズ機からの警告が響いたときには遅かった。アブソーバの触手から、真っ赤に燃える高熱火炎が放射されて
フェニックスネストに襲い掛かる。四千度にも達する高熱火炎に焼かれたらフェニックスネストでも無事ではすまない。
避ける間はとてもなく、リュウが大破を覚悟したときだった。ジェットビートルがアブソーバの触手に体当たりし、
火炎の方向を変えたのだ。
274 :ウルトラ5番目の使い魔 54話 (14/14) ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 18:07:08.16 ID:3TQ//HJO
「サコミズ総監!」
 フェニックスネストは救われたが、サコミズ機は左主翼の大半を失って墜落していく。垂直離着陸能力も
損傷したのか、姿勢制御する様子もない。このままでは地面と激突してしまう。
「脱出してください。早く!」
〔だめだ、脱出装置も故障したらしい〕
「そんな、総監!」
〔リュウ、うろたえるな。お前には、まだやるべきことが残っている。GUYSを、頼んだぞ〕
「総か……隊長ーっ!」
 通信が切れ、燃え盛る炎とともにジェットビートルは落ちていく。メビウスはベムスターに組み伏せられ、
動くことはできない。リュウの心にセリザワ隊長が戦死したときの記憶がフラッシュバックする。
 だが、そのときだった。
「隊長! GUYSスペーシーから緊急連絡です。地球に向かってとてつもない速さで飛ぶ、無数の飛行体を
確認したそうです」
「なんだと! 新しい敵か!」
「いえ……これは、この反応は!」
 オペレーターは答えを言い切る必要はなかった。なぜなら、太陽系外から光速をも超える速さでやってきた
無数の飛行体は、怪獣に襲われる各惑星や地球の各都市へと飛び込んでいったのだ。
 そして、リュウたちの眼前にもそのひとつは現れた。空のかなたから飛び込んできた、太陽のような赤い
光の球。それはフェニックスネストを再度襲おうとしていたアブソーバに体当たりして吹き飛ばし、墜落寸前の
ジェットビートルを、まるで抱きかかえるようにして包み込んだ。
 
 死を覚悟して、操縦桿を握ったまま瞑目していたサコミズの耳に、懐かしい声が響いてくる。
 
「サコミズ……サコミズ……」
「……君は」
「君はまだ、ここで死ぬべき人間ではない……ともにゆこう、今一度、君の力が必要だ」
 
 ジェットビートルは砕け散り、機体は紅蓮の炎に包まれる。
 だがその炎の中から、炎よりもさらに熱い光がほとばしり、光は人の未来がまだ尽きていないことを世界に告げて立ち上がった。
 
 
 続く
275 :ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc 2011/08/07(日) 18:09:16.82 ID:3TQ//HJO
今週もありがとうございました。>264の方、支援感謝します。

タバサの冒険は、いったんここで終わりになります。彼女の冒険を描くのは、私も自由に物語を展開できるので好きだったのですが、
いつまでも延々続けるわけにもいきませんからね。幕引きとしては、少々ショッキングかもしれませんが、死亡してはいませんので
その点だけはご安心ください。
次回は久しぶりに地球が舞台になります。ヤプールの送り込む大怪獣軍団をはたして退けられるのか!?
なお、来週はお盆で忙しいかもしれないので、もしかしたら投下できないかもしれません。
あと、ウルトラマン列伝を毎週欠かさず見ていますが、やはり深い歴史を感じさせられます。妥協無く作った情熱の結晶は、時代を
越えて愛され続けていくということですね。私も、借り物の題材の作品ですが、両作品への敬意を忘れずに妥協無く物語をつむいでいこうと思います。
276 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 18:38:32.93 ID:Sbwke5+5
ウルトラさん、乙です!
なんという胸熱な引き、オールドファン泣かせ!

忙しければ、仕方ありません。急ぐより じっくりイイモノを書き上げてください。
お待ちいたします。

278 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 19:33:07.43 ID:F68wenmb
改造ベムスター… あのデッサンの狂った…
どうしようカッコいい
279 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 21:37:33.13 ID:B8K1bTm/
投下乙
やはりサコミズ隊長の元には長兄が来たか
でもヤプールの復活を黙認したのも長兄だったような気が
280 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 21:58:50.80 ID:7kw39Qc0
日替わりの人とか、ペルソナの人とか、早く帰ってこないかな・・・
281 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/07(日) 22:11:01.08 ID:yov4+tkU
萌え萌えさんは今日修正だけして生存報告だったね。
どこを直したのかと思ったら、あかぎの排水量で割り算するところを掛け算してたのね……
283 :ゼロと電流 第21話2011/08/08(月) 00:09:04.24 ID:0QJtRj2e
 一同の行動を決めたのは、一羽の梟だった。
 見覚えがあるというキュルケに、シルフィードは今までタバサへの指令を運んでいた梟だと告げる。

「ルイズへ。七日後、我が屋敷に来られたし」

 タバサの筆跡であることを確認すると、キュルケはその内容をルイズへ伝える。
 
「シルフィードが私の所に逃げるって予想していたようね。タバサの屋敷はラグドリアン湖畔、国境付近のガリア領内の屋敷よ」

 モンモランシーがキュルケの言葉に動揺を見せる。

「それ、間違いないの?」
「ええ。一度だけど行ったことあるもの」

 初耳だとギーシュが言うと、ひけらかすようなことではない、とキュルケは応える。
 自分の出自をタバサが語りたがらないことは全員が知っていたので、それは確かに納得できることだった。
 しかし、モンモランシーは続ける。

「待ってよ。ガリア側にある昔からの大きな屋敷なんて、一つしかないじゃない」
「なら、話が早いわ。そこのことよ」
「誰の屋敷か知っているの?」
「勿論」

 キュルケは一息置くと、一同を見渡しながら言った。

「無能王ことガリア王ジョゼフの実弟、オルレアン公のお屋敷」

 ギーシュとシエスタはポカンと口を開け、モンモランシーの表情は厳しくなる。
 そして、ルイズは頷いていた。

「ジョゼフにより暗殺された、と言われているオルレアン公の屋敷ね」
「待ってくれ、それじゃあ、タバサはガリア王の血筋の者ということかい?」 
「あるいは、深く関わりのある者か」

 カリーヌが言を続ける。
284 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 00:09:26.79 ID:lyzuwNMW
ウルトラの人乙でした。
サコミズ隊長…現実でもゾフィーが来てくれていたなら…
285 :ゼロと電流 第21話 2/152011/08/08(月) 00:10:06.66 ID:0QJtRj2e
「オルレアン公にはシャルロットという娘がいたと聞いています。年は、タバサと名乗る子と同じくらいでしょうね」

 全員が口を閉じ、互いの顔を見合わせる。
 やがて、ギーシュがぽつりと言った。

「……もしかして、ガリアのお家騒動に関わることになるのか?」
「あの子はタバサ。あの子が自分でそう名乗り続ける限り、私にとってタバサはタバサ」

 キュルケは言い切る。
 反論は許さない。タバサの友として。

「シャルロットなんて私は知らない。私が救いたいのはタバサ。それ以外の何者でもないわ」

 そうか。と誰かが呟く。
 次いで二人、三人、と呟きが広がる。

「オルレアン公の娘なんて、そんな畏れ多い知り合いなんて、私にはいません。でも、タバサ様は大切な御方です」

 シエスタが言い、キュルケは微笑んだ。そして頷く一同。

「満場一致ね」
「囚われの姫を救うのは騎士の誉れという奴だね。男子たるもの一度は夢見るシーンじゃないかね」
「ああ、ギーシュのお姫さまはタバサなのね。よくわかったわ」
「いやその、モンモランシー? これは言葉の綾というもので……痛い! 痛いって!」

 タバサを救う。一同の意志は固まっていた。
 しかし、場所も時間も相手の指定のままである。
 罠を仕掛けるにはあまりにも絶好だろう。

「知らずに罠に掛かるのと、知ってて罠に向かうのは自ずから別のものでね」

 モンモランシーから逃げたギーシュが知ったように嘯く。

「罠を逆に利用してやればいいのさ」
「どうやって?」
「うん、それは今から考えるとしてだね」
「やっぱり馬鹿ね、貴方」
286 :ゼロと電流 第21話 3/152011/08/08(月) 00:10:47.38 ID:0QJtRj2e
 モンモランシーとギーシュのやりとりに思わず笑うルイズ。
 キュルケも笑い、カリーヌもやや相好を緩めている。
 期日までの七日間を、一同はヴァリエール家の別荘で過ごすことになった。
 傷を癒す者、魔法に工夫を加える者、異界のマシンの技に習熟する者。それぞれが思うように時間を過ごす。
 そして指定された当日、一同はラグドリアン湖畔に集まっていた。
 いや、正確には集まっていたのではない。足止めされていた。

「予想通り、っていうことね」

 キュルケの言葉に自嘲の響きはない。
 ルイズの同意を求めようとしたキュルケは、その妙な表情に気付く。

「どうしたの?」
「敵がまとまっているのよね」
「ええ」

 キュルケはルイズの視線を追う。そこには異形の怪物が数体、こちらを窺うように佇んでいる。

「あれは、メカアーミーって言うのよ。ザボーガーの記録で見たわ」
「ええ」
「ザボーガーは、メカアニマルには負けたことがないのよ」
「うん。え? アニマル?」
「アニマル」
「あそこにいるのは?」
「アーミー」

 メカアニマルはΣ団、メカアーミーはその後に戦った恐竜軍団の者である。
 当時、メカアーミー第一号に敗れたザボーガーはストロングザボーガーとして強化された。
 しかし、ストロングザボーガーに必要な合体相手、マシンバッハはここにはない。
 つまりは、ザボーガー単体で戦うことになる。

「ルイズ?」
「負けるとは思ってないけれど」

 今のザボーガーの動力源は虚無である。それは、かつてのダイモニウム、怒りの電流に比べれば遥に高性能なエネルギーである。
 つまり、同じザボーガーでも、かつてのザボーガーよりは強化されているということだ。
 さらにここには烈風がいる。キュルケもギーシュもいる。マシンホークもある。

「一人で突進しない限り、負けないわよ」
287 :ゼロと電流 第21話 4/152011/08/08(月) 00:11:28.49 ID:0QJtRj2e
 その言葉にキュルケは何か言いかけた口を閉じる。そして、ギーシュとモンモランシーを見た。
 二人は嬉しそうに頷いている。
 やや時間を空け、ルイズは言った。

「キュルケ、ギーシュ、モンモランシー、シエスタ。そして、お母さま」

 ルイズはマシンザボーガーから降りると、一同をそれぞれ見やる。
 シルフィードは上空から降りてこない。三ッ首がいる、と彼女は断言し、そのまま上空を飛んでいるのだ。
 力量差にかかわらず、竜族である限り三ッ首には対抗できない、それを知った上での配置であった。

「一緒に、戦いましょう」

 答えは決まっている。
 カリーヌが杖剣を構える。
 ギーシュがゴーレムを作り上げる。
 キュルケが景気づけのように炎を飛ばす。

「チェンジホーク!」
「電人ザボーガー! GO!」
 
 虚無の力を得たザボーガーは、かつての劣勢を想像すらさせない力で、次々とメカアーミーを撃破する。
 チェーンパンチが胴を貫く。ブーメランカッターが胸を切り裂く。速射破壊銃の前に立ちはだかることのできるメカアーミーはない。
 あまりにもあっさりと片づいたことで、逆に一同には不審が募る。
 何らかの罠か、と周囲への警戒を怠らずに屋敷へと向かうが、その様子もない。
 そして、屋敷前に待ちかまえていたのはタバサ本人だった。

「やはり、皆で来た」
「タバサ、貴女無事なの?」
「怪我は負ってない」

 キュルケに一言応え、タバサの視線はルイズへと向けられる。

「ルイズ。何も言わず従って欲しい」
「断るわ」

 迷い無く答えるルイズ。

「貴女こそ、正気に戻りなさい。三ッ首が何者かわかっているの?」
「関係ない」

 やはり迷うことなく答えるタバサ。
288 :ゼロと電流 第21話 5/152011/08/08(月) 00:12:09.26 ID:0QJtRj2e
「私は、任務を果たすだけ」

 瞬間、カリーヌが杖剣を構える。それにやや遅れて身構えるキュルケ。そしてギーシュはモンモランシーの前に立つ。

「これが……」
「……獣臭くて嫌になるわ」
「モ、モ、モンモランシー、き、君は下がっていたまえ」

 タバサの背後、屋敷の影から現れる巨体。異形の竜にしてリーヴスラシル、魔神三ッ首。
 シルフィードが一声鳴いた。それは威嚇か、あるいは恐怖か。

 ……よく来た、ザボーガー。大門豊でないのが惜しいがな

 そしてゆっくりと開く玄関扉。
 タバサは扉のほうにちらりと目を向け、言う。

「ルイズ以外は帰っていい」

 私の任務は、ザボーガーを『ここ』へ誘き出すこと。
 ザボーガーとその繰者であるルイズ以外は関係ない。
 タバサが告げると同時に、屋敷の中から現れるメカアーミー群。

「数だけ揃えるなんて、雑魚確定じゃない?」
「まったく、少数精鋭という言葉を知らないと見える」

 ファイヤーボールが唸り、ゴーレムが拳を振るう。
 ルイズはメカアーミーには視線の一つも向けず、巨体を睨みつけるように立っている。

 ……ただのザボーガーで我に勝てると?

 凄まじいプレッシャーに顔をしかめるルイズ、その横に並ぶカリーヌとシエスタ。

「ルイズ、一人ではありませんよ」
「ルイズ様、ホークはこのためにハルケギニアに来たんだと思います」
289 :ゼロと電流 第21話 6/152011/08/08(月) 00:12:49.95 ID:0QJtRj2e
 ……いや、そうでもないか

 二人に続いた三ッ首の呟きに被せるように、ホークでもザボーガーでもない第三の機械音。

「役者が揃ってるじゃないか!」

 唐突かつ聞き慣れぬ声。さらに砲声、爆音。
 吹き飛ばされるメカアーミー。驚きに目を見開くキュルケ達。そして、タバサ。

「どうして……」
「何驚いてるんだい? いつもの無表情な人形面はどうしたのさ?」

 ルイズの目も見開かれる。
 そこにあったのは、ザボーガーの記憶の中にあったマシン。盟友マシンバッハである。

「トリステインの貴族さん達? 緊急事態だ。跪けとまでは言わないが、挨拶ぐらいはしてもいいんじゃないかい?」
「これは失礼を。ガリアの姫よ」

 ただ一人、表情も変えずに応じるカリーヌにイザベラは笑い、

「さてと、細かい説明は後だ。そこの娘、合わせて貰おうじゃないか!」

 マシンバッハが唸る。
 ルイスは咄嗟にザボーガーをマシンに戻してターンさせると、バッハへと走る。
 シエスタはホークを三ッ首と二人の間に配置し、その動きを一瞬でも牽制しようと動く。

「あんたこそ、こっちに合わせなさいよ!」
「上等! やってみなっ!」

 二台が交差する直前、二人はそれぞれのマシンから飛び降り、そして命じた。

「チェンジ! ストロングザボーガー!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
290 :ゼロと電流 第21話 7/152011/08/08(月) 00:13:30.71 ID:0QJtRj2e
 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは風のスクウェアである。
 だが、人々は気付いていない。彼の呪文には明らかな偏りがあることを。
 ワルドが使うことのできる魔法はただ一つ、「遍在」のみである。
 人々は知らない。彼が「遍在」のみに特化した風の使い手であることを。
 多種多様な風の魔法を操っているのは彼ではなく、彼の「遍在」である。
 それはワルドにのみ許されたレアスキル。「風の原石」の担い手となった者のみに許された、唯一の魔法。

 ワルドの母は、研究者だった。その研究内容が風石に関わっていることをワルドは知っていた。
 だが、ワルドにとってはただそれだけだ。詳細まで知っていたわけではない。
 ワルドがその内容を知ったのは、母の死後のことである。
 
 母は事故死とされた。しかしワルドは知っている。母の死の原因は自分だと。
 半ば気狂いのように研究に没頭する母を、彼は疎ましく感じていた。だからこそ、彼は母を日常にいない者として扱っていた。
 そんなある日、彼は進む道を邪魔するように立っていた母を払いのけた。悪意はなかった。ただ、邪魔だっただけ。
 しかしそこは、階上だった。さらに、階段のすぐ目の前だった。
 ワルドを弁護するのは容易い。母は実際に気狂いと言われても仕方のない状態だったのだ。
 彼は、壁に向けてそんな母を押しのけたのだ。
 抵抗するとは思っていなかったのだろう。抵抗しようとして、痛めていた膝が折れるとは予想できなかったのだろう。
 膝が折れた側に傾いた身体。その先には、階段があった。
 そしてワルドは、母を押しのけた自分を嫌悪し、そっぽを向いていた。
 気付いたとき、母の身体は段に叩きつけられ、滑るように落ちていくところだった。
 運がいいのか悪いのか、頭から落ちた母は即死だった。少なくとも、苦しむ時間は最小に抑えられたのだ。
 己のやったことに気付いたワルドは死体を見下ろす。
 
 ――母さんを殺したのは僕なのか?

 答える者などいなかった。

 さらにその数年後、父を失い天涯孤独の身となった頃、彼は母親の残した研究成果を己の血肉としていた。
 成果は三つ。

「大隆起」
「風原石」
「四つの虚無」
292 :ゼロと電流 第21話 8/152011/08/08(月) 00:14:11.91 ID:0QJtRj2e
 それらの情報をワルドは手中に収めたのだ。
 トリステイン、いや、ハルケギニア全体を破壊しかねない天変地異「大隆起」の詳細。
 全ての風石を束ねる、あるいは下位とする最大かつ最高にして唯一の風石「風原石」の所在地と制御法。
 世界の始まりと理すら左右する「虚無」に関する知識。
 これらが揃えば、破壊、君臨、どれを選ぼうと不可能ではない。ハルケギニアの神も悪魔も自在のままだった。
 だが、完璧ではないことにワルドは気付いていた。
 ワルドは時を待つ。己が力を蓄える。
 まずは「風原石」を手中に収め、風石の一斉活動による「大隆起」の時期を限定的ながら制御する術を手に。
 そして、「風原石」により得たレアスキル「遍在特化」により、十数体の遍在を自在に操る。
 それほどの時をかけず、ワルドの手元には莫大な情報が集まることとなる。何しろ、彼の遍在はその全てが風のスクウェアである。
 そのうえ、死と引き替えにしてまで情報を得ることが出来るのだ。
 さらに、それによって得た「アンドバリの指輪」は、まさに水系統における「風原石」のようなアイテムであった。
 人の心を操り、あるいは死人すら操る水の力。
 これだけの力を個人で得た者が、かつてのハルケギニアにいただろうか。
 いや、いたことを、ワルドは知っている。
 始祖ブリミル。そしておそらくはリーヴスラシル三ッ首竜。
 ワルドは、三人目なのだ。
 
 今、史上三人目の力を手にした男はアルビオンにいた。

 玉座に背を預け目を閉じたワルドは、心を遍在へと飛ばす。
 いくつもの情景がめまぐるしく移り変わる中、ワルドは一つの情景に心を止めた。
 それはラグドリアン。
 ガリアの情報を知って以来、ガリア各地に埋め込んでいた遍在の一部。
 水と風の究極の力により遍在もまた、その力を変えた。
遍在特化とアンドバリの力を掛け合わせることにより、人ならざる遍在を操ることが可能となった。
 操るのは「人」である必要などない。そこには「人」の部品があればいい。
 目玉一つに耳一つ、そして手首。それだけあれば見、聞き、移動することが出来る。
 今、ラグドリアン……いや、ガリアの各地では奇妙な動物を見ることが出来る。耳と目を持ち、自在に動き回る手首を。
 その内の数体が、タバサの屋敷の屋根裏に、地下に、壁の隙間に集まっている。
293 :ゼロと電流 第21話 9/152011/08/08(月) 00:15:05.03 ID:0QJtRj2e
 ワルドは、いくつかの視界を通じ、屋敷内の情景を眺めている。
 カリーヌ達と共にメカアーミーを薙ぎ倒すザボーガー。
 現れる三ッ首。
 ストロングザボーガーの登場に、ワルドは眉を上げた。
 やりとりを聞く限り、それはザボーガーのパワーアップ形態なのだろう。おそらくは、三ッ首を倒せるはずの。
 ザボーガーによる三ッ首打倒は、ワルドにとっても望むべきことだ。
 ワルドにとって三ッ首打倒は難しい。ザボーガーを倒すことも同じ。しかし、ルイズを倒すと考えれば難易度は極端に下がる。
 ならば、ワルドにとっては三ッ首をザボーガーに倒させるのが最も有利なのだ。

「ロケットチェーンパンチ!」

 ワルドが見たチェーンパンチとは異なり、それは火柱を噴き上げながら高速でメカアーミーを貫く。

「ジェット! ブーメラン!」

 これもブーメランカッターとは違う。当然の事ながら、威力は桁違いだ。
 ワルドの見る限り、ストロングザボーガーはザボーガーとは比べることすらできない強さだろう。
そのザボーガーに負けた自分が、正面から倒せる相手ではない。

「ストロングバズーカファイヤー!」

 腰の二門の砲塔からの砲撃がメカアーミーを粉砕する。
 ワルドは思わず笑っていた。
 強い。確かに強いのだ、ザボーガーは。
 だが、所詮は人によって操られるゴーレムの類に過ぎない。操者を倒すと考えれば、これほど簡単な相手もいないだろう。
 だから、それはいい。今のワルドにとって、この光景で気になっているのは二つだ。

「さて、ミス・サウスゴータ?」
「ここに」

 とある理由でガリアへ派遣された部隊と入れ替わるように戻ってきていたフーケが、即座に姿を見せる。

「その鏡を見たまえ」

 無造作に置かれた一つの鏡には、ワルドに送られている映像がそのまま映されている。
298 : 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 2011/08/08(月) 03:32:39.47 ID:qBGXPMs5
俺に執筆の才能があれば、
ムダツモ無き改革で書いてみたいな。

ジョゼフがこれはなかなか面白いゲームだとか行って食いつかせる。

一点棒一火石でどうだ。

国士無双13面待ち
ライジングサン!!
305 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 12:55:02.09 ID:N46QdCia
>>298
序盤に振り込んで運を捨て、集ったクズ牌で国士無双するヤツが
某麻雀漫画にいなかったか?
306 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 13:48:40.41 ID:bpjm4ifB
>>305
坊や哲の昔の相方だったような
アメリカ兵との通訳役
299 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 04:31:07.43 ID:unLVep4M
モヤモヤする切れ方だなおい
投下中に寝ちまったのかね?
304 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 10:28:13.51 ID:tc5Cghqb
ハッピバァスデーィッ!素ゥゥン晴らしい!新しい虚無の使い手の誕生だ!
シエスタ君、ケーキの準備だ!
314 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 19:16:01.97 ID:S6zyp7HW
あの作品のキャラがルイズに召喚されましたスレ

あるいはおもわぬとこから深い知識が飛んでくるスレ
316 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 20:05:18.27 ID:8XBI77nJ
想像しろ
318 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 20:45:33.61 ID:jPI2uoJz
>>316
加藤総司令は「最強の敵」のイメージだったそうだが
原作漫画版は最近すっかり大暴落

アニメから加藤が召喚されてジョゼフの使い魔に
教皇の使い魔となりロマリアをマキナ化したマサキと戦うべくハルケギニアで新・加藤機関を結成・・・
一番隊隊長:イザベラ
二番隊隊長:カステルモール
三番隊隊長:ワルド
四番隊隊長:フーケ
五番隊隊長:メンヌヴィル
六番隊隊長:ダミアン

・・・こんなん想像した
ルイズは?・・・・・・爆発繋がりで王政陸
323 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/08(月) 23:55:52.11 ID:4TbwINfw
バトスピからダンさんを呼んで…
駄目か、カード関係以外何もやらないや
333 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 10:57:09.67 ID:DUHwX+Oe
>>323
遊戯王から、王様と社長と十代ならカードでもカード以外でも戦えるぜ!
324 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 00:08:12.17 ID:t4BaVkFg
ダンって名前のキャラはけっこういるよな
冒険ダン吉はさすがにないか
327 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 00:33:40.63 ID:BkoH6fBk
ギーシュ戦で挑発伝説を敢行してギャラリーから拍手喝采を受けるダンとか?
ワルドには漢道だな
329 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 01:15:19.15 ID:ExJmmDkk
ハルケギニアで国家解体戦争おこしたらどうなるの?
331 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 07:10:31.97 ID:ESAa+GqP
>>329 興とか干とかが来るぞ 
アイムシンカートウトウ よう首輪つき
334 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 11:03:34.25 ID:1Z1R/kT9
>>329
「貴族共へ(ry」されてハルケ崩壊

そのあとは企業の老人たちが、新しい資源基地をめぐる経済戦争の舞台として統治します
332 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 10:02:07.38 ID:Y6RK2LFl
国家解体戦争起こせる勢力から考えないとね?興とか干はハルケギニア産搭乗型ゴーレム乗り?
335 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 11:32:10.77 ID:2Ato1s/s
国家解体戦争を起こす勢力=民間企業
とりあえずゼロ魔の原作で名前が出ている企業…

魅惑の妖精亭か!?
336 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 12:41:53.36 ID:9S9ilKeX
まず、企業という概念を作り、広めるキャラでないと……


まおゆうか。
339 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 15:16:17.22 ID:6JOFiNk0
>>336
ここは敢えて「天涯の武士」から、日本初の株式会社を設立した小栗上野介召喚で。
340 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 15:19:41.12 ID:jLzTMsVc
>>339
前回の書き込みでは他の作品からだったな。
まずは学院の財政改革からスタートか?
341 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 15:26:15.31 ID:Pb/pQ3oC
そういえば究極超人Rを読み返して気づいたんだけど
あいつ何気にレーザー光線発射機作れるほどの技術力持ってたんだよなw
自転車も時速200km以上出しても平気な特別仕様だし

……何気にチートだよな、シリアスモードになれば結構な女誑しなとこあったし
342 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 18:39:45.79 ID:32APvguZ
お米の無い世界にR君召喚ってのは、かなりのイジメだと思う。
344 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 18:55:13.65 ID:Pb/pQ3oC
シエスタのお爺さんが種籾持ってたことにすれば…

ゼロ戦?レーザー光線発射装置だけで無双できるからいいだろw
347 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 19:16:15.34 ID:32APvguZ
で、
「お前達に 今日を生きる資格は無い!」
と言って、ケンシロウのコスプレをしたトサカ先輩が登場するんですね。
348 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 20:00:45.20 ID:ZBPxGkwc
種モミと聞くと真っ先に世紀末モヒカンに襲われる図が連想できてしまう
349 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 20:32:07.27 ID:wL3lNkas
えんぎでもない、このスレにはタナカッテン侯爵が6分の1ダースも!
350 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/09(火) 20:35:17.16 ID:4Ks+KXOB
>>349
ざんねん! あなたのかきこみはこれでおわってしまった。
352 :ゼロと電流 第21話 10/152011/08/09(火) 21:15:04.03 ID:ls01EHxI
「ザボーガー……イザベラ? それに三ッ首ですか」
「イザベラが何故そこにいると思う?」
「三ッ首を倒すためでしょうか?」

 ガリアに潜入していたフーケの得た情報は三つ。
 ヴィンダールヴとしてマシンバッハを召喚したジョゼフは、三ッ首に与している。ただし、その理由は不明。
 イザベラは三ッ首に不信感を持ち、ガリア王の行動を由としていない。
 そして、生きる屍とされたロマリアの虚無ヴィットーリオが現在幽閉されている場所。

「手持ちの情報では不足か。ではもう一つ」

 ワルドは、鏡に映ったホークとシエスタの姿を示す。

「ルイズにはガンダールヴとしてザボーガー。ガリアにはミョズニトルンとしてマシンバッハ。ロマリアではリーヴスラシルの三ッ首」

 フーケは無言で鏡を見つめていた。
 動けない。ワルドの視線は一方向ではない。複数から感じる視線。それはワルドの遍在であった。
 いや、今のこの玉座に座っている本人すら遍在ではないと誰が言えるのか。

「マシンホークとやら、アルビオンのヴィンダールヴに思えるが」
「ならば、私の知らない内にアルビオンの何者かが召喚したのですね」
「君の妹は虚無には目覚めていない、と聞いたが」
「ザボーガーを召喚したルイズは王族の血を引いているとはいえ、ヴァリエール家の者です」
「アルビオン王家の血を引く者が他にいると?」
「いないとでも?」

 証明も反証も不可能だ。
 王家の者が愛人に産ませた子。隠された子がいないと、誰が断言できるのか。

「どちらにしろ、ザボーガーにもサポートは必要でしょう」
「確かにな」

 下がって良いと告げられ、一礼し下がろうとするフーケをしかしワルドは呼び止める。

「開き直りは一度だけ許す。次はない」
「……さあ、何のことだか私にはわかりかねますわ」
「ああ、それでいい」 

 それだけを告げると興味を失ったように視線を外し、再びガリアの光景へと埋没する。
353 :ゼロと電流 第21話 11/152011/08/09(火) 21:15:44.68 ID:ls01EHxI
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「観念するんだね、図体だけのトカゲ野郎」

 メカアーミーを失った三ッ首に、イサベラが告げていた。

「ガリア王妃の名にかけ、貴様を誅殺する」

 三ッ首への視線をずらさず、

「……シャルロット、今ならまだ間に合う、三ッ首を捨てな」
「私はもうガリア王には与しない」
「解毒剤を渡すと言ってもかい?」
「信用できない」
「私や父上より、三ッ首のほうが信用できるって言うんだね」
「当然」
「だったら、ルイズを信じな!」

 突然の指名に絶句するルイズ。タバサは思わずルイズを確かめるように視線を向ける。

「ルイズ、あんたならわかるだろう」
「何よ」
「虚無魔法〈記録〉に目覚めたガリア王。そして、ガリアにあるマシンバッハ」

 ……視たのか

「ああ、そうさ。見たさ。クソトカゲ野郎が、人の母親に何をしたかまでね!」

 三ッ首配下として仕えたメザの姿を、ストロングザボーガーは当然見ている。その記録は、バッハの中にも残されていたのだ。

「……にも関わらずいけしゃあしゃあと、死んだ人間を蘇らせるために力を貸せとガリア王に申し出たクソトカゲ野郎がいたんだとさ」

 イザベラの瞳が三ッ首を射抜くように輝いている。
354 :ゼロと電流 第21話 12/152011/08/09(火) 21:16:25.44 ID:ls01EHxI
「騙された王も馬鹿さね。だけど、私は嬉しかったんだ。母さまを救うために父さまが動いてくれていることが!」

 だから、だからこそ。

「絶対に貴様は許さないッ!」

 それは、歓喜でもあった。
 ガリア王ならば、その程度の詐術に惑わされるわけがない。王を良く知る者ならば誰もが異口同音にそう言うだろう。
 だが、王は騙された。いや、騙されたかったのだ。
 最愛の女が、妻が、娘の母が蘇るという嘘を。
 だから、イザベラの心は震えた。
 父の母への愛を知ったから。たとえそれが、どれほど無様な結果に終わろうとも。父が母を愛していたことは事実なのだから。

 ……許しなど、乞うつもりもないわ。下等な人間ごときの命など、我の知ることか
 ……メザよ、虫けらを殺せ。お前の父を殺し、母を狂わせた男の娘を殺せ

「駄目ッ!」

 キュルケが手を伸ばす。
 その手に捕らえられるタバサは、三ッ首に操られるように杖を構える寸前だった。

「タバサ。貴方が人でなしになる必要はないのよ」
「放して」
「いや。この決着がついた後なら止めはしない。それでも貴女が今この場でどうしてもイザベラを討ちたいというのなら」

 まずは自分を撃て。キュルケは告げる。

「ガリアへの復讐は止められないかも知れない、だけど、三ッ首に与することだけは絶対に駄目」

 ……構わん。ザボーガーがここにいると言うことは、その人間は用済みだ。新しいメザなど、なんとでもなるわ

「させるかっ!」

 イザベラとルイズが走る。

「ザボーガー! ストロングバズーカファイヤー!」
355 :ゼロと電流 第21話 13/152011/08/09(火) 21:17:05.98 ID:ls01EHxI
 砲声と同時に白光が閃いた。
 三ッ首から伸びた牙が、ザボーガーの左肩を貫く。
 そして、砲撃を正面から受けた三ッ首は揺るぎもせずに立ちはだかっている。
 以前の三ッ首とは違う。
 確かにザボーガーは強化されている。虚無という力によって動くザボーガーの能力は上がっている。
 だが、三ッ首も条件は同じ。さらに、この世界は元々三ッ首の生まれた世界である。そしてもう一つ。
 今の三ッ首は、リーヴスラシルなのだ。
 使い魔としての能力アップは、その召喚主が存在する限りは消えない。三ッ首にとってのヴィットーリオは、ガリアにいる。
 正確には、幽閉されている。逃げ出さないように、いや、己の意思で動けぬように加工された状態で。
 今のヴィットーリオはただ、三ッ首をリーヴスラシルでいさせるためだけにその命を許されているのだ。

「ザボーガー! 退きなさい!」

 ザボーガーを下げるルイズ。しかし、ザボーガーで対抗できない相手に誰が立ち向かうというのか。
 イザベラがザボーガーに並び、損傷を確認する。

「左手が完全にやられてるぞ」

 本来の装甲も固定化も全て引きちぎるように易々と貫いた三ッ首の牙である。今のハルキゲニアに止められるものはないだろう。

「ルイズ様! ザボーガーをもっと下げてください!」

 シエスタの声は頭上から。限りなく飛行に近い跳躍中のホークである。
 
「ホーク! 三ッ首を倒して!」

 ホークはザボーガーと違い、空戦特化の格闘仕様である。固定武装はないに等しい。
 対する三ッ首は、三つの竜口からそれぞれ炎、電撃、毒煙を噴き出すのだ。
 それでも、シエスタは果敢に三ッ首へと近づく。
 だが、ホークはあくまでもザボーガーの対抗機種であり、ストロングザボーガーほどの力はない。
三ッ首との直接対決では勝ち目はないと言っていいだろう。
 その隙にカリーヌはルイズとイザベラを庇うように進み、モンモランシーは霧状の水で視界を塞ごうと試みる。
 瞬時に火炎によって蒸発する霧。再び牙がザボーガーを襲う。
 
「ザボーガー! 逃げて!」
356 :ゼロと電流 第21話 14/152011/08/09(火) 21:17:46.66 ID:ls01EHxI
 ルイズの命令も虚しく、牙がザボーガーの腹部を貫いた。為す術もなく倒れるザボーガー。

「ルイズ。ザボーガーを逃がすのです」

 カッタートルネードを放ち、カリーヌがルイズに囁く。
 
「虚無魔法〈世界扉〉、覚えたはずですね?」
「お母さま、でも」
「時間がありません。自力で動ける内に、ザボーガーを逃がすのです」
 
 言いながら、カリーヌはデルフリンガーをザボーガーに握らせる。

「デルフ、頼みます」
「ああ、任せな」

 万が一、ということでルイズは既にカリーヌの計画を聞かされいた。だが、実際にそうなるとは予想していなかったのだ。
 今のルイズには、ザボーガーがこうも簡単に敗れるとは想像も出来なかったのだから。

「早く!」

 再び霧を生み出すモンモランシー。キュルケはタバサを抑えつつも、細かいファイヤーボールで三ッ首の視界を狭めようとする。

 ……逃がすと思うか

 三ッ首が動き、三つの牙が同時にホークを砕く。悲鳴を上げるシエスタ。
 しかし、ホークは破壊されながらも牙を抑え込む。

 ……邪魔だ

 ホークが最後の力を発揮しようとする寸前、ザボーガーが三ッ首の背後に現れる。
 振り向こうとし、ホークにしがみつかれる三ッ首。

 ……貴様!

 浴びせられる電撃、今度こそ砕けるホーク。だが、ザボーガーが三ッ首に肉薄する。
 ようやく振り向いた三ッ首は気付く。
 このザボーガーの左肩が砕けていないことに。
 ザボーガーに似せて作られた、ギーシュのゴーレムが砕け散った。
357 :ゼロと電流 第21話 15/152011/08/09(火) 21:18:27.30 ID:ls01EHxI
「苦労したんだ、引っかかってくれて嬉しいよ」

 吼える三ッ首が見たのは、輝く鏡の向こうへと走り去るザボーガーの姿だった。
 
「精々吼えな、今頃……」

 イザベラが憎々しげに微笑んだ。

「ガリア全騎士団を率いた王が、アルビオンと共にアンタの城をぶちこわしている頃だよ」

 メカアーミーとて、一機に多数で掛かれば倒せない相手ではない。
 それが、ガリアの誇る「裏」騎士団も含めてならば尚更だろう。 

 だが、イザベラはまだ知らなかった。
 ワルドの真意を。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ほお……」

 ワルドの口元が笑みの形に歪む。

「なるほど、そういう事情だったのか、無能王。泣かせるじゃないか」

 ならば、約定通りに手伝ってやらねばなるまい。
 ワルドの心が再び揺らぎ、風原石を捉える。そこからさらに、ハルケギニア全土の地下に埋まった風石群へと心は飛ばされる。
 ガリア地下の風石を、ワルドの心は捉えていた。

「ふむ。少々過激すぎるかな。まあ、構うまい」

 ワルドの笑みが深まる。

「さらばだ、ガリア。そしてロマリアの虚無よ」

 大隆起の引き金が引かれる。

 その日、ガリアは滅びを迎えた。
358 :ゼロと電流 第21話2011/08/09(火) 21:19:14.44 ID:ls01EHxI
以上、第21話でした
因みに、ストロングザボーガーはこう合体します。
見てもわからない? 自分もわかりませんw
(ttp://www.youtube.com/watch?v=lzGWLZYENdE)

支援ありがとうございました
359 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 00:19:56.15 ID:8CPdwPIg
ザボーガーの変形合体をダイヤブロックで再現したハイスペックバカも世の中には。
361 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 05:01:09.15 ID:VgA0eKLO
129 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
362 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 12:10:17.94 ID:sIg7Tm9f
ファイヤーマンやミラーマンといい最近は昭和ヒーローのリメイクがはやってるのかね?
363 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 13:25:57.96 ID:wLerx+Pd
露骨に大友を狙いに来ただけだと思う。
個人的には嬉しいけど。
364 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 15:06:20.17 ID:xReWfe39
大友と聞くと人妻寝取り好きのキリシタン大名が浮かぶな。
367 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 16:28:09.66 ID:mWcw69RM
>>364
曹操「ガラッ)人妻と聞いて!」
368 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 16:29:12.46 ID:i3KE8CnA
>>364
キラ「ガラッ)寝取りと聞いて!」
369 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 16:30:34.99 ID:LlZgwpKe
>>368
能力的にはともかくメンタル面では歴代主人公中最弱な人は黙ってなさいw
371 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 20:20:09.85 ID:YKEe9NUM
>>369
いや彼のメンタルは最強だよ?
だってロボトミー手術受けたかのごとき感情の薄さだもん
肉体もだって炭素人間技術で代えが効くし
374 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 20:31:45.32 ID:s4hI0wxC
>>368
ムウの代わりにヤザンあたりが至ら再起不能になるな。
関係ないが
375 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 20:45:25.28 ID:exW74JE8
>>369
負債「修行すればドモンより強い(キリ」
396 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 01:12:20.67 ID:5bmx9HS0
>>375
キラをギアナ高地に放り込むのか
397 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 01:18:03.21 ID:lo1SkGeD
>>396
負債はアホだから「うちのキラきゅんこそガンダム主人公最強(キリッ」と勝手に言ってるだけ
普通、いい年こいた大人はそんな事言いません常識的に

まぁ干された後もツイッターでほざいて問題になったりしてる時点でどうしようもない
マジで演出だけやってれば今でも業界におれたものを・・・・
398 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 01:58:33.04 ID:m0POs7jH
>>396
スレチだけど、キラがドモンにボコボコにされるssがあったなぁ。あれは爽快だった。
365 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 15:46:23.45 ID:i3KE8CnA
三大イザベラ様

・気さく
・電流
・アクマ

特に気さくは名作
372 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 20:27:49.65 ID:LlZgwpKe
酷いなw
んで色々考察

種初期だとまあヘタレなとこあるけど真っ直ぐな性格だったし、この頃ならなんとか上手くやってけそうだけど
種後期以降だとルイズみたいなタイプとは絶対に合いそうにないんだよな…
マチルダさんとかキュルケみたいな男あしらいが上手そうなタイプなら、上手い事やる気にさせそうだけど
378 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 20:49:45.11 ID:yT+OAZuM
>>372
おい、それじゃキュルケがまるでラクスみたいな腹ブラックみたいじゃないか!!

つーか、この数レスだけ見ると今召喚スレに居るの忘れそうになったわw

紛らわしいからかわいいキラケン呼んでしまえ!!
376 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/10(水) 20:46:43.85 ID:8Mno5dwj
メンタル最弱はカミーユじゃね
すぐキレるし落ち込むし暴走するし
379 :ゼロの戦闘妖精2011/08/10(水) 20:53:44.04 ID:XkzVM1LP
主人公で歳弱ってことは、『ポケ戦』のアル(ただの小学生?)より下ってこと?

面白そうな論議ではありますが。
ご無沙汰しています。『ゼロの戦闘妖精』です。
避難所の雑談スレで 「データが消えた」とボヤいてたのは 私です。
やっと書きなおしが終了しました。
宜しければ、五分後より投下します。
380 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 20:57:26.81 ID:XkzVM1LP
Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」

修羅場は続いていた。
FAF謹製『リファイン・ゼロ』の設計製造図を書き上げ、担当者に配布し、解説及び各種注意事項を説明する。
ロールアウトしたばかりの『ゼロ号機』をフル回転させて、新人パイロットの訓練に当る。
機体の製作と平行して進めていた 各種新兵器関係の製作も進めねばならない。
新規派遣された研究者達への 物理科学講座も継続中。
肉体的にも 精神的にも、限界だった。

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、トリステイン魔法学院に在籍する学生である。
あまりの多忙さから ここ暫く授業にも出席できず 期末試験も免除されていたが、あくまで本分は学生である。
本人も やっとその事を思い出した或る日 その日は前期授業の最終日だった。
「最後ぐらい 顔を出しといた方がイイかな…」
少しは 気分も変わるかもしれないし、そう思って 久しぶりに教室へと足を運ぶのだった。

トリステイン魔法学院のギトー講師。風のスクエアクラスの実力者ながら、従軍経験は無く 教育一筋に生きてきた真面目な独身教師である。
決して悪い先生ではないのだが、能力の高さはプライドの高さに 真面目さは堅苦しさとなって現れてしまい、生徒から慕われるタイプの先生ではない。
このギトー先生、夏休み前最後の授業に 毎年ちょっとしたイベントを仕掛ける。
長期休暇で生徒が羽目を外し過ぎない様 釘を刺しておこうという思惑もあるのだが、内心 自分の強さをアピールしたがっているのも否定しきれない。
今年 そのイベントの対象となったのは、(不運な事に)ルイズのクラスだった。

「それでは 解答用紙を返却する。各自 受け取りたまえ。」
ギトーが杖を振るうと、教卓の上に積まれていた紙束が風に舞い それぞれの生徒の元へと飛んでいく。
風メイジの教師が、皆こんな事をする訳では無いし、出来る訳でも無い。正直 三十路過ぎにしては、ちょっと派手好きというか エエカッコシイと言うか…
「諸君等の努力の成果は、この試験の結果として見せてもらった。
 幸いな事に、私の授業に関する限り 追試を必要とするような成績劣悪者は居なかった。皆 よくやったと褒めておこう。
 だからと言って、慢心してはいかん。」
褒めるだけで済まさないのが この先生だった。
「もう間も無く、明後日には『夏休み』だ。諸君等の頭の中は 既にその事で一杯だろう。
 久々に親元へ帰り たっぷりと甘えてくるも良し、旅に出て 見聞を広めてくるも良し。好きにしたまえ。
 ただし 分をわきまえた上でのことだ!」
語気を強め 拳で教卓を『ドンッ』と叩く。僅かにざわめいていた教室が 静まり返る。
「嘆かわしい事に、毎年 夏休み明けの最初の授業には、怪我をして包帯姿で現れたり ましてや出席する事すら儘ならない生徒が 何人か居る。
 理由は決まって、『冒険』とやらで 馬鹿な事をやらかした為だ。
 そして私は後悔する。『ああ またか!』と。」
芝居がかってはいるが 本心である。負傷した生徒達を見る度に 彼は心を痛めていた。(ただし、周りからは とてもそうは見えなかったが)
「一年生が学ぶ魔法は 基礎の基礎、二年生からが実用性の高い 応用編だ。
 進級から今日まで 短い期間ではあったが、諸君等は真摯に魔法を学び 多くの新しい術を身に付けた。
 覚えた魔法は 使ってみたくなるもの。それは仕方あるまい。私も そうだったからな。
 それが 日々の暮らしの中でなら、まあ いい。だが 戦闘用の魔法はどうだ。」
ここで 生徒一同を ジロリと睨む。数名の生徒が、ビクッと背筋を伸ばしたり 逆に俯いて視線を外したりする。
「『生兵法は怪我の元』、東方の言葉らしいが、正にその通り!
 諸君等が、『自主練習』と称して 決闘まがいのジャレ合いをやっている事など、我々教師は把握済みだ。
 大怪我をするようなモノでない限りは 黙認しているだけで、もしもに備えて救護体制も整えているがな。」
ちなみに、ルイズとギーシュの『決闘』については、学院長・コルベール・ロングヒルの三名が知るのみで 他の教員には周知されていない。
381 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 20:59:30.78 ID:XkzVM1LP
「それが 子供のケンカであれ何であれ、勝てば自信となる。次は より強い相手と戦いたくなる。
 学院内に目新しい相手が居なくなれば 学院の外で探そうとする。そこに『夏休み』だ。
 猟犬を 野に放つようなものだと思わんか? なぁ、『仔犬(パピー)』諸君。」
先程 『決闘』と言う言葉に反応した生徒達が、今度はムッっとした様にギトーを睨み返す。
「ほほぅ。未熟とはいえ 一応の『気概』は持ち合わせているようだな。だが それだけでは何の役にも立たんぞ。
 この学院の中では 諸君等は幾重にも亘って守られているが、一歩外へと踏み出せば 野盗が居る 野生幻獣が居る 亜人や魔物も居る。
 それらとの戦いは 決して『ごっこ遊び』等ではない。敗北は 時に死へと直結する。 諸君等に『覚悟』は有りや!否や!」
現実を突きつけられ、それを理解してくれれば 良し。だが 少年達の冒険心が、その程度では止まらない事も 教師は熟知していた。

「やれやれ、これだけ言っても判ってもらえんとは!
 『女子と小人 養い難し』 これも、東方の言葉だったかな?
 女子と言えば、己の分もわきまえず 学院長の戯言を真に受けて、『盗賊探索』なんぞを引き受けた者が居たような。」
さて そろそろ仕上げに掛かるか。ギトーは ある生徒に向けて釣り針を垂らした。
『土くれ』のフーケ探索の任を任された三人が 実質的にこのクラス最強のメンバーといえる。うち 一人は長期欠席中、もう一人は挑発には乗ってこないタイプ。
残る一人に 見せしめにこの場でお灸を据えてやれば 他の悪ガキ共も少しは懲りるだろう。そんな算段だった。
「よろしい。では 特別試験といこう。諸君等の『腕前』を見せてくれたまえ。
 何 簡単な事さ。最強の系統たる『風』 そのスクエアメイジである私に勝てたなら 認めてあげよう。『冒険』にふさわしい実力があると。
 この私からの『御墨付き』だ。尤も 何の効力も無いわけだが。
 さぁ どうするね。
 逃げてもかまわんよ。そんな臆病者は、学外に出たとしても何も出来ないだろうからな!ハハハッ…」
怒りに顔を真っ赤にし 拳を震わせながらも、少年達は挑戦の名乗りを上げられなかった。実力が違いすぎるのだ。
高等部二年生の平均的なメイジレベルは、ラインならば まぁ優秀といったところ。スクエア相手に敵うハズもない。
ただし このクラスには例外的に トライアングルの生徒が二人居る。
(…彼女なら!) クラスの期待は、そのうちの一人に集まった。

「ギトー先生、ちょっと宜しいですか?」
期待された人物は 立ち上がり発言の許可を求めた。
「ん 何だね、ツェルプストー君。」
「先程からの仰り様、色々と物申したい事はあるのですけど まずは一点だけ。
 『風』が最強だなんて、誰が決めたんですの?」
(ミエミエのお誘いですわね。でも 恋も戦も、自分の意図を相手に悟られたら 駆け引きは『負け』。
 そんな事も判らないから 今だに彼女の一人も出来ないんですよ ギトー先生。)
そう言って ニッコリと微笑むキュルケだった。
(ほぅ そっちに喰いついたか。まぁ良い。) 
「何だ、そんな事か。誰が決めたものでもない、これは一般常識に過ぎないのだよ。
 それとも 君がこの場で、『常識』を覆してくれるとでも?
 クラス代表として この私を打ち破って。」
(此処までは 概ね筋書き通り)と、キュルケの意図には気付かぬギトーだった。
「さて どうでしょうか?
 『常識』で言えば 火力とは、すなわち破壊力であって それに優れるのは『火』の系統。これも常識ですわ。
 及ばずながら この私が、『常識』を証明しても宜しいのですが、今回の争点は『最強』。
 残念ですが このクラス最強は、私ではありません。」
キュルケは一旦話を止める。
最強の系統?そんなものは無意味だ。最強とは 『集団』ではなく『個』に与えられる称号だから。そして彼女は知っていた。最強の名に値する存在を。
「ですから、後は彼女に任せますわ。」
スッと横に移動する。キュルケの陰になっていた生徒 そこには。
「ヴァリエール君、い 居たのか!」
「ええ 居ますよ、このクラスの生徒ですから。それが何か?」
悪役っぽく口元を歪ませた笑いを浮かべ ピンクの髪の魔物がいた。
382 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 21:01:41.35 ID:XkzVM1LP
ギトーは動揺していた。完全に計算違いだった。
魔法実技において ルイズは優秀な生徒ではない。むしろ 爆発させる事しか出来ない劣等生だ。しかし 戦闘に関しては、その爆発が厄介だった。
風のスクエアであるギトーなら、自分に向かって飛来してくるものは大概 風で払い飛ばす事が出来る。岩礫でも 火球でも 氷槍でも。
だが ルイズの爆発は 何かが飛んで来るのではない。対象が いきなり爆発するのだ。これでは防ぎようが無い!
加えて 命中精度の向上も著しく、10メイル先の硬貨程度の的であれば ほぼ百発百中。詠唱も早く 高速連続攻撃も可能とか。
さらにマズいのは… 

気分転換の為に久しぶりに参加した授業で ルイズのストレスはレッドゾーンを越えてしまった。
ギトーの「夏休みだからって 無茶をするな!」という主張は 正論である。少し前のルイズなら 概ね同意したかもしれない。
だが、見習いとはいえ国内最強の魔法衛士隊に所属し 実戦も経験している今のルイズからすると ギトーの言い分は『ヌルい!』のだ。
もう間も無く、『戦争』が始まる。大きな戦争が。多くのメイジが動員されるだろう。この学院の男子生徒の半数以上は 卒業後 軍務に付く事が予定されている。
戦争の早期終結は難しい。よってこのクラスからも 戦地に赴く者が出る可能性は高い。
だとしたら 無理でも無茶でも、少しでも多くの経験を積ませるべきだ。
自分より遥かに強い者と相対し どうにもならない時の逃げ方を学ぶべきだ。一目で相手の実力を見抜けるような 『勘』を養うべきだ。
それだけの事が 全治2〜3ヶ月程度の怪我と引き換えに学べるなら、安いものではないか。
雪風の影響か それともグリフォン隊のせいなのか、かなり戦闘思考に染まっているルイズは そう思う。
加えて、フーケ探索の事を揶揄されたのがいけなかった。あれは 触れられたくない一件だった。 
ルイズにしてみれば 既に解決済みの件、ただ 事情が事情なのでおおっぴらにする事は出来ないだけ。とやかく言われる筋合いは無い!
と 言えない分だけストレス値も高い。これがトドメとなって、精神的耐久力のダムは 遂に決壊した!!
(雪風。ギトー先生のIFFコードを、FriendからEnemy に変更。)
《R.D.Y.》

なんとかルイズとの戦闘は避けたいギトー。
「ヴァリエール君。残念ながら 君には資格が無い。
 ツェルプストー君も言っていたが、この対決は『最強の系統』を決めるものでもある。
 未だ系統の判明しない君が相手では、それを決められない。」
「心配は無用です。
 なぜなら 先生に相手をしていただくのは、私の使い魔『雪風』ですから。
 たかだか生徒の使い魔に勝てない者が、どうして『最強』を名乗る事が出来ましょう。
 そうですよね、スクエアのギトー先生?」 
「!?!」

ギトーにとっては最悪だった。ヴァリエールも強くなったが、あの使い魔『雪風』は更にその上を行く。
近頃 トリステイン魔法学院で何が起きているのか。学院長からの公式な説明は無いが 講師等の関係者は概ね理解している。
ゲルマニアと共同で 『空を飛ぶ機械』の開発が進められているのだ。そして その中心に、彼女と雪風がいる。
同僚のコルベール程ではないが、ギトーも風メイジとして『空飛ぶ機械』とやらに興味を持った。
アカデミーから学院に派遣されてきた研究者の中に 学生時代の友人を見かけ、話を聞いてみた。
国家レベルの開発計画であり、守秘義務に抵触する事柄もある為 多くは聞けなかったが 気になる事があった。友人は、雪風のことを『フェニックス』と呼ぶのだ。
雪風が かの盗賊の巨大ゴーレムを粉砕したのは記憶に新しい。そして レコンキスタの艦隊が壊滅した『フェニックスの神罰』事件。
これらから導かれる結論、「戦列艦十数隻を沈めたのは 雪風」!
冗談じゃない!!
最強たる『風』のスクエアメイジと言えども、唯一人で戦列艦と戦い これを沈める等という事は不可能だ。出来るのは、既に伝説と化した『烈風』カリンぐらいだろう。
それを 艦隊ごと葬り去るバケモノと、どう戦えと言うんだ!!!
383 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 21:06:01.15 ID:XkzVM1LP
窓のガラスが 揺れた。
コトコトと。ガタガタと。そして 割れんばかりに鳴り響いた。
グォオオォオオオ! と迫る爆音、校舎を揺さぶり 一瞬で駆け抜けていった。
雪風が 低空飛行で建物スレスレをフライパスしたのだった。
「さて 先生、それでは校庭へでも 出て頂けますか?
 別に、教室に二十ミリをブチ込んでもイイんですけど、巻き添えを食らったクラスメイトが、血塗れの肉塊になるのは忍びないので…
 フフッ フフフフ。」
ルイズの言葉に 周囲は静まり返る。そして、
「イ、イヤァー!」
「に、逃げろぉぉぉ!」
「血迷うなヴァリエール!」
「よせ。やめろ、やめて、助けてくれ〜!」
一転して パニックと化すのだった。

結局 騒ぎを聞きつけ、「何事ですか!」と教室に飛び込んできたコルベールによって惨劇は回避され、ルイズとギトーはオスマン学院長から説教を食らうハメに。
久しぶりに授業に出ることで 気分転換を図ろうとしたルイズの目論見は完全に裏目に出て、更なるストレスを溜め込むことになった。
同級生達は 明日の終業式を終えれば、『夏休み』だ。
「決めたっ! 私も休む!! 誰が何と言っても休むの!!!」
かくして ルイズの短い夏休みはスタートした。
とはいえ、自分の抱えたモノを いきなり放り出してしまう程に、ルイズは無責任では無い。
丸一日かけて、各研究者への一週間分の課題と職人への作業指示書を作成 緊急連絡用に雪風への無線回線も確保した。
さあ 何をしよう、何処へ行こう。
とりあえず いつものメンバーに声を掛けてみることにしたが…

タバサとキュルケは、終業式にも出席せず 早々に学院を離れていた。
ガリアの国元から呼び出しがあり、実家に帰ったそうだ。(キュルケは それに付いて行っただけ。)
「う〜ん、コレは追いかける訳にも行かないわね。」
同盟国であるゲルマニアのキュルケの屋敷ならともかく、タバサの所に雪風で押しかけるのは 流石にマズい。
諦めて ギーシュを探したが、こちらも居なかった。なんでも、モンモランシーに引き摺られる様にして ラグドリアン湖へ向かったとか。
ただのデートや恋人旅行にしては 変だ。
「面白そうね!」
行き先は決まった。

すぐにでも出発したかったが、残務処理にもう一日掛かってしまい、結局翌日の夕方過ぎになって やっと雪風は飛び立った。
一時間と掛からずに ラグドリアン湖上空に到達する。
(今夜は湖畔のどこかで一泊して 明日、ギーシュ達を探しましょ。)
雪風の探索能力を以ってしても 所在不明な特定人物を発見するのは容易い事では無い。半日ぐらいは掛かるだろうと踏んでいる。
それよりも キャンプの食事用に積んできた 『FAF標準型サバイバルキット』の非常食セットの味が楽しみなルイズだったが、
《報告:地上 湖岸部に高熱源発生。パターン解析、攻撃魔法・火球の可能性92パーセント。何らかの戦闘状態と判断。》
「何かしら? 雪風、対空攻撃を警戒しつつ 接近して詳細情報を収集。」
《R.D.Y.》
そうもいかない様だった。

目標に近付くにつれて 観測される情報量も加速度的に増大する。
《対象地点に四名の人員を確認。アンノウン1からアンノウン4と登録》
広域レーダー上の輝点に仮称名が付随。どうやら 二対二での戦闘のようだ。火・風VS土・水のコンビバトル。
一歩間違えば 死人が出かねないガチの闘いだが、火風系が優勢で 土水系は防戦一方の状態だった。
高解像度カメラがアンノウン達の姿を捕らえた。即座に分析、結果は? 
《該当データあり》
そして ディスプレイに表示される『名前』。
「?!? あんたたち、何やってるのよぉ!」
384 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 21:10:06.14 ID:XkzVM1LP
「手強いわねっ!」
キュルケは攻めあぐねていた。攻撃の方はヘボかったが 守備に回ると手強い相手だ。
こちらのファイアーボールを防いでいるアースウォール、アレは唯の土壁ではない。内部に金属板を仕込んだ『複層装甲』だった。
表面の土が衝撃を吸収し 分厚い金属板で残りの熱と勢いを遮断する。土が吹き飛んだ部分は すかさず地面からの補給で修復される。
加えて 相棒の水メイジがオーバーヒート気味の装甲板を冷却し、溶融や強度低下を防いでいる。
(フレイムがいれば、『連続火球弾』で何とかなったかもしれないのに!)
悔やんでも 彼女の使い魔はここには居ない。
ガリアまで 無理を言って連れてきて貰ったのだ。流石に フレイムまでシルフィードに乗せて欲しいとは言えなかった。
その風竜に乗って 上空から攻撃していたタバサが、長めの呪文詠唱に入った。
(『ジャベリン』でブチ抜く気ね。じゃあ それまでに出来るだけ削っておかなきゃ!)

(な、何でコンナ事に… なったんだぁぁぁ!) ギーシュは 必死に壁の欠損部分を修復しながら考えていた。
モンモランシーに拉致?されて、やって来たのはラグドリアン湖。『精霊の涙』を分けてもらう為の条件として 湖の精霊が出した『妨害者の排除』。
初日の晩に 早速怪しげな相手と出会ったのはイイが、これがメチャクチャ強かった。ワルキューレを展開させる暇も無く 一方的に攻められている。 
(だいたい モンモランシーがあんなモノを作らなきゃ、いやいや 違うぞギーシュ・ド・グラモン。お前は あの時の一件で何を学んだ?
 何であれ 女性に事の責任を押し付けるなど、紳士たる者のすることではない! 違うかぁ!!)
あの一件 香水壜事件とそれによる決闘は、ギーシュに幾つかの変化をもたらした。
女性に対する八方美人的対応は相変わらずだが 恋人と呼ぶのはモンモランシー唯一人。真剣に恋愛に向き合うようになった。
また 雪風にワルキューレが瞬殺されたのが悔しくて 『機関砲に耐えられる装甲』の開発に日々努力していた。
目標は未だ達成されていないが その中間成果である『複層装甲』で 謎の敵からの攻撃を防ぐ事が出来ている。
(この『壁』は貫かせない!
 僕の後ろには モンモランシーが、愛するヒトがいる。そして彼女も 魔法で僕を支えてくれている。
 そう 今僕は、愛の為 愛する人の為、この身に愛を受けながら 愛の力で戦っている!! だから …負けられないんだぁぁぁ!!!)

必殺の一撃を放とうとする寸前 タバサは気付いた。遥か天空より響く 聞き覚えのある轟音、そして 風を切り裂く落下音。
「待て待て待て待て待てぇ〜い、ちょっと待ったぁぁぁ!」
ズドーンという盛大な音を立てて 一本の大剣が湖畔の地面に突き刺さる。戦いを繰り広げる二組の ちょうど中央辺りだった。
皆が呆気に取られて 戦闘が中断される。
「ふぅ 何とか間に合ったぜ。
 よう 嬢ちゃん達、それと薔薇のニ〜チャンよぉ。何があったか知らねぇが、俺っちに免じて 一旦杖を収めちゃくれねえか?」
「……」
「デッ デルフゥ? なんでこんな所に??」
「デルフだってぇ?!」
「もう いったいなんだっていうのよぉ〜」
暗がりの中 出会い頭に戦闘を始めた四人は、ここで初めて相手が誰だったのかを認識した。
「「「ええぇぇぇ〜!!!」」」(タバサ:「……」) 

ルイズが合流するのを待って、お互いの事情を説明しあう事になった。
386 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 21:15:09.45 ID:XkzVM1LP
タバサはガリアの『シュバリエ(騎士)』である。
『名誉職としての騎士』や『金で買える階位』ではなく、実力を認められた者にのみ与えられる国家資格だ。
これによって 国から年俸が出るが、当然のように兵役その他の義務も負う事になる。
今回の命令は 「ラグドリアン湖 異常増水の原因調査とその解決」だった。
ルイズの感想は(う〜ん ちょっと意外ね。かの有能なる『無能王』の差配とは思えないわね。)というもの。

現・ガリア王は 「ただ長男だというだけで、王位を継いだ無能者」「日がな一日遊び惚けて、配下ともロクに話もしない うつけ者」
と 一般には『無能王』と呼ばれているが、少しでも『世界』を見る目のある人物からは 間逆の評価をされている。
彼の即位以来 ガリアの鉱工業の発展・貿易黒字額・軍事力の増大は、ハルケギニア随一である。
単一分野が突出するならともかく 多くのジャンルでバランスをとって発展するのは、優れた司令塔の存在無しにはありえない。
ガリア国内の何処を見ても 国王意外にその役目を果たしている者は見受けられなかった。
部下に僅かな指示を与えるだけで 見事な国家運営を成し遂げている人物を、どうして『無能』と言えようか。
(奇人・変人である事は 間違いないようだが…)

今回の案件については、たった一人の歳若き騎士に任せられるようなものではない。
本来なら まず、アカデミーから研究者のチームを派遣して原因を究明し、しかる後 武力が必要ならば騎士団を派遣する、そういったものだ。
にも拘らず 原因については、湖到着の時点でシルフィードが
「きゅい これは『湖の精霊』の仕業なのね!」
と 韻竜の特殊な感覚で看破してしまった。流石 幼生体とはいえ破格の使い魔。しかし、解決方法についてはお手上げ状態。
モノは試しと 攻撃魔法を色々と撃ち込んでみたが、効果があろうハズも無し。
そして翌日 精霊の気配を纏わせた不審な人物が現れたので、仕掛けてみた。ということだった。
387 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 21:18:27.67 ID:XkzVM1LP
ギーシュ達の方は ど〜しようも無い程 下らない話だった。
発端は、『モンモランシーの副業』。
あまり 裕福な家柄ではないモンモランシーは、自分の得意とする『香水』の製造・販売で 学費や生活費を稼いでいる。
その香水が ゲルマニアから派遣された研究者や職人達に、「手頃なトリステインみやげ」として評判となり 売り上げを大きく伸ばしていた。
製品のデキも良いが 作っているのが『美少女学生』ともなれば、オジサマ方から可愛がられようと言うもの。
普段 自分の周りにいる『少年(ガキ)』とは違う 『大人の男性』からチヤホヤされれば、彼女としても悪い気はしない。だが その様子を見て、ギーシュは落ち込んだ。
そして、寂しげなギーシュに 一人の女生徒が急接近してきた。あの時の下級生 ケティ・ラ・ロッタ。(モンモランシ先輩と別れたのなら 今度こそ私が!) 
ギーシュは ケティの心遣いに感謝した。ただ ケティとヨリを戻したりはしなかった。(それでも僕は モンモランシーを愛している!)
内面的には成長したギーシュだったが、残念な事に それはモンモランシーには伝わらなかった。

(そりゃあね、かまってあげなかった私も悪かったわよ。でも でもね、だからってスグに他の女と それもあの時の娘とくっつかなくてもイイじゃないのぉ!)
これだけなら、『恋する乙女にありがちな 軽い嫉妬心』と言えない事も無いのだが。
ギーシュの浮気心を封じ込める為、モンモランシーが選んだ方法は、『ホレ薬』だった。
それを飲んだ後 最初に目にした相手にベタ惚れしてしまうという、よくある秘薬ではあるが、実際のところは『強烈な向精神薬』というより『洗脳薬』だ。
当然 製造方法など公開されているハズもない。だが彼女は、薬物製造に関する限り 学院講師も驚くようなモノも作ってしまう位の異才の持ち主だった。
高価な原材料についても、香水の販売が好調で懐具合に余裕があったため 問題とはならず、アブナイ薬はあっけなく完成してしまった!

結果として モンモランシーの企みは失敗に終わった。
ギーシュの為に用意した(薬入り)ワインを、とある人物が誤って飲んでしまい、別の某人物に熱烈ラブアタックを開始してしまったのだ。
あんな気味の悪いものを放置したら、休み明けで学院に戻った皆に トンデモなトラウマを与えてしまう!何より、自分が御禁制の秘薬を作ったことがバレてしまう!!
慌てて『解除薬』の作成を始めたが、材料の内『精霊の涙』だけが どうしても手に入らない。(原因は、タバサが派遣された理由と同じ。)
こうなれば、直接 ラグドリアン湖の精霊と交渉するしかない!と ギーシュを引き連れて来て見たが、そこで精霊から出された条件が
「『襲撃者』を排除してみせよ」と言う事だった。
388 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 21:21:53.25 ID:XkzVM1LP
双方の事情が判り、ルイズは言った。
「じゃ、湖の精霊が 水位を上昇させてるのをヤメれば、タバサ達は攻撃しないし、そうすればもう『襲撃者』も現れない訳だから そっちも条件をクリアした事になるわね。
 で、なんでそこいらじゅうを水浸しにするなんて バカな事始めたのよ、精霊は?」
「それなんだけど… よく判らないのよ。」言葉を濁す モンモランシー。
元々 精霊との交渉役を勤められる者は、ごく限られている。
モンモランシーにそれが出来たのは、彼女の実家が かつて ラグドリアン湖の精霊との交渉を執り行う役職であったからだ。
ただし 大規模灌漑用水路の建設計画において 交渉に不手際があったものとしてその任を解かれ、役職も剥奪されてしまっている。
よって 親から娘へ伝えられるべき『交渉役』の技能も、不完全な形でしか教えられておらず、精霊を呼び出すことは出来ても 交渉のスキルが低い為、意思の疎通が不十分なのだった。

翌日 再び精霊を呼び出したモンモランシーは、増水を止めれば襲撃も無くなる旨を説明した。他のメンバーも加わり 代わる代わる説くも、一向に通じる様子は無かった。
言葉が通じない訳では無い。ただ、精霊と人間とでは メンタリティが全く違うのだ。
(電子工学のタームで、芸術論を語るようなモンね。)
埒が明かないと思い、ルイズはある決断をする。
(雪風、『トーカ君』の六号機を湖面上空へ。下部のセンサーを水面に接触させた状態で静止させて。) 
《R.D.Y.》
 
「ちょっとルイズ、何をする気?!」驚くモンモランシー。
「まぁ見てなさい。上手くいったら御慰みってね。」
ホバリングする小型ユニットが センサーロッドを湖へ伸ばす。着水、波紋が広がる。
が、単純な同心円の筈のそれが 踊る。さざめき 歪み 捩れ 様々な幾何学模様を描き出す。
人間との『対話』の為に湖の精霊が作り出した 湖面より聳え立つ『水の人影』が 興味を示したようだ
「何ぞ、吾に触れたるは? …未知 何ぞ 之より漏れ出ずる音?声? 何者? 送る?繋がる? フム ならば開かん『回線』とやらを!」
突然 センサーポッドの周囲の水が盛り上がり ポッドを水中に引きずり込んだ。
《マスター:報告 『湖の精霊』とのコンタクト成功。臨時データ回線 及びプロトコル構築完了。通信可能。》
(了解。ご苦労様。) 
ねぎらいの言葉には 回答は無かった。それが雪風。ルイズも理解している。それでも思いは伝えたかった。
「OK モンモランシー。こっちで聞いてみるわ、増水の理由とか!」
(よもやとは思ったけど ヤレば出来るモノなのね〜、精霊と交信って!)
389 :Misson 16「インディアン・サマー・ヴァケーション(前編)」2011/08/10(水) 21:25:55.68 ID:XkzVM1LP
「吾 行うは『失せ物探し』。求むるは 吾の元より盗まれし秘宝。六千周期の昔 託されし魔道具の一つ、『アンドバリの指輪』。」
精霊の対人インターフェイスであるヒトガタの水像が ルイズ達に語っている。同時に 人間には感知できない領域で 精霊と電子知性体の情報交換が行われていた。
一応ルイズは傍受しているが、高密度情報通信の為「ピーピー ガリガリ」としか聞こえなかった。
時折 精霊が「おおっ」「そうか」等と声を上げているので 関係は良好のようだ。
「つまりは たった一個の指輪を探す為に、世界を水没させようって言うの?
 何か いろんな意味でスケールが大きすぎる話ねぇ。」 あきれ返るキュルケ。
「…そこまでして取り戻さねばならない『指輪』とは、一体 何?」タバサが言うのも 尤もだ。
「吾にとっては意味無き物。されど、うたかたを生きる汝等には脅威となろう。
 そは、死せる者には偽りの命を与え、生ある者の心を操る也。そを持つ者は 偽りの王国の主とならん。
 因りて そは吾に託されん。」
『心を操る』の下りで、タバサの肩がピクリと動いた事に 気付いた者は居たのだろうか?
「盗まれたって言うけど、下手人は判ってるの?」と ルイズ。
「然り。既に『雪風』へ伝送済み。」 《マスター:当該データ 再生》 
ルイズの脳内に、立体スキャンデータの様な 細密な人物像が描き出される。
後に雪風に確認したところ、湖の精霊に 人間と同様の『視覚』は無いそうだ。大気中の水分を触覚素子として 物質を『見て』いるらしい。
その為 犯人の姿もモノクロ3DCGの如きモノとなる。
ちなみに この方法で見えるのは、自身の周辺だけで、水辺から離れた場所は見ることが出来ない。そのせいで 指輪の現在位置は掴めない、とのこと。  
盗人相手なら、ルイズには勝算があった。
「じゃあ この『指輪泥棒』、こっちで捕まえてあげるから、湖の水位 元に戻してくれない?
 人間が盗んだものなら、人間同士の方が良く判るってこともあるし。どう?」
精霊は暫く沈黙し 答えた。
「承知。『雪風』とその主よ、汝等に任さん。」
「それで、期限は? いつまでに取り戻せばいいの?」
「時を限るは無用。吾は悠久。汝の生は刹那。命 尽きる迄に戻れば可。」
(気が長いと言うかなんというか。まぁ コッチとしても助かるけど)
「じゃ 契約成立ね。水位の件 頼むわよ。」
「では 吾は去る。『雪風』よ、コレは返すが 吾再訪を待てり。何時也とも歓迎す。」どうやら雪風は 湖の精霊に気に入られたらしい。
水象が沈み行くと同時に 湖に飲み込まれていた『トーカ君六号』が浮上した。水没していたにも関わらず 各部に異常は見られなかった。

「ちょっとルイズ、大丈夫なの?あんな事 安請合いして!?」
無事に『精霊の涙』は入手できたものの、高位の精霊に対し余りに気安く話しかけ かつとんでもない約束をしてしまうルイズが、モンモランシーには信じられなかった。
「心配御無用。こっちには、トリステインで一番 いいえ、ハルケギニア一番の捕り物名人がついてるんだから!」
「あ〜、アンタこの件 『盗賊改』のワルド隊長に丸投げする気でしょ!」ジト眼のキュルケ。
「もちろん! だって、素人が手出し出来る様な事じゃないでしょ?」だが、そんな視線は気にしない。
「おいおい、そんな事、胸を張って言うモンじゃなかろうに。」こちらもアキレ顔。
「…でも確かに その方が確実。」意外と 賛同されてたり。
とりあえず 一件落着。しかし この時はまだ誰も、この『指輪盗難事件』が対レコンキスタ戦に与える影響について、予想だにしていなかった。

事が終われば 皆其々の方向へ。
タバサとキュルケは、タバサの実家へ。(学院からガリア離宮のプチ・トロアへ直行したので これから行くそうだ)
ギーシュとモンモランシーは、モンモランシ家へ。(「ウチの方が 学院より薬物調合設備は整っているから とのこと)
そしてルイズは 学院に戻る。「さて、次は…」 なにやら予定はあるらしい。一体 どこへ行くのやら?
                   《続く》
391 :ゼロの戦闘妖精2011/08/10(水) 21:28:59.11 ID:XkzVM1LP
以上です。支援 ありがとうございました。
『夏休み編』、例によって 話の長さを読み間違って、一回で終わりませんでした。
後編も、夏が終わるまでに投下したいところですけど… 無理だろうなぁ。
できるだけ早めに 書き上げたいと思います。
399 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 04:43:56.08 ID:3lsQ6SyY
先ほどこのスレに顔出したばっかりの新参者
かつ、ゼロ魔はこのまとめスレから入った「にわか」
更に救いの無いことに原作を最近買い始めたので
原作の中盤以降はほぼ知らない

という惨状だが、そんな駄目な俺でもSS投下しても良いのかな…?
401 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 05:14:04.15 ID:fPliB0kJ
>>399
投下待ってるぜい
402 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 05:17:13.40 ID:bQyJF4dI
>>399
取りあえず、投下したいのであれば原作に一通り目を通してからにした方がいい。

つーか、今更だがそう言う事は言わない方がいいよ。
叩かれる原因になるから。
403 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 05:36:41.20 ID:VX7nQzqb
戦闘妖精さん乙
ギトー先生の説明におおっ白ギトーか
と思ったらやっぱりギトー先生だった!でも頭良いぞ!

>>399
一応本編だけでも全部目を通しておくのが
設定で酷い目に遭わないための大人の醍醐味
400 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 05:09:43.99 ID:vTvLobjC
誰でも最初は『新参者』です。
ただ ここではアンチ・ヘイト系や一方的な蹂躙モノは好まれません。
そういった傾向の作品であれば、『にじファン』の方をお勧めします。

ここは、真摯に創作に向かう人には優しいですが そうでない人には厳しい所ですよ。
404 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 05:50:15.34 ID:3lsQ6SyY
>>400-403
サンクス、荒れる覚悟で打ったが後悔してないよ

…とりあえず、原作を買えるだけ買ってクロス元もおさらいしてから
投下したいと思う
405 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 06:06:05.67 ID:lo1SkGeD
>>404
まだあわてるような時間じゃない
待ってるぞ
406 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 10:52:43.98 ID:m0POs7jH
>>404
そんな熱心に原作読んでから書いてる人も、そんなに多くはないと思うけどね、正直。
409 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 12:52:16.34 ID:7iuKrDZW
>>404
どーでもいいが、荒れる覚悟ってことはこのスレに迷惑かけるつもりで書き込んだんだな?
そこはせめて気を使ったほうがいいと思うぞ
407 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 11:00:53.64 ID:d4eFfOUb
原作じゃなくアニメや漫画準拠でもいいと思う。
408 : 忍法帖【Lv=17,xxxPT】 2011/08/11(木) 12:06:19.65 ID:BV4wiuyS
>>407
その手があったか。
自分は404氏ではありませんが、古本屋か配信サイトに行って来ます。
410 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 12:54:02.67 ID:V6hYETQA
迷惑ってのはまだ原作知識さしてないけどってとこにかかってんじゃないの
412 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 13:20:49.49 ID:SPYLLy0T
雉も鳴かずば撃たれまい?
413 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 14:39:56.55 ID:bUf2l9ML
>>412
なんかそれ聞くと時代劇の悪役が思い浮かぶんだよなw
414 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 15:24:05.82 ID:pIOqIpHA
モット伯が悪代官を召喚
屋敷を改造し傭兵を雇い、シエスタをてごめにするまで才人を食い止めるSS

リッシュモンが破壊神を召喚
地下ダンジョンを作って追いかけてくるアニエスを撃退するSS
415 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 16:26:23.41 ID:SYxsMprQ
実在した時代劇の悪役と言えば鳥居耀蔵とか田沼意次とかだよな
彼らもまさか数百年後の時代でも悪役として扱われてるとは夢にも思わないだろうな
それでもゼロ魔の世界の貴族よりは奉行とか政治家としては有能そうな気がするけど
416 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 16:46:52.73 ID:vTvLobjC
白田沼なら『剣客商売』があるけど、白鳥居な話って何かあったっけ?
ゼロ魔だと、モットのフォローはできても リッシュモンは難しいか。
417 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 17:17:11.70 ID:7iuKrDZW
鳥居さんは二百年経ってないし田沼さんも二百二十年ちょいだから
数百年後ってのはなんか違うんでないか
418 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 17:26:10.18 ID:aV8ungYr
白鳥居というか苛烈な正義的な鳥居ならRPGのリプレイ物に一人いたな。
天下繚乱RPGの公式リプレイだったか。
431 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 21:50:23.52 ID:/2cHiFA9
>>418
リプレイつーか公式NPCだよ。
で、あの妖怪さんのイメージは、アニメの妖奇士が元だと思う。
まー、天下繚乱は流石ハッタリというか、ありとあらゆる所からパクってくることで、
逆にパクリ元をわからなくする、ってやつだから、元ネタは人それぞれに思いつきそうだけど。
419 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 17:59:55.96 ID:UTRqSYTR
黒光圀はおらぬか
420 : 忍法帖【Lv=34,xxxPT】 2011/08/11(木) 18:13:41.19 ID:vTvLobjC
>>419
ルイズを連れて諸国漫遊。
ついでに、悪代官等の溜め込んだ財貨を ごっそりと私物化するクソジジイか?

なんか 『パタリロ』顔のご隠居が 頭に浮かんで来るんだが…
421 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 18:42:10.30 ID:5ompgu9w
イマジンブレイカーを召喚する方法はあるのか
425 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 20:09:57.03 ID:g/ZN0eT+
>>421
無効に出来るのはあくまでも自分の世界の魔法だけだから問題ない
426 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 20:34:12.15 ID:ATYPf+eD
>>421
とある魔術の使い魔と主
コレを読んでなさいな
422 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 19:04:31.23 ID:xhRFFLSO
フィアンマみたいに一度右腕だけぶったぎればいいんじゃね?
あとから中の人効果で生えるし
423 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 19:30:42.43 ID:lwmtV4CL
腕一本から再生するゴルベーザを召喚とな

流石に世界の枠を超えてまでゼムスのテレパシーは届くまい
424 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 19:32:26.82 ID:27zM3qZ5
ゼロ魔側を蔑ろにしろというわけじゃないけど、
クロス先のキャラが壊れそうになるくらいゼロ魔に染まっちゃうのは個人的には嫌だなって思う
ギャグキャラじゃないのに才人みたいな目に遭ったりとか

個人的には、混ざり合ってるようなのよりも
混ざらずに互いが互いを主張するようなクロスのが好き
427 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 20:42:51.90 ID:5E41FYyt
アイアンマンの社長を召喚したら科学と言う名のゴリ押しで蹂躙しそうだよな。
身体一つでハルケギニアに召喚されても、コッパゲのガラクタからバトルスーツを作り上げそうだし…あの人。

まぁ女好きだからキュルケのお誘いにホイホイされそうだし、それ以外にも色々とネタには困らない人物でもあるがw
456 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 17:49:17.70 ID:MsMBz3KM
>>427
でもトニーは魔法アレルギー、といっていいほど魔法キライだからなぁ
一度アーサー王の時代にタイムスリップしてしまった時エクスカリバーの鞘と同化してしまい
元の時代に帰る方法が「魔法の知識があるドゥームの手でエクスカリバーを「鞘にしまう」
言い換えればドゥームによって、剣で刺されろとマーリンに言われて
トチ狂ってたからな

「魔法を受け入れろ?ドゥームを信じろ?無理にもほどがある!」って駄々捏ねてた
428 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 20:44:24.55 ID:ab1jZTSA
某所でアイアンマンの評判聞いたが、
アメコミのスーパーヒーローの中でも五本の指に入るトラブルメーカーというのは本当だろうかw
429 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 20:48:11.66 ID:81VI8GZL
トニー・スターク、アル中
ついでに頭が良すぎるがゆえに一人で何でも解決しようと無茶して結果最悪の事態になることが…
430 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 20:54:29.19 ID:OWpxASzY
暴れん坊将軍から上様を召喚
最終的にはみんなでサンバを踊ることに
433 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 22:32:06.22 ID:lwmtV4CL
>>430
「将軍家は代々下は足軽だ」

あの方をハルケに呼んだら泣くくらいじゃすまないよなぁ
434 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 22:45:48.43 ID:T+q8TLq4
>>430
ウェールズ皇太子が吉宗の影響を受ける。
レコンキスタのアジトに乗り込んでいって
「この愚か者が!余の顔を見忘れたか!」となり
「もはやこれまで・・・。ウェールズ皇太子は死んだ!
この者は偽者じゃ!出会え出会え!」
という展開もありだろうか?
435 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 23:27:16.71 ID:vTvLobjC
>>434
ウェールズとアンリエッタの出会いが、『暴れん坊将軍』でたまにある、
「お忍びの姫と 徳田新之助」みたいなことになるかも
447 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 14:19:42.20 ID:3lihSz0N
>>430
でも上様って余程の悪人でも無い限り自分でとどめ刺さないんだよな
となると男女の御庭番二人も召喚しないと
どうでもいいけど男の御庭番はたまに殉職するけどニ、三話程すると何事も無かったかのように新しい御庭番が居る
いっそのことめ組のお頭でも召喚するとか
エンディングが毎回皆で神輿を担ぎながらの演歌になるな
457 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 17:58:15.77 ID:JcPNKOnp
>>447
お庭番に止めを刺させるのは、成敗されるのが武士階級の誰かだった場合、
上様直々に止めを刺すと断罪としては上等の部類=ある意味名誉ある扱い、になっちゃうから、
とかいう話を聞いた記憶がある

まあ、サイトも明確に意識して殺しはしてない訳だし、
自分では止めを刺さない、みたいな縛りのある使い魔ってのも
話のネタにはなりそうだよね
459 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 18:29:01.68 ID:MsMBz3KM
>>457
匿名希望「やめてよね トリステインのメイジなんかがボクにかなうワケないだろ」
460 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 18:37:06.96 ID:voKMdBkb
>>459
格下には不殺→同格か格上だとコクピット狙い→それで負けたら「あれは油断してた」な人は黙っててくださいw
461 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 19:01:19.97 ID:dgVoN0wm
>>460
負債「馬鹿にしないで。修行すればドモンだって一捻りなんだから!!」
464 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 19:34:42.42 ID:NJe0NGhx
>>430
コブラ・カメ・ワニのコアメダルを持った上様を召喚と申したか
432 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 22:29:42.78 ID:fhDDXVCl
>431
「あなたが使い魔だと思ったモノが使い魔です」
436 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/11(木) 23:41:54.31 ID:q9fILc5N
バカ殿を召喚。すぐに城下(トリスタニア)に行こうとしてルイズやシエスタと追いかけっこ
437 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 02:14:17.10 ID:xNJJWKIq
バカ殿を召喚したらオスマンやモットと意気投合しそうで困る。
シエスタを筆頭にメイドさん達と混浴できる双六とか、女の子をうつ伏せに寝かせてのおっぱい神経衰弱とかのイベントを始めるんじゃね?

しかし思い返してみるとテレビで普通に乳首が出せる良い時代だった。
438 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 05:13:13.34 ID:1Nr6xKxM
柳生宗朗召喚したら相互契約でルイズがマスターサムライ化する…か?
440 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 10:04:42.43 ID:BkwCyEMM
まあ夏だし
445 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 12:38:25.47 ID:Xl0DXns1
>>444
>>440-441
443 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 10:32:14.36 ID:1awm3Q/A
不可能だよ
ハルケギニアには元々ガリガリ君ないから召還はできない
召喚なら可
444 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 10:54:21.65 ID:JeQPe1SR
見りゃ判る変換ミスをどや顔でチクチクつつくなよ恥ずかしい
446 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 12:43:41.44 ID:tWu87QIP
既に召喚されていたモノを送り返す、送り返しモノなんてのもアリ…か?
450 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 17:37:50.65 ID:MsMBz3KM
拝一刀召喚

本人も強いがなによりあの乳母車凄ェ
装弾数無限にして重量ほぼゼロなガトリング砲装備してるわ
三歳児がかなりの距離遠投できて殺傷力抜群の手榴弾大量に積み込んでるわ
大砲の直撃にも耐える防御形態に変形できるわ
451 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 17:38:26.54 ID:8OXFBn1g
怪傑ライオン丸は時代劇に入るのだろうか?
453 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 17:42:16.64 ID:Vw4pnEuK
>>451
怪傑は崖っぷちだが何とか。
ただし風雲、オメーはダメだ。
462 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 19:15:31.54 ID:nOec4QBW
>>453じゃあGで
実写のエンド後なら多少は獅子丸落ち着いてるだろうし
巨乳の元には豹か虎か

つかマンガ版でいいかもう
463 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 19:28:26.87 ID:TvvqgRoA
>>453
風雲の「ロケット変身」は、コルベール先生あたりと絡ませると 面白くなりそうだけど?
458 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 18:27:55.41 ID:slPz+nqS
伝七捕物長
よよよい、よよよい、よよよいな
はっ、めでてえなとっw
465 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 20:23:12.20 ID:fSQpWsC9
G・・・Gガンからストーカーを

「皆さん、今回ルイズが召喚するのは・・・」
って感じでルイズが何を召喚するのかを説明するだけで終わるんだ
466 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 20:31:43.69 ID:HL8zzzbt
遠山の金さん召喚。
ワルド=同席している黒幕、フーケ=利用されていた

「本日のお裁きにはワルド子爵も同席をお願いいたした。」
桜吹雪の刺青を見てワルドは「おのれ!遠山!」となる。
フーケはトリステイン所払いで一件落着。
467 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 21:01:34.75 ID:wQDNqlib
G・・・グレートマジンガー

VS七万で倒れた甲児がルーンを失い、ルイズが再召喚・契約を行おうとしたら出てくるプロ
468 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 21:06:04.01 ID:7bL4QAt1
Gと聞いたら黒い悪魔が思い浮かぶ。なにかそんなキャラ居たかな?
483 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 00:46:03.04 ID:BLVbgWGN
>>468
リリなののガリュー(ルーテシア付き)はどうか
そういや、召喚魔導師の類が召喚される話ってあったっけ
471 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 21:35:01.55 ID:rE5ULbEd
ハルケギニア諸国とレコン・キスタの戦いはトリステイン王国を巡り、急速に収束しつつあった。
だが、この最終局面において、貴族は突如、態度を翻す。
その消極的な姿勢は、事実上の不干渉にも等しかった。

ある密約。
貴族はレコン・キスタを黙認する。
その替わりに、貴族の生命を安堵し、彼らの権威を維持する。
レコン・キスタは、打算家たちの性格を知悉していた。
自らが確保されるのであれば、すべてを賭ける価値などどこにもない。
すべからく、破壊からの復興は経済成長の土壌なのだから。

いまや、レコン・キスタを止めるものは何もなかった。
ただトリステイン魔法学院に従わず、独自に動いたルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと、その使い魔を除いて。
474 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 22:09:06.76 ID:AGeUs6EY
ゴキブリだったら範馬刃牙からバキ
ゴキブリ師匠から学んだゴキブリダッシュでギーシュやフーケのゴーレムを粉砕
ワルドのライトニングクラウドだって勇次郎が雷攻撃無効のスキルを持ってるから
その劣化版のバキだって人間を焼き殺すのが限界程度の出力なら無効化できるはず

ただ猪狩にあっさり騙されまくったりした経験もあるから搦め手には弱そうなのがネック
475 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 22:13:12.06 ID:xNJJWKIq
小ネタにありそうだったが、一発ネタでMOTHER3のきゅうきょくキマイラ召喚とか。
契約しようと近づいた瞬間。

バクン!!ボーリボーリ…ゴックン

GAME OVER
476 : 忍法帖【Lv=36,xxxPT】 2011/08/12(金) 22:53:54.44 ID:S181P7MK
バリバリムシャムシャバキバキゴクン

○○○ とってもいいなまえなのに……
477 : 忍法帖【Lv=18,xxxPT】 2011/08/12(金) 23:04:20.32 ID:xTKDbGJJ
オレサマ オマエ マルカジリ

それはともかく、近所にコミカライズ版が置いてなかった。
479 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 23:16:44.86 ID:UvuqF6b7
久々にかつてよく行ってた古本屋行ったら潰れてた

Gなら、キングゲイナーのゲイナーを単体で召喚…とか
才人とはまた違ったやりとりが出来そうで面白そうだ
481 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/12(金) 23:45:19.83 ID:61kzijpU
ルイズがパンプキンシザーズのアリスを召喚するやつ知りませんか?
探してるんだけど見付からない
482 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 00:39:33.21 ID:YkAWp9rI
プリティベルから高田厚志召喚
ギーシュ戦でギャラリー共々ダンスしたりで面白そう
484 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 00:49:50.38 ID:0Ho5UP7x
じゃあもうワンダービットからコックローチマン召喚しようぜ
485 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 01:15:17.40 ID:EyIfFhXy
召喚士ならサモンナイトからとか召喚されてた
あと人修羅も一応召喚士・・・かなぁ
486 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 03:09:27.76 ID:tJjxLLiB
スペクトルマンを召喚してもハルケギニアじゃ変身できないな
487 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 07:22:56.18 ID:J0bS5epx
GGゴキちゃん!
カーレンから ゴーゴーゴキちゃんを召喚しよう!

カーレンジャーを1回追い詰めたこともある猛者だし!!
489 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 08:47:49.55 ID:BLVbgWGN
ブロッケンマン召喚とか
これまでガスを武器にした使い魔ってみたことない
490 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 09:12:15.62 ID:/Amsha6u
ゴキブリといえばブレスオブファイア、あれを食うはめになるイベントはトラウマものだ
492 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 10:23:01.83 ID:7P1Ve7h8
ゴキブリってエビみたいな味なんだっけ
つまりエビはゴキブリみたいな味ってことか
494 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 10:31:27.52 ID:/b+7Y0/T
エビの味をしたゴキブリをどこかが開発してるって話じゃなかったっけ?
496 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 10:50:21.60 ID:IIE9ddSg
覇王丸によるとゴキブリは不味かったらしい。
つまり覇王丸はエビが嫌い。
497 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 11:48:32.14 ID:z0YO5GNf
日本で一般的な家庭内害虫の味は知らんけど、南米の方には食用Gとかあったような。
498 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 12:24:04.23 ID:LZzGDmvt
前にムツゴロウさんがあるテレビ番組で、南米に行って大ミミズを喰ってたな。
日本だと食用ミミズは霜降り和牛並みの超高級食材だが。
499 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 12:41:14.29 ID:udZarIhh
ミミズと聞くとレーザーミミズが真っ先に浮かぶ自分は間違いなく異端。

ハルケのどばどばミミズは食用じゃないっぽいけど、上手く調理したら美味しいのかもね?
500 :名無しさん@お腹いっぱい。2011/08/13(土) 13:07:23.19 ID:xqprzLeu
秋山醤「ミミズ料理なら任せろー」

つーか、この人を召喚したらアルビオンに行った先で、王党派の人々にとんでもない料理を振る舞いそうだな。